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【試乗記】ホンダWR-V Z+(FF/CVT) | クルマ情報サイトーGAZOO.com

試乗しじょう】ホンダWR-V Z+(FF/CVT)

  • ホンダWR-V Z+(FF/CVT)

    ホンダWR-V Z+(FF/CVT)

クリエイティブ・ムーバーの最新さいしんがた

ホンダあらたなコンパクトSUV「WR-V」がついに発売はつばいみょう角張かくばったスタイリングもさることながら、てい価格かかくりにしているところもホンダとしてはめずらしいタイプだ。はるばるインドからどんぶらこどんぶらことはこばれてくるニューフェイスの実力じつりょくためす。

価格かかくコンシャスなSUV

抽選ちゅうせんてられたWR-Vは「Z+」だった。最上級さいじょうきゅうグレードである。本来ほんらいならばくじうんつよいとよろこぶべきなのだろうが、今回こんかいばかりはハズレとかんじてしまった。ホンダがSUVラインナップに投入とうにゅうするWR-Vは、価格かかくコンシャスなモデルである。「ヴェゼル」とほぼおなじサイズでやすいことがおおきなウリなのだ。できればスタンダードタイプの「X」にりたかった。

価格かかくおさえることができたのにはいくつか理由りゆうがある。パワートレインは1.5リッター自然しぜん吸気きゅうきちょく4エンジンにCVTのわせのみ。ハイブリッドは採用さいようされず、駆動くどう方式ほうしきはFFで4WDの設定せっていはない。とく目新めあたらしい技術ぎじゅつまれておらず、道具どうぐらしきものは見当みあたらない。オーソドックスな仕立したてのベーシックなモデルである。ならば魅力みりょくがないのかというとそうではないのが面白おもしろいところである。スティーブ・ジョブズをすまでもなく、すぐれた製品せいひん必要ひつようなのはなによりもビジョンなのだ。

四角張しかくばったマッチョなフォルムが新鮮しんせんである。そうかんじてしまったのだが、よくかんがえればへんはなしだ。SUVはもともとあく走破そうはせいたかめるために筋骨きんこつ隆々りゅうりゅうのたくましいボディーをそなえているのが当然とうぜんだった。荒野あらのけるクロスカントリーという出自しゅつじからはなれ、昨今さっこんでは都会とかいSUVという語義ごぎ矛盾むじゅん横行おうこうしている。洗練せんれん高級こうきゅうかんて、すっかりオシャレさんになってしまったのだ。イケメンがモテるのは当然とうぜんなのだろうが、どろにまみれていたむかしなつかしくおもっていたユーザーもいるはずである。

WR-Vはたけほねともいえるいかつい肢体したいかくそうともしない。こんなにたか位置いちにあるフロントフードをひさしぶりにがする。ったグリルで分厚ぶあついフロントセクションを構成こうせいしているが、なかるとスカスカだったのであきらかにデザインとしてこのかたちになっている。クーペスタイルのSUVがたりまえになっているなかで、こういうタフな形状けいじょうまもるメーカーの代表だいひょうかく三菱みつびしだろう。WR-Vのスタイルを説明せつめいするのにホンダは“ラギッド”という言葉ことば使つかっていて、これは三菱みつびしでよく形容けいようである。

こうせきはおもてなし空間くうかん

運転うんてんせきからまえると、ボンネットがよくえる。りょうはしふくらみがあり、ぜんはし部分ぶぶん把握はあくしやすい。たか視点してんから見下みおろすSUVの利点りてんかされている。なんとなくすんでかんがあるとおもったら、初代しょだい「ポルシェ・カイエン」にったときの記憶きおくがよみがえったのだった。くるまはばかりやすいうえに最小さいしょう回転かいてん半径はんけいは5.2mなので、せまみちでもまわしはらくである。

車内しゃないのしつらえはきわめてビジネスライクで、はなやかさとは無縁むえん新奇しんき意匠いしょうはなく、ダッシュボードもシートも色気いろけのないくろ一色いっしょくである。硬質こうしつ素材そざい多用たようされていて、ソフトパッドはドアトリムの一部いちぶ採用さいようされているだけ。センターコンソールは最近さいきんではあまりなくなった仕立したてだ。おおきなシフトセレクターとサイドブレーキレバーが鎮座ちんざしている。電子でんししきのパーキングブレーキが普通ふつうになっているいまでは、ちょっとなつかしい感覚かんかくである。

