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RADEON RX最新さいしんGPUでうらな次世代じせだいコンソール

RyzenでPC市場いちばシェアを挽回ばんかいしたAMDはGPU市場いちばでもかえしなるか

5月11にち~13にち開催かいさい

会場かいじょう:Los Angels Convention Centerほか

 AMDは、6がつ10日とおか現地げんち時間じかん)、べいロサンゼルスにて開催かいさいちゅうのE3にあわせて、ゲーマーけにしん製品せいひん披露ひろうするイベント「Next Horizon Gaming」を開催かいさいした。

 イベントには、れいによって同社どうしゃCEO、Lisa Su登壇とうだんして、ゲストを次々つぎつぎとステージにまねれる形式けいしき進行しんこうした。ほんイベントで発表はっぴょうされた製品せいひんは、既報きほうとおり、GPUファミリ製品せいひんの「RADEON RX 5700/XT」で、AMD創立そうりつ50周年しゅうねんモデル「RADEON RX 5700XT 50TH ANNIVERSARY EDITION」をくわえた3製品せいひんが7がつ7にち発売はつばいされる。

AMD、CEOのLisa Su

 さらにCPU「Ryzen」ファミリ製品せいひんでは、世界せかいはつの16コアCPUとなる「Ryzen9 3950X」を本年ほんねん9がつ投入とうにゅうすることがかされた。なお、5月にComputex2019で発表はっぴょうされただい3世代せだい「Ryzen」CPUファミリ製品せいひんについても、あらためてそれぞれの価格かかくと7がつ7にち発売はつばいについてれていた。

 本稿ほんこうでは、これらのAMDの最新さいしんCPU、GPUの特徴とくちょう紹介しょうかいするとともに、ゲーマーのゲーム体験たいけんたいして、どのように寄与きよするかをまとめていきたい。さらには、いま詳細しょうさいあきらかになっていないソニーの次世代じせだいプレイステーションと、E3 2019でキーフィーチャーがあきらかになったマイクロソフトの次世代じせだい「Project Scarlett」のスペックについても、ほん発表はっぴょうまえた考察こうさつくわえてみたい。

Ryzen9 3950X近影きんえい

Naviアーキテクチャでゲーミングに回帰かいきしたしんGPU製品せいひん

 イベント冒頭ぼうとうでAMDの現況げんきょうをダイジェストしたのち、Suがまずさきにアピールしたのは、だい3世代せだいCPU「Ryzen」しん製品せいひんほうだ。半年はんとしまえCES2019の段階だんかいではプレビューとして発表はっぴょうされていたものが、順当じゅんとう製品せいひんされ、5月のComputexで発表はっぴょうされていたものを、米国べいこくのユーザーけにあらためて披露ひろうした格好かっこうだ。

 今般こんぱん訴求そきゅうポイントはシンプルで、IntelのCPUにたい半分はんぶん価格かかく同等どうとう性能せいのうられるというものだ。てい価格かかく実現じつげんしている要因よういんは、比較的ひかくてき製造せいぞうコストが低廉ていれんであることによるとかんがえられる。Intelが10nmプロセスルールでの製造せいぞう苦戦くせんし、デスクトップ製品せいひんが14nm++にとどまっている一方いっぽう、AMDは順調じゅんちょう歩留ぶどまりを実現じつげんしているとしている。たとえ、14nmプロセスと比較ひかくして半分はんぶん歩留ぶどまりだったとしても、高密度こうみつどと、どういちパッケージに複数ふくすうのダイをまとめるスケーラブルなZen2アーキテクチャによるコストダウンがまさっていれば、十分じゅうぶん価格かかく勝負しょうぶめる。

【AMDのゲームへのみ】

 事実じじつ実際じっさいのゲームをもちいてのベンチマークでは、「Core i9 9900K」と「Ryzen9 3900X」や、「Core i7 9700K」と「Ryzen7 3800X」との勝負しょうぶにおいて、ほぼ同等どうとうのフレームレートを実現じつげんしている。さらに、ゲームストリーミングについては、AMDがわ圧倒的あっとうてき優位ゆういで、Youtube Viewerをつうじてのゲームストリーミングの場合ばあい、その比較ひかくにならないほどだ。

