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【Q&A】ALPS処理汚染水、押さえておきたい14のポイント | 国際環境NGO FoE Japan

【Q&A】ALPS処理しょり汚染おせんすいさえておきたい14のポイント

2023ねん8がつまつにも海洋かいよう放出ほうしゅつ開始かいしされようとしているALPS処理しょり汚染おせんすいさえておきたい14のポイントをまとめました。
印刷いんさつよう(PDF、A4 8ぺーじ >2ふんでわかる動画どうがシリーズ「汚染おせんすいってなに? なにふくまれているの?」など4ほん

Q:「処理しょりすい」? 「汚染おせんすい」?

1 処理しょりすい発生はっせいのメカニズム

福島ふくしまだいいち原発げんぱつのサイトでは、燃料ねんりょうデブリの冷却れいきゃくすい原子げんし建屋たきのやおよびタービン建屋たきのやない流入りゅうにゅうした地下水ちかすい雨水あまみずざりうことで発生はっせいした汚染おせんすいを、核種かくしゅ除去じょきょ装置そうち(ALPS)で処理しょりし、タンクに貯蔵ちょぞうしています(1)。そのりょうは、134まんm3(2023ねん7がつ現在げんざい)。

政府せいふ東電とうでんは、このみずを「ALPS処理しょりすい」とんでいます。一方いっぽうで、トリチウムやそのほかの放射ほうしゃせい物質ぶっしつ残留ざんりゅうしているので「汚染おせんすい」とひともいます。

正確せいかくには「処理しょりされているが、放射ほうしゃせい物質ぶっしつ残留ざんりゅうするみず」というべきなのでしょう。しかし、ながいので、ここでは「ALPS処理しょり汚染おせんすい」または「処理しょり汚染おせんすい」とぶことにします。 ちなみに、政府せいふは「ALPS処理しょりすい」の定義ていぎを「トリチウム以外いがい核種かくしゅについて、環境かんきょう放出ほうしゅつさい規制きせい基準きじゅんたすみず」としています(ちゅう)。しかし、現在げんざい、タンクにめられているみずやくわりについては、トリチウム以外いがい放射ほうしゃせい物質ぶっしつ基準きじゅんえて残留ざんりゅうしているため、「処理しょりすい」とはえません。くわしくはつぎ項目こうもくをごらんください。[TOP]

Q:なにふくまれている?

東京電力とうきょうでんりょく発表はっぴょうでは、処理しょり汚染おせんすいにはやく780ちょうベクレルのトリチウムがふくまれています(2021ねん5がつ時点じてん)。2010ねん福島ふくしまだいいち原発げんぱつからは2.2ちょうベクレルのトリチウムがうみ放出ほうしゅつされていたので(ちゅう)、そのやく350ばいりょうとなります。

注目ちゅうもくすべきは、トリチウム以外いがい放射ほうしゃせい物質ぶっしつ基準きじゅんえて残留ざんりゅうしていることです。残留ざんりゅうしているのは、ヨウもと129、ストロンチウム90、ルテニウム106、テクネチウム99、セシウム137、プルトニウム239、炭素たんそ14、カドミウム113mなど。

当初とうしょ東京電力とうきょうでんりょくは、ALPSをとおすことにより、トリチウム以外いがい放射ほうしゃせい物質ぶっしつ除去じょきょできており、基準きじゅんたしていると説明せつめいしていました。

2018ねん8がつひらかれた説明せつめい公聴こうちょうかい資料しりょう2)では、基準きじゅんたしているデータのみがしめされていました。ところが、共同通信きょうどうつうしんをはじめとしたメディアの報道ほうどうにより、トリチウム以外いがい放射ほうしゃせい物質ぶっしつ基準きじゅんえて残留ざんりゅうしていることがあきらかになりました。(ちゅう3

2 2018ねん8がつ説明せつめい公聴こうちょうかい資料しりょうより

トリチウム以外いがい放射ほうしゃせい物質ぶっしつひだりからセシウム137、ストロンチウム90、ヨウもと129、ルテニウム106、コバルト60、アンチモン125)について、ALPS処理しょり基準きじゅんないおさまっている時期じきのデータを使用しようしている。

報道ほうどうのあった当時とうじ、FoE Japanなどが、ALPSの出口でぐちデータを確認かくにんしたところ、ヨウもと129、ストロンチウム90などで、おおくの基準きじゅんえが発生はっせいしていました。>くわしくは「ALPS処理しょりすい、トリチウム以外いがい核種かくしゅ残留ざんりゅう~「説明せつめい公聴こうちょうかい」の前提ぜんていくずれた」(2018ねん8がつ29にち

3 トリチウム以外いがいでも基準きじゅんえしているみず割合わりあい(2021ねん12月31にち時点じてん

その東電とうでん発表はっぴょうにより、現在げんざいタンクにためられているみずの7わりじゃくで、トリチウム以外いがいの62の放射ほうしゃせい核種かくしゅ濃度のうど全体ぜんたいとして排出はいしゅつ基準きじゅん上回うわまわっており、最大さいだい基準きじゅんの2まんばいちかちゅう4)となっていることがあきらかになりました(3)。

東電とうでん海洋かいよう放出ほうしゅつするまえ処理しょりおこない、これらの放射ほうしゃせい核種かくしゅ基準きじゅん以下いかにするとしています。

問題もんだいなのは、タンクに残留ざんりゅうするこれらの放射ほうしゃせい物質ぶっしつ総量そうりょうしめされていないことです。また、処理しょりした結果けっか、どのくらい残留ざんりゅうするかもわかっていません。全体ぜんたいみずりょう膨大ぼうだいであるため、濃度のうどげたとしても放出ほうしゅつされる放射ほうしゃせい物質ぶっしつりょうはそれなりにおおきいでしょう。 なにがどのくらい放出ほうしゅつされるのかという基本きほんてき情報じょうほうあきらかにされていないのです。[TOP]

Q:東電とうでんはすべてのタンクについて放射ほうしゃせい物質ぶっしつはかっている?

東電とうでんは「放射線ほうしゃせん影響えいきょう評価ひょうか」をおこない、これをもとに政府せいふ処理しょり汚染おせんすい海洋かいよう放出ほうしゅつひと環境かんきょうへの影響えいきょう無視むしできるくらいちいさいとしています。しかし、東電とうでんがソースターム(放出ほうしゅつする放射ほうしゃせい物質ぶっしつ種類しゅるいりょう)としてしめしているのは、みっつのタンクぐん合計ごうけい3.6まんm3)のみ。タンクのみず全体ぜんたいの3%じゃくにすぎません。64の放射ほうしゃせい物質ぶっしつ(ALPS除去じょきょ対象たいしょうの62核種かくしゅ、トリチウム、炭素たんそ14)のデータがそろっているのは、この3つのタンクぐんだけであったためです(ちゅう5)。

東電とうでんは、ほかのタンクぐんについては、放出ほうしゅつするまえ順次じゅんじ30核種かくしゅ測定そくていするとしています。放出ほうしゅつ完了かんりょうするのには30ねん以上いじょうかかるとみられますが、それまでまたないと、結局けっきょく、どのような放射ほうしゃせい物質ぶっしつが、どのくらい放出ほうしゅつされたか、わからないということになります。 なお、主要しゅよう7核種かくしゅおよびトリチウム、炭素たんそ14については、すべてのタンクぐんでの測定そくていデータが公開こうかいされていますが、データをかぎりタンクごとのバラツキがおおきく、前述ぜんじゅつの3つのタンクぐんがタンクすい全体ぜんたい代表だいひょうしているとはとてもえない状況じょうきょうです。[TOP]

Q:トリチウムってなに

水素すいそ同位どういたいである「さん重水素じゅうすいそ」で、陽子ようし中性子ちゅうせいしから構成こうせいされます。半減はんげん12.32ねん放射ほうしゃせい物質ぶっしつで、ベータ崩壊ほうかいをし、ヘリウムにわります。 放出ほうしゅつするエネルギーはちいさく、最大さいだいで18.6keVで、セシウム137の最大さいだい512keVの30ぶんの1程度ていどです。

トリチウムは自然しぜんかいにもみずかたち存在そんざいしますが、かく実験じっけん原発げんぱつ施設しせつからの放出ほうしゅつによって増加ぞうかしています。[TOP]

Q:トリチウムは安全あんぜん

トリチウムの影響えいきょうについては専門せんもんでも意見いけんかれています政府せいふは、トリチウムからの放射線ほうしゃせんかみいちまいでもさえぎることができる、みずおな性質せいしつつためひと生物せいぶつへの濃縮のうしゅく確認かくにんされていないなどと安全あんぜんせい強調きょうちょうしています。

トリチウムがタ線たせんはガンマーせんくらべて距離きょりみじかいのですが、こうした放射ほうしゃせい物質ぶっしつ問題もんだいになるのは、体内たいないはいったときの影響えいきょうです。トリチウムが有機ゆうき化合かごうぶつちゅう水素すいそわり食物しょくもつとおして、人体じんたい構成こうせいする物質ぶっしつわったときには体内たいないながくとどまり、ちかくの細胞さいぼう影響えいきょうあたえること、さらに、DNAを構成こうせいする水素すいそわった場合ばあいにはばくの影響えいきょうつよくなること、トリチウムがヘリウムに壊変したときにDNAが破損はそんする影響えいきょうなどが指摘してきされています。(ちゅう6)[TOP]

Q:トリチウムは世界中せかいじゅう原発げんぱつから排出はいしゅつされているから問題もんだいないのでは? なぜ、今回こんかい放出ほうしゅつだけ問題もんだいにされるの?

今回こんかい処理しょり汚染おせんすい放出ほうしゅつが、いままでの原発げんぱつからの排水はいすいおおきくちがてんは、処理しょりされているとはいえ、デブリ(かく燃料ねんりょうちたもの)にれたみず放出ほうしゅつであるということです。これは、トリチウム以外いがいにも、さまざまな放射ほうしゃせい物質ぶっしつふくんでいることを意味いみします。

トリチウムにかんしてえば、たしかにトリチウムは国内外こくないがい原発げんぱつから放出ほうしゅつされています日本にっぽん沸騰水ふっとうすいがた原発げんぱつ(BWR)からは1年間ねんかんすうひゃくすうちょうベクレル、加圧水かあつすいがた原発げんぱつ(PWR)からはすうじゅうちょうベクレル、まだ完成かんせいしていませんが、六ヶ所ろっかしょさい処理しょり工場こうじょうからはけたちがいにおおくのトリチウムが排出はいしゅつされます。海外かいがい原発げんぱつでもトリチウムが放出ほうしゅつされています。 ただ、環境かんきょうちゅうのトリチウムのりょうすこしずつおおくなることの累積るいせきてき影響えいきょうについてはまだわかっておらず、世界中せかいじゅう原発げんぱつからされているからよい、ということにはなりません。[TOP]

Q:トリチウム濃度のうど排出はいしゅつ濃度のうど基準きじゅんの『40ぶんの1』に希釈きしゃくする?

政府せいふ東電とうでんは、処理しょり汚染おせんすい海水かいすい希釈きしゃくし、トリチウム濃度のうどを1リットルあたり1,500ベクレルにして放出ほうしゅつするとしています。これは、トリチウムの排出はいしゅつ濃度のうど基準きじゅん1リットルあたり6まんベクレルの「40ぶんの1」と説明せつめいされていますが、たしてそうなのでしょうか?

