零落れいらくのレビュー・感想かんそう・評価ひょうか

凡人ぼんじんには体験たいけんし得えない孤独こどくと葛藤かっとうを垣間見かいまみさせて頂いただきました。
産うみ出だす作品さくひんと主人公しゅじんこうの生いきる現実げんじつ=嘘うそと本当ほんとう？(それとも本当ほんとうと嘘うそ？)が、主人公しゅじんこうの深層しんそうの裏うらと表ひょうなのか、それとも表ひょうと裏うらなのか。
裏うらとの世界せかいを泳およぐ風俗ふうぞく嬢じょうが持もつ純粋じゅんすいさと、仕事しごとを離はなれた後のちの元もとアシスタントの醜悪しゅうあくさも対比たいひも秀逸しゅういつ。
その後ご、主人公しゅじんこうはどう生いきて行いくのでしょう。嘘うその中なかでうまく泳およぎ続つづけるほど、器用きようではなさそうだった。気きになります。

作品さくひんが売うれている間あいだは、アシスタントとの関係かんけいも良よく、あまつさえ、自分じぶんの担当たんとう編集へんしゅう者しゃとも結婚けっこんしてしまうほどの「人生じんせいバラ色ばらいろ」だったようですけれども。
しかし、人気にんきの連載れんさいが完結かんけつし、次つぎが続つづかなければ、たちまちそれらの関係かんけい性せいが崩壊ほうかいし、風俗ふうぞく漬づけの自堕落じだらくな生活せいかつに陥おちいっていく…。
その「脆もろ（もろ）さ」を描えがいたということなのだとは思おもいますが、そこには「表現ひょうげん者しゃ（＝クリエイター）」としての苦悩くのうもあったことと思おもいます。
ある意味いみでは、常つねに「無む」から「有ゆう」を生うみ出だし続つづけなければならないのが、表現ひょうげん者しゃ（＝クリエイター）の宿命しゅくめいと、評論ひょうろん子こは思おもいます。

風俗ふうぞく嬢じょうと客きゃくとが、こんな関係かんけい性せいを築きずくかは別べつ論ろんとして、それなりの関係かんけい性せいを築きずいていたちふゆには「宇宙うちゅう飛行ひこう士しではない何なにか」としか明あかさなかった自分じぶんの職業しょくぎょうを、そこまでの関係かんけい性せいを築きずいていない後のちの風俗ふうぞく嬢じょうには「漫画まんが家か」と明あかしたということは、妻つまやアシスタントとの破局はきょくを乗のり越こえて、自分じぶんが漫画まんが家か（表現ひょうげん者しゃ＝）という職業しょくぎょうを人生じんせいの生業せいぎょうとして選えらび取とったという現実げんじつをを、ちゃんと自分じぶんの中なかに受うけ入いれたということなのでしょうか。

それなりの良作りょうさくではあったと思おもいます。評論ひょうろん子こは。

（追記ついき1）
「犬いぬは人ひと（飼主かいぬし）に懐なつけ（なつ）くが、猫ねこは家いえに懐いだく」とも言いわれますけれども。
ちふゆの「猫ねこ目め」は、一見いっけんすると人ひと（相手あいて）に懐なついているように見みえて、その実じつは、客きゃくには懐いだくものの、客きゃくである人ひとそのものには懐いだかない（素性すじょう＝陰かげの部分ぶぶんを他人たにんには見みせない）ことの象徴しょうちょうだったように思おもえてなりません。評論ひょうろん子こには。
（そういうところには行おこなったことがないことに、一応いちおうなっているのて、評論ひょうろん子こには、しかとは分わかりかねますけれども。）

（追記ついき2）
光ひかりの使つかい方かたが独特どくとくだなぁと思おもいました。本ほん作さくは。
昼間ひるまのシーンでも、あえてカーテンを閉しめて、光量ひかりりょうを制限せいげんする。
人物じんぶつを、あえて逆光ぎゃっこう気味ぎみで撮とる。
それでいて、夜よる（風俗ふうぞく嬢じょうと過すごすラブホテル）のシーンの明あかるさ・鮮あざやかさ。
深澤ふかさわの鬱屈うっくつした心理しんりの描写びょうしゃとしては、活いきていると思おもいました。

