クリーチャー・デザイナーズ　ハリウッド特殊とくしゅ効果こうかの魔術まじゅつ師したちのレビュー・感想かんそう・評価ひょうか

80年代ねんだいの黄金おうごん期きから、90年代ねんだいに入はいりCGの登場とうじょうで職しょくを失うしなってしまった彼かれらの栄光えいこうと挫折ざせつが映うつしだされます。
ジョン・ランディスとジョー・ダンテが隣となり合あって座すわり「狼おおかみ男おとこアメリカン」のメイクを担当たんとうしたリック・ベイカーが撮影さつえい前まえに「ハウリング」の仕事しごとに取とり掛かかっており、しかもメイクのアイデアまでバラしてしまい、揉もめたエピソードを語かたるシーンは笑わらえました。

映画えいがの舞台裏ぶたいうらを見みれると期待きたいしたが、インタビューを中心ちゅうしんに模型もけいのカットで済すませる度合どあいが多おおい。映像えいぞうの権利けんりの問題もんだいなのだろう。個人こじん的てきには特殊とくしゅメイクの裏側うらがわの技術ぎじゅつが見みたかったが、よく知しる技術ぎじゅつの解説かいせつだったので残念ざんねん。

SFやファンタジーに欠かかせないクリーチャー・デザイナーのドキュメンタリーで、やや単調たんちょうながらもハッとする切きり口くちがありました。彼かれらの多おおくが、フランケンシュタイン博士はかせのような情熱じょうねつ(原題げんだい)で、クリーチャー＝生いき物ものを創造そうぞうしているのが面白おもしろいです。数々かずかずの制約せいやく下かで独自どくじの発想はっそうや工夫くふうで観客かんきゃくの度肝どぎもを抜ぬくような生いき物ものを創造そうぞうしながらも、特撮とくさつ映画えいがの技術ぎじゅつはCGに取とって替かわられ、彼かれらの職人しょくにん技わざはもはや廃すたれる一方いっぽうなのは寂さびしい限かぎりです。CG一辺倒いっぺんとうの現在げんざいの映画えいがにもはや観客かんきゃくは驚おどろかないという指摘してきは全まったく同感どうかんで、CGだけでなく、特殊とくしゅメイクやアニマトロニクスのような実物じつぶつ大だいの技術ぎじゅつや模型もけいなどの縮小しゅくしょう技術ぎじゅつの組くみ合あわせがリアルな映像えいぞうづくりに必要ひつようと思おもいます。物体ぶったいXの天才てんさいロブ・ボッティンすら消息しょうそく不明ふめいであるのには、愕然がくぜんとしました。

インタビュー中心ちゅうしんのドキュメンタリーは基本きほん、思おもい出で話ばなしを語かたったあと実際じっさいの本編ほんぺん映像えいぞうで説得せっとく力りょく増ます作つくりが一般いっぱん的てきなんだろうけど、本ほん作さくはほぼインタビュー映像えいぞうのみなので正直しょうじき、レンタルや配信はいしんで十分じゅうぶんな気きがする。

つまらない訳わけではなく、劇場げきじょうで観みる程ほどではないということ。

映画えいが内ないで語かたられるエポックメーキングな映画えいがをリアルタイムで知しってたので、すごく興味深きょうみぶかかった。特撮とくさつの技術ぎじゅつ者しゃたちの顔かおは初はじめて見みたけれど、みな（おじいさんでも）少年しょうねんのような顔かお。特撮とくさつといっても「クリーチャー」に絞しぼったせいかオタク感かん満載まんさい。とにかく楽たのしい。
技術ぎじゅつが進すすんだからといって古ふるい方法ほうほうが廃すたれるわけでもなく混合こんごうで使つかわれてる映画えいがも少すくなくないと知しったのが収穫しゅうかくでした。
すばらしい技術ぎじゅつやアイデアも、それを生いかす才能さいのう豊ゆたかな監督かんとくやプロデューサーがいないとダメなんだろうなあ、としみじみ。

特殊とくしゅ効果こうかの歴史れきし的てきな話はなしかと思おもっていたらデザイナー目線めせんな歴史れきしでした。とは言いいつつも着きぐるみ、コマ送おくりからCGへと変かわって行いく時代じだいのトップの効果こうかマン達たちの話はなしは興味深きょうみぶかい。ジュラパーとかでも着きぐるみ使つかってたんだ、と。ただ、インタビューばかりで単調たんちょう。もう少すこし実際じっさいの映像えいぞうを使つかって欲ほしかったなー。

ハリウッドで巨大きょだい生物せいぶつや怪物かいぶつの出でてくるSF特撮とくさつ（アニマトリクス操みさお演えんじや着きぐるみなど）映画えいがが全盛期ぜんせいきだった80年代ねんだいの技術ぎじゅつと、1990年代ねんだい『ジュラシック・パーク』以降いこうの特撮とくさつとCGとの融合ゆうごう、2000年代ねんだいのCG全盛ぜんせいによる特撮とくさつの衰退すいたいという現状げんじょうへの流ながれを、今いまのインタビューや昔むかしの記録きろく映像えいぞうを交まじえて紹介しょうかい。

実じつに興味深きょうみぶかく。
映画えいが作づくりの裏側うらがわを見みせてくれて楽たのしかった。

そして、CGによってアニメーターで取とって変かわられるだけでは不十分ふじゅうぶんだと。
操みさお演者えんじゃの動うごきをモーションキャプチャーでトレスしたり、昔むかしの特撮とくさつ技術ぎじゅつの表現ひょうげんを踏ふまえて作つくらなければ、空想くうそうの産物さんぶつであるモンスターたちはリアリティを伴ともなう表現ひょうげんとならないことへ踏ふみ込こみ、若わかい層そうへの特撮とくさつの重要じゅうよう性せいの教育きょういく・育成いくせいが不可欠ふかけつだとハリウッド関係かんけい者しゃは語かたっていて……

なんかこう、日本にっぽんでは東映とうえいの一部いちぶと、庵あん野の秀明ひであき氏しらが立たち上あげたNPO法人ほうじんが手弁当てべんとう的てきに細々こまごまと必死ひっしにやっていることを、業界ぎょうかいとしてがっつり取とり組くんでいる様子ようすが羨うらやましかった。
（もっとも、生いき残のこった特撮とくさつ会社かいしゃは、金かねのあった時期じきに投資とうしし、CG制作せいさく部門ぶもんや学校がっこうを立たち上あげて収支しゅうしがとれるようにしたところが主おもみたいですけれども）

無むからここまで作つくるのは魔法まほうである。錬金術れんきんじゅつである。そして夢ゆめである。それを実現じつげんした人物じんぶつがここにいる。

80年ねん90年代ねんだいの作品さくひんが多おおかったですが、新あたらしい作品さくひんについても後半こうはんに欲ほしかったです。
皆みなさんたいへんなご苦労くろう様さまです。今後こんごもよろしくお願ねがいします！

まぁ普通ふつうにインタビュー中心ちゅうしんのドキュメンタリーなのでテレビで観みれば良よいかな。特撮とくさつシーンがそれほど出でてくるわけでもないし。
CGIの普及ふきゅうでリスペクトが失うしなわれてしまった、とかロブ・ボッティンは業界ぎょうかいを去さってしまった、とかちょっと寂さびしくなった…