WR-Vの最大さいだい美点びてんは、ボディーの後部こうぶにある。角張かくばったフォルムのおかげもあって、こうせきのスペースはひろい。ヴェゼルにたいしてあきらかなアドバンテージだ。しかも、独立どくりつしたエアコンくちもうけられているのがうれしい。このクラスとしてはぜいたくな装備そうびである。WR-Vの工場こうじょうはインドにあり、販売はんばいもされる。現地げんちのホンダしゃではWR-Vが価格かかくおおきさもトップで、ショーファードリブンカーの需要じゅようもあるという。こうせきがおもてなし空間くうかんになっているのは当然とうぜんなのだ。

しつひろい。こちらもヴェゼルをはるかに上回うわまわっている。容量ようりょう458リッターはクラストップレベルだそうで、収納しゅうのうりょくこうそうだ。6:4分割ぶんかつしきのリアシートをたおせばもっと積載せきさいりょうえるが、残念ざんねんながらゆかめんはフラットにはならない。

平凡へいぼんはメリットとなる

エンジンは電気でんきてきなサポートがあたえられていないもとのままである。最高さいこう出力しゅつりょく118PS、最大さいだいトルク142N・mで、いわゆる“必要ひつようにして十分じゅうぶん”というタイプだ。めるような加速かそくりょく期待きたいするのは無理むりで、アクセルをんでいくと事務じむてきにソツなくスピードをしていく。CVTにはステップアップ制御せいぎょの「G-デザインシフト」がもちいられているというが、ラバーバンドフィールが皆無かいむというわけではない。

きゅう加速かそくすると、車内しゃないにはにぎやかなおとがあふれる。エンジン回転かいてんすう上昇じょうしょうにつれて騒音そうおんばくがりだ。まどガラスはうすいしコストのかかる遮音しゃおんちからそそぐのはむずかしかったようだが、ものなどでまちりするぶんにはさしたる問題もんだいはない。アイドリングストップ機能きのうはないので、燃費ねんぴは16.2km/リッター(WLTCモード)と平凡へいぼん数字すうじにとどまる。

先進せんしん運転うんてん支援しえんシステムの「ホンダセンシング」は、ぜんグレードに標準ひょうじゅん装備そうびされる。衝突しょうとつ被害ひがい軽減けいげんブレーキやあやま発進はっしん抑制よくせい機能きのうなどがそなわり、アダプティブクルーズコントロールも使つかえる。高速こうそく道路どうろ巡航じゅんこう快適かいてきで、静粛せいしゅくせいもまずまず。都内とないでの試乗しじょうだったのでワインディングロードをはしることはできなかったが、それなりのスピードでコーナーに進入しんにゅうしてもあぶなっかしさはなかった。心地ごこちかんしては、これも標準ひょうじゅんてきである。ロールをおさえるためにあしまわりはかためられており、段差だんさえるさい衝撃しょうげきはある程度ていどガマンしなければならない。

というわけで、走行そうこう性能せいのうそうじて平凡へいぼんだ。これは弱点じゃくてんではなく、このクルマにとってはむしろメリットである。突出とっしゅつしたポイントはないが、ネガティブな要素ようそ見当みあたらない。よほどの運転うんてんマニアはともかく、おおくの自動車じどうしゃユーザーは不満ふまん不足ふそくかんじないだろう。ひろそうにアピールするのなら、“もなく不可ふかもなく”はほめ言葉ことばである。自動車じどうしゃ価格かかく高騰こうとうしている現状げんじょうでは、満足まんぞくできる性能せいのう安心あんしんかん担保たんぽしたうえで安価あんか提供ていきょうすることが重要じゅうようなのだ。

「N-BOX」よりやすい!?

