大おおいなる不在ふざいのレビュー・感想かんそう・評価ひょうか

藤ふじ竜也たつや・森山もりやま未來みらいをはじめとする俳優はいゆう陣じんの演技えんぎが
とにかく素晴すばらしく没入ぼつにゅうできました。

時間じかん軸じくがあっちこっちするので、なかなかついていくのが難むずかしかったのですが、

・陽ひ二にに認知にんち症しょうの兆候ちょうこうがあらわれる
・ふたりで買かい物ものに行いった際さいに直美なおみが倒たおれる
・直美なおみの妹いもうとが陽ひ二にの面倒めんどうを見みにくる
・↑この後のちに直美なおみは陽ひ二にのところへ帰かえってきている
・陽二ようじは直美なおみを送おくり出だし、警察けいさつへ電話でんわ（間違まちがい電話でんわ？）し、事件じけんが起おきたと言いう
・警察けいさつがくる（特殊とくしゅ部隊ぶたいですよね）
↑
で、おそらくこの後のちに陽ひ二にが施設しせつに入はいることに・・・

こんな感かんじで理解りかいしました。

陽ひ二にに認知にんち症しょうの兆候ちょうこうがあらわれたら直すぐに病院びょういんに行いかなかったのかな？や
最後さいごに家いえを出でる直美なおみはどこへ行いくつもりだったのか、ここが本当ほんとうの別わかれのシーンだったのかな？や
とはいえ、施設しせつに入はいった陽二ようじは心配しんぱいにならなかったのかな？など、たくさん疑問ぎもんは残のこりましたが
なんとなく解釈かいしゃくをして、見み終おえました。

藤ふじ竜也たつやさん、本当ほんとうにすごくリアルな演技えんぎで怖こわくなりました。
一方いっぽう、森山もりやま未來みらいさんの淡々たんたんとした口調くちょうも、平坦へいたんでありながらも、最後さいごの最後さいごは父親ちちおやに寄より添そっているところを
うまく演えんじていらっしゃいましたね。

なんといっても真木まきよう子こさんが美うつくしすぎて眼福がんぷくすぎて話はなしが入はいってこない的てきなところもありつつ、
俳優はいゆう陣じんの演技えんぎを堪能たんのうさせていただきました。

幼おさない頃ころに自分じぶんと母ははを捨すてた父ちちが警察けいさつに捕つかまった、と連絡れんらくを受うけ、久ひさしぶりに父ちち・陽二ようじを訪たずねることになった卓たくは、認知にんち症しょうを患わずらい変かわり果はてた父ちちと再会さいかいした。そして、父ちちの再婚さいこん相手あいてで長年ながねん一緒いっしょに暮くらしていた義母ぎぼの直美なおみが居いなくなっていた。何なにがあったのか？と、卓たくは父ちちがどう生活せいかつしていたのかを調しらべ始はじめた。父ちちの家いえに残のこされていた大量たいりょうのメモや手紙てがみ、そして父ちちを知しる人ひとたちを訪たずね、そこで聞きく話はなし、卓たくは父ちちの人生じんせいを知しることになり・・・てな話はなし。

本ほん作品さくひん、さらっと観み終おえての感想かんそうは、？？？だらけだった。
直美なおみさん、実際じっさいはどうなってるんだろう？というのが最大さいだいの疑問ぎもんだった。
あまりにレビューが書かきにくく、ほとんどした事ことがないが、信頼しんらいできる素晴すばらしいレビューさんたちのレビューを先さきに読よんでしまった。
そういう事ことか、といちいち納得なっとく。
若わかい時ときから理数りすう系けいで文学ぶんがく脳のうを持もたず、今いまでもこういう実在じつざいするのに不在ふざいみたいな作品さくひんは苦手にがてです。
認知にんち症しょうになった人ひとが主人公しゅじんこうだと、何なにが真実しんじつで何なにがその人ひとの妄想もうそうなのか観みている他人たにんにはわからない。
ましてや、直美なおみの息子むすこのように金かね目当めあてでウソをつくような人ひとまで出でてくると話はなしがこんがらがって、サスペンスみたいな感覚かんかくを受うけた。
そうなってくると、直美なおみさんの妹いもうとも本当ほんとうの事ことを卓たくに言いってるのだろうか、とか、友希ゆきさんは大丈夫だいじょうぶなのか、とか登場とうじょう人物じんぶつ全すべてをうたがって観みてしまった。
そのくらい、卓たく役やくの森山もりやま未來みらいを含ふくめ、父ちち・陽ひ二に役やくの藤ふじ竜也たつや、卓たくの妻つま夕希ゆき役やくの真木まきよう子こ、義母ぎぼ・直美なおみ役やくの原はら日出子ひでこ、などの素晴すばらしい演技えんぎが観みれる。
直美なおみの妹いもうと役やくの神野かんの三さん鈴すずもさすがだった。
ストーリーを理解りかいした上うえで、もう一度いちど観みたい、そう思おもえる奥深おくふかい作品さくひんだった。

