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【ホンダ ヴェゼル 3500km試乗】国産勢にライバルなし!あとは“トラウマ”恐れず十分な生産体制を[後編] | クルマ情報サイトーGAZOO.com

【ホンダ ヴェゼル 3500km試乗しじょう国産こくさんぜいにライバルなし!あとは“トラウマ”おそれず十分じゅうぶん生産せいさん体制たいせいを[後編こうへん

  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaYのフェイス。メッキではなくボディ同色グリルを持つ大人しい顔つき。
ホンダのBセグメント小型こがたSUV、だい2世代せだいヴェゼル』のグラストップ標準ひょうじゅん装備そうびグレード「PLaY」で3500kmあまりツーリングをおこなった。前編ぜんぺん新型しんがたのコンセプトを体現たいげんした「PLaY」は若者わかものニーズをとらえるか』では総論そうろんはしじょう&ADAS(先進せんしん運転うんてん技術ぎじゅつ)、コネクティビティについてべた。後編こうへんではパワートレインかられていこう。

◆「e:HEV」のパフォーマンス
だい2世代せだいヴェゼルのハイブリッドシステムはだい1世代せだいのDCT(デュアルクラッチ変速へんそく)+1モーター「i-DCD」からエンジン+発電はつでん走行そうこうよう電気でんきモーターの2モーターしき「e:HEV」に変更へんこうされた。

ハイブリッドにはエンジンを発電はつでんのみにもちいるシリーズハイブリッド、エンジンパワーを駆動くどう発電はつでんけるコンバインドハイブリッド、スズキのハイブリッドのようにエンジン駆動くどう電気でんきモーターがアシストするパラレルハイブリッドがある。ホンダのe:HEVはエンジンを発電はつでんもちいるシリーズを基本きほんとしつつエンジンで直接ちょくせつ駆動くどうしたほうが効率こうりつがいい場合ばあいはパラレルに移行いこうする、ぞくにシリーズ・パラレルがたばれるもの。特性とくせいとしてはシリーズとコンバインドの中間ちゅうかんといったところである。

エンジン、走行そうこうよう電気でんきモーターの型式けいしきはサブコンパクトクラス『フィット』と同一どういつだが、リチウムイオン電池でんちのセルすうがフィットの48たいして60増強ぞうきょうされており、電気でんきモーターの最高さいこう出力しゅつりょくもフィットの90kW(123ps)にたいして96kW(131ps)と、よりおおきな数値すうちになっている。ホンダのハイブリッドようバッテリーセルはていかく電圧でんあつやく3.7V、容量ようりょう5Aなので、バッテリーパックの容量ようりょうやく1.1kWという計算けいさんになる。

そんなe:HEVのパフォーマンスだが、まずなめらかさ、騒音そうおん振動しんどうなどについてはフル電気でんき駆動くどうになった恩恵おんけいだい1世代せだいとはくらものにならないくらいくなった。バッテリーの電力でんりょくざん十分じゅうぶんときくだざか減速げんそくエネルギー回生かいせいおこなっているときはエンジンは停止ていししており、そのとき静粛せいしゅくせいたかさやほろ振動しんどうすくなさはBEV(バッテリーしき電気でんき自動車じどうしゃ)と同等どうとうである。

になるのはエンジンが発電はつでんおこなうために起動きどうしたときにどうかというてんであろうが、e:HEVが「i-MMD」とばれていた時代じだい、モデルでえば旧型きゅうがた『ステップワゴン』や旧型きゅうがた『アコード』にくらべるとエンジン透過とうかおんがかなりったというのが率直そっちょく感想かんそう。これはたんにエンジンルームと客室きゃくしつあいだ遮音しゃおん頑張がんばったというだけでなく、エンジン回転かいてんすうたかまる頻度ひんど如実にょじつったことが寄与きよしているようにかんじられた。