2023年ねん劇場げきじょう鑑賞かんしょう21本ほん目め　傑作けっさく　75点てん

鑑賞かんしょうした時ときよりも評価ひょうかを上あげている印象深いんしょうぶかい作品さくひん

才能さいのうに長たけた人ひとは他人たにんに理解りかいや共感きょうかんが得えられづらいとはまさしくこの事ことで、仕事しごと仲間なかまやファン、古ふるい知人ちじんからはある種しゅ煙けむたがられる対象たいしょうで、仕事しごと仲間なかまは斎藤さいとう工こうの才能さいのうにリスペクトしている様ようで、本当ほんとうの意味いみでついてきている人ひとはいない様ような感かんじで、どいつも自分じぶんの位置いちや金きむ中心ちゅうしんで、面構つらがまえよくして利用りようしているだけの様ような感かんじで、ファンもいかにも日本にっぽんの現代げんだいファンという感かんじで、所謂いわゆるにわかファンと言いうか、トップチャートのエンタメばかり搾取さくしゅしている傾向けいこうにある日本人にっぽんじんの体質たいしつが本質ほんしつや本音ほんねの部分ぶぶんまで覗のぞこうとしない、この感かんじを世間せけんから見みて良よい時ときと割わるときの斎藤さいとう工こうとそのファンの関係かんけいでよく描えがかれていた。

古ふるい知人ちじんは、いったら一番いちばん斎藤さいとう工こうと親したしいだけあって、本質ほんしつをついている残のこる言葉ことばを放はなっていて、漫画まんがを描えがき続つづける限かぎり、ずっと一人ひとり、誰だれにも理解りかいされないみたいな言葉ことばと、その時ときの印象いんしょう的てきな猫ねこ目めの眼差まなざしが混合こんごうして、脳裏のうりに刻きざみ込こまれ、事ことあるごとに思おもい起おこすされるのが、斎藤さいとう工こうにとっても、鑑賞かんしょうしている我々われわれにとっても印象いんしょう的てきでした

こと日本にっぽん映画えいがにしても、昨今さっこん配信はいしん時代じだいになりセリフがなく絵え変かわりしないと10秒びょうスキップするような風潮ふうちょうがあるらしかったり、現代げんだい人じんはセリフでしか情報じょうほうを得えれない弱者じゃくしゃが増ふえてしまったらしく、それ対策たいさくじゃないけど演技えんぎや撮とり方かた、間あいだなどで観客かんきゃくに伝つたえるような手法しゅほうが減へり、何なんでもかんでもセリフ偏かたより型がたが年々ねんねん増ふえています

監督かんとくも脚本きゃくほん家かも仕事しごともらえないと食くっていけないし、名前なまえも廃すたれていってしまうので、どうしても消費しょうひ者しゃに媚こびないとやっていけないので、そうせざれおえない現状げんじょうがあります

この現状げんじょうも今いま作さくの斎藤さいとう工こうに通つうずるところがあるので、何なにかを生うみ出だす人ひとをリスペクトし、探求たんきゅうし追おいかける人々ひとびとは、ちゃんと本質ほんしつを見み抜木、消費しょうひ者しゃも本物ほんものにならないといけないと、今いま作さくを通とおして改あらためて思おもいました

素晴すばらしい作品さくひんです

是非ぜひ

長期ちょうき連載れんさいが終おわり、理想りそうとする作家さっか像ぞうが強つよすぎて新作しんさくが手てつかずスランプに陥おちいる漫画まんが家かの話はなしで斎藤さいとう工こうが不器用ぶきような人間像にんげんぞうを表現ひょうげんしていた。

漫画まんがだけでなく、流行はやり廃すたりの入いれ替かわりが早はやいエンタメの世界せかいの厳きびしさを痛感つうかんさせられる内容ないようだった。

なんだかちょっと共感きょうかんできる。
彼かれは、理想りそうを持もちながらも形かたちに出来できない自分じぶんに対たいして酷ひどく苦くるしんでいたようだ。

わかってもらえる人ひとに届とどけば良よい
というのは作家さっかのエゴだろうか。

確たしかに、出版しゅっぱん社しゃも冒険ぼうけん作品さくひんにリスクを抱かかえる余裕よゆうはない。

漫画まんがを手てにするのは結局けっきょくバカしかいない、とどこかで嘆なげいているのか。

結局けっきょくバカでもわかるもので量産りょうさんされていくのがエンタメの基盤きばんの支ささえなのか。

命いのちを削けずって書かこうが、購入こうにゅう層そうに響ひびかなければ意味いみがない。
知名度ちめいどがなければ刺ささるかも知しれない購入こうにゅう層そうに届とどかない。

大衆たいしゅうの迎合げいごうに流ながされることも
いっそ漫画まんが家かをやめる勇気ゆうきもない。

ジレンマの中なかで彼かれは苦悩くのうする。

吉沢よしざわ悠ゆう演えんじる同級生どうきゅうせいが、子供こどもがいる家庭かていの父親ちちおやという主人公しゅじんこうとは対比たいひの役やくで出でていた。

せっかく褒ほめても不貞腐ふてくされるし、
近ちかくにはいて欲ほしくないタイプかな。

でも、最後さいごまで彼かれは終おわっていないと思おもう。
救すくいは以下いかの３点てん。

・人にんを惹ひきつける画が力りょくはある
斜陽しゃようとはいえ、それなりに前列ぜんれつに置おかれているので、やはり書店しょてんからも認みとめられてるということ
新作しんさくが出でたらそれなりに注目ちゅうもくはされる。