日本にっぽん映画えいがで幾度いくどとなく描えがかれてきた認知にんち症しょう。実体験じつたいけんしている人ひとの手てで作つくることは難むずかしいため、多おおくは第三者だいさんしゃ視点してんで物語ものがたりが進すすむ。しかし、本ほん作さくでは認知にんち症しょうの父ちちを持もつ息子むすこ・卓たくを主人公しゅじんこうに当あてながらも、その父ちち・陽ひ二にの目線めせんからも病やまいの恐おそろしさが描えがかれており、見みたことの無ない演出えんしゅつに心しん奪うばわれると共ともに、彼かれの目めに映うつる世界せかいから遮断しゃだんされたような絶望ぜつぼうに、とにかく胸むねが痛いたくなった。

時どき系列けいれつがばらばらで、記憶きおくも断片だんぺん的てき。映画えいがの構成こうせいすらも認知にんち症しょうを患わずらった人ひとの頭あたまの中なか。世界中せかいじゅうから狙ねらわれている。スクリーンを間違まちがえたのかと思おもった驚おどろきのスタートは、映画えいがが終おわりに近ちかづくと同時どうじに納得なっとくし、そして体感たいかんしたことの無ない複雑ふくざつな感情かんじょうで心しんが破裂はれつしそうになる。

スクリーンデビュー60周年しゅうねんを機きに、映画えいが出演しゅつえん作さくが相次あいつぐ藤ふじ竜也たつや。昨年さくねんの同どう時期じきに公開こうかいされた｢高野たかの豆腐とうふ店てんの春はる｣も良よかったが、本ほん作さくの藤ふじ竜也たつやは言葉ことばを失うしなうほど。元もと大学だいがく教授きょうじゅであるため、常つねに社会しゃかい問題もんだいや世界せかい情勢じょうせいに目めを向むけていたのだろう。柔軟じゅうなん性せいがなく、頑固がんこな性格せいかくだが、丁寧ていねいな物言ものいいで知的ちてきな雰囲気ふんいきが身みから漂ただよう。そんな人ひとが認知にんち症しょうを患わずらってしまったら。無理むり難題なんだいといえる役柄やくがらを彼かれは見事みごとに演えんじきった。それどころか、監督かんとくの想像そうぞうの範囲はんいを大おおきく超こえてしまったのではなかろうか。まさに、怪かい演えんじという言葉ことばがふさわしい。メジャーな作品さくひんでは無ないけど、今年ことしのアカデミー賞しょうには是非ぜひともノミネートされて欲ほしい。一見いっけんの価値かちあり。

演劇えんげきを入いれてくる映画えいがはあまりいい思おもいをしたことがない。本ほん作さくにおいても、他たの演出えんしゅつやメッセージ性せいは素晴すばらしいのだけど、演劇えんげきがあまり機能きのうしておらず、このせいで安やすっぽい雰囲気ふんいきが出でてしまっていた。激重げきおもテーマを扱あつかっているにもかかわらず、一種いっしゅのエンターテインメントとして面白おもしろい。すごいなぁと感心かんしんしていたポイントだったから、ここに演劇えんげきの面白おもしろさも加くわわれば、もっといい物ぶつになっていたんだろうなと。最後さいごがあんな感かんじだと、なんだか締しまりも悪わるいし、せっかくならバチッと決きめて欲ほしかった。

この点数てんすうだから、正直しょうじき全すべて理解りかい出来できたわけじゃないし、この映画えいがのことを全面ぜんめん的てきに受うけ入いれられる訳わけじゃないんだけど、ストーリー概要がいようからは想像そうぞうし得えないストーリーでかなり面白おもしろく、色々いろいろと考かんがえさせられる力作りきさくだった。何なん回かいも見みたり、解説かいせつを読よんだりして、長ながい時間じかんをかけて味あじわう作品さくひん。こういう映画えいがに出会であえるとは思おもってなかったから、テンション上あがっちゃった😁