きゅう世代せだいモデルでヴェゼルに非常ひじょうちかいパワートレインのスペックをち、車両しゃりょう重量じゅうりょう近似きんじしているだい3世代せだい『インサイト』は負荷ふかたかまるのに連動れんどうしてエンジン回転かいてんすうがるという挙動きょどうしめしていた。これには物理ぶつりてき理由りゆうけがある。バッテリーに電気でんきたくわえるには発電はつでんした交流こうりゅう電力でんりょく直流ちょくりゅうに、さらにそれを動力どうりょく使つかうのに直流ちょくりゅうから交流こうりゅう変換へんかんする必要ひつようがあり、そのさいに往復おうふくビンタでエネルギーロスが発生はっせいする。当時とうじのホンダ技術ぎじゅつじんはそのロスをきらい、なるべく交直流ちょくりゅう変換へんかん必要ひつようとならないよう負荷ふかわせてエンジンパワー=発電はつでんりょう精密せいみつ制御せいぎょすることに心血しんけつそそいだ。そのてんおなじシリーズハイブリッドでも電気でんき自動車じどうしゃらしさを重視じゅうしした日産自動車にっさんじどうしゃの「e-POWER」とのおおきなちがいになっていた。

ヴェゼルは一転いってん負荷ふか少々しょうしょうおおきくなったくらいではエンジン回転かいてんたかまらずつねそく運転うんてんたもたれるという、e-POWERりの制御せいぎょになった。このあたらしい制御せいぎょポリシーがパワートレインのスムーズネス向上こうじょう、ノイズ・バイブレーション低減ていげんへの貢献こうけんはかなりたかいようにかんじられた。ヴェゼルPLaYによく似合にあうジェントルフィールとえる。

じつ燃費ねんぴ性能せいのうは2わりアップ!『インサイト』とのちがいは
一方いっぽうでこういう制御せいぎょはバッテリーと駆動くどうシステムあいだ電力でんりょくのやりりがおおくなるぶん、効率こうりつめんでは犠牲ぎせいになる部分ぶぶんてくる。たして実際じっさいはしってみてどうだったか、ツーリングちゅう区間くかん実測じっそく燃費ねんぴ紹介しょうかいしておこう。

1.栃木とちぎ小山こやま岐阜ぎふ垂井たるい(427.1km) 21.4km/リットル
長野ながの塩尻しおじりまでは一般いっぱんどう、その岐阜ぎふまで中央ちゅうおうどう平均へいきん車速しゃそく中高なかだか

2.垂井たるい福岡ふくおか田川たがわ(790.1km) 23.2km/リットル
琵琶湖びわこ沿岸えんがんから若狭湾わかさわん丹後たんご山陰さんいんどう経由けいゆ昼間ひるま走行そうこうおお平均へいきん車速しゃそく中庸ちゅうよう

3.田川たがわ鹿児島かごしま(310.5km) 24.0km/リットル
一般いっぱんどう主体しゅたい平均へいきん車速しゃそくちゅうひく

4、鹿児島かごしまエリア(303.8km) 18.7km/リットル
市街地しがいち5:郊外こうがい2:高速こうそく3の比率ひりつ走行そうこう市街地しがいちのみの推定すいてい燃費ねんぴ16km/リットルきょう

5.鹿児島かごしま福岡ふくおか田川たがわ(303.8km) 23.3km/リットル
高速こうそく主体しゅたいだが大人おとなしいはしり。

6.田川たがわ愛知あいち西尾にしお(888.6km) 23.7km/リットル
山陰さんいんどう北陸ほくりくどう名神めいしん高速こうそくなどをぎ。平均へいきん車速しゃそく中高なかだか

7.西尾にしお静岡しずおか沼津ぬまづ(207.1km) 26.9km/リットル
国道こくどうバイパス主体しゅたい。エンジン直結ちょっけつ状態じょうたいをなるべく維持いじさせるなどエコにくばって走行そうこう

8.沼津ぬまづ東京とうきょう世田谷せたがや(111.5kmきろめーとる) 20.1km/リットル
新東名しんとうなおよび東名とうめい高速こうそく御殿場ごてんばえ。高速こうそく区間くかん平均へいきん車速しゃそくやく100km/h。

全体ぜんたいてき印象いんしょうだが、以前いぜんくらべて運転うんてん仕方しかたによる燃費ねんぴ上下じょうげれが以前いぜんくらべてちいさくなり、ドライバーの運転うんてん技量ぎりょうへの依存いぞんはかなり低下ていかした。テキトーな運転うんてんをしていてもバッテリーがバッファとなり、運転うんてんにおけるさまざまなブレがこす効率こうりつ低下ていか吸収きゅうしゅうしてくれるというかんじである。半面はんめん発電はつでんした電力でんりょくせい使つかうことが効率こうりつてきには有利ゆうりということがわかっているユーザーにとってはシステムがはん強制きょうせいてきにエネルギー需要じゅよう平準へいじゅんさせるのにあしられ、むかしのシステムにくらべてこう燃費ねんぴたたしにくくなったという側面そくめんもあった。

