ホンダe で箱根はこねを遊あそんだ…500万まん円えんかけてもガソリン車しゃにはこの運動うんどう性能せいのうはだせない、かも

『ホンダe』を試乗しじょうできる機会きかいを得えたのでレビューをお届とどけしたい。といっても、ホンダeの試乗しじょう記きはすでに多おおくのメディアに溢あふれている。それでもあえて試ためしてみたかったのは、ホンダeの運動うんどう性能せいのうだ。

◆ホンダeのスペックを見みてわくわくしないのはクルマ好すきじゃない

スペックが発表はっぴょうになったときから、全長ぜんちょう4m以下いか（約やく3.9m）、全幅ぜんはば1.75mというスクウェアなボディに、4輪りんの配置はいちが極限きょくげんまで4隅すみになり、床下ゆかしたバッテリーと前後ぜんごに分配ぶんぱいされた制御せいぎょユニットとモーターが作つくる50：50の重量じゅうりょうバランス。しかもステアリングタイロッドは前置まえおきで、ドリフト車しゃのような前輪ぜんりん舵かじ角かくでガバっとアップライトやハブの裏側うらがわを見みせている。重量じゅうりょうこそ1.5トンとなるが、315Nmのモータートルクが楽たのしめる。しかも後こう輪わ駆動くどうでだ。

このスペックを見みて心しんが動うごかない奴やつはクルマ好すきとは言いえない。たとえメーカーの戦略せんりゃくがCAFE規制きせいのためだったとしても、クルマ好すきには関係かんけいない。ホンダeがどんな動うごきをするのか。どれだけ走はしってくれるのか。乗のって楽たのしいのか。クルマの評価ひょうかはそこだ。

自分じぶんはEVのトルク特性とくせいが好すきだが、ガソリン車しゃが嫌きらいなわけではない。ただ、CVTとアイドリングストップは嫌きらいだ。

CVTのもっさり感かんは安全あんぜん運転うんてんには向むいているが、運転うんてんが楽たのしいとは思おもいにくい。発進はっしん加速かそくを改善かいぜんするためにギアを積つんだりしているが、それこそ最初さいしょからMTにしておけばよいと思おもってしまう。アイドリングストップは、確たしかにガソリン消費しょうひは年とし単位たんいで減へらせるだろうが、そのためのスターターモーター、制御せいぎょ機構きこう、高価こうかな専用せんようバッテリーと、環境かんきょう負荷ふか的てきにもあまり意味いみないんではないかと思おもっている。

今いまのクルマはほとんど漏もれなくCVTとアイドリングストップが付ついてきてしまう。ガソリン車しゃは好すきだが、相対そうたい的てきに自分じぶんの中なかではEVの評価ひょうかが上あがる。なので、ホンダeが発表はっぴょうになったときは、普通ふつうに動力どうりょく性能せいのうやスペックに興味きょうみがいった次第しだいだ。

◆ターンパイクより椿つばきライン

試乗しじょうしたのは「ホンダeアドバンス」という上位じょういグレード。試乗しじょうコースは一般いっぱん道どう、高速こうそく道路どうろ、一般いっぱん道どう渋滞じゅうたいなどなるべく多おおくのパターンを採とり入いれたが、評価ひょうかのメインはワインディングとした。それも整備せいびされたドライブウェイや有料ゆうりょう道路どうろではなくいわゆる峠とうげ道どうだ。選えらんだのは箱根はこね「椿つばきライン」。バイクツーリングの聖地せいち、箱根はこね大観山だいかんやまと湯河原ゆがわら市街しがいとをつなぐ生活せいかつ道路どうろでもある峠とうげ道どう。

トヨタ『スープラ』のようなハイパフォーマンススポーツカーを走はしらせるなら、箱根はこねターンパイクや芦ノ湖あしのこスカイラインのようなワインディングのほうが気持きもちいいと思おもうが、コンパクトなホンダeは、椿つばきラインのようなヘアピンが多おおく直線ちょくせん距離きょりが短みじかいワインディングのほうが得意とくいなのではないかとの予想よそうだ。

