20歳さい初はつ愛車あいしゃでマツダ RX-7を購入こうにゅうした決断けつだんは、「回まわり道みちせず好すきなクルマを買かえ」という助言じょげん

2024.05.29 07:00

マツダ・RX-7(FD3S)

幼少ようしょう期きからクルマが大好だいすきだったというRAYさん。数かずあるスポーツカーの中なかで、マツダのFD3S型がたRX-7に心しんを奪うばわれるキッカケとなったのは、中学生ちゅうがくせいの頃ころにYouTubeでたまたま見みつけたある一本いっぽんの動画どうがだった。

｢ホットバージョンの“峠とうげの魔王まおう決定けってい戦せん”という企画きかくに、藤田ふじたエンジニアリングがチューニングしたシルバーのFD3Sが参戦さんせんしていました。それまでもゲームや漫画まんがでRX-7のことはカッコいいな〜と思おもっていたけど、動画どうがの中なかで独特どくとくのロータリーサウンドを響ひびかせながら落おち葉ばを巻まき上あげ疾走しっそうして行いくFD3Sの姿すがたに完全かんぜんにヤラれちゃいました｣

この動画どうがを見みて以来いらい、FD3Sのことが頭あたまから離はなれず、いつの日ひか必かならず手てに入いれることを決意けついしたRAYさん。当初とうしょは免許めんきょを取得しゅとくした後のち、まずロードスターの安やすい中古ちゅうこ車しゃを探さがし、貯金ちょきんすることとドライビングテクニックの練習れんしゅうを重かさねながらFD3Sの購入こうにゅうを目指めざしていく…そんな計画けいかくを立たてていたという。
しかし、突如とつじょその計画けいかくに変更へんこうが生しょうじ、初はじめての愛車あいしゃとしていきなりFD3Sに乗のることになった。その背景はいけいには、RAYさんより6歳さい年上としうえのお兄にいさんからのアドバイスがあった。

｢兄けいはGC8インプレッサSTiやR33スカイラインGT-R、2ZZエンジン搭載とうさいのカローラランクスなど、色々いろいろなスポーツモデルを乗のり継つぐだけでなくサーキットも走はしっていて、グランツーリスモやニードフォースピードなどのレース系けいのゲームも得意とくいでした。僕ぼくがクルマ好すきになったのは、昔むかしからそんな姿すがたを横よこで眺ながめていたからだと思おもいます。」

「そんな兄あにから『そんなまわり道みちをせず、最初さいしょから一番いちばん欲ほしいヤツに行いけ』とアドバイスをもらったんです。FD3S以外いがいのクルマを買かっても、エンジンや足あしまわりなど物足ものたりない部分ぶぶんに手てを加くわえて行いくうちに、結局けっきょくは第だい一いち候補こうほの車両しゃりょう代だいと変かわらないくらいの費用ひようがかかるから、と。そこから頭あたまを切きり替かえて、フルローンを覚悟かくごしてFD3Sを探さがし始はじめました｣

第だい一いち希望きぼうはFD3S型がた・RX-7の最終さいしゅうモデルである6型がただったが、流通りゅうつう量りょう自体じたいが少すくない上うえ、すでにコレクターズアイテム化かが進すすんでいた影響えいきょうもあり、完全かんぜんに予算よさんオーバー。その後ごも年とし式しきやグレードの条件じょうけんを広ひろげつつ、スマホでFD3Sを探さがし続つづける日々ひびを送おくっていたある日ひ、目めに止とまったのが1996年ねん式しきの4型がたであった。

派手はでなエアロパーツが装着そうちゃくされたブラックの外観がいかんには年とし式しき相応そうおうのヤレ感かんがあったものの、内装ないそうの状態じょうたいは非常ひじょうに良好りょうこうで、走行そうこう距離きょりが多おおい中古ちゅうこロータリーエンジン車しゃの泣なきどころとされている圧縮あっしゅくの数値すうちも基準きじゅん値ち以上いじょうだったということも決きめ手てとなり、見学けんがくに行いったその日ひのうちに契約けいやくに。こうしてお兄にいさんの教おしえ(?)に従したがったRAYさんは、弱冠じゃっかんハタチでめでたくFD3Sのオーナーになるという夢ゆめを叶かなえることとなった。

｢自分じぶん的てきにはチョットいきなりすぎる気きもしたけど、ずっと欲ほしかったクルマですからね。偶然ぐうぜんにも販売はんばい店てんは家いえの近ちかくという縁えんもあったし、コロナ禍かになって中古ちゅうこ車しゃ相場そうばが爆ばく上じょうがりする直前ちょくぜんだったので、ギリギリ予算よさん内ないに収おさめることができたのもラッキーでした。納車のうしゃされてすぐに近ちかくのドライブコースまで走はしりに出でかけた時ときの感激かんげきは、今いまでも忘わすれられません｣

購入こうにゅう当初とうしょはただ手元てもとにFD3Sがあるだけでも幸しあわせだったが、気持きもちが冷静れいせいになるにつれて、次第しだいに“懸案けんあん事項じこう”の幾いくつかが目めにつくようになったという。
特とくに前ぜんオーナーの趣向しゅこうが色濃いろこく残のこされていた外観がいかんは、このクルマの大おおきな魅力みりょくでもあるスタイルの美うつくしさを引ひき立たてているとは思おもえず、まず施ほどこされたのは各部かくぶの『初期しょき化か』だった。