・どんな風俗ふうぞく嬢じょうでもきちんと受容じゅようれるところから、職業しょくぎょうや立場たちばから下したに見みたりしようとしない。
責任せきにんのない愛あいには興きょうじることができる人間にんげんらしさ

・ブタクサ言いいながらも、他人たにんの漫画まんがには目めを通とおして、大衆たいしゅうウケが何なになのかをきちんと把握はあくしようとする姿勢しせい。

彼かれは、果はたして化ばけ物ものなのかしら？
私わたしにはそうは思おもえなかった。
ちょっと深ふか煎いりすると面倒めんどうな作家さっか気質きしつぐらい。

女おんなアシスタントや、売うれる売うれないで手てのひら返かえすような編集へんしゅう者しゃのが余程よほど化ばけ物ものに思おもえた。

地方ちほうの、百ひゃく円えんで並ならぶ古本ふるほん漫画まんが事情じじょうなどにも触ふれていて、都会とかいだけのエンタメ消費しょうひでは終おわっていないところが良よかった。

業ごう（ごう)と言いうか？
煩悩ぼんのうか？
売うれたい欲よくか？
つまりは強欲ごうよくだな！
まず陰々いんいん滅めつ々たる前半ぜんはんと、
晴はれ上あがった空そらのような後半こうはん。
ガラリと変かわる。
冒頭ぼうとうからの暗くらさ、
（でも題字だいじが凄すごく良よい字じで、
（続つづくのピアノ曲きょくがとてもセンス良よい、
（などで、心しん掴つかまれる)

漫画まんが家か・深澤ふかざわ薫かおる（斎藤さいとう工たくみ)は8年ねん連載れんさいした漫画まんがが完結かんけつした。
燃もえカス状態じょうたいなのに、早はやく次つぎ作さくに心しんを切きり替かえようと
焦こげるほど、心しんも身体しんたいも言いうことをきかない。

書かけないと悩なやむ私小説ししょうせつ作家さっかみたいな漫画まんがをはじめて知しった。
《零落れいらく＝れいらく=落おち目め、か？》
書かけない悩なやみに七転八倒しちてんばっとうする漫画まんが家か・深澤ふかざわ薫かおるは、
心底しんそこやな奴やつ、ムカつく男おとこ。
本音ほんねで接せっするのは飼かい猫ねこのミーと、風俗ふうぞく嬢じょうだけ。
しかしこの男おとこ、根ねっからの屑くずではない。
風俗ふうぞく嬢じょうを低ひくく見みない、むしろ自分じぶんの欠落けつらくを埋うめる天使てんしとして敬意けいいを払はらう。
風俗ふうぞく嬢じょうのちふゆ（趣おもむき里さと)とのシーンはロマンティックだ。

で、後半こうはん、
お気きに入いりの風俗ふうぞく嬢じょう“ちふゆ“の郷里きょうりに付ついて行いくことになる。
ここからは自然しぜんが生いき生いきと描写びょうしゃされ、
風景ふうけいが明あかるくなる。
「旅先たびさき」「毛虫けむし色しょくの電車でんしゃ」「私服しふくのちふゆは子供こどもみたい」
「ちふゆの昔話むかしばなし・・・100円えんの漫画まんが本ほんを毎日まいにち買かいに行いく幼おさななじみ」
深澤ふかざわも心しんを開放かいほうして“ちふゆ“との旅たびを楽たのしむ。
ちふゆを演えんじるのは趣おもむき里さと。
OTOCOTOを読よんでいたら、浅野あさのいにお描えがく
「歓楽街かんらくがいに佇たたずむ、ちふゆ」の絵えが載のっていた。
自販機じはんきの前まえに立たつ“ちふゆ“
中学生ちゅうがくせいみたいな猫ねこ顔がおの幼ようない娘むすめ。ネオンの灯ひ。店みせの看板かんばん。
インパクトのある絵え。惹ひかれる。メッチャ絵え上手うまい。
プロだ、上手うまいのは当あたり前まえだな。
趣おもむき里さとそのまんま、
（なんでこんなに女おんなは足あしが細ほそくなきゃダメなの？)
（と、キレかかる。
（少女しょうじょしか愛あいせないおっさんかよ‼️
（ちょっとムカつく。
（そういや、脚あしフェチ映像えいぞう・・多おおかったな・・