 個々ここのゲームソフトウェアがわにおけるそれぞれのCPUにけた最適さいてき度合どあいによって、多少たしょう変動へんどうがあるとしても、価格かかく考慮こうりょすれば、げん世代せだいのAMD「Ryzen」CPUはおおいに魅力みりょくてきだ。

【Ryuen性能せいのう
【Ryuen競合きょうごう比較ひかく

 ふたつ訴求そきゅうは、ほんイベントの目玉めだま、NaviアーキテクチャのGPU製品せいひん「RADEON RX 5700/XT」とXTの50周年しゅうねんエディションだ。プロセッサの製造せいぞうアーキテクチャをしめすNAVIとはべつに、RDNAというGPU内部ないぶユニットを構成こうせいするマイクロアーキテクチャをしめすキーワードが登場とうじょうしている。

 ゲーミングにとくしたというRDNAによって、従来じゅうらいのGCNマイクロアーキテクチャと比較ひかくして、クロックあたりのパフォーマンスが1.25ばい消費しょうひでん力量りきりょうあたりのパフォーマンスが1.5ばいとしており、これはゲーム用途ようとけた最適さいてき成果せいかえるだろう。

RADEON RX 5700XT近影きんえい

【RADEON RX5700シリーズ性能せいのう

 ところが、やく2ねんまえどういち価格かかくたいでリリースされたVegaアーキテクチャの製品せいひん「Radeon RX Vega 56/64」とカタログスペックを比較ひかくすると、演算えんざん性能せいのう指標しひょうであるFLOPSを比較ひかくすると30%程度ていど低下ていかしている。また、マイクロアーキテクチャの変更へんこうによりかく演算えんざんユニットの数量すうりょう単純たんじゅん比較ひかくできないものの、US(ユニファイドシェーダ)もCU(コンピュートユニット)も搭載とうさい数量すうりょう減少げんしょうしている。

 にもかかわらず、パフォーマンスが向上こうじょうした、としているのは、RDNAのウリであるストリームドグラフィックスパイプラインによってもたらされている。くわえて、コンピュートユニットのさい設計せっけいによって実行じっこう効率こうりつのよい動作どうさモードが搭載とうさいされたこと、GPUキャッシュの多段ただんによるキャッシュヒットりつ向上こうじょうもあり、ゲームによってはさらにパフォーマンスの向上こうじょう見込みこめる。

 ゲームの場合ばあい、GPGPUてき使つかかた限定げんていてきで、GPUの本分ほんぶんは、まさに画面がめんに3Dグラフィックスを描画びょうがすることにあるから、Vega(CGN)とことなり、Navi(RDNA)の方向ほうこうせいは、完全かんぜんにゲームの方向ほうこういたものだ。ほんイベントでは、いくつかの代表だいひょうてきなゲームにおいて、競合きょうごうするNVIDIAのGPU「Geforce RTX2060/2070」との比較ひかくで、優位ゆういせいがあることをしめすベンチマーク結果けっか公表こうひょうされていた。

5700XT50周年しゅうねんエディション近影きんえい
【RADEON RX5700シリーズ競合きょうごう比較ひかく

ゲーマーに朗報ろうほう!!入力にゅうりょく遅延ちえん低減ていげんするしん技術ぎじゅつ

 ゲーマーにとって関心かんしんふか発表はっぴょう内容ないようが、ソフトウェア技術ぎじゅつほうにもある。ひとつは、「RADEON ANTI-LAG」テクノロジで、GCN以降いこう単体たんたいビデオカード、つまり「RADEON HD7000」シリーズ以降いこうなら恩恵おんけいけることになる。

 シューターとう即応そくおうせいがゲームの勝敗しょうはいおおきな影響えいきょうおよぼすゲームでは、インプットデバイスからの入力にゅうりょく内容ないよう画面がめん反映はんえいされるまでの遅延ちえんはナーバスな問題もんだいだ。この遅延ちえん低減ていげんするのが「RADEON ANTI-LAG」で従来じゅうらいで30%低減ていげんできる。手元てもと概要がいよう資料しりょうによると、CPUがわでの入力にゅうりょく検知けんちからゲームロジックの処理しょりてGPUがわにコマンドをおくり、GPUがわ描画びょうが開始かいしするまでの間隔かんかく最小さいしょうするイメいめジ図じず記載きさいされている。