この業界ぎょうかいではしんモデルが発売はつばいされたら試乗しじょうかいひらかれるのが通常つうじょうだが、今回こんかいはなぜか時間じかんめてすという方式ほうしき月間げっかん販売はんばい目標もくひょうが200だいの「アコード」は箱根はこね大々的だいだいてき試乗しじょうかいをやったのにひどいあつかいではないかといぶかしんだが、これには理由りゆうがあった。WR-Vの開発かいはつ拠点きょてんはタイなので、ジャーナリストの質問しつもんなどに対応たいおうする開発かいはつチームを日本にっぽんぶのが困難こんなんなのだ。公道こうどうテストはおもにインドでおこなわれており、世界せかいの2だいカレーこくかかわったことになる。

試乗しじょうしゃはオプションをふくめると280まんえんえるが、エントリーグレードのXなら車両しゃりょう本体ほんたい価格かかくは209まん8800えんだ。ホンダのちょう人気にんき軽自動車けいじどうしゃ「N-BOX」の上級じょうきゅうグレードより安価あんかである。N-BOXと比較ひかく検討けんとうするひとはあまりいないはずで、ライバルとなるのはコンパクトSUVということになるだろう。「トヨタ・ロッキー」と「ダイハツ・ライズ」は似通にかよったポジションだが、サイズかんはかなりちがう。ロッキー/ライズの5ナンバーは有利ゆうりてんでもあるが、居住きょじゅうせい積載せきさいせいではWR-Vに圧倒的あっとうてきつよみがある。

ホンダとしては「トヨタ・ヤリス クロス」あたりが直接ちょくせつ競合きょうごうになるとかんがえているらしい。ただ、ヤリス クロスにはハイブリッドも4WDも設定せっていされているが、WR-Vは1.5リッターガソリンエンジンのFFしゃ一本いっぽん勝負しょうぶである。しかも、ひだりハンドルの設定せっていがない。販売はんばいされるのは日本にっぽんとインド、みなみアフリカで、いずれも左側ひだりがわ通行つうこうくになのだ。バリエーションをしぼることは、確実かくじつにコストダウンにつながっている。

はタフなSUVで、最低さいてい地上ちじょうだかは195mm。でも、「トヨタ・ランドクルーザー」や「スズキ・ジムニー」のような本格ほんかくてきなオフロードしゃではなく、実用じつようてきあく走破そうはせいそなえる普通ふつうのクルマだ。うち外装がいそう機能きのう最先端さいせんたんではないが、はやりの“平成へいせいレトロ”風味ふうみ解釈かいしゃくすることもできる。まち志向しこうつよまったことで、SUVも乗用車じょうようしゃてきなスタイルが一般いっぱんてきになった。しかし、だれもが都会とかいてき洗練せんれんもとめているとはかぎらない。がっしりとしたボディーを実用じつようしゃ需要じゅようはあるはずで、WR-Vはホンダがほこる「クリエイティブ・ムーバー」の最新さいしんがたとしてれられそうながする。

ぶん鈴木すずき真人まさと写真しゃしん向後こうご一宏かずひろ編集へんしゅう藤沢ふじさわ まさる

テストしゃのデータ

ホンダWR-V Z+

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4325×1790×1650mm
ホイールベース:2650mm
くるまじゅう:1230kg
駆動くどう方式ほうしき:FF
エンジン:1.5リッターじき4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高さいこう出力しゅつりょく:118PS(87kW)/6600rpm
最大さいだいトルク:142N・m(14.5kgf・m)/4300rpm
タイヤ:(まえ)215/55R17 94V/()215/55R17 94V(ブリヂストン・トランザT005A)
燃費ねんぴ:16.2km/リッター(WLTCモード)
価格かかく:248まん9300えん/テストしゃ=282まん8100えん
オプション装備そうび:ボディーカラー<プラチナホワイトパール>(3まん8500えん) ※以下いか販売はんばいてんオプション フロアカーペットマット(4まん0700えん)/ドライブレコーダー<フロントよう>(3まん7400えん)/9インチHonda CONNECTナビ(20まん2400えん)/ETC2.0車載しゃさい<ナビ連動れんどうタイプ・アンテナ分離ぶんりがた>(1まん9800えん

テストしゃとししき:2024ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:1102km
テスト形態けいたい:ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(--)/高速こうそく道路どうろ(--)/山岳さんがく(--)
テスト距離きょり:--km
使用しよう燃料ねんりょう:--リッター(レギュラーガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:--km/リッター

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