ポルシェジャパンは、PS4用レースゲーム「グランツーリスモSPORT」とコラボレーションしたeスポーツイベント「GT Sport Porsche Esports Racing Japan シーズン1」を、6月15(土)~16日(日)の2日間にかけて富士スピードウェイにて開催した。
本大会は、トヨタや日産と同様に、eスポーツ事業を強化しているポルシェジャパンが企画した「GT SPORT」内での予選を絡めたeスポーツ大会。今年4月からスタートした全3戦のオンラインコンペティション(予選)において、ポイントランキング上位10名のプレイヤーを集めて行なわれた、シーズン1の最終戦にあたる公式最速決定戦となる。
また本大会は、「ポルシェ カレラカップジャパン」など各種レースの観戦などが楽しめるポルシェファンイベント「Porsche Sportscar Together Day 2019」の1レースという位置づけにもなっている、あらゆる点において国内初の試みとなる画期的な大会だ。
見事、初代王者の座に就いたのは、初日の準決勝で総合1位のタイムを記録し、決勝でもポール・トゥ・ウィンで完勝を収めたT.Sugawara選手。2位のT.Okamoto選手、3位のS.Imamura選手とともに、トロフィーと年末に東京で開催が予定されている、ポルシェジャパンモータースポーツの年間表彰式「Night of Champions Japan 2019」に招待されて表彰を受ける栄誉を手にした。
以下、本稿では大会2日目、富士スピードウェイで開催された敗者復活戦、および決勝戦の模様をお伝えする。
【Porsche Sportscar Together Day 2019】
会場の富士スピードウェイには、さまざまなポルシェの車が展示され、パドックからは「ポルシェ カレラカップジャパン」などのレースを間近で見ることができた 精密機械のようなドライビングで大会を制したT.Sugawara選手、敗者復活から猛烈に追い上げたS.Imamura選手も称賛に値する活躍
【GT Sport Porsche Esports Racing Japan】
大会初日はA、B、2つのグループに選手を分けた準決勝を開催し、それぞれ2位以内に入った選手が勝ち抜けとなるルールで行なわれた。その結果、Aグループで1位となり、全選手中最速タイムを記録したT.Sugawara選手が決勝でのポールポジションを獲得し、以下タイム順にY.Nakao、T.Okamoto、M.Okada選手が、それぞれ2~4番目のスターティンググリッドに着くことが決定した。
2日目に行なわれた最初のレースは、準決勝で敗れた5名による、ポルシェ919ハイブリッドを使用してサルト・サーキットを4周する敗者復活戦。筆者は当初、なぜ会場となった富士スピードウェイを使用しないのかと不思議に思ったのだが、実はちょうど同じ時間に(リアルの)ル・マン24時間耐久レースが行なわれていたため、どうやらこれにちなんで主催者側があえてサルト・サーキットをチョイスしたようだ。
レースはスタート直後の第1コーナーで、ポールポジションからスタートしたY.Takano選手が激しい先頭争いの末に痛恨のコースアウトする波乱のスタート。S.Imamura選手とS.Nabetani選手にかわされて一気に3位まで落ち、しかもショートカットによるペナルティまで受けてしまう。以後、S.ImamuraとS.Nabetani両選手によるマッチレースが最後まで展開され、S.Nabetani選手はファイナルラップ突入時点で1秒あった差を0.5秒まで縮めたがあと一歩及ばず、S.Imamura選手が逃げ切り敗者復活を決めた。
セミファイナルを勝ち抜き、決勝進出を決めた(左から順に)M.Okada、T.Okamoto、Y.Nakao、T.Sugawaraの4選手 2日目の敗者復活戦に出場した5名。左からM.Nojo、N.Ohta、S.Nabetani、S.Imamura、Y.Takanoの5選手 敗者復活を決めた直後のインタビューで、「もう失うものはないので、決勝は全力で戦います」とコメントしたS.Imamura選手 靴を脱いでプレイする選手と、履いたままの選手とがほぼ半々に分かれていた。ちなみに、プレイ条件を同じにするため、選手周辺の空調はすべてオフになっていた 迎えた決勝戦は、敗者復活を遂げたS.Imamura選手を5番グリッドに加え、ポルシェ962C '88を使用して富士スピードウェイを4周し、ハードとミディアムタイヤを最低1回ずつ使用するというルールで行なわれた。スタート直後、またもや第1コーナーで2番グリッドからスタートのY.Nakao選手がコースアウトするアクシデントが発生、一気に5位まで順位を落としてしまう。オープニングラップを奪ったのはポールポジションのT.Sugawara選手で、これにT.Okamoto選手が2位でピタリと追走する展開になった。