走行そうこうモードは当然とうぜんスポーツモードだ。EVの場合ばあい電でん費ひが悪わるくなる以外いがい、パワーにあまり関係かんけいないがエアコンはOFFとした。

椿つばきラインのような直線ちょくせんが短みじかくRがきつい（しかも複ふく合あいコーナーが多おおい）ワインディングでも、非常ひじょうに軽快けいかいに走はしってくれる。短みじかい直線ちょくせんでも十分じゅうぶんに加速かそく感かんが味あじわえ、複ふく合あいコーナーでもなにも考かんがえずにステアリングの切きり足たしで抜ぬけてくれる。個人こじん的てきには、パドルによる回生かいせいブレーキの切きり替かえ（3段階だんかいで強つよさを切きり替かえエンジンブレーキのように使つかえる）をもっと強つよくしてもよいのではないかと思おもったが、リア駆動くどうで回生かいせいブレーキを強つよくすると、簡単かんたんにスピンするようなクルマになってしまうので、これでいいそうだ。

あまりにステアリングなりに曲まがってくれるので、リア駆動くどうであることを忘わすれるくらいだ。動うごきがシャープなのはいいが、半面はんめん怖こわい部分ぶぶんもある。動うごきがクイックで回かい頭あたま性せいがよいというのは、それだけ車両しゃりょうのスタビリティは低ひくいともいえる。ボディが小ちいさいので、路面ろめんのうねりやギャップをダイレクトに拾ひろう。気きを抜ぬいた運転うんてんはできないが、それこそクルマを操縦そうじゅうしている感覚かんかくでもある。椿つばきラインは下くだりと登のぼりと一いち往復おうふくしたが、ホンダeは、ヒルダウン、ヒルクライムともに軽快けいかいな動うごきをみせてくれた。

◆充電じゅうでんの手間てまを相殺そうさいする運動うんどう性能せいのう

ホンダeは試乗しじょうしたアドバンスモデルで495万まん円えん（車両しゃりょう標準ひょうじゅん価格かかく）する。決けっして安やすいクルマではないが、仮かりに中古ちゅうこで『シビック』や『インテグラ』を買かってきて200万まん、300万まんかけてチューニングしたとしても、おそらくホンダeの運動うんどう性能せいのう、加速かそく性能せいのうは手てに入はいらない。航続こうぞく距離きょりが短みじかいという声こえもあるが、チューニングしたスポーツカーを乗のっている人ひとは、燃費ねんぴがリッターあたり3kmでも5kmでも気きにならないだろう。

充電じゅうでんの手間てまはあるが、ホンダeにはそれを相殺そうさいする走はしりの楽たのしさは確たしかにあった。たとえば、ナンバー付づけのヒルクライム競技きょうぎに持もち込こんだとすると、かなりの手応てごたえを感かんじる運動うんどう性能せいのうだった。EVの出場しゅつじょう規定きていやクラスにもよるが、コーナーが多おおければ上位じょういを狙ねらえるタイムが期待きたいできそうだ。

ホンダeはバッテリーの温度おんど管理かんりも行おこなっている。繰くり返かえしの急速きゅうそく充電じゅうでんや長時間ちょうじかんの高速こうそく走行そうこうでもバッテリーの過熱かねつを気きにする必要ひつようはない。温度おんど管理かんりを行おこなっていない日産にっさん『リーフ』もEVレースにエントリーしているが、バッテリーの性能せいのう維持いじが期待きたいできるホンダeの強つよみだ。

最後さいごに電でん費ひについて情報じょうほうを整理せいりしておく。箱根はこねに登のぼる前まえ（箱根湯本はこねゆもと）で急速きゅうそく充電じゅうでんを行おこない95％ほどに回復かいふくさせた状態じょうたいで、旧きゅう街道かいどうから芦ノ湖あしのこを抜ぬけて大観山だいかんざんに移動いどう。ここで椿つばきラインの往復おうふくを行おこなった。大観山だいかんざんに戻もどってきたときのメーター表示ひょうじで4km/kWh前後ぜんこう。その後ご、箱根はこねを降おりた御殿場ごてんば近辺きんぺんで5km/kWhまで回復かいふく。返却へんきゃく時じは6.3km/kWhだった（平均へいきん的てきなEVの目安めやすは6～7km/kWh）。

移動いどうや普段ふだん使づかいはノーマルモードで、遊あそぶときはスポーツモードでチューニングカー並なみの加速かそくを楽たのしむ。そういう楽たのしみ方かたがあってもよい。