まず、フロントの社外しゃがいエアロパーツを取とり外はずして4型がたの純正じゅんせいバンパーに。リヤももともと装着そうちゃくされていた大型おおがたウイングからRX-7ファンの間あいだでは通称つうしょう“ドルフィンテール”と呼よばれている4型がた用ようのフラットなデザインに変更へんこう。年とし式しき相応そうおうにところどころ色褪いろあせていたボディはリフレッシュも兼かねて純正じゅんせい同色どうしょくのブラックで全ぜん塗装とそうを施ほどこした。仕上しあげにホイールもRZグレード用よう純正じゅんせいオプションのBBSに交換こうかんしたことで、新車しんしゃ当時とうじのオーラが漂ただよう、ほぼフルノーマル仕様しようのエクステリアへと一新いっしんしているのである。

ここまでキレイに仕上しあがると、ガレージの奥おくにでも大事だいじにしまっておきたくなりそうだが、RAYさんはいわゆる“観賞かんしょう派は”とは真ま逆ぎゃくの“ガンガン走はしる派は”。普段ふだん乗のりはもちろん、年としに数すう回かいはサーキット走行そうこう会かいにも参加さんかしている。これもまた、先述せんじゅつした6歳さい年上としうえのお兄にいさんの影響えいきょうだという。

スポーツ走行そうこうを踏ふまえた車体しゃたい周まわりの基本きほん的てきなセットアップについては、ロータリー車しゃのカスタムを得意とくいとする広島ひろしまの老舗しにせショップ、レッグモータースポーツに依頼いらい。サスペンションはエンドレス製せいがベースとなったオリジナル車しゃ高調こうちょうを採用さいよう。ブレーキはオートエグゼの2ピースディスクローターと制動せいどう屋やのブレーキパッドで強化きょうか。エンジン関係かんけいについては購入こうにゅう時じには剥むき出だしタイプだったエアクリーナーをナイトスポーツ製せいのボックスタイプとした。それ以外いがい、冷却れいきゃく系けいを含ふくめて現状げんじょうではノーマルとなっている。

｢子供こどもの頃ころから、クルマを買かったらサーキットで走はしらせてみたいと思おもっていました。メインとなるコースは岡山おかやま国際こくさいサーキットと、広島ひろしまのTSタカタサーキットです。最初さいしょは何なにも分わからなかったので、必要ひつような装備そうび品ひんやサーキットでのマナー、走行そうこうルールなどを兄あにから教おしえてもらいながら、少すこしずつ慣なれていきました」

「昨年さくねん末まつには兄あにと一緒いっしょに走はしることもできて、嬉うれしかったですね。タイムですか? もちろん、圧倒的あっとうてきに兄あにの方ほうが速はやかったです(笑)かっこわらい。今こんシーズンはさらなるスキルアップを目指めざして、足あしまわりのジョイント部ぶをすべてピロボール化かしました。コスト的てきにも強化きょうかブッシュより割安わりやすで、元々もともとソリッドだった挙動きょどうがさらにシャープになって、超ちょう気持きもちイイです｣

フェアレディZバージョンニスモ(Z33)に乗のるお兄にいさんとともに、充実じゅうじつしたカーライフを楽たのしんでいるようすだ。

RAYさんは2000年ねん生うまれ。スマホやゲーム機きなどが当あたり前まえのように身近みぢかに溢あふれた環境かんきょうで育そだっただけに、車載しゃさいカメラの扱あつかいも慣なれたモノ。走行そうこう後ごは動画どうがを見直みなおしながらしっかり復習ふくしゅうしているそうだ。ちなみに、思おもい出での品しなとして見みせていただいたこれらの写真しゃしんはすべてゲーム内ないで作つくった愛車あいしゃたちを撮影さつえいする機能きのうを使つかって作つくり上あげた画像がぞうだそうで、シチュエーションも含ふくめて、そのセンスの良よさも伺うかがえた。

一人暮ひとりぐらしの自宅じたくには、バケットシートやリアルなHパターンのシフターを備そなえたレーシングシミュレーターも設置せっちし、日頃ひごろからサーキット走行そうこうのイメージトレーニングを重かさねているそうだ。

｢サーキットは楽たのしいけど、街まち乗のりしているだけでも十分じゅうぶん楽たのしさを感かんじています。ABSユニットのトラブルはあったものの、他たにはとくに苦労くろうしているところはありません。燃費ねんぴはまァ、それなりですが、これは高性能こうせいのうと引ひき換かえということでヨシとしています。今後こんご手てを加くわえるとしてもホイールとマフラー(現在げんざいはノーマル)くらいですかね。状態じょうたいの良よいFD3Sは年々ねんねん少すくなくなっているようなので、これからも大事だいじに長ながく維持いじして行いきたいです!｣

購入こうにゅうから3年ねん余あまりの月日つきひが経過けいかしているが、FDへの愛着あいちゃくは深ふかまるばかり。現在げんざいも絶賛ぜっさん支払しはらい継続けいぞく中ちゅうである“フルローン”というプレッシャーはあるものの『まわり道みちをせず、最初さいしょから欲ほしいヤツに行いけ』というお兄にいさんからの金言きんげんは、間違まちがいなく大だい正解せいかいだったようだ。