やっぱ斎藤さいとう工こうがスゲー良よかった。
自意識じいしき過剰かじょう！！自己じこ顕示けんじ欲よくの塊かたまり‼️
ナルシスト‼️自分勝手じぶんがって！！

漫画まんが家かのヒエラルキーは売うれる順番じゅんばん。
読者どくしゃ人気にんきアンケート31位い。
そりゃ担当たんとうからも馬鹿ばかにされるわ！！
売うれたもん勝かち！！
1年ねん半はん書かけなくて、流浪るろうして、ちふゆの郷里きょうりでちふゆの秘密ひみつを知しって、
とうとうか？やっとか？
活力かつりょくが湧わいて来くる。
踏ふん切ぎりがつく。
《俺おれは俺おれだー》
多分たぶんそう思おもって開ひらき直なおったんだよ！

「感動かんどうしました、泣なけました」
と、サイン会かいでファンが言いう。
「はい、馬鹿ばかでも泣なけるように書かきました」
この台詞ぜりふ、言いってみたいだろね！！
多おおくの漫画まんが家かや作家さっか、脚本きゃくほん家か・・・の皆みなさん！！
「馬鹿ばかを舐なめんじゃねーよ！！」

監督かんとくの竹中たけなか直人なおとはこの「零落れいらく」に惚ほれ込こんで、
「映画えいがにするぞー」と突つっ走ぱしったそうだ。
その熱ねつが伝つたわって来くる。
原作げんさく者しゃの浅野あさのいにお。
どんな絵えを描えがくかも、作品さくひんも殆ほとんど知しらなかった。
映画えいが化かされた「うみべの女おんなの子こ」は良よかった。
けっこうアダルト。
作風さくふうはひねくれてる。
いいじゃん、
ラストのイメチェンした藤澤ふじさわ薫かおる。
斎藤さいとう工こうはメガネとど派手はでな服ふくに変かえたら、
成なり上あがりの成金なりきんにしか見みえない。
《零れい＝ゼロ＝から這はい上あがった男おとこになっていた》
その分ぶん、さらに、ますます、嫌味いやみな男おとこ。
そこんところは観客かんきゃくにも全然ぜんぜん媚こびてなくて、
潔いさぎよい。
好感こうかん持もてない徹底的てっていてきに、やな奴やつ！！
（しかし、猫ねこ顔がおの女おんな＝玉城たまきティナの言いう【化ばけ物もの】は、
（ちと大袈裟おおげさ‼️

監督かんとく（竹中たけなか直人なおと)
脚本きゃくほん（倉持くらもち裕ひろし)
音楽おんがく(志摩しま遼りょう平たいら)
撮影さつえい（柳田やなぎだ裕ひろし男おとこ)

文学ぶんがく的てきなこの作品さくひんの良よさを語かたる文章ぶんしょう力りょくは
私わたしには無ない。
全部ぜんぶがとても良よかった。
としか書かけない。

売うれない、描えがけない、離婚りこん、孤独こどく、最愛さいあいの猫ねこの死し、
底辺ていへんだと思おもっていたその底そこは、
才能さいのうを偽いつわり描えがいた漫画まんがが売うれることで、更さらなる底辺ていへんを作つくり出だしてしまった。
「バケモノ」と言いわれるくらい、世よの中なかからかけ離はなれた才能さいのうを持もってしまったが故ゆえの苦くるしみなのか？

　深澤ふかさわに全まったく共感きょうかんできない。連載れんさいが終おわり、自作じさくのプレッシャーからの一時いちじ的てきなものであるにしろ、自分じぶん中心ちゅうしんの考かんがえ方かたすぎるような。
　奥おくさんとの関係かんけいも、自分じぶんの思おもいを一方いっぽう的てきにぶつけるだけで、話はなし合あいをするわけでもなく、きちんと話はなし合あえば解決かいけつできそうなのに。アシスタントとも、まあ、後のちに漫画まんがを出だすことになった彼女かのじょの場合ばあいはお互たがい様さまな感かんじはあるけど、あまり誠意せいいを感かんじない。
　主人公しゅじんこうの性格せいかくはいまひとつだが、役者やくしゃさんの演技えんぎは、みんなそれぞれピッタリで良よかった。

ドロドロと重おもたいけど、説明せつめい風景ふうけいや心象しんしょうカットも多おおく、映画えいがを観みているというより舞台ぶたいを観みているような感覚かんかく。主人公しゅじんこうがやさぐれてるけど、最後さいごまで性根しょうこんが変かわらないのは、ある意味いみたくましいし、面白おもしろい。才能さいのうあるというのは恵めぐまれてる。

斎藤さいとう工こうのやさぐれ感かんも良よかったし、MEGUMIもすれ違ちがいの奥おくさん役やくをうまく演えんじてて、なんか自分じぶんの知しってるグラビアアイドルたちがどんどん女優じょゆうになってるは時じの流ながれを感かんじたり(^◇^;)

