大リーグのドジャースと10年間で約1000億円の契約を結んだ大谷翔平選手。日本はおろか、世界のスポーツ史上最高額を達成したその偉業は、歴史に刻まれたと言える。1000年に1人の逸材は、どのように生まれ育ったのか。『大谷翔平の両親が、我が子の前で「絶対にやらなかった」意外なこと』に引き続き、大谷家の「子育ての秘密」に迫る。
好きなことを妨げない
親は親、子供は子供という意識のもとで、子供たちの「やりたい」という意欲を重んじ、余計な口出しはしない。この原則を、さらに突き詰めたのが、史上初の八冠を達成した、将棋の藤井聡太の家庭だ。
藤井の父・正史さんと母・裕子さんは、息子がなにかに集中しているときは絶対に止めないように心がけていた。
普通であれば、「ご飯の時間だよ」「お風呂に入りなさい」などと、生活のリズムにあわせて中断させたくなるところだ。
だが、藤井の両親は本人のなかで区切りがつくまで声をかけなかった。
そんな藤井が将棋と出会ったのは、5歳のとき。祖母が駒に動かし方が書いてある「スタディ将棋」を買ってきたところ、寝食を惜しんで熱中した。
中学校に上がると、藤井が熱中したのは英語や数学などの「主要教科」ではなく、地理だった。
「藤井さんは、他科目はそっちのけで山や川の名前ばかり熱心に覚えていたそうです。でも、ご両親は『もっと英語を勉強しなさい』とか『数学をやりなさい』ということは言わなかった」(藤井家を取材した将棋ライター)
こうした「好きなことを妨げない」姿勢は、藤井の将棋に対する人並み外れた探究心と集中力を養うことにつながった。