アラーニェの虫むし籠かご　リファイン版ばん

80〜90年代ねんだいのゴア系けいOVAブームのノリを3DCGで再さい奏そうした中編ちゅうへん作品さくひん。

しかしながら大前提だいぜんていとしてゴア系けいOVAの真骨頂しんこっちょうは暗澹あんたんたる物語ものがたりとセル画がのダーティな色彩しきさいのマリアージュにある。『メガゾーン23』や『ジェノサイバー 虚きょ界かいの魔ま獣じゅう』が一部いちぶでカルト的てきな人気にんきを博はくしたのは、首くびの千せん切きれるシーンで神経しんけい系けいや毛細血管もうさいけっかんに至いたるまでが細こまかく描えがき込こまれていたからだ。

したがって、アナログならではの迫力はくりょくやきめ細ささやかさが一切合切いっさいがっさい欠落けつらくした3DCGという土俵どひょうでただただ律儀りちぎに再さい奏そうされただけの本ほん作さくが往年おうねんの手書てがきゴア系けいOVAに能あたうかというと首肯しゅこうしかねる。

『GHOST IN THE SHELL』『serial experiments lain』よろしく謎なぞめいて衒学げんがく的てきな雰囲気ふんいきは確たしかに興味きょうみをそそられるし、化ばけ物ものの造形ぞうけいもなかなかにおぞましい(それこそ中村なかむら隆太郎りゅうたろうっぽさがある)のだが、やっぱりそういうのも画面がめんのテクスチャの如何いかによって印象いんしょうが大おおきく変かわってしまう。3DCGの嘘うそ臭くさい立体りったい感かんとこういう作風さくふうはそもそも折おり合あいが悪わるい。

フレームレートを意図いと的てきに落おとすことでローファイな画面がめんを再現さいげんしようという努力どりょくはわかるものの、むしろいたずらに安やすっぽさに拍車はくしゃをかけるだけの結果けっかとなってしまっている。

物語ものがたりに関かんしても、救済きゅうさいをちらつかせたうえでの世界せかい滅亡めつぼうという展開てんかいは80〜90年代ねんだいの露悪ろあくを基調きちょうとしたアングラオタクカルチャーにおいて頻繁ひんぱんにみられたものであり、目新めあたらしさはない。ただ、見方みかたを変かえれば80〜90年代ねんだいOVAカルチャーへの憧あこがれを最後さいごの最後さいごまで貫徹かんてつしたわけであり、その気概きがいというか情熱じょうねつには敬意けいいを表あらわしたい。

リファイン版ばんで良よかった。
７０分ぶんの映画えいがなのにめっちゃ長ながく感かんじた。
なんか短みじかい話はなしなのに色々いろいろ詰つめ込こみすぎているのに、全すべてが説明せつめい不足ふそくで
なんだかカラオケの映像えいぞう見みている感かんじだった。要ようするに雰囲気ふんいきだけ。

日本にっぽん軍ぐんの人体じんたい実験じっけん、謎なぞの巨大きょだい昆虫こんちゅう、心霊しんれい的てきな何なにかと、サイコパスのお母かあさん、
そして主人公しゅじんこうの唐突とうとつな超ちょう能力のうりょくの覚醒かくせい。流石さすがにやりたいこと入いれすぎな上うえにどれも捻ひねりがないし。

どうでもいいシーンが長ながいくせに重要じゅうような説明せつめいはカット。
想像そうぞうしてくださいと言いわんばかりだが、その前まえに自分じぶんの演出えんしゅつセンスを疑うたぐと言いいたい。

そして絵えが流石さすがに酷ひどい。動うごかないし、カクカクしてるし、デッサン酷ひどいし、、、、なのに目めだけにこだわりを持もっているみたいだが、そんなとこより他たに時間じかんかけるとこあるだろう？
正面しょうめんがやたらと多おおいのはなんでだろう？
背景はいけいが妙みょうにリアルだったりして、キャラとの落差らくさが大おおきい。

どうやら何なにもかも一人ひとりでやってるとか、、それはすごいけど、
それはそれ。映画えいがの評価ひょうかには影響えいきょうはないな。逆ぎゃくを言いえばスタッフを入いれれば
もっとクオリティ上あがったのになあと思おもうだけ。

3Dじゃないけど、フルCGだと思おもう。瞳ひとみがリアル過すぎて、鎌倉かまくら時代じだい以降いこうの運慶うんけい等とうの仏像ぶつぞうの玉たま眼めのようだ。
昆虫こんちゅうを気味きみの悪わるい物ものと重かさねる事ことは分わからなくもないが、昔むかしから使つかい古ふるされた手法しゅほうだと思おもう。王おう蟲ちゅうに怒おこられる。

40年ねん前まえに起おこった事件じけんと言いっているが、
1984年ねんの事こと。先程さきほど見みた『ウィアザ・ワールド』の時代じだい。僕ぼくにとってはそんな昔むかしじゃないのだが。
『かしげ病びょう』と昭和しょうわ13年ねんとロボトミーではちょっと時代じだい錯誤さくごが甚はなはだしい。
触手しょくしゅの化ばけ物ものの成人せいじん向むけアニメとかが流行はやった時期じきがあったが、40年ねん前まえ位いじゃないかなぁ？
似にたようなキャラクターが登場とうじょうするJUNK HEADと言いうアニメがあるが、同おなじ様さまに一人ひとりで作つくったストップモーションアニメだが、作業さぎょう工程こうていの成果せいかを省はぶいても、JUNK HEADの方ほうがセンスがある。

今年ことし82本ほん目め。

2018年ねん8月がつに一いち度ど見みてある程度ていど覚おぼえていましたが2度目どめでこんなに面白おもしろいんですね。今回こんかい見みた時ときアニメでホラーってほとんど記憶きおくにない位くらい新鮮しんせんでした。花澤はなざわ香菜かなさんが出でると作品さくひんが本当ほんとうにいい。今こん作品さくひんは2018年ねん、22回かいカナダ・ファンタジア国際こくさい映画えいが祭さい・今いま敏さとし賞しょうにノミネートされて、その年としのグランプリ今いま敏さと賞しょうは「ペンギン・ハイウェイ」が獲えりましたが、それに負まけない位くらい良よい作品さくひんでした。