きゅう世代せだいモデルとの比較ひかくだが、だい1世代せだいヴェゼルのi-DCDモデルには完勝かんしょう過去かこのロングドライブ経験けいけんにかんがみて、おなじような平均へいきん車速しゃそくだとだい2世代せだいのほうが2わり前後ぜんこういい。だい1世代せだいが19km/リットルのところを23km/リットルではしるというイメージである。車両しゃりょう重量じゅうりょう1.4トンじゃくのBセグメントクロスオーバーSUVとしては十分じゅうぶんいとえる数値すうちえよう。

一方いっぽう効率こうりつ重視じゅうし制御せいぎょポリシーをっていただい3世代せだいインサイトと比較ひかくするとすくなからずビハインドがあった。筆者ひっしゃ過去かこにおとどけしたインサイトの4100km試乗しじょうのデータとくらべるとすこけている程度ていどだが、一部いちぶ区間くかんのぞきインサイトのほうがはるかにタフなドライブだったことを考慮こうりょすると、すくなくとも1わり以上いじょうというのが実感じっかんだった。

インサイトはそらりょく特性とくせい非常ひじょうく、そらはしときころがり抵抗ていこうがきわめてちいさいというてんでそもそもヴェゼルより優位ゆういなのだが、それを勘案かんあんしても若干じゃっかんおおきい。インサイトは後期こうきがたへのチェンジにエンジンルームからの遮音しゃおん強化きょうかされたのかノイズが激減げきげんし、エンジン回転かいてん上昇じょうしょうがまったくにならなくなった。パワートレインのきというてんではヴェゼルがまさるが、燃費ねんぴふくめたパフォーマンスと快適かいてきせいのバランスてきには後期こうきがたインサイトくらいがベストだったのではないかとおもったのもたしかである。

先代せんだいとはもはやキャラクターがちが
最後さいご動力どうりょく性能せいのうだが、合法ごうほうてき計測けいそく可能かのう場所ばしょでの一発いっぱつ勝負しょうぶられたGPS計測けいそく使用しようしての0-100km/h(メーターみ105km/h)加速かそくタイムは10びょう3。電気でんきモーターの出力しゅつりょく車両しゃりょう重量じゅうりょうがほぼおなだい3世代せだいインサイトにくらべてちょうど2びょうおくれである。が、実際じっさいのドライブではどんあしという印象いんしょうけなかった。

登坂とさか車線しゃせんでのしなどでははねのように軽々かるがる加速かそくして一気呵成いっきかせいにパスすることができるし、車線しゃせんあいだ速度そくどおおきい新東名しんとうな車線しゃせん変更へんこうもノーストレスだった。インサイトとくらべてとくにおおきくけていたのは0-50km/hのし。スポーツモードでもパワーのがりがマイルドなのがタイムがなかった要因よういんであろう。

だい1世代せだいヴェゼルとの比較ひかくでは、もはやキャラクターがちがうというくらいのがあった。これは0-100km/h加速かそくが7びょうだい前半ぜんはんという、デュアルクラッチハイブリッド+こう出力しゅつりょくがた1.5リットルDOHCのわせによるはやさが反則はんそくてきだったとったほうがいいかもしれない。

i-DCDはバグをれないまま発売はつばい強行きょうこうし、度重たびかさなるリコールをすハメにおちいったというだい失態しったい記憶きおくのこるが、燃費ねんぴとパワーの両立りょうりつ、そしてスムーズさにはけるものの変速へんそくフィールは要素ようそになるくらいあじ抜群ばつぐんという、じつにホンダらしいハイブリッドパワートレインだった。個人こじんてきにはあれが本格ほんかくてき技術ぎじゅつてき熟成じゅくせいをみることなく1世代せだいかぎりでえてしまったのは少々しょうしょう残念ざんねん

もちろん時代じだいぎゃくにはすすまないので、かくなるうえはいまのe:HEVをのうない麻薬まやく分泌ぶんぴつさせるくらいのレベルに熟成じゅくせいさせていただきたいものだ。i-MMDモデル時代じだい十分じゅうぶんはやかったのだし、現行げんこう『シビック』のシリーズハイブリッドは爽快そうかいかんてんではもうぶんなかったので、さらなる熟成じゅくせい期待きたいしたい。