勝敗の大きなポイントとなったのがタイヤ交換のタイミング。1周目を終えたところで、3位~5位を走るM.Okada、S.Imamura、Y.Nakaoの3選手はすぐさまピットに飛び込み、ハードからミディアムに履き替える作戦に出た。一方、T.SugawaraとT.Okamoto選手は、ミディアムのまましばらく引っ張り貯金を作る作戦を選択し、一時は後続との差を20秒以上も広げた。そして、3周目にT.Sugawara、T.Okamoto両選手がタイヤ交換を行うと、両者の差は約1秒のままで、3位以下とは約4秒離した状態でファイナルラップへと進み、この瞬間に優勝争いは事実上2人に絞られた。
最後の最後まで、T.Okamoto選手は必死に追いすがったが、スタートから正確なドライビングを続けるT.Sugawara選手はミスらしいミスをまったくせず、そのまま逃げ切りに成功、本大会の初代王者となった。3位には5番手から攻めに攻め、3周目でY.Nakao選手を抜き去ったS.Imamura選手が入賞した。
敗者復活したチームメイトを横目に、「一番厄介なのが来た。複雑な気持ち」と話したM.Okada選手(中央)。盟友かつライバルとのダブル入賞を狙ったが、その願いは叶わなかった 優勝のチェッカーフラッグを受けた瞬間、笑顔を見せたT.Sugawara選手 決勝のリザルト画面。2位に1秒差をつけたT.Sugawara選手の強さと、敗者復活から3位に食い込み、大舞台でベストラップを叩き出したS.Imamura選手の健闘も光った 表彰式にサプライズゲスト、サッカー日本代表の南野拓実選手が登場!
決勝戦を終えたT.Sugawara選手は、インタビューで「こういう大きな大会で勝ちたいとずっと思っていましたので、すごく達成感があります」とコメント。また、上達のコツを尋ねられると、「普段の練習では、ラップタイムをそろえることを意識しています。調子がいい時は、富士スピードウェイを10周して、ラップタイムを0.1秒以内にそろえることもありますね」というのだからすごい。決勝でもその実力を存分に発揮し、ほかの4選手にオーバーテイクを許さないポール・トゥ・ウィンで文句なしの勝利だった。
敗者復活から3位に食い込んだS.Imamura選手は、「Night of Champions Japan 2019」での表彰に招待される権利を得て「ホッとしました」とコメント。2位となったT.Okamoto選手は、その走りだけでなく、レース終了直後に「速いね!」とT.Sugawara選手に声を掛け、拍手を贈った姿も実に見事。インタビュアーにマイクを向けられると、「途中で少し差が縮まったのでどうかなあと思ったのですが、かなわなかったですね。相手はポルシェのことを知り尽くしていますし、ユーザー大会で対戦してもずっと勝てなかったんです」と笑顔を交えつつ、一切のい訳をしない姿はフェアで清々しく、まさにグッドルーザーだった。
大会終了後、表彰式には同日開催されていたリアルのレースと同様に、ポルシェジャパン社長の七五三木(しめぎ)敏幸氏がプレゼンター役として登場。さらに、同社から「Porsche Driving Athlete」に任命され、イメージキャラクターとしても活動しているサッカー日本代表の南野拓実選手が、急きょプレゼンターとして登場。本大会に出場した選手にもギャラリーにも、実にうれしいサプライズがあった。
南野選手は、「みなさんこんにちは。サッカーをしています、南野と申します」と軽く笑いを誘いつつ、「入賞されたみなさん、おめでとうございます。私も先ほど遊ばせていただいたらすごく難しくて、みなさん本当にすごいなと思いました。短い時間ですが、楽しい時間を共有できたらいいなと思います」とコメントしていた。
惜しくも2位となったT.Okamoto選手は、悔しさを表情に一切出さず、勝者に温かい拍手を贈っていた サプライズ登場となった、サッカー日本代表の南野拓実選手 ポルシェジャパン社長の七五三木氏(左)より、「Night of Champions Japan 2019」招待の目録を手渡されて喜ぶS.Imamura選手
南野選手からトロフィーを受け取り、3人とも実にうれしそうなご様子 (C)2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc. "Gran Turismo" logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc.