(Translated by https://www.hiragana.jp/)
花腐し インタビュー: 綾野剛、柄本佑、さとうほなみ 荒井晴彦監督の“ピンク映画へのレクイエム”に挑む - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2023ねん11がつ10日とおか

  • 予告編よこくへん

はなくさし : インタビュー

2023ねん11がつ10日とおか更新こうしん

綾野あやのつよし柄本えもとたすくさとうほなみ 荒井あらい晴彦はるひこ監督かんとくの“ピンク映画えいがへのレクイエム”にいど

画像1

火口かこうのふたり」の荒井あらい晴彦はるひこ監督かんとく綾野あやのつよし主演しゅえんの「はなくさ」が公開こうかいされた。綾野あやの柄本えもとたすくさとうほなみがインタビューにおうじた。

だい123かい芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうした松浦まつうら寿ことぶきあきら同名どうめい小説しょうせつ原作げんさく荒井あらい監督かんとく脚本きゃくほん中野なかのふとし原作げんさく大胆だいたん脚色きゃくしょくし、れなくなったピンク映画えいが監督かんとく栩谷とちだに(くたに)を綾野あやの脚本きゃくほん志望しぼうだったおとこ伊関いせき柄本えもと、そして栩谷とちだに伊関いせきもと恋人こいびと女優じょゆう祥子さちこをさとうがえんじる。すべてをくさらせてしまうようなあめたがいのもと恋人こいびとどう一人物いちじんぶつだとはらぬまま、偶然ぐうぜん出会であった栩谷とちだに伊関いせきさけみかわし、おんなおもかたう。

画像7

監督かんとく脚本きゃくほん荒井あらい晴彦はるひこをはじめ、昭和しょうわ平成へいせいけた映画えいがじん出演しゅつえん荒井あらい監督かんとくみずから“ピンク映画えいがへのレクイエム”とうように、ちゆくピンク映画えいがかいをテーマにしながらも、現代げんだい日本にっぽん映画えいがかいをけんいんしていく、綾野あやの柄本えもとらにバトンをわたすようなおもむきかんじられる作品さくひんだ。

画像2

「『火口かこうのふたり』もていたので、とにかく荒井あらいさんの世界せかいれることがうれしくて、脚本きゃくほんまえから、おけしたいとおもっていました。(いまさくかかわる)映画えいがじんなかきてみたい。そんな純粋じゅんすい役者やくしゃとしてのおもいにられました」と綾野あやの

「とてつもなく作家さっかせいつよい、強烈きょうれつ作品さくひん脚本きゃくほん段階だんかいものとして成立せいりつしていて、これを映像えいぞうする畏怖いふかんじました。この完成かんせいをどこまで追求ついきゅうできるのか、と」衝撃しょうげきけたという。

本読ほんよみのときに、たすくくんまよわず直線ちょくせん距離きょりでセリフをつむいでいる姿すがたて、すごいなとおもいました。『栩谷とちだにってどうきたらいいんですか?』と監督かんとくにまっすぐいたら、『脚本きゃくほんきものだから、きにんで、きにやっていいんだよ』って。そのときに、栩谷とちだに荒井あらいさんだとおもえたんです。現場げんばでの荒井あらいさんの姿すがたからいろいろぬすんで、栩谷とちだに投影とうえいしました。実際じっさいに、『栩谷とちだにって荒井あらいさんですよね?』といたら、なんともえないかおあたまいてらっしゃいました。その表情ひょうじょうがチャーミングで」

画像10

柄本えもと長年ながねん荒井あらい監督かんとく親交しんこうがあり、わか男女だんじょ大胆だいたん性愛せいあい描写びょうしゃ話題わだいあつめた荒井あらい監督かんとく前作ぜんさく火口かこうのふたり」につづ出演しゅつえんとなる。「今回こんかいもやっぱりほん面白おもしろかったですね。とてもソリッドで。でも、『火口かこうのふたり』と『はなくさ』って、ぎゃく作品さくひんなんです。『火口かこうのふたり』の脚本きゃくほんんだときに、ああ、荒井あらいさんの脚本きゃくほんだなあ……とおもっていたのですが、その原作げんさくんだら、じつはセリフはほぼ原作げんさくどおり。荒井あらいさんが原作げんさくはいっててきたものが自然しぜん荒井あらい晴彦はるひこ作品さくひんになっている、というかんじでした。こちらは、原作げんさく要素ようそは、おとこにん会話かいわ中心ちゅうしんということ以外いがいは、オリジナルの要素ようそおおきくて、荒井あらいさんのピンク映画えいが業界ぎょうかい内幕うちまくえがきたいというねらいやディティールへのこだわりをつよかんじました」

2度目どめ出演しゅつえんということで、現場げんば雰囲気ふんいきもわかっていてらくなのでは?とたずねると、「じつぼく、『火口かこうのふたり』で失敗しっぱいしていて。当初とうしょ少年しょうねんのようなセリフだな、とおもって初日しょにちのぞんだのですが、実際じっさいやってみたらなんだかおもくてちがったんです。このセリフは荒井あらいさんのつ、なんしゅうもした少年しょうねんせいだから、めちゃくちゃ大人おとななセリフなんだな……とかって、軌道きどう修正しゅうせい時間じかん使つかった経験けいけんがあるので、今回こんかいわり緊張きんちょうして現場げんばはいりました」とかす。

