【ホンダ アコード 新型しんがた試乗しじょう】「クルマの基本きほん型がたはセダンである」ことを改あらためて確認かくにんした…諸星もろぼし陽一よういち

フルモデルチェンジし11代目だいめとなったホンダ『アコード』。モデルチェンジを重かさねるにしたがって車くるま格かくを上あげてきたホンダのセダンに試乗しじょうした。

初代しょだいアコードは1976年ねんのデビュー。いまでこそアコードといえば4ドアセダンが基本きほん型がただと思おもわれているが、初代しょだいは3ドアハッチバックからのスタートだった。アコードにセダンが登場とうじょうしたのは翌よく1977年ねんのこと。当時とうじはアコードがホンダ車しゃのなかでもっとも上位じょういに位置いちするモデルであった。

1981年ねんにフルモデルチェンジを迎むかえ2代目だいめとなると姉妹しまい車しゃとして『ビガー』が設定せっていされる。ビガーはアコードよりも上うえのモデルに位置いちづけられ、アコードのフラッグシップ時代じだいは終了しゅうりょう。以降いこう『レジェンド』の登場とうじょうなどもあり、アコードはホンダの上うえから2番目ばんめのクルマとして存在そんざいしていたが、2022年ねんにレジェンドが姿すがたを消けし、ふたたびフラッグシップとなった。

2023年ねんにフルモデルチェンジ（北米ほくべい、日本にっぽんでは2024年ねん発表はっぴょう）となったアコードは、名実めいじつともにホンダのフラッグシップとして返かえり咲ざいたこととなる。

◆プラットフォームを踏襲とうしゅうしアップデートした新型しんがた
新型しんがたアコードは先代せんだいモデルのプラットフォームを踏襲とうしゅうしつつ改良かいりょう。ボディサイズは全長ぜんちょうが75mm延長えんちょうされて4975mm、全幅ぜんぷくは先代せんだいと変かわらず1860mm、全ぜん高こうも変かわらず1450mmとなっている。ホイールベースも先代せんだいと同どう寸すんの2830mmなので、オーバーハング要素ようそが延長えんちょうされたというわけだ。

搭載とうさいされるパワーユニットは2リットルガソリンエンジンとモーターを組くみ合あわせたハイブリッド（e:HEV）で、先代せんだいよりも2馬力ばりき／7Nmほどスペックを向上こうじょうさせている。モーターは先代せんだい同様どうようの135馬力ばりきだが、トルクは20Nm増ふえ335Nmとなっている。

通常つうじょうの走行そうこうはエンジンを停止ていししたEVモードなのでじつにスムーズで静粛せいしゅく性せいも高たかい。発進はっしんの加速かそく感かんもEVのようにグッと押おし出だされる感かんじで力強ちからづよい。バッテリーの容量ようりょうが足たりない場合ばあいはエンジンが始動しどうしてシリーズハイブリッド状態じょうたいとなるが、エンジンの静粛せいしゅく性せいも高たかく、上手じょうずにエンジンの存在そんざい感かんをなくしている感かんじだ。

一方いっぽうで高速こうそく道路どうろなどではエンジンが直接ちょくせつタイヤを駆動くどうするという方式ほうしきになる。エンジン走行そうこうしている際さいも静粛せいしゅく性せいは高たかい。アクセルをグッと踏ふみ込こむとモーターアシストも行おこなわれ、さらに強つよい加速かそくを得えられる。

◆車くるま格かくを考かんがえると乗のり味あじはちょっと硬かたい？
走行そうこうモードはスポーツ、ノーマル、コンフォート、E-CON、インデビディアルの5種しゅ。走行そうこう中ちゅうにステアリングコラムを操作そうさすると減速げんそく度どの調整ちょうせいが可能かのうだ。感覚かんかく的てきにはEVの回生かいせいブレーキの強つよさを調整ちょうせいするようなもの。先代せんだいでは4段階だんかいだったが新型しんがたでは6段階だんかいとより細こまかい調整ちょうせいが可能かのうで、ワンペダルドライブのようなアクセル操作そうさも可能かのうとなっている。

従来じゅうらいは減速げんそく度どの固定こていがスポーツモードでのみ可能かのうだったが、新型しんがたではスポーツモード以外いがいでもマイナス側がわパドルを長引ながびきすることで固定こていモードに移行いこうできるようになった。これによりワンペダルドライブがあらゆるモードで可能かのうになったというわけだ。

乗のり出だし時とき、走行そうこうモードはノーマルであったが、アコードという車くるま格かくを考かんがえるとちょっと乗のり味あじが硬かたいという印象いんしょう。モードをコンフォートに切きり替かえると乗のり味あじはソフトになり快適かいてきであった。路面ろめん状況じょうきょうにもよるが、整備せいびの行いき届とどいていない荒あれた路面ろめんの際さい（というのも試乗しじょう会場かいじょうの駐車ちゅうしゃ場じょう路面ろめんはあまりいいものではなかった）はコンフォートモードがいいだろう。

というのもコンフォートモードにしたからといって、ハンドリングがプアになるということもないのだ。その下した支ささえとなっているのがタイヤだ。新型しんがたアコードはミシュランのe・プライマシーを履はく。低てい燃費ねんぴ性能せいのうや静粛せいしゅく性せいに重おもきを置おいたタイヤなので基本きほんは硬かためだが、グリップのよさも確保かくほされている。

◆クルマの基本きほん型がたはセダンである
アコードはリヤのオーバーハングがキッチリとある正統せいとう派はセダンのパッケージングなので、トランク容量ようりょうも多おおい。数値すうち的てきには先代せんだい同様どうようの570リットルで、ゴルフバッグ4個この搭載とうさいも可能かのうだ。コンパクトSUV『WRV』の定員ていいん乗車じょうしゃ時じラゲッジ容量ようりょうが458リットルなので100リットル以上いじょう多おおいことになる。

リヤシートの居住きょじゅう性せいも十分じゅうぶんに満足まんぞくのいくもので、クルマの基本きほん型がたはセダンであることを改あらためて確認かくにんできた試乗しじょうであった。

■5つ星ほし評価ひょうか
パッケージング：★★★★★
インテリア／居住きょじゅう性せい：★★★★★
パワーソース：★★★★
フットワーク：★★★★
オススメ度ど：★★★★

諸星もろぼし陽一よういち｜モータージャーナリスト
自動車じどうしゃ雑誌ざっしの編集へんしゅう部員ぶいんを経へて、23歳さいでフリーランスのジャーナリストとなる。20歳さい代だい後半こうはんからは、富士ふじフレッシュマンレースなどに7年間ねんかん参戦さんせん。サーキットでは写真しゃしん撮影さつえいも行おこなう、フォトジャーナリストとして活動かつどう中ちゅう。趣味しゅみは料理りょうり。