絶対ぜったいてきひろさと圧迫あっぱくかんすくないインテリア
このところ車内しゃない居心地いごこちさの追求ついきゅう急激きゅうげきかじったかんがあるホンダだが、ヴェゼルも居住きょじゅう絶対ぜったいてきひろさと圧迫あっぱくかんすくないインテリアデザインをつ。それにくわえてアイボリーカラーのインテリアマテリアルと広大こうだい面積めんせきのグラストップが装備そうびされたPLaYは、だい2世代せだいヴェゼルのラインナップのなかでヴェゼルらしさがもっと色濃いろこいグレードだとつよかんじた。

まずは乗降じょうこうせい。この部分ぶぶんのグレードとわらない。ルーフだかだい1世代せだいよりひくくなったにもかかわらずぜんせきこうせきとも相当そうとう改善かいぜんされた。とくにくなったのはぜんせきだい1世代せだいはピラーの傾斜けいしゃやカーブがきつかったためあたまとピラーが干渉かんしょうする傾向けいこう顕著けんちょだったが、だい2世代せだいむときのあたまのポジションがルーフの水平すいへい部分ぶぶんとなるため干渉かんしょう大幅おおはばった。こうせきもドア開口かいこうじょうはしのちかたぶけゆるくなったことで、大人おとなでもあたまをくぐらせるようにまずにすむようになった。

車内しゃないひろさや眺望ちょうぼう基本きほんてきにはグレードとおなじ。優秀ゆうしゅうなのはこうせきのレッグスペースで、Dセグメントセダンに比肩ひけんするひろさ。またこうせきまどガラスの上下じょうげはばがパセンジャーのアイポイント付近ふきんまでしっかり確保かくほされているので圧迫あっぱくかんすくなく、車内しゃない騒音そうおんがCピラーに反射はんしゃしてみみはいるといったクーペSUVにありがちな不快ふかいかん皆無かいむだった。

サイドウインドウグラフィックは水平すいへい基調きちょう台形だいけいへとだい1世代せだいからおおきくわったが、車内しゃないの閉所かん緩和かんわするための機能きのう追求ついきゅうがたデザインとえる。ちなみに欧州おうしゅう市場いちばではバックドアやこうせきドアのしょくティンテッドガラスはオプションあつかい。全面ぜんめん淡色たんしょくガラスだとさらに雰囲気ふんいきちがってくるのだろうな、などという想像そうぞうあたまをよぎった。

ぜんせき圧迫あっぱくかんちいさく、居住きょじゅうかん非常ひじょうかった。メータークラスタこそ同社どうしゃのBセグメント乗用車じょうようしゃフィットのようなパッドディスプレイではなく一般いっぱんてきメーターしきだが、ダッシュボード全体ぜんたいはフィット、シビックと同様どうようひくくデザインされており、開放かいほうかんげるのにおおいに寄与きよしていた。

あかるく開放かいほうてきである、という個性こせい
そんなヴェゼルの車内しゃない開放かいほうかん倍増ばいぞうさせていたのが、PLaYのアイボリー基調きちょうのトリムと広大こうだいなグラストップである。ホンダは北米ほくべい市場いちばつよいということで、伝統でんとうてき同地どうち人気にんきたかあかるいいろのインテリアづくりを得意とくいとしていた。ヴェゼルPLaYのインテリアカラーもアメリカばんのシビックやインサイトなどで多用たようされていたものだ。日本にっぽん仕様しようのPLaYはルーフやピラーのトリムがくろだが、アイボリーインテリアを欧州おうしゅう仕様しよう最高さいこうグレードはそこもアイボリーなので、それにくらべるとまだささやかなほうである。

この明色めいしょく室内しつないマテリアルはそとからはいってきたひかり反射はんしゃするので室内しつないあかるくするのにきわめて効果こうかてきで、空間くうかんひろかんじさせた。住宅じゅうたくでも壁紙かべがみ録音ろくおんスタジオのようにくろにするかリビングのようにしろにするかであかるさや圧迫あっぱくかん全然ぜんぜんちがってくるもの。くるまいえちがって車内しゃないくらいほうがいいという意見いけんおおいであろうが、現在げんざい日本にっぽん販売はんばいされているSUVをると高級こうきゅうクラスをのぞ国産こくさんしゃ輸入ゆにゅうしゃわずくらなインテリアばかりで、あかるい車内しゃないきだというユーザーのニーズはほとんど無視むしされている。ヴェゼルPLaYのインテリアはそんなトレンドのぎゃくくニッチ志向しこうだが、ねらいとしてはなかなかいのではないかとおもわれた。

もういちてん特徴とくちょうであるグラストップも開放かいほうかんたかめるのにこのうえなく寄与きよしていた。スライディング機構きこうたない固定こていしきで、直射ちょくしゃ日光にっこう強烈きょうれつすぎるときにひかり遮断しゃだんするサンシェードもぜんせき手動しゅどうスライド、こうせきはデタッチャブルで使つかわないときはふくろれてしついておくという原始げんしてきなものだが、クルマは採光さいこうせいたかいほうがいいというユーザーにとってはうれしい装備そうびであることにわりはない。なお、気温きおんが30そら快晴かいせいというなか海岸かいがん沿いをはしるシチュエーションもあったが、グラストップのガラスには熱線ねっせん吸収きゅうしゅう紫外線しがいせん遮断しゃだんなどのスペックがかなりたかいものが使つかわれているようで、あつかったりジリジリかれたりという不快ふかいかんはきわめてちいさかった。

しつ使つか勝手がって退歩たいほした…?
オーディオはヴェゼルのぜんグレードのなかもっと充実じゅうじつしている。標準ひょうじゅんでも8スピーカー仕様しようで、さらにオプションとして10スピーカーのプレミアムオーディオも用意よういされる。ロードテストしゃ後者こうしゃのプレミアムオーディオが搭載とうさいされていたが、非常ひじょうにヌケのさわやかなサウンドで、Spotifyのストリーミング再生さいせいくらいのレベルでは文句もんくのつけどころがないというかんじだった。少々しょうしょう音量おんりょうげても内装ないそうがビリついたりしないのもこう印象いんしょうで、内装ないそう開発かいはつにおいてオーディオ部隊ぶたい相当そうとう頑張がんばったという痕跡こんせきがありありとうかがえた。

最後さいごしつだが、ここはだい1世代せだいからいささか退歩たいほした。だい1世代せだい詳細しょうさい部分ぶぶん設計せっけいめにめてスクエアスペースを基本きほんにデッドになりそうなところも実際じっさい活用かつようできるようスペースするという見事みごとしつ実現じつげんさせていた。だい2世代せだいしつへのボディパーツのしを削減さくげんしてスクエアスペースを確保かくほするというコンセプト自体じたいわっていないが、よこ方向ほうこうちょうしゃくぶつめるようなスペースがなくなり、ユーザーが知恵ちえ使つかって使つかたおすようなたのしみはうすれた。

また奥行おくゆきがあさくなったことで旅行りょこうようトランクの収容しゅうようりょくだい1世代せだいちた。このあたりはしつ居住きょじゅうのバランスがたから居住きょじゅう重視じゅうしがたへのコンセプトチェンジも影響えいきょうしているものとかんがえられた。ないものねだりとしてはこうせきにスライド機構きこうがあればCセグメントステーションワゴンのような使つかかたもできるのにとおもったが、日本にっぽんではSUVに荷物にもつ満載まんさいしてヴァカンスにかけるというライフスタイルは一般いっぱんてきではないので乗員じょういん重視じゅうし判断はんだんおおいにありだし、BセグメントSUVのライバル比較ひかくではこれでも十分じゅうぶんひろ部類ぶるいであることをかんがえれば、おおくのユーザーにとってネガティブファクターにはならないだろう。

◆なぜ「PlaY」の生産せいさん計画けいかくあやまったのか
スポーティなクーペルックSUVを身上しんじょうとしていただい1世代せだいから心地ここちさをりとする小型こがたSUVへとおおきなキャラクターチェンジをおこなっただい2世代せだいヴェゼル。PLaYはシリーズのなかでその特徴とくちょうもっと濃密のうみつ享受きょうじゅできるというてんで、大変たいへん魅力みりょくてきなグレードというのが試乗しじょうえての実感じっかんだった。とくに建築けんちく技術ぎじゅつ発達はったつ室内しつないあかるいいえそだった比較的ひかくてきわか世代せだいにとって、あかるくルーミーなインテリアはおおいにポジティブにかんじられることだろう。のグレードもそれぞれにさをってはいるのだが、PLaYはハッキリって別物べつもの個人こじんてきには断然だんぜんPLaYしである。

ところがこのPLaY、2021ねん発売はつばいからいくばくもたないうちに受注じゅちゅう停止ていし。2022ねん期間きかん限定げんてい受注じゅちゅう再開さいかいしたが、そのふたたび長期間ちょうきかんオーダーをけてないという状況じょうきょうつづいている。理由りゆうはホンダの想定そうていとは裏腹うらはら発売はつばい注文ちゅうもんがPLaYに集中しゅうちゅうし、あっという生産せいさん計画けいかくをオーバーフローしてしまったからだという。現在げんざいはZグレードが圧倒あっとう多数たすうだが、そのなかにはPLaYを注文ちゅうもんすることができないため次善じぜんさくとしてZをえらんだ顧客こきゃく相当そうとうすういるものとおもわれる。

PLaYはだい2世代せだいヴェゼルのラインナップのなかもっと価格かかくたかく、かつAWD(4りん駆動くどう)がえらべないなど、ホンダとしてはあそびゴコロをしたグレードも用意よういしておくかという程度ていど気持きもちだったことは容易よういさっしがつく。が、はじけた仕様しようであるPLaYこそベストセレクションという今回こんかいのテストドライブの実感じっかんらしわせれば、PLaYに殺到さっとうしたユーザーの気持きもちは十分じゅうぶん理解りかいできる。

ホンダがPLaYの比率ひりつひく見積みつもったのは、過去かこのグラストップモデルが連戦れんせん連敗れんぱいだったことと無関係むかんけいではあるまい。ホンダのグラストップづくりの歴史れきしながく、ふるくは昭和しょうわ時代じだい小型こがたスポーティモデルのだい2世代せだい『“サイバースポーツ”CR-X』にグラストップ仕様しよう設定せってい平成へいせいにはグラストップをおおきなウリにしようとこころみたこともあり、サブコンパクト乗用車じょうようしゃだい2世代せだい『フィット』、ミニワゴンの『エアウェイブ』や『フィットシャトル』などに続々ぞくぞくとグラストップがオプション設定せっていされた。が、この平成へいせいのチャレンジはうまくいかず、グラストップモデルの装着そうちゃく比率ひりつ低迷ていめい。その、このヴェゼルPLaYまでながいブランクができた。

そんな状況じょうきょうをみると、ホンダにとってグラストップが一種いっしゅのトラウマになってしまったのも無理むりからぬところはある。が、「流行りゅうこうなど文字通もじどおながれていく」という岡本おかもと太郎たろう画伯がはく言葉ことばどおり、トレンドなどというものはつねうごくもの。過去かこにダメだったからといって、現在げんざい未来みらいもダメと確定かくていしたわけでもなんでもない。

つくしゅは“本当ほんとう気持きもいコンパクトSUVはこういうヤツ”という信念しんねんってPLaYをつくったことはロングドライブでけた印象いんしょうからもまず間違まちがいないとおもう。ならば「お値段ねだんたかいですが、これがヴェゼルでやりたかったことなんですよ」と、PR、生産せいさん計画けいかく両面りょうめんでもっと前面ぜんめんしてもよかった。さすればだい2世代せだいヴェゼルのイメージづくりもまた一味いちみちがってきたのではなかろうか。ホンダがいまやるべきことはつくりやすいグレードに誘導ゆうどうすることではなく、PLaYを選択せんたくしたい顧客こきゃく注文ちゅうもんこたえられるよう生産せいさん体制たいせいをしっかりることだ。

国産こくさんぜいにライバルなし
最後さいごにライバルこう。PLaYにかぎってえば、仕様しようてき国産こくさんぜい目立めだったライバルはいない。グラストップ装備そうび居住きょじゅうしつのバランス、ボディサイズの3てんからこう勝負しょうぶとなりそうなのはふつプジョーの小型こがたSUV『2008』だ。ホイールベースはまったくおなじ2610mmで、全長ぜんちょうもヴェゼルPLaYが4330mm、2008が4305mmとほぼおなじ。2008はバッテリーしき電気でんき自動車じどうしゃ(BEV)と内燃ないねん機関きかんしゃのみでハイブリッドがないが、内燃ないねん機関きかんモデルに1.5リットルターボディーゼル「HDi」があるので、それがもっとつよ競合きょうごうするだろう。

PLaYのアドバンテージはあかるい内装ないそう、グラストップの面積めんせき圧倒的あっとうてきのちせきひろさ、静粛せいしゅくせいなど。2008HDiの利点りてんはグラストップが開閉かいへい可能かのうなこと、しつ奥行おくゆき、ハーシュネス(路面ろめんのザラザラかん)カット、ぜんこうふるいタイプの立体りったい駐車ちゅうしゃじょうにもれられる1550mmといったところ。

はしったシーンがちがうので直接ちょくせつ比較ひかくはできないが、燃費ねんぴのイメージは市街地しがいちではヴェゼルがち、ちゅうそくでは互角ごかく高速こうそくでは2008が有利ゆうりおなじ1リットルの燃料ねんりょうでも軽油けいゆはガソリンより多量たりょうのCO2をすこともあってCO2排出はいしゅつりょうではヴェゼルが圧勝あっしょうする半面はんめん燃料ねんりょうコストでは軽油けいゆとガソリンの価格かかくもあって2008が有利ゆうりか。

  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaYのフェイス。メッキではなくボディ同色グリルを持つ大人しい顔つき。
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaYのフロントビュー。カルスト地形で知られる北九州の高原、平尾台にて。
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaYのリアビュー。山口の山間部、安徳天皇陵にて。
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaYのサイドビュー。後方にキックアップするようなクーペSUV的デザインだった旧型から一転、水平基調に。
  • ドア全開の図。Aピラーの傾斜や後席ルーフ部の下がりが弱められ、乗降性は大きく改善された。
  • アイボリートリムは室内をガラリと明るく変える。身体が常時当たる部分を濃色にするなど汚れが目立たないための配慮も。
  • ダッシュボードの上面を削いで圧迫感を緩和するのは最近のホンダ車に共通して見られる傾向。気分的に結構違うものだ。
  • 結晶塗装が施されたシフトレバーまわり。
  • Aピラーには高音再生のためのツイーターが仕込まれている。
  • ダッシュボード中央にもスピーカーが配置される。音場的にはFOCALっぽい気もしたが、共同開発会社は不明。
  • スピードメーターはコンベンショナルな二眼式。
  • コネクティビティサービス、ホンダコネクトの車内Wi-Fi画面。
  • Wi-Fiのデータ通信枠はオンラインで購入可能。いっぺんにたくさん買うと単価が安くなるというわけではないので1GB刻みで買うのが基本となろう。
  • スマホがクルマのキーになる。便利なのはショッピングモールの広大かつ入り組んだ駐車場でクルマを探し出す機能。
  • 後席はBセグメントSUV随一の広さで、Cセグメントにまぜてもアベレージ以上という水準だった。
  • リアドアの開閉がピラーハンドルなのは第1世代モデルからの踏襲。
  • 後席が広大になったぶん、荷室は若干割を食って奥行きの余裕が減少。ただし容量は標準以上はある。
  • リアシートバックを倒した時に荷室の床が完全フラットになるのは第2世代の美点のひとつ。
  • 1.5リットルミラーサイクル+2モーター式のハイブリッド「e:HEV」が詰まったエンジンベイ。
  • ストラットタワーのトップは非常に高い位置にあり、サスペンションストローク拡大への腐心ぶりがうかがえる。
  • 日本有数のエアロスペースミュージアム、岐阜かがみがはら航空宇宙博物館に寄り道。
  • 川崎重工・三式戦闘機「飛燕」。以前は鹿児島・知覧特攻平和会館にあったが、川崎重工が創業120周年事業の一環として岐阜で静態復元を行い、現在に至る。
  • 展示機は多数。短距離離着陸機の実験機「飛鳥」も。
  • 宇宙ロケットの父、コンスタンティン・ツィオルコフスキー氏のパネルも。
  • ロケットモーター。ホンダの三部敏宏社長は宇宙開発をやると宣言した。この世界に行けるか要注目。
  • 山口・須佐にて記念撮影。とくに晴れた日のドライブが実に気分の良いクルマだった。
  • たまたま第1世代ヴェゼルと隣り合わせに。雰囲気がかなり異なることがわかる。
  • 山口・油谷湾にて記念撮影。光の当たり方によって軟質にも硬質にも感じられるボディの面処理だった。
  • 225/50R18サイズのミシュラン「プライマシー4」を履く。ホイール重量にサスペンションが若干負け気味な感触もあった。
  • 山口・三見付近の県道を行く。結構な隘路だった。
  • 全幅1790mmと、軽自動車より30cmほどワイドな車体だが、ボンネットの見切りの良さに助けられて隘路もわりと気楽に走れた。
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaY
  • ホンダ ヴェゼル e:HEV PLaY

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