ロケ地ちは横浜よこはまかな、大だい岡川おかかわ沿ぞいのちょい飲のみ屋や街がいがよく写うつってたし。黄金町こがねちょうや日ひの出で町まちの風俗ふうぞくがアレと思おもわれそうなくらいのリアリティw面白おもしろい

特とくに何なにも起おこらないけど、主人公しゅじんこうが少すこしだけ前進ぜんしんできるような日常にちじょうを描えがいた話はなしが好すきなのですが、主人公しゅじんこうが最後さいごまで一貫いっかんして拗ねじらせ続つづけてるのが、なんだかなぁ…って感かんじでした。

売うれ線せんを作つくるのか、作つくりたい作品さくひんを作つくるのかっていう葛藤かっとうはきっと、作品さくひんの作つくり手しゅ側がわの人ひとたちには結構けっこう刺ささる内容ないようなんだろうな。

でも、結局けっきょく本当ほんとうの自分じぶんなんて一言ひとことで言いい表あらわせるものでもないし、いろんな側面そくめんを持もち合あわせていて、アカリさんが思おもうような「漫画まんが家か深澤ふかさわ」も正ただしければ、元もとカノの言いう「●●●●」な部分ぶぶんもあるし、深澤ふかざわが思おもう「本当ほんとうの自分じぶん」だって自分じぶんが当あてはめた自分じぶん自身じしんのラベルに過すぎないわけで。

それを察さっしてくれって言いわれても、まー難むずかしいよね。

まーそうは言いっても求もとめてしまうのが人間にんげんのエゴなんだろうけど。

だからこそ、お互たがいよく知しらない同士どうしで、自分じぶんの都合つごうよく解釈かいしゃくできるちふゆとの関係かんけいが魅力みりょく的てきに思おもえてしまったのかもしれない。

まーでも、ちふゆにはちふゆの生活せいかつがあるし、その時とき深澤ふかさわに惹ひかれていた部分ぶぶんはあったとしても、いつか新あたらしい生活せいかつを始はじめた時ときに、いつまでも自分じぶんの過去かこを知しってる人ひとと繋つながっていたくはないよね。

うーん、ちふゆとのひとときや奥おくさんやネコとの別わかれを超こえて、何なにかもう少すこし救すくいのある方向ほうこうに向むかってくれたら良よかったなぁ…

ただ、主題歌しゅだいかはこの作品さくひんの世界せかい観かんや主人公しゅじんこうの雰囲気ふんいきとめちゃくちゃマッチしててすごくよかったと思おもいました！
どよんとした気持きもちで迎むかえたエンドロールでのドレミは結構けっこう沁しみた。

　最後さいごのサイン会かいのシーンで、彼かれは何なにか変かわったのかな。売うれる作品さくひん描えがけるなら、もっと早はやく描かけばよい。ちふゆとの出会であいや妻つまとの別わかれで
描えがけるようになったの？

超ちょう久々ひさびさの竹中たけなか直人なおと。いいよ、救すくいがなくて。映画えいがみてからおやすみプンプン少すこしだけ読よんで、なるほど。シン仮面かめんライダーからの、斎藤さいとう工こう連れん闘たたかえ鑑賞かんしょう。

2023年ねん映画えいが館かん鑑賞かんしょう17作品さくひん目め
4月がつ9日にち(日)にちフォーラム仙台せんだい
スタンプ会員かいいん1500円えん
原作げんさく未読みどく
原作げんさくは『ソラニン』『うみべの女おんなの子こ』の浅野あさのいにお
監督かんとくは『無能むのうの人ひと』『119』『東京とうきょう日和びより』『山形やまがたスクリーム』『ゾッキ』の竹中たけなか直人なおと
脚本きゃくほんは『十じゅう二に人にんの死しにたい子こどもたち』『ゾッキ』『アイ・アム まきもと』の倉持くらもち裕ひろし

長ながい連載れんさいが終了しゅうりょうし次回じかい作さくに苦くるしむ漫画まんが家かの話はなし
編集へんしゅう者しゃとして忙いそがしい妻つまに八やつ当あたりするわ元もとアシスタントと度々たびたび口論こうろんするわ贔屓ひいきのデリヘル嬢じょうと一緒いっしょに彼女かのじょの地元じもとに行いくわ
でもなんやかんや時間じかんはかかったが初心しょしんに帰かえり新作しんさく連載れんさいがスタートしそれはまた好評こうひょうでパワハラ漫画まんが家か深澤ふかざわ薫かおるは復活ふっかつする

