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「千葉小4女児死亡事件」で痛感…日本の児童虐待をめぐる厳しい現実(井戸 まさえ) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

千葉ちばしょう4女児じょじ死亡しぼう事件じけん」で痛感つうかん日本にっぽん児童じどう虐待ぎゃくたいをめぐるきびしい現実げんじつ

母親ははおや逮捕たいほからえてくること

千葉ちばけん野田のだ小学しょうがく4年生ねんせい栗原くりはらしんあい(みあ)さんの虐待ぎゃくたい死亡しぼう事件じけん。すでに逮捕たいほされている父親ちちおやとともに、母親ははおや逮捕たいほされた。

捜査そうさ関係かんけいしゃによると、母親ははおや直接ちょくせつ暴行ぼうこうくわえた形跡けいせきはないが、県警けんけい栗原くりはら容疑ようぎしゃ暴行ぼうこうりながらめなかった責任せきにん重大じゅうだいとみている。

県警けんけいは、母親ははおや容疑ようぎしゃである父親ちちおやからドメスティックバイオレンス(DV)をけていた可能かのうせいがあるとの情報じょうほう把握はあくしており、関与かんよ度合どあいを慎重しんちょう調しらべる方針ほうしんだ。

母親ははおや逮捕たいほは、日本にっぽんられてきた虐待ぎゃくたい根絶こんぜつ施策しさくかんしてけている視点してんしめす。

〔PHOTO〕iStock

もっと安心あんしんして暴力ぼうりょく行為こういくだりなえる時期じき

DVや虐待ぎゃくたい事案じあんかかわっている筆者ひっしゃふくめた関係かんけいしゃは、今回こんかい虐待ぎゃくたい事件じけんのポイントはあきらかだとうだろう。「母親ははおや支援しえん」だ。

しんあいさんは父親ちちおや母親ははおやとの実子じっし長女ちょうじょ。2009ねん9がつ母子ぼし糸満いとまん転入てんにゅう父親ちちおや別居べっきょか)。その父親ちちおや母親ははおやは2011ねん10がつ離婚りこんしたが、父親ちちおやとき恫喝どうかつしながら、こころあいさんとの面会めんかい交流こうりゅうもとめ、母親ははおやあらがうことができなかった。そのうちにだい妊娠にんしん。2017ねん2がつ再婚さいこん同居どうきょ次女じじょ出産しゅっさんした」

報道ほうどうベースでつたえられるこの家族かぞくのプロファイルをみれば、ある意味いみ典型てんけいてきなハイリスクれいだともえる。

 

暴力ぼうりょくからのがれるために、別居べっきょ。しかし、シングルマザーで子育こそだてすることはむずかしい。経済けいざいてき困窮こんきゅうからのがれるために再婚さいこんしたり、前夫ぜんふ養育よういく交渉こうしょう面会めんかい交流こうりゅうをしているうちに、そこに暴力ぼうりょくがあるとりながらも「今度こんどこそは」とあわ期待きたいをいだいて再婚さいこん。もしくは暴力ぼうりょく恐怖きょうふにより拒絶きょぜつできないままに妊娠にんしん、そして出産しゅっさん——。

妊娠にんしんから乳幼児にゅうようじそだてているあいだ母親ははおや身体しんたい自由じゆうがきかない。おもうようにははたらけない。出産しゅっさん女性じょせい肉体にくたいてきにも経済けいざいてきにも拘束こうそくできるため、DV加害かがいしゃにとってはもっと安心あんしんして暴力ぼうりょく行為こういくだりなえる時期じきだともえる。

実際じっさい、2017ねん7がつには窓口まどぐち母親ははおや親族しんぞくから「母親ははおやへのDVと女児じょじへのどうかつがある」と相談そうだんせられ、女児じょじかよ小学校しょうがっこう連絡れんらく学校がっこう女児じょじ様子ようす観察かんさつし、担任たんにんが7がつ下旬げじゅん終業しゅうぎょうしき女児じょじ父親ちちおやまじえ、3しゃ面談めんだんしている。

そして、その一家いっか東京とうきょうへと転居てんきょする。もちろん、面倒めんどう行政ぎょうせいからのがれるためであろう。

DVの支援しえん一筋縄ひとすじなわではかない。被害ひがい当事とうじしゃである母親ははおや自体じたいにようやくマインドコントロールがけたとおもっても、またもどってしまうということは多々たたあるのだ。

非常ひじょうむずかしいことではあるが、当然とうぜんながら支援しえんおこなう行政ぎょうせいがわにもそれ相応そうおう知見ちけんかさなっていていいはずだが、じつはそこが手薄てうすなのだ。児童じどう虐待ぎゃくたいふせぐためには「母親ははおや支援しえん」がきもなのにもかかわらず。

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