 このイメージをもと詳細しょうさい推測すいそくしてみると、ゲームがわ意識いしきしなくてもいようにゲームアプリケーションがわだまして、いつでも描画びょうがたいする命令めいれいけ、描画びょうが途中とちゅうのフレームを破棄はきしてでも現在げんざい表示ひょうじちゅうつぎのフレームに反映はんえいさせるような仕組しくみではないかとおもわれる。

 そのさいつぎ表示ひょうじすべきフレーム内容ないよう用意よういできていないと画面がめん破綻はたんするわけだが、Freesyncならリフレッシュをサスペンドしておけばいいし、そうでなくても、現在げんざいのフレームをもう一度いちど描画びょうがしてあいだわせることもできるだろう。このあたりの制御せいぎょをドライバレベルのソフトウェアでスマートに処理しょりするような実装じっそうではないだろうか。

【RADEON ANTI-LAG】

 もうひとつのしんソフトウェア技術ぎじゅつは、「AMD Fidelity FX」で、ポストエフェクトとして実装じっそうされる。内容ないようは、そうむずかしいはなしではなく、画面がめんのコントラストにおうじたシャープネスをほどこすことで、画面がめんかいぞうかん向上こうじょうさせる仕組しくみだ。

 通常つうじょう画面がめんをシャープにするということと、ジャギー低減ていげんのためにおおよそすべてのゲームがなんらかのかたち実装じっそうしているアンチエイリアスとはおたがいに喧嘩けんかをしてしまう。このあたりを絶妙ぜつみょうなさじ加減かげん首尾しゅびよくやってくれるというのが「Fidelity FX」のいいところだ。AMDによると、このエフェクトの処理しょり負荷ふか非常ひじょうちいさく、オプションでこう解像度かいぞうどディスプレイけにアップサンプリングする機能きのうゆうしている。とくにGPU世代せだいによる制限せいげんはないようだが、NaviとVega世代せだいのGPUでベストな状態じょうたいられる。

 実際じっさいのデモをかぎり、ハイコントラストでソリッドな印象いんしょうのゲームにはいているようにかんじられた。ただ、一般いっぱんてき日本人にっぽんじんは、ソフトなづくりをこの傾向けいこうがあるため、アンチエイリアシングの結果けっかとして、やや軟調なんちょうになってしまった画面がめんほういとかんじるかもしれない。このあたりは、このみによって判断はんだんかれるところだ。

【AMD Fidelity FX】

しん製品せいひんからうらな次世代じせだいコンソールハードの行方ゆくえ

 5月にマーク・サーニーかしたPS5の情報じょうほうMicrosoftがE3にあわせて公開こうかいした情報じょうほう、そしてほんイベントでAMDがみとめたことから、いずれの次世代じせだいも、APUにはAMDの製品せいひん搭載とうさいされることが確定かくていてきになった。いずれもZen2/Navi世代せだいのAPUが搭載とうさいされるわけで、いまいちそのスペックについて考察こうさつしてみたい。

贈呈ぞうていされたLisa Suのフィギュア

 現時点げんじてんで1ばん疑問ぎもんてんは、「RADEON RX5700/XT」にレイトレーシングをアクセラレートするRTコアが搭載とうさいされていないことだ。AMDの資料しりょうによると、RTコアの搭載とうさいは、次世代じせだいのRDNA2で搭載とうさいされるようだ。これで一応いちおう、コンソールハードメーカーが公表こうひょうしている内容ないよう矛盾むじゅんはなくなったわけだが、2019ねん下半期しもはんき目前もくぜんいまにいたって、PC製品せいひんにRTコアが搭載とうさいされたものが存在そんざいしないというのは、なかなかきびしい状況じょうきょうおもえる。