竹中たけなか直人なおと監督かんとく作品さくひんとは知しらずに観みた
事前じぜん情報じょうほうほとんど無なし
本人ほんにんは出でていない

平凡へいぼんな男性だんせい諸君しょくんには残念ざんねんなお知しらせ
この日ひは三さん本ほん観みたがいずれも性せい風俗ふうぞく絡がらみでしかも背中せなか程度ていどで乳首ちくびお尻しりヘア無なし
日活にっかつロマンポルノとかじゃないわけだしスマホでいくらでもエグいのが観みれる時代じだいだから逆ぎゃくにいいかもしれない
女性じょせい俳優はいゆうの腕うでの見みせ所しょといえる

主人公しゅじんこうが典型てんけい的てきな孤高ここうのクリエイターで性格せいかくはかなり悪わるい
風俗ふうぞく嬢じょうには宇宙うちゅう飛行ひこう士しと自称じしょうする
漫画まんが原理げんり主義しゅぎだが漫画まんがや漫画まんが家かという職業しょくぎょうをディスり自分じぶんのサインには価値かちがないと宣のたまう
妻つまよりも猫ねこの心配しんぱいをするクズである
まっ僕ぼくは猫ねこ好すきだしわからなくはないが
猫ねこ目めの女性じょせいには緊張きんちょうするらしいがピンとはこなかった
クズだけど風俗ふうぞく嬢じょうをチェンジしない点てんは好感こうかんが持もてたがそういうシステムなのかもしれない

なんとなくだが深澤ふかざわ薫かおるを見みてたら久米田くめた康治こうじをイメージしたが久米田くめたのサイン会かいであれだけの人ひとが並ならぶほどカリスマ性せいはないし女おんなの子こに生いきる希望きぼうを与あたえるようなタイプではないのでいろいろと違ちがった

趣おもむき里さとは風俗ふうぞく嬢じょうの役やくだが髪型かみがたのせいかだいぶ雰囲気ふんいきが変かわったような気きがする
ちなみに背中せなか程度ていどで本格ほんかく的てきなヌードはない
ヌードになった作品さくひんに必然ひつぜん性せいはあまり感かんじられなかったが
それでもエロティシズムは表現ひょうげんできてるから良よいだろう
新しん連載れんさいがスタートした深澤ふかざわ薫かおると通とおりすがりで再会さいかいし振ふり向むく顔かおつきにもエロを感かんじた
上野うえの駅えきから2人ふたりで田舎いなかに行いく件けんも好すき
この作品さくひんのロケ地ちは主おもに横浜よこはまだがちふゆの地元じもとも撮影さつえい場所ばしょは横浜よこはまだろうか
横浜よこはまにも田舎いなかは存在そんざいするのかな
横浜よこはまも黒船くろふねが来くる前まえは田舎いなかだったらしいし
車くるまのナンバーが透とおる野のになっていた気きがするが実際じっさいは存在そんざいしない

髪かみの毛けをピンクとか青あおとか奇抜きばつな色いろに染そめるとブサイクはブサイクが際立きわだつがすぐにそれに慣なれてきてトリビアの頃ころからそうだったかもしれないとさえ思おもえてしまう
MEGUMIはプロデューサーの一人ひとりとしても名なを連つらねている
小池こいけ栄子えいこの妹いもうと分ぶんとしてグラビアデビューし生なま頭あたまにタライが落おち「いでーよー」と本気ほんきで痛やめがりつつもバラエティーで活躍かつやくしていた彼女かのじょも映画えいが人じんとして随分ずいぶん出世しゅっせしたものだ

山下やましたリオが演えんじた冨田とみた奈央なおはキャラが立たっていた
彼女かのじょの当あたり役やくといっても過言かごんではない

玉城たまきティナは最初さいしょの方ほうと最後さいごの方ほうに登場とうじょう
キャミソール姿すがたで寝ねそべっているとき乳首ちくびが透すけているように見みえたがフェイクかもしれないしとても些細ささいなことだ
この作品さくひんには全まったく関係かんけいないが『キン肉マンきんにくまん』で千葉ちば真一しんいちの息子むすこにタメ口こうでハーフならではのノリかなと少々しょうしょうタジタジだったが玉城たまきの方ほうが年上としうえだった

風俗ふうぞく嬢じょうのゆんぼ役やくの信江のぶえ勇いさみの凄すさまじい腹はらが求肥ぎゅうひ大福だいふくのようで美味おいしそう
彼女かのじょはモビルスーツに例たとえるとゴッグだが腹はらの特徴とくちょうからゾック的てき要素ようそも感かんじた
デブ専せんにはたまらない逸材いつざいかもしれない

