血液を吸うアカイエカ
アカイエカは、