私わたしの忘わすれられないアコード ディーゼルのDNAを受うけ継ついだアコード

私わたしにとって、決けっして忘わすれられないアコードが2台だいあります。一いち台だいは、日本にっぽんでは幻まぼろしとなってしまった、アコードのディーゼルモデル。これは2004年ねん頃ごろから欧州おうしゅう向むけに販売はんばいされ、日本にっぽんへの導入どうにゅうも検討けんとうされていたものの結局けっきょくは立たち消ぎえになってしまったクルマです。

その検討けんとう段階だんかいで、栃木とちぎにある研究所けんきゅうじょのテストコースにおいて欧州おうしゅう仕様しよう車しゃに試乗しじょうさせてもらったことがあり、あまりの気持きもちよさに「これは絶対ぜったいに日本にっぽんでも展開てんかいしてほしい」と願ねがったのを覚おぼえています。最近さいきんのディーゼルと比くらべると、まだまだ音おとも振動しんどうも大おおきかったと記憶きおくしていますが、なにがいいって、その加速かそくフィールのなめらかさ、そして伸のびやかさ。ディーゼルってこんなにエレガントにもなるのだと教おしえられたものでした。

そして目めに焼やき付ついているのは、2007年ねんにツインリンクもてぎ（現げん・モビリティリゾートもてぎ）で開催かいさいされた「もてぎEnjoy耐久たいきゅうレース（Joy耐たい）」に、「アコード・ディーゼル」が参戦さんせんしたときの光景こうけいです。スタートドライバーは高橋たかはし国光くにみつさんで、予選よせんの時ときよりも速はやいタイムを決勝けっしょうで次々つぎつぎとたたき出だしていくのが、ものすごくカッコよかった。しかも終おわってみれば、アコード・ディーゼルは参加さんか台数だいすう90台だいのトップに立たち、総合そうごう優勝ゆうしょう！ あの時ときのポディウムでの国こくさんのうれしそうな笑顔えがおは、一生いっしょう忘わすれないことでしょう。

もう一いち台だいの思おもい出深でぶかいアコードは、リース販売はんばいで日本にっぽん限定げんてい400台だいという貴重きちょうなモデルとなった「アコード プラグインハイブリッド」。試乗しじょうするためにはるばる沖縄おきなわまで出でかけたのが2014年ねんのことでした。アトキンンソンサイクルの2リッター直じき4 DOHC i-VTECエンジンと6.7kWhのリチウムイオンバッテリーの組くみ合あわせで、一回いっかいの充電じゅうでんでのEV走行そうこう可能かのう距離きょり（JC08モード）が37.6km、電でん費ひは9.26km/kWh、プラグインハイブリッド燃料ねんりょう消費しょうひ率りつは70.4km/リッターと、当時とうじのプラグインハイブリッド車しゃではトップの高性能こうせいのうを誇ほこっていました。

インテリアでは、サトウキビ由来ゆらいのバイオPET表皮ひょうひというエコ素材そざいがシートに使つかわれていて、上質じょうしつでありながらすがすがしい雰囲気ふんいきだったのが印象いんしょう的てきでした。発進はっしんからトルク感かんが豊ゆたかで、スルスルとしたシルキーな乗のり味あじにも感動かんどう。静しずかでピタッと安定あんていした挙動きょどうが安心あんしん感かんを与あたえてくれる、本当ほんとうに気持きもちのいいクルマだったのです。

新型しんがたの日本にっぽん仕様しよう車しゃにはディーゼルモデルもプラグインハイブリッドモデルもありませんが、前述ぜんじゅつした2台だいのDNAがどこかに受うけ継つがれているのではないかと、試乗しじょうしながらしみじみ浸ひたっていたのでした。

（文ぶん：カーライフ・ジャーナリスト・まるも亜希子あきこ）

まるも亜希子あきこさんが解説かいせつするホンダ アコードの注目ちゅうもくポイント