 2020ねん予想よそうされているりょうコンソールのリリースにギリギリでもうようにやるのだろうが、搭載とうさいされるRTコアはだい2世代せだいだい3世代せだいというわけにはいかず、だい1世代せだいのものになってしまうだろう。れた実装じっそうとすることができないばかりか、安定あんてい供給きょうきゅう問題もんだいや、こうコストになってしまう可能かのうせいがある。ひいては次世代じせだい価格かかく予想よそうより高価こうかになってしまい、市場いちばがりに悪影響あくえいきょうおよぼす可能かのうせいがある。

ほんイベントで紹介しょうかいされたコンテンツ】

 メモリにかんしても、GDDR6の採用さいようとなったため、性能せいのうてきにはいち後退こうたいしたかんがある。ただし、キャッシュの多段ただんによるパフォーマンス向上こうじょうや、GDDR6にはコストがやすいというメリットもあるため、コスト重視じゅうしのコンソールには妥当だとうかいみちびされたということもできる。APUないのGPUダイは、RX5700相当そうとうにRTコアをくわえたものになるということで、ほぼ間違まちがいないのではないだろうか。

 ダイサイズに制約せいやくがあるなら、演算えんざんユニットが削減さくげんされて、いたスペースにRTを搭載とうさいという可能かのうせいはあるが、それでも半減はんげんということはなく20%~30%程度ていど削減さくげんまるだろう。りょうハードの味付あじつけのちがいとしては、VRAMのりょうや、RTコアとRDNA2コアの比率ひりつということになるだろう。

 ちなみにマイクロソフトの次世代じせだいにはGDDR6の搭載とうさいげられていることから、これをVRAMとかんがえると、この部分ぶぶん符合ふごうする。画面がめん出力しゅつりょくかんする8K、120FPSのフィーチャーは同時どうじ実現じつげんできるものとはおもえない。8K解像度かいぞうど最大さいだい30FPS、4K解像度かいぞうど最大さいだい120FPS、いずれもVRR(可変かへんリフレッシュレート)に対応たいおうということなら現実げんじつてきだ。HDRを有効ゆうこうにすれば、さらに解像度かいぞうどなり、フレームレートなりが犠牲ぎせいになる。こういったあたりが現状げんじょうのディスプレイ出力しゅつりょく制約せいやくからかんがえられる。

 一方いっぽうのCPUにおいては、いかにマルチスレッドが一般いっぱんてきになってきたとはいえ、伝統でんとうてきにコアすうやして並列へいれつをするより、コアすうすくなくてもこうクロックにするほうが、ずっとニーズはおおきいだろう。「Ryzen5 3600X」の4コアばんというか「Ryzen 3 3200G」のGPUコアがNaviに変更へんこうされたバージョンというか、そのあたりに着地ちゃくちする可能かのうせいたかいのではないかとかんがえられる。

 そのほか、CPUとGPU、そしてIOダイを接続せつぞくするローカルバスにたいする速度そくど帯域たいいきはば改良かいりょう要求ようきゅうかんがえられる。とくにソニーについては、PS2での成功せいこう体験たいけんもあることから、このあたりの要求ようきゅうおおきいのではないかと推測すいそくされる。

ほんイベントで紹介しょうかいされたコンテンツ】

 いまだ全容ぜんようえてこない、ソニーとマイクロソフトの次世代じせだいだが、両社りょうしゃとも発売はつばいは2020ねんのクリスマス商戦しょうせん予想よそうされることから、来年らいねんのE3 2020のころには、完全かんぜん情報じょうほう出尽でつくしていることだろう。8月のGamescomでは、E3のおさらいといった内容ないようになるとみられるため、続報ぞくほうは、CES2020かGDC2020のタイミングでなつからあき、そしてクリスマスにけて情報じょうほうせん次第しだいねつしていくことだろう。

 以前いぜんは、はやければ2019ねんまつにも次世代じせだい発売はつばいか、とうわさされていた時期じきもあったため、本年ほんねんのE3における発表はっぴょうは、若干じゃっかん肩透かたすかしをらった格好かっこうになってしまったが、今後こんごもハイエンドゲーミングを牽引けんいんするPCハードウェアや次世代じせだい最新さいしん動向どうこうをタイムリーにおつたえしていきたい。

50周年しゅうねんばんRX5700XTをかかげるLisa Su