売うれない漫画まんが家かが編集へんしゅう者しゃに怒鳴どなられているシーンは可哀想かわいそうだった

エンドロールのあとにちょこっとおまけあり

深澤ふかざわ薫かおるが具体ぐたい的てきにどんな漫画まんがを描えがいているのか詳くわしい内容ないようはわからずじまい
その点てんでは主人公しゅじんこうは漫画まんが家かでなく芥川賞あくたがわしょう直木賞なおきしょうをダブル受賞じゅしょうした新人しんじん作家さっかが主人公しゅじんこうだが『響ひびき -HIBIKI-』に共通きょうつうしている
それは別べつに重要じゅうようなことだとは感かんじなかった
観みる側がわがそれぞれ勝手かってに作者さくしゃ像ぞうから想像そうぞうすればいいだけであっていちいち事細ことこまかに説明せつめいするのは野暮やぼである
レビュアーでお怒いかりの方ほうはわからなくもないが映画えいが監督かんとくは映画えいが監督かんとくであり売うれっ子こ漫画まんが家かではないのでそこのところはご容赦ようしゃ願ねがいたい

配役はいやく
根ね暗くらで毒舌どくぜつな漫画まんが家かの深澤ふかざわ薫かおるに斎藤さいとう工たくみ
深澤ふかざわ薫かおるが熱ねつを上あげた風俗ふうぞく嬢じょうのちふゆ（LINE名めいはユイ）に趣おもむき里さと
深澤ふかざわ薫かおるの妻つまでのちに離婚りこんする編集へんしゅう者しゃの町田まちだのぞみにMEGUMI
深澤ふかざわ薫かおるが学生がくせい時代じだいに付つき合あっていた猫ねこ顔がおの少女しょうじょに玉城たまきティナ
編集へんしゅう者しゃの町田まちだのぞみが担当たんとうする売うれっ子こ漫画まんが家かの牧まき浦うらかりんに安達あだち祐実ゆみ
深澤ふかざわ薫かおるの元もとアシスタントで自身じしんの漫画まんがの連載れんさいが始はじまる冨田とみた奈央なおに山下やましたリオ
深澤ふかさわの元もとアシスタントの近藤こんどうに土佐とさ和成かずなり
深澤ふかざわ薫かおるの編集へんしゅう担当たんとう者しゃの徳丸とくまるに永えい積つもる崇たかし
肥満ひまんで小柄こがらな風俗ふうぞく嬢じょうのゆんぼに信しんじ江こう勇いさむ
なんかちょっと残念ざんねんな風俗ふうぞく嬢じょうのまりめっこに佐々木ささき史ふみ帆ほ
離婚りこんの相談そうだんを受うけた深澤ふかざわ薫かおるの友人ゆうじんで妻子持さいしもちの山石やまいしに吉沢よしざわ悠ゆう
深澤ふかざわ山石やまいし平野へいやとともに結婚式けっこんしきの二次会にじかいに同席どうせきしていた加賀かがに菅原すがわら永二えいじ
深澤ふかざわ山石やまいし加賀かがと共ともに結婚式けっこんしきの二次会にじかいに同席どうせきしていた平野へいやに黒田くろだ大輔だいすけ
深澤ふかざわ薫かおるにインタビューしていたフリーライターの志こころざし磨すり遼りょう平たいら
フリーライターのインタビューに同席どうせきしていた編集へんしゅう者しゃの塚田つかだに安井やすい順平じゅんぺい
深澤ふかざわ薫かおるの大だいファンでLINEで度々たびたび応援おうえんしているサイン会かいにも並ならんでいたアカリに宮崎みやざき香が蓮はちす

落おちていくときの周まわりの人間にんげんとの関係かんけいに苛立いらだつことは漫画まんが家かでなくても、生いきていれば理不尽りふじんなことに腹立はらだたしく怒いかりのぶつけどころがないというのは誰だれでも有ありうることで、それを表ひょうに出だす出ださないは人ひとそれぞれ。
それでも救すくいはある。救すくいを求もとめたくなるのは常つね、それでも自分じぶん自身じしんが変かわらなければ何なにも変かわらず。
けれど個人こじん的てきにはわからなくもないが、結局けっきょく自分勝手じぶんがってな夫婦ふうふが互たがいに相手あいてへの思おもいやりが無ないだけの話はなし。口くちではどうにでも言いえるからね、
私わたしには難むずかしい映画えいがでした。

原作げんさく未読みどく。猫ねこ目めの女性じょせいに小ちいさなトラウマを抱かかえる漫画まんが家かの深澤ふかさわ。長期ちょうき連載れんさいを終おえるも、既すでにオワコン扱あつかいされ上手うまくいかないことの全すべてを周まわりのせいにしてその空虚くうきょを風俗ふうぞくで埋うめる日々ひび。そこで出会であった猫ねこ目めのちふゆ。

