中国人ちゅうごくじんなのにイスラエルのパスポート…イスラエル内ないの移民いみんの拠点きょてん「ハイファ」のアラブ人じん街がいで中華ちゅうか料理りょうり店てんを営いとなむ男性だんせいとの出会であい

北米ほくべい中華ちゅうか、キューバ中華ちゅうか、アルゼンチン中華ちゅうか、そして日本にっぽんの町中まちなか華はなの味あじは？北極圏ほっきょくけんにある人口じんこう8万まん人にんにも満みたないノルウェーの小ちいさな町まち、アフリカ大陸たいりくの東ひがしに浮うかぶ島国しまぐに・マダガスカル、インド洋いんどようの小国しょうこく・モーリシャス……。 世界せかいの果はてまで行いっても、中国人ちゅうごくじん経営けいえいの中華ちゅうか料理りょうり店てんはある。彼かれらはいつ、どのようにして、その地ちにたどりつき、なぜ、どのような思おもいで中華ちゅうか料理りょうり店てんを開ひらいたのか？

一国一城いっこくいちじょうの主おもや料理人りょうりにん、家族かぞく、地元じもとの華人かじんコミュニティの姿すがたを丹念たんねんにあぶり出だした関せき卓たく中ちゅう（著ちょ）・斎藤さいとう栄一郎えいいちろう（訳わけ）の『地球ちきゅう上じょうの中華ちゅうか料理りょうり店てんをめぐる冒険ぼうけん』。食しょくを足あしがかりに、離散りさん中国人ちゅうごくじんの歴史れきし的てき背景はいけいや状況じょうきょう、アイデンティティへの意識いしきを浮うき彫ぼりにする話題わだい作さくから、内容ないようを抜粋ばっすいして紹介しょうかいする。

『地球ちきゅう上じょうの中華ちゅうか料理りょうり店てんをめぐる冒険ぼうけん』連載れんさい第だい19回かい

『「神かみの御ご手てに導みちびかれた」…あるベトナム人じん難民なんみんがなんの所縁しょえんもないイスラエルに定住ていじゅう申請しんせいをした驚おどろきのワケ』より続つづく

異ことなる2人ふたり

私わたしは、クォイ、デイビッド・スー（斯紹華はな）を伴ともない、2000年ねん2月がつにベン・グリオン国際こくさい空港くうこうに降おり立たった。昼ひる半なかばというのに、辺あたりは真夜中まよなかのようだった。

見渡みわたす限かぎり不気味ぶきみな黒くろい雲くもが低ひくく垂たれ込こめ、移動いどう中ちゅうの車くるまの窓まどに暴風雨ぼうふううが容赦ようしゃなく叩たたき付つける。ラッシュアワーの渋滞じゅうたいの中なか、テルアビブの環状かんじょう道路どうろをのろのろと進すすんでいた。

「この辺あたりはノアの箱はこ舟ぶねの舞台ぶたいだね」

クォイがまじめくさった顔かおで言いう。

まったくタイプの異ことなる2人ふたりを引ひき連つれての旅たびだった。

クォイは、白しろいカウボーイハットと白しろの太ふとし縁えんメガネという派手はでなファッションとは裏腹うらはらに、とにかく控ひかえめだが、皮肉ひにくなユーモアたっぷりの男おとこだ。

イスラエル国防こくぼう軍ぐん（IDF）の払はらい下さげ品ひん専門せんもん店てんみたいなものがあったら、戦闘せんとう服ふくを買かいたいという。そんな店みせがあるのかどうか知しらないが。

一方いっぽう、デイビッドは、台湾たいわん出身しゅっしんでトロントの大学だいがくを卒業そつぎょうしたばかりのこざっぱりとした風貌ふうぼうの若者わかものだ。

地元じもとの映画えいが学校がっこうに通かよっていて、そこの講師こうしを務つとめるクォイに誘さそわれる形かたちで第だい2カメラマン兼けんロケ音響おんきょうとして私わたしのチームに参加さんかしている。確たしかに、何なにから何なにまでクォイ任まかせにできないことは私わたしたちも重々じゅうじゅう承知しょうちしている。