駐車場が故障したままでは、マンションの資産価値そのものも下がるのではないかという点も、康史さんにとって心配の種になっているという。しかし、無い袖は振れないというのも理解ができる話。現状、どういった対応を求めることができるのか。中目黒「コレカライフ不動産」で日々、不動産のリアルと向き合う姉帯裕樹さんに聞いた。
「駐車場の管理運営を行っているのが管理組合であれば、修理をするもしないも管理組合の采配1つです。現状、収入が少なく、維持するだけで手いっぱいという状態であれば、修理してもらうのは限りなく難しいと言えるでしょう。別の場所に停めることができているのであれば、あまりしつこく管理組合に申し入れない方がいいようにも思います。いつかきちんと修理をしてもらうという言質だけ取り、様子をみてはいかがでしょうか」
ちなみに、タワー式の駐車場が故障した場合はすべての車が利用できなくなるため、近隣駐車場を借りるための費用を出すだけで日に数十万円という莫大な費用を要した例もあるという。少ない敷地に設置できる機械式駐車場は、メリットもある分、多大なリスクも含んでいる。
「機械式の駐車場は、メンテナンスの費用がかかる上、10年以上が経過すれば故障が起こるリスクが上がります。駐車場代を値上げする、不要な(空いている)駐車場は廃棄する、といった抜本的な改革も必要かもしれません。もちろん、解体・撤去するにも費用がかかるため、放置せざるを得ないこともあるかと思います」
たとえマンションであっても、採算が取れない部分は切り捨てていくしかないということ。駐車場が負の遺産となりつつある現代社会で、あくまでも「車」を中心とした生活を続けたいのであれば、駐車場付きの戸建てに住み替えるなど自ら対策することも必要かもしれない。
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。