6まんベクレル/リットルというのは、原発げんぱつ敷地しきちない排水はいすい以外いがい考慮こうりょすべき放射線ほうしゃせんげんがない場合ばあい、かつ排水はいすいちゅうにトリチウムのみがふくまれている場合ばあい基準きじゅんになります。

法令ほうれいじょう福島ふくしまだいいち原発げんぱつ敷地しきち境界きょうかいせんにおける追加ついか線量せんりょうを、年間ねんかん1ミリシーベルトにすることがもとめられていますが、敷地しきちじょうのさまざまな放射線ほうしゃせんげん考慮こうりょすれば、液体えきたい廃棄はいきぶつ線量せんりょうは0.2ミリシーベルト程度ていどおさえる必要ひつようがあり、また、セシウム134、137、ストロンチウム90など放射ほうしゃせい物質ぶっしつふくまれていることも考慮こうりょし、トリチウムの濃度のうどは1,500ベクレル/リットルとめられたという経緯けいいがあります(ちゅう7

Q:うみながすしかないのでは?

技術ぎじゅつしゃ研究けんきゅうしゃ参加さんかする「原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかい」(座長ざちょう大島おおしま堅一けんいち龍谷大りゅうこくだいがく教授きょうじゅ)は、海洋かいよう放出ほうしゅつ大気たいきへの放出ほうしゅつではなく、大型おおがたタンク貯留ちょりゅうあん「モルタル固化こか処分しょぶんあん提案ていあんしています(ちゅう8)。くわしくはつぎ項目こうもくをごらんください。[TOP]

Q:「大型おおがたタンク貯蔵ちょぞうあん」と「モルタル固化こかあん」は検討けんとうされた?

大型おおがたタンク貯留ちょりゅうあん」は、石油せきゆ備蓄びちくなどに実績じっせきのある、ドームがた屋根やねみずふうベントきで10まん立方りっぽうメートルの大型おおがたタンクを建設けんせつするあんです。建設けんせつ場所ばしょとしては、福島ふくしまだいいち原発げんぱつ敷地しきちないの7、8号機ごうき建設けんせつ予定よていじょう敷地しきち後背こうはいとうなどを提案ていあんしています。

東電とうでん大型おおがたタンク貯留ちょりゅうかんして、「雨水あまみず混入こんにゅう可能かのうせいがある」「破損はそんした場合ばあいろうえいりょうだい」といったてんをデメリットとしてげ、これがこのまま政府せいふ見解けんかいにも使つかわれていますが、大型おおがたタンクは、石油せきゆ備蓄びちくなどにおおくの実績じっせきがあります。当然とうぜん雨水あまみず混入こんにゅう対策たいさく破損はそん漏洩ろうえい対策たいさくはされています。

モルタル固化こか処分しょぶん 
出典しゅってん:Savannah River Remediation LLC (SRR)

モルタル固化こか処分しょぶんあん」は、アメリカのサバンナリバーかく施設しせつ汚染おせんすい処分しょぶんでももちいられた手法しゅほうで、汚染おせんすいをセメントとすなでモルタルし、半地はんじ状態じょうたい保管ほかんするというものです。

利点りてんとしては、安定あんていてき保管ほかんでき、放射ほうしゃせい物質ぶっしつ海洋かいよう流出りゅうしゅつリスクを遮断しゃだんできます。こうした利点りてんにより、原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかいとしては、大型おおがたタンク保管ほかんよりは、モルタル固化こか推奨すいしょうしています。しかし、東電とうでん政府せいふは、「みずねつ発生はっせいし、みず蒸発じょうはつする」としていますが、これについても、提案ていあんおこなった原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかいは「分割ぶんかつ固化こかみずねつ抑制よくせいざい投入とうにゅう容易ようい対応たいおうできる」としています。 こうした代替だいたいあんが、おおやけ提案ていあんしゃをまじえたかたちできちんと議論ぎろんされたわけではありません。[TOP]

Q:敷地しきち本当ほんとうりないの?

現在げんざい東電とうでん敷地しきち利用りよう計画けいかくは、デブリ(ちた燃料ねんりょう)のしが前提ぜんていとなっています。したデブリの一時いちじ保管ほかん場所ばしょとして広大こうだいなスペースを確保かくほしているのです。しかし、デブリのしは暗礁あんしょうにのりげています。たとえせたにしろ、そのさきどうするのかまっていません。そもそも、現在げんざいはいロードマップがすでに破綻はたんしているという指摘してきもあります。現実げんじつてきはい計画けいかく策定さくていしなおすべきではないでしょうか。[TOP]

Q:「関係かんけいしゃ理解りかい」ってなに? 「関係かんけいしゃ理解りかい」はられるの?