藤ふじ竜也たつやの年老としおい痴呆ちほうに成なった親父おやじが秀逸しゅういつ、大学だいがく教授きょうじゅを終おえて知的ちてきで気きの合あわない父ちちが・・・
今いままで彼かれの演技えんぎを気きにした事こと(ごめんなさい)はなかったけどあまりのリアルさに引ひき込こまれました森山もりやま未来みらい含ふくめ他たの俳優はいゆうも良よい隙間すきまが有ありません、途中とちゅう我がに返かえった無器用ぶきような父ちちの子こに対たいする謝罪しゃざいはそれぞれの立場たちばで誰だれしも心当こころあたりが有あるのでは、人ひとは皆みな何なん時じも迷まよって活いきている
ラスト、一瞬いっしゅんの平常へいじょうに戻もどった彼かれの決断けつだんと結末けつまつは強引ごういんにも思おもえるが原作げんさくはフランス、彼方かなたの司法しほう機関きかんならあの最後さいご(銃声じゅうせい)は有あり得えるのだと思おもった。

藤ふじ竜也たつやと森山もりやま未來みらいの組くみ合あわせなんて、期待きたいしかない！　が、ちょっと内容ないようが…。父ちちと息子むすこの関係かんけいなのか、父ちちとその妻つまの関係かんけいなのか、どちらを重点的じゅうてんてきに描えがきたかったのか、よくわからなかった。不在ふざいって、誰だれが誰だれにとってなの？　藤ふじ竜也たつやの演技えんぎはとても良よかった。森山もりやま未來みらいも良よかった。二人ふたりとも脚本きゃくほんをより膨ふくらませる演技えんぎをしたのだと思おもう。他たのキャストも、与あたえられた役目やくめはきっちり果はたしていた。なので、大変たいへんもったいない作品さくひんであった。

なんとなくサスペンスって印象いんしょうがあって見みに来きたのだけれど、老人ろうじんが痴呆ちほうになっていく過程かていの話はなしだった。

特とくにサスペンス要素ようそなどない。
予告よこくを誤解ごかいしていたようだ。
だってね…直美なおみを探さがしたところで何なにかの真相しんそうに行いき着つくわけでもないし、誰だれかの無実むじつが証明しょうめいされるわけでもない。彼女かのじょはキーパーソンでもなんでもない。
必要ひつよう性せいが薄うすいのだ。
今いますぐに見みつけなきゃいけない理由りゆうがない。そりゃいつか会あわなきゃいけない人ひとではあるけれど、いつかでいい人物じんぶつなのだ。
金かねを請求せいきゅうしてくる息子むすこへの反証はんしょうの必要ひつよう性せいもない。
だからサスペンスでもミステリーでもない。
探さがす理由りゆうがあるとするなら、老人ろうじんホームに入はいった父ちちのお世話せわをしてもらうくらいのもんだ。
父ちちの口くちから直美なおみへの執着しゅうちゃくが吐露とろされる事こともない。

冒頭ぼうとう、森山もりやま氏しの一人ひとり芝居しばいがあって…人ひとが溶とけていくように見みえる身体しんたい表現ひょうげんがさすがだなぁと唸うなる。
そのワードが頭あたまにこびりついて、以降いこうボケていく様さまが「溶とけていく」ように感かんじてた。
形かたちある厳格げんかくだった父ちちから、記憶きおくなんかが剥はがれ落おちていき父親ちちおや像ぞうは溶とけて歪いびつな者ものに変かわっていく。
そんな状態じょうたいと重かさなってくようだった。

物語ものがたりの時とき系列けいれつは逆行ぎゃっこうしたりもして、何故なぜだとも思おもうのだけど、痴呆ちほう症しょうが進行しんこうしていく脳のう内ないの表現ひょうげんならばありなのかなと思おもう。泡あわのように消きえたり、唐突とうとつにごくごく自然しぜんに認知にんちできたり。
とまぁ、なかなか込こみ入いった作つくりだったりもして、含ふくみもあるような設定せっていと展開てんかいながらも、作品さくひんとしてはイマイチつまんなかった。
藤ふじさんの怪かい演えんじは見みものではあるけれど。