画像4

「2かいばれるっていよいよわれるな……というかんじがあります。がっかりされたらどうしようって、はじめてより緊張きんちょうするもので。そして、2度目どめがあると、1かいのあのときかったのかな?とおもって、ぎゃくかたちからはいっちゃう(笑)。荒井あらいさんはぼくが5さいときからっているので、関係かんけいとしては通常つうじょう役者やくしゃ監督かんとくという関係かんけいとはちょっとちがうとおもうのですが、『火口かこうのふたり』でおしりくしたので……今回こんかいまたあたらしいかたちで、まだまだすべきおしりがあったか、とも(笑)」

しりというワードから、ほんさくでのとある性愛せいあいシーンに話題わだいおよぶ。「ぼくのあのシーンは『女性じょせいがわからの復讐ふくしゅうげきだね』って、荒井あらいさんがおっしゃっていましたね。荒井あらいさんのベッドシーンって、いつもセリフみたいなんです。気持きもちでしているというより、物語ものがたりでしている、というかんじ。いろんなタイミングがすべてかれています」と説明せつめいする。

画像9

ベッドシーンの指示しじ詳細しょうさいであるほうが、役者やくしゃとしてはえんじやすいものなのか?とうと「たすくくんうように、肉体にくたい使つかって会話かいわをしているようにせるために、とくにこの作品さくひんでは、監督かんとくだいさん主観しゅかんより客観きゃっかん芸術げいじゅつせいふくめた視点してん必要ひつようだとおもいました」と綾野あやの

綾野あやの背中せなかからはっせられるあやしい色気いろけ柄本えもとせいどう対比たいひ……数々かずかず傑作けっさくあいのシーンをうつしてきた撮影さつえい監督かんとく川上かわかみあきら手腕しゅわんひかる。柄本えもとが「におつように背中せなかうつくしくほう」とひょうすると、綾野あやのも「カメラの機材きざい技術ぎじゅつがっていて、映像えいぞうらいだり浮遊ふゆうするような作品さくひんおおなかで、川上かわかみさんはFIXでどっしりられるんです。その重力じゅうりょくなかの「はなくさ」という世界せかいきていたひとたちすべてが総合そうごう芸術げいじゅつになっています。だから強度きょうどがある。ズームがまた、それはロマンチックで、エモーショナルでしたね」と述懐じゅっかいする。

画像6

二人ふたりおとこもと恋人こいびと祥子さちこえんじたさとうは「荒井あらいさんに『なんで(オーディション)けたの? アナルのシーンがあったりする、へん映画えいがだとおもわない?』ってかれました。そして、オーディションで芝居しばいていただいたら、『祥子さちこくらおんななんだけど、きみあかるいじゃない』って。だから、これはちたな……とおもっていたら、んでいただいて。おいしただけで安心あんしんかんのあるチームとおにんだったので、わたしはじめてですし、ハチャメチャやっちゃえばいい、そんな気分きぶんいどみました。完成かんせいさくで、川上かわかみさんの撮影さつえい方法ほうほう荒井あらいさんの技術ぎじゅつると、なにかをのぞきしている気分きぶんとく栩谷とちだに伊関いせきさんの会話かいわのシーンは、ちゃいけないものをてしまった気持きもちになる」とかえる。

そんなさとうの発言はつげんとおり、この物語ものがたり観客かんきゃくも、このにはいない祥子さちこ視点してんで、おとこにん姿すがたを窃視する一種いっしゅ幽霊ゆうれいたん、ゴーストストーリーでもある。「荒井あらいさんが脚本きゃくほんおくってくださったのち電話でんわをくれて、『おれ雨月物語うげつものがたりをやりたいんだよ』って。荒井あらいさん、おけとか興味きょうみがなさそうですが、幽霊ゆうれいやるんだ、ってワクワクしましたね」と柄本えもとかすと、「っているときはきませんでしたが、あるしゅ怪談かいだんかもしれませんね」と綾野あやの同調どうちょうする。

画像11

最後さいご綾野あやのが、ほんさく世界せかいかん表現ひょうげんするあめのシーンへのこだわり、技術ぎじゅつスタッフの熱意ねついとなえながら「モノクロとカラーのコントラストにきがちですが、きようとすることのコントラストをかんじる映画えいが。この作品さくひんなかきられたことが、幸福こうふくで、個人こじんてきにも大切たいせつ映画えいがになりました。もちろんたすくくん素敵すてきで、そしてほなみさんのしっかりとあしいたカッコよさ。完成かんせいさくたら、撮影さつえいでのこたわせがすべてかえってきて、すごくおおきなご褒美ほうびをいただいたかんじでした」とほんさくへのおもれのふかさをしみじみとかたった。

綾野あやのとさとうのカラオケでのデュエットシーンなど、本編ほんぺんいろど昭和しょうわのヒットきょくほんさく重要じゅうよう要素ようそのひとつだ。うしなわれたときあいしたひと不在ふざい――いま、リアルにれられないものばかりが、けないとげのようにジクジクと心身しんしんまりつづけるのはなぜだろうか? 人間にんげん不確ふたしかさ、もろさとともに、いつかあめがるにもおもいをせずにはいられない1さくだ。
取材しゅざいぶん編集へんしゅう 撮影さつえい間庭まにわひろしもと

関連かんれんDVD・ブルーレイ情報じょうほうをもっと
はなくさし」の作品さくひんトップへ