政府せいふおよび東電とうでんは2015ねん福島ふくしまけん漁業ぎょぎょう組合くみあい連合れんごうかいけんりょうれん)にたいして、処理しょり汚染おせんすいかんして「関係かんけいしゃ理解りかいなしには、いかなる処分しょぶんおこなわない」と文書ぶんしょ約束やくそくをしました。

それにもかかわらず、政府せいふは2021ねん4がつ処理しょり汚染おせんすい海洋かいよう放出ほうしゅつ方針ほうしん決定けっていしました。

そのも、けんりょうれん全漁連ぜんぎょれんは、放出ほうしゅつたいしてかえ反対はんたい意思いし表明ひょうめいをしており、4ねん連続れんぞく放出ほうしゅつ反対はんたい特別とくべつ決議けつぎ採択さいたくしています(ちゅう9)。また、相馬そうま双葉ふたば漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあいは、2023ねん7がつ、「断固だんこ反対はんたい」のかんがえをくにつたえました(ちゅう10)。

関係かんけいしゃ」の範囲はんい曖昧あいまいですが、さいたる関係かんけいしゃである漁業ぎょぎょうしゃ理解りかいられているとはいえません。[TOP]

Q:福島ふくしま県内けんない自治体じちたい意見いけんは? 近隣きんりんけんは?

2020ねん10がつ段階だんかいで、福島ふくしま県内けんない59市町村しちょうそんのうち、44の市町村しちょうそんが、処理しょり汚染おせんすい放出ほうしゅつかんする意見いけんしょ決議けつぎ可決かけつ。そのうちの27が放出ほうしゅつ反対はんたい陸上りくじょう保管ほかんもとめるもの、14が関係かんけいしゃからの丁寧ていねい意見いけん聴取ちょうしゅ風評ふうひょう対策たいさくもとめる内容ないようでした。(4、ちゅう11

4 決議けつぎ意見いけんしょ採択さいたくした福島ふくしまけん市町村しちょうそん

政府せいふ海洋かいよう放出ほうしゅつ方針ほうしんめた2021ねん4がつ以降いこうでは、23市町村しちょうそん議会ぎかい意見いけんしょ可決かけつ。そのうちの16市町村しちょうそん議会ぎかいが、方針ほうしん撤回てっかい反対はんたい処理しょりすいの「陸上りくじょう保管ほかん」をもとめる内容ないようで、6議会ぎかい風評ふうひょう対策たいさく丁寧ていねい説明せつめいもとめる内容ないようでした。いわき市議会しぎかいは、政府せいふ東電とうでんたいして、漁業ぎょぎょうしゃとの「約束やくそく」の履行りこうもとめる内容ないようでした。(ちゅう12

近隣きんりんけんでは、宮城みやぎ県議会けんぎかいは、2023ねん7がつ海洋かいよう放出ほうしゅつ反対はんたいする意見いけんしょ全会ぜんかい一致いっち採択さいたくしました。(ちゅう13)[TOP]

Q:公聴こうちょうかいひらかれたの?

政府せいふは、2018ねん8がつ福島ふくしまで2箇所かしょ東京とうきょうで1箇所かしょ、「説明せつめい公聴こうちょうかい」を開催かいさいしました。意見いけんべた44にんのうち、42にん明確めいかく海洋かいよう放出ほうしゅつ反対はんたいしました。その公聴こうちょうかい開催かいさいされていません(ちゅう14)。[TOP]

Q:汚染おせんすいやさない対策たいさくは?