「海辺うみべのリア」をやった仲代なかだいさんは、どっか狂くるったような感かんじであったのだけど、藤ふじさんのソレは怪物かいぶつのようだった。
外見がいけんも本人ほんにんだし、思考しこうも本人ほんにんのソレだし、話はなし方かたもなんら変かわらない。ただ、およそ本人ほんにんが話はなすであろう内容ないようとかけ離はなれてる事ことを喋しゃべる。
虚空こくうに目線めせんが泳およがない。
むしろ対象たいしょうから視線しせんが剥はがれない。
淡々たんたんとした口調くちょうで信しんじ難がたい主張しゅちょうを繰くり返かえし、ジッとまるで目めの奥おくを覗のぞき込こむような視線しせんが剥はがれる事ことがない。そんな視線しせんを浴あび続つづける息子むすこは恐怖きょうふそのものだったんじゃなかろうかと思おもう。
空あき家やのような感かんじだろうか？
外観がいかんは変かわらないのに、屋内おくないは荒あれ果はててたときのような不気味ぶきみさが藤ふじさんにはあった。

……。

うーん、やっぱ正直しょうじきに書かくか。
正直しょうじき、気持きもち悪わるいのだ。
痴呆ちほう症しょうが、ではなくて監督かんとくの思おもい入いれが。
いや、あるのか無ないのかわからないよ？
でも、そう感かんじてしまったんだもの…痴呆ちほう症しょうを患わずらったお父とうさんの事こと好すきだったんだろうなぁとか、懺悔ざんげなのかなぁとか。タイトルからして「大おおいなる」なんだもの。
本人ほんにんに何なにを語かたりかけても蓄たくわえられていく事ことはなく、不在ふざいと言いえば不在ふざいだ。
確たしかに居いたんだ。今いまは居いないだけなんだ。
でも帰かえってくる事ことはないんだよ。
大おおいなる不在ふざいが誰だれかの事ことではなく、痴呆ちほう症しょうの事ことだとして、老人ろうじんが行使こうしする特権とっけんなのだとしても簡単かんたんに受理じゅりはできないし享受きょうじゅするのも難むずかしい。
ただただ受うけ入いれるしかない。
どんなお題目だいもくを並ならべたとしても当事とうじ者しゃの救済きゅうさいや軽減けいげんにはならないのだと思おもわれる。

突如とつじょ、変貌へんぼうした父ちちに巻まき込こまれていく息子むすこは、拒絶きょぜつも放棄ほうきもしなかったけど観察かんさつはしてた。どこか他人たにんでラストに至いたり邂逅かいこうしたようではあったが。
そこら辺あたりが懺悔ざんげに見みえちゃったりする…。

人ひとが溶とけていくように歪いびつな者ものに変貌へんぼうしていくとして、最後さいごに残のこるのは何なになんだろうと考かんがえた。
父ちちは人生じんせいの大半たいはんを占しめていたであろう直美なおみさんとの愛情あいじょうも忘わすれた。忘わすれてしまった事ことへの自覚じかくもあったような描写びょうしゃもあった。直美なおみさんは旦那だんなさんが全すべてだったのだろうと思おもう。彼かれと暮くらす為ために色いろんなものを捨すてて一緒いっしょになったようでもあったし、彼女かのじょとしては旦那だんなさんとの愛あいある生活せいかつだけが、彼女かのじょが彼女かのじょを許ゆるしていける唯一ゆいいつのモノだったようにも思おもう。
それが失うしなわれた。
他たでもない旦那だんなさんによって、泡あわのように消きえた。
人格じんかくは残のこったのかな？
体裁ていさいと言いってもいいのかもしれないけれど、体外たいがい的てきな印象いんしょうは保たもとうとしてるような雰囲気ふんいきだった。
藤ふじさんの芝居しばいを見みてて荒唐無稽こうとうむけいな発言はつげんも多おおいけど、その裏うらにはソレを肯定こうていするものが本人ほんにんの中なかには必かならずあるような印象いんしょうだった。
その何なにかを把握はあくできれば対処たいしょもしやすくなるかなと考かんがえなくもない。実際じっさいはわからんが。
そんな中なかで、息子むすこに対たいする情じょうだけが無なくなる事ことはない。
…そんな都合つごうのいい事ことあるの？
いや、あるんだろう。無ないとは言いい切きれない。
が、どうにも粘着ねんちゃく質しつな空気くうきを嗅かぎ取とってしまう。
どのような解釈かいしゃくなら父ちちを卑下ひげしないで済すむのか、父ちちの尊厳そんげんを保たもってあげられるのか…そんな意図いとがあるような気きがしてならない。

