「死ぬ場所」を見つけられない人たち
「自分の最後をどこで迎えるか」
今後、少子高齢社会がいっそう進むと、死亡者数の増加に対して、労働人口の減少で、既存の医療サービスでは対応できない可能性もある。
その上、単身世帯の増加で、看取ってくれる家族がいない人も増えてくるだろう。
となると、臨死期を迎える場所を見つけられない「看取り難民」が増え、2035年には約47万人にも達するという。
看取り難民を防ぐため、自分らしく死ねる世の中になるため、在宅医療の支援体制の構築は現代の切実な問題ともいえる。
そんな在宅医療の現状とお金について、記事『「自宅で死ぬ」ことについて、日本人は「重大な誤解」をしている』で詳しく紹介した。
今回は、実際に現場で在宅医療を行っている『やまと診療所』(東京都・板橋区に拠点)での事例をもとに、どのように在宅医療が行われているか、看取りまでどれくらいお金がかかるものかなど、在宅医療をめぐる生々しいその実態を紹介したい。
在宅医療について、これまでさまざまなデータや情報がメディアなどで流されてきたが、正直いってどうもその実態がうまくイメージできなかった。そんな中、在宅医療を行う『やまと診療所』(東京都・板橋区に拠点)で働く医療従事者の方々からお話を聞く機会に恵まれた。
同診療所は、一定の要件を満たし機能を強化するなどした機能強化型在宅療養支援診療所である。2013年4月1日に開設以来、新規患者数は増え続け、現在約700名以上の患者さんをケアし、最後の看取りまでを行う。