建屋たきのやないへの地下水ちかすい流入りゅうにゅうめないかぎり、汚染おせんすい発生はっせいつづけます。現在げんざいまでに、凍土とうどかべ地下水ちかすいバイパス、建屋たきのや近傍きんぼう井戸いど(サブドレン)からのげなどの対策たいさくられ、一定いってい効果こうかられているものの、地下水ちかすい流入りゅうにゅうつづいています。福島大学ふくしまだいがく柴崎しばざき直明なおあき教授きょうじゅらの研究けんきゅうグループは、現在げんざい凍土とうどかべのさらに外側そとがわに「広域こういきさえぎみずかべ」を建設けんせつし、敷地しきちないへの地下水ちかすい流入りゅうにゅうめるべき提言ていげんしています。「広域こういきさえぎみずかべ」は、コンクリートや粘土ねんどなどをもちいる、従来じゅうらいがた工法こうほうで、費用ひよう凍土とうどかべ半分はんぶんくらい、工期こうきすうねん程度ていどです。(5、ちゅう15) さらに、「広域こういきさえぎみずかべ」でかこまれるエリアに「あつまり水井すいいみずきボーリング」を設置せっちすることで、効果こうかてき地下水ちかすいげることができことも提案ていあんされています。

5 広域こういきさえぎみずかべ提案ていあん
出典しゅってんだんけんブックレットシリーズ16「福島ふくしまだいいち原発げんぱつ汚染おせんすいはなぜつづけるのか」p.26

しかし、この提案ていあん真剣しんけん検討けんとうされないまま、現在げんざいにいたっています。[TOP]

Q:IAEA(国際こくさい原子力げんしりょく機関きかん)の「お墨付すみつき」をどうかんがえる?

IAEAが2023ねん7がつ処理しょり汚染おせんすい海洋かいよう放出ほうしゅつ国際こくさいてき基準きじゅん整合せいごうしているという趣旨しゅし包括ほうかつ報告ほうこくしょ発表はっぴょうしました。これにより、海洋かいよう放出ほうしゅつがIAEAの「お墨付すみつき」をたと報道ほうどうされています。

しかし、IAEAのレビューは、基本きほんてき日本にっぽん政府せいふ東電とうでんから提供ていきょうされた情報じょうほうもとづくものであり、たとえば、海洋かいよう放出ほうしゅつ以外いがい代替だいたいあんについてはレビュー対象たいしょうとなっていません。また、前述ぜんじゅつとおり、東電とうでんが「放射線ほうしゃせん影響えいきょう評価ひょうか」のもととなるソースターム(放出ほうしゅつする放射ほうしゃせい物質ぶっしつ種類しゅるいりょう)としてしめしているのは、わずか3つのタンクぐんのデータ(タンクすい全体ぜんたいの3%じゃく)にすぎませんが、それをよしとしてしまっています。

IAEAは原子力げんしりょく利用りよう促進そくしんする立場たちば機関きかんであり、中立ちゅうりつとはえません。 また、IAEAの安全あんぜん基準きじゅんらしてみても、すくなくとも正当せいとう(justification)」、「幅広はばひろ関係かんけいしゃとの意見いけん交換こうかん」に適合てきごうしていないはずなのですが、日本にっぽん政府せいふ見解けんかいかえような結論けつろんとなっています。くわしくは、原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかいの「見解けんかいちゅう16)をご参照さんしょうください。[TOP]


ちゅう1)経済けいざい産業さんぎょうしょう東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょにおけるALPS処理しょりすい定義ていぎ変更へんこうしました」(2021ねん4がつ13にち)

ちゅう2)経済けいざい産業さんぎょうしょう核種かくしゅ除去じょきょ設備せつびとう処理しょりすい取扱とりあつかいにかんするしょう委員いいんかいだい16かい)」資料しりょう4

ちゅう3)共同通信きょうどうつうしん基準きじゅんちょう放射ほうしゃせい物質ぶっしつ検出けんしゅつ/トリチウム以外いがい長寿ちょうじゅいのちも」2018ねんがつ19にち配信はいしん

ちゅう4)経済けいざい産業さんぎょうしょう核種かくしゅ除去じょきょ設備せつびとう処理しょりすい取扱とりあつかいにかんするしょう委員いいんかいだい10かい)」資料しりょう