藤ふじ竜也たつやさんが好すきだから観かんにきた。
やはり名優めいゆうだと何なん度ども思おもう。昔むかしからそうなのたけど、台詞せりふに気負きおいを全まったく感かんじない。その時とき生うまれたかのような言葉ことばが発はっせられていく。
痴呆ちほう症しょうって役所やくしょを鑑かんがみて、所々しょしょアドリブだったりワザと変かえたような箇所かしょもあんのかなと邪推じゃすいしてしまうくらいだ。
原はらさんは、復帰ふっき作さくなのかな？久ひさしぶりに拝見はいけんしたが、お元気げんきそうで何なによりだった。
真木まきさんは…日本語にほんごのアクセントが妙みょうで、英語えいご脳のうにでもなってるかのようで、舌したが日本語にほんご用ようじゃないような印象いんしょうだった。
あ、原はらさんの妹いもうとはナイスなキャスティングだった。何なにだろ？艶つやっぽい空気くうき感かんがあって「乱暴らんぼうされた」って状況じょうきょうに説得せっとく力りょくをもたらしてくれてた。

言いうなれば、崇高すうこうなテーマがあったのであろう本ほん作さくの大半たいはんを俺おれは汲くみ取とる事ことができませんでした。

圧倒的あっとうてきに俳優はいゆう陣じんの演技えんぎがすごい。
未来みらいさんの戸惑とまどい、藤原ふじわらさんの現実げんじつと非ひ現実げんじつの交錯こうさく。

そうなんだよね〜認知にんち症しょうって、どうしていいのか、わからなくなるんだろうね。

それにしても、直美なおみさんはどこにいってしまったのだろうか？

そこだけが、想像そうぞうの域いきを超こえない。

どうしても、いろいろと繋つながらない。

2024年ねん劇場げきじょう鑑賞かんしょう205本ほん目め。
てっきり亡なくなった父親ちちおやの事ことを遺品いひんや関係かんけい者しゃの話はなしで追おう話はなしだと思おもっていたらお父とうさんしっかり生いきてました。
冒頭ぼうとうあれ、映画えいが間違まちがえたかな？と思おもう展開てんかいで、どうしてこうなったのかを最後さいごまでこちらは抱かかえていなければいけないのに、時とき系列けいれつのめちゃくちゃさでより混乱こんらんしてしまいました。森山もりやま未來みらいが前衛ぜんえい的てき芝居しばいをしてるのはこれ素そだろ、と思おもいました。

豪華ごうか俳優はいゆう陣じんで観みたかった映画えいが🎬
なんと監督かんとくティーチインつきで鑑賞かんしょう☺️
わーい🙌

最初さいしょは主人公しゅじんこうの父ちちに対たいしての視点してんですすみ

あれ
再婚さいこん相手あいての直美なおみさんがいない
どこ？
直美なおみさんの息子むすこも
直美なおみさんの妹いもうとも
居場所いばしょを言いわないし
認知にんち症しょうの父ちちの言いうことが
毎回まいかい違ちがうから
主人公しゅじんこうは戸惑とまどいながら
手探てさぐり状態じょうたい

スリリングな流ながれで
面白おもしろい

直美なおみさんは海うみへ？
亡なくなったのかな

父ちちのことをよく考かんがえる映画えいがだった
父ちちと確執かくしつのある人ひとに観みてほしい

タイトルも素晴すばらしい
息子むすこから見みた父ちちの事ことに最初さいしょ捉とらえていたが、映画えいがをみていくと、父ちちから見みた直美なおみさんの事ことにも捉とらえられて
良よいタイトルだなぁ