複雑ふくざつな要素ようそを詰つめ込こんだ小しょう難むずかしい深澤ふかさわに斎藤さいとう工こう。いやぁ、すごい合あってたんですけど、やっぱ隠かくしきれない色気いろけが垣間見かいまみえちゃってましたね。なかなか計算けいさん高だかいちふゆに趣おもむき里さと。大学生だいがくせいの役やくなので大人おとなっぽいかなと思おもいましたけど私服しふくのシーンはかわいかったです。

開ひらき直なおった深澤ふかさわの逆襲ぎゃくしゅう。でも結局けっきょく最後さいごまで誰だれかのせいの中なかにいる自分じぶんから抜ぬけ出だせない。ラストは意味深いみしんで色々いろいろ想像そうぞうできて良よかったです。ただ私わたしは全体ぜんたい的てきに長ながく感かんじてしまいました。山下やましたリオ演えんじるアシスタントがだいぶ凶悪きょうあくで面白おもしろかったです。

玉城たまきティナでした。MEGUMIや趣おもむき里さと、山下やましたリオたち女優じょゆうが最高さいこう。斎藤さいとう工たくみくんも滝たきとか家康いえやすとかチョイ役やくでなく、クズや悪役あくやくにきちんと取とり組くんでほしい。全編ぜんぺん自虐じぎゃく的てきな所ところが凄すごくイイ、竹中たけなか直人なおと監督かんとくの画が造づくりにもイイね! オープニングの単行たんこう本ほんパラパラは出来できません。ラストの浜辺はまべの二人ふたりのシーンは要いらないかな。

いまの社会しゃかい
ネット内ないのSNS、LINE会話かいわは、
感情かんじょうむき出だし無なしの、逆撫さかなでしない会話かいわが続つづく

これが、コミニケーションの轍わだち？

映画えいが「零落れいらく」を見入みいっているうちに
現実げんじつ社会しゃかいの、会社かいしゃ、仕事場しごとば、学校がっこう、家庭かてい・・・
怖こわいほど、こうなっていることに、気きづかせてくれる。怖こわい！

自分じぶんを支ささえてくれるのは
誰だれだ？
だれの言葉ことばを信しんじれば、受うけ止とめれば、いいのか？
発はっせられた言葉ことばを信しんじるの？
荒あらげる言葉ことばを発はっする、ひとの行動こうどうを信しんじるの？
では、どうやっれば、人ひとは、ひとを信しんじることができるのだろうか？

こんな状況じょうきょう下かで
私わたしたちは、次世代じせだいまで、生いきていけるのだろうか？と、
不安ふあんを助長じょちょうさせた作品さくひんでした。

それにしても、斉藤さいとう工たくみさんは
なんで、いつもいつも狂くるっているの？
素晴すばらしい当あたり役やくだよね。

あ！それから、
猫ねこ目めのデジヘルちふゆの趣おもむき里さとさん、凄すごい！
手塚てづか治虫おさむさんの作品さくひんに出でてきそうな、不思議ふしぎな子こ！だよね。

斎藤さいとう工たくみさんの振ふり切きった演技えんぎは素晴すばらしかったです。
身勝手みがってな男おとこを演えんじていたが、感想かんそうとしては実じつは周囲しゅういの方ほうがもっと怖こわかった。
周まわりが離はなれていったらお金かねで言いうこと聞きいてくれる人ひとに寄より添そうのも分わからないでもない。
その中なかでも本当ほんとうにいい人じんをさりげなくいれているところが救すくい。
そういうのって当事とうじ者しゃだと意外いがいと分わからないものなんですよね。
人間にんげん臭くさい映画えいがで非常ひじょうに面白おもしろかった。

竹中たけなか直人なおとの映画えいがは「無能むのうの人ひと」以来いらいです。

漫画まんが家かに限かぎらず、絵画かいがや小説しょうせつ、物ものを作つくる人ひと共通きょうつうの悩なやみを
がっつり掘ほり込こんだ映画えいがです。
真剣しんけんに向むき合あえば向むき合あうほど他人たにんを不幸ふこうにします。
プライドが高たかく傷きずつきやすい一番いちばんタチの悪わるい典型てんけい的てきなパターン。
それに絡からむ個人こじんの思おもい出で、、、早はやい時期じきに主人公しゅじんこうのエゴを見切みきった女性じょせい像ぞうが猫ねこ目めの女おんなの子こなんでしょうか。

出演しゅつえん者しゃ皆みな全力ぜんりょくで良よい仕事しごとしてます。
真まっ黒くろい海うみのインサートが象徴しょうちょう的てきでした。

創作そうさく活動かつどう全般ぜんぱん関かかわってらっしゃる方ほうにお勧すすめです。