ちゅう5) FoE Japan質問しつもんたいする東京電力とうきょうでんりょくからの回答かいとう(2022ねん2がつ8にち

ちゅう6)たとえば以下いか参照さんしょう

馬田まだ 敏幸としゆき「トリチウムの生体せいたい影響えいきょう評価ひょうか」(『産業医科大学さんぎょういかだいがく雑誌ざっし』Vol.31 No.1 (2017) p.25)

Ian Fairlie, A hypothesis to explain childhood cancers near nuclear power plants, Journal of Environmental RadioactivityVolume 133, July 2014, Pages 10-17

うえさわ千尋ちひろ福島ふくしまだいいち原発げんぱつのトリチウム汚染おせんすい」(「科学かがく」2013ねん5がつ

Tim Deere-Jones (Marine Radioactivity Research & Consultancy: Wales: UK),Tritiated water and the proposed discharges of tritiated waterstored at the Fukushima accident site

ちゅう7)東京電力とうきょうでんりょく地下水ちかすいバイパスの運用うんよう目標もくひょう排水はいすい基準きじゅん)について」(2016ねん12月16にち

ちゅう8)原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかい 「ALPS 処理しょりすい取扱とりあつかいへの見解けんかい

ちゅう9)NHK NEWS WEB「処理しょりすい放出ほうしゅつ反対はんたいけんりょうれん が4ねん連続れんぞく特別とくべつ決議けつぎ採択さいたく」(2023ねん6がつ23にち

朝日新聞あさひしんぶん全漁連ぜんぎょれん原発げんぱつ処理しょりすい海洋かいよう放出ほうしゅつに「反対はんたい決議けつぎ 東電とうでんなつ放出ほうしゅつ予定よてい」(2023ねん6がつ22にち

ちゅう10)朝日新聞あさひしんぶんあいそう漁協ぎょきょう断固だんこ反対はんたい」 せま処理しょりすい放出ほうしゅつ」2023ねん7がつ19にち

ちゅう11)福島ふくしまみんほう決議けつぎ意見いけんしょ、44市町村しちょうそん議会ぎかい可決かけつ」2020ねん10がつ9にち

ちゅう12)朝日新聞あさひしんぶん地方ちほう議会ぎかいの4わり意見いけんしょ」2023ねん7がつ6にち

ちゅう13)NHKオンライン「処理しょりすい海洋かいよう放出ほうしゅつ反対はんたい 宮城みやぎ県議会けんぎかい全会ぜんかい一致いっち可決かけつ」2023ねん7がつ4にち(7がつ31にち閲覧えつらん

ちゅう14)政府せいふが「関係かんけいしゃ」としたひとたちを対象たいしょうとする会合かいごうおお開催かいさいされていますが、だれもが参加さんかでき、意見いけんべることができる公開こうかい会合かいごうは、政府せいふ主催しゅさいでは開催かいさいされていません。

ちゅう15)だんけんブックレットシリーズ16「福島ふくしまだいいち原発げんぱつ汚染おせんすいはなぜつづけるのか」p.26

ちゅう16)原子力げんしりょく市民しみん委員いいんかい見解けんかい:IAEA 包括ほうかつ報告ほうこくしょはALPS 処理しょり汚染おせんすい海洋かいよう放出ほうしゅつの「科学かがくてき根拠こんきょ」とはならない海洋かいよう放出ほうしゅつ中止ちゅうしし、代替だいたいあん実施じっし検討けんとうするべきである 」(2023ねん7がつ18にち


【2ふんでわかる!汚染おせんすい動画どうがシリーズ】

#1 汚染おせんすいってなになにふくまれているの?

#2 トリチウムってなに?

#3 代替だいたいあんは?

#4 にん々のこえは?

 

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声明せいめい:ALPS処理しょり汚染おせんすい海洋かいよう放出ほうしゅつ抗議こうぎするー「関係かんけいしゃ理解りかい」はられていない 

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