近浦ちかうら監督かんとくは
映画えいがへの熱意ねついが溢あふれていた
お話はなしがとても上手じょうずな監督かんとくさん✨

また札幌さっぽろに来きてティーチインしてほしいです☺️

認知にんち症しょうは、父親ちちおやと義母ぎぼの互たがいの愛情あいじょうを引ひき裂さいていく。
ふたりの大切たいせつな思おもい出でがつまったそれぞれの日記にっき。
義母ぎぼが、認知にんち症しょうが進すすんだ父親ちちおやの家いえを出でるとき、その日記にっきは置おかれたまま。
彼女かのじょはなにかを断たち切きったのだ。切せつなすぎる瞬間しゅんかん。
その間あいだを取とり持もつ息子むすこは、ずっと会あってなかった父親ちちおや、亡なき実母じつぼ両方りょうほうへの複雑ふくざつな感情かんじょうを抱かかえながら、心しん揺ゆれ動うごく。

家族かぞくにはいろいろな形かたちがある。運命うんめいには抗あらがえない。家族かぞくは家族かぞくだから。
親子おやこの愛情あいじょうの在あり様さまも刻々こくこくと変化へんかしていく。父親ちちおやの胸中きょうちゅうに去来きょらいするものは何なに？

息子むすこは舞台ぶたい俳優はいゆうだ。複雑ふくざつな感情かんじょうを表現ひょうげんするのはお手てのものだ。ただ、それが自分じぶんの身みにふりかかると戸惑とまどいは隠かくせない。そのへんの機微きびを、森山もりやま未來みらいは彼かれならではの感性かんせいで好演こうえんしている。
藤ふじ竜也たつやの父親ちちおやも圧巻あっかん。「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスに匹敵ひってきするかもれない。
アナログ世界せかいの自由じゆう人じん。頑固がんこ一いち徹てっの学者がくしゃ。藤ふじ達也たつやでしか演えんじられない。そう確信かくしんした。

こういうインテリ系けいの人ひとの痴呆ちほうやアルツは見みててきつい。自分じぶんのプライドがズタズタになって、その現実げんじつに争あらそい、認みとめて行いく、、またはわからなくなって行いく過程かていが実じつにリアルに描えがかれていた、藤ふじ竜也たつや恐おそれるべし。
まわりも達者たっしゃな人ひとばかりなのだが彼かれだけ飛とび抜ぬけて凄すごかった。
ボケ老人ろうじんに振ふり回まわされた人達ひとたちと、早はやくに縁えんを切きった息子むすこの森山もりやまが父ちちの過去かこを知しり、その贖罪しょくざいの旅たびをすることによって父親ちちおやとの距離きょりを縮ちぢめて行いくはなしです。

病院びょういんは年寄としよりのサロンとか言いってる若わかい子こには響ひびかない話はなしかも知しれない。あんたの必かならず来くる未来みらいなのにね。

夫婦ふうふどちらかがまだらボケになり、せん妄もうが現あらわれ、暴言ぼうげんを吐はいたり、暴力ぼうりょく的てきになりして、認知にんち症しょうになってゆく。身みの回まわりにあり得えることだ。他人事たにんごとではない目線めせんで見みざるを得えなかった。80を超こえた藤ふじ竜也たつやの演技えんぎも細部さいぶまで練ねられていて胸むねに迫せまるものがあった。そして、森山もりやま未來みらいが変化へんかしてゆく様さまも自然体しぜんたいで描えがかれ、私わたしが見みた今年ことしの上映じょうえい作品さくひんの中なかでは、間違まちがいなく秀作しゅうさくだった。

なんと哀かなしいストーリー。子供こどもの頃ころの両親りょうしんの離婚りこんを機きに疎遠そえんになった父ちちへは、感心かんしんが薄うすい息子むすこが、徐々じょじょに父ちちへ愛情あいじょうを感かんじていく様子ようすがその行動こうどうから読よみ取とれるように描えがかれている。少すこし複雑ふくざつに見みえる時とき系列けいれつの描えがき方かたも、パズルがはめ込こまれるように明確めいかくに事実じじつを語かたるにはとても効果こうか的てきで引ひき込こまれる。徐々じょじょに痴呆ちほうが進すすんで行いく過程かていで、愛情あいじょうで記憶きおくを繋つなぎ留とめようとしても、容赦ようしゃなく進行しんこうしていく様子ようすがつらい。淡々たんたんと事実じじつを確認かくにんしていく息子むすこの僅わずかな感情かんじょうの揺ゆれを森山もりやま未來みらいは見事みごとに演えんじている。それは藤ふじ竜也たつやの説得せっとく力りょくある存在そんざい感かんがあるからこその効果こうかでもある。リアリティのある、そして感情かんじょうを揺ゆさぶられる作品さくひんだった。

不倫ふりんして妻子さいしをおいて出でていった父ちちと数すう十じゅう年ねんぶりに再会さいかいした息子むすこ。でも父ちちは認知にんち症しょうになっており、何なにが真実しんじつで何なにが妄想もうそうかわからない、としたら。藤ふじ竜也たつや、原はら日出子ひでこ、森山もりやま未來みらい、真木まきよう子こ、と登場とうじょう人物じんぶつは少すくないながらも演技えんぎ力りょくに圧倒あっとうされる映画えいがでした。
チーフカメラがましでした。

多おおくの人ひとがイメージするインテリの嫌いやな部分ぶぶん(理屈りくつっぽくて傲慢ごうまんで、妙みょうな拘かかわりがあって…)を具現ぐげん化かしたような学者がくしゃである父親ちちおやに子供こどもの頃ころに捨すてられた息子むすこがその父親ちちおやの半生はんせいを辿たどっていくという話はなし。途中とちゅうで父親ちちおやと再会さいかいしたときのやりとりなども、時とき系列けいれつを前後ぜんごしながら描えがかれる。「自分じぶんを捨すてたあなたが言いうか」というような父親ちちおやの無頓着むとんじゃくな発言はつげんなどもある。つかみかかってもいいような発言はつげんもあったが息子むすこは良好りょうこうな関係かんけいにある父ちちと息子むすこがそうであるように、それを普通ふつうにき流きながす。そして父親ちちおやの再婚さいこんした妻つまも含ふくめた交流こうりゅうを続つづける。
父親ちちおやには認知にんち症しょうの症状しょうじょうが現あらわれ、病状びょうじょうは進すすむ。身勝手みがってともとれる行動こうどうをいくつも起おこし、身勝手みがってではすまされないような酷ひどい言動げんどうを妻つまにはとってしまう。
認知にんち症しょうの悪化あっかのために変かわっていく父親ちちおやに再婚さいこんした妻つまは身みも心しんも傷きずつき離はなれていく(おそらく妻つまの妹いもうとが見みかねて引ひき離はなしたのだろう)｡そして息子むすこは残のこされた妻つまの日記にっきやその中なかにあった父親ちちおやのたくさんの手紙てがみを読よみ込こみ、父親ちちおやが過去かこに訪おとずれた土地とちにも行いく。そして離はなれていった妻つまを探さがす。父親ちちおやの生いき様ざまを丹念たんねんに丹念たんねんに追おいかけて行いくなかで、今いまではボロボロになってしまった父親ちちおやを理解りかいしていく。これは役者やくしゃとしての素養そよう(感受性かんじゅせい、人間にんげんへの理解りかい度どなど)のなせる業ごうかなと思おもったりもするが、息子むすこの父親ちちおやへの理解りかい、思おもいに嘘うそはない。
この息子むすこを自分じぶんに置おき換かえる。自分じぶんの息子むすこに置おき換かえる。父親ちちおやをも自分じぶんに置おき換かえる。この息子むすこの豊ゆたかな感受性かんじゅせいと懐ふところの大おおきさに僕ぼくは感動かんどうしてしまう。そしてボケたくないな(当あたり前まえだね)。

原はら日出子ひでこ演えんじるゆきこがいなくなった経緯けいいが、いまいち入はいってこず…倒たおれているゆきこを置おいて帰かえったのが先さきで、思おもい出での手帳てちょうを投なげたのがあと？
それにしても、「行いってきます」と言いって出でかけたのに、どうして出でていったきりなの？？

認知にんち症しょうを患わずらう人ひとのサポートが、精神せいしん的てきにも肉体にくたい的てきにもかなり疲弊ひへいするのはわかるのだけど、ゆきこが「もうあの家いえにいなく」なったのは、ガマンの限界げんかいだったということ？

時どき系列けいれつが行いきつ戻もどりつするのはすんなり理解りかいできたものの、肝心かんじんのソコが腑ふに落おちなかった。

ただ、俳優はいゆうさんたちの演技えんぎが素晴すばらしかく、森山もりやま未來みらい演えんじるたっくんの日記にっきの朗読ろうどくすら、き入きいってしまうほど。
音楽おんがくが、ところどころ邪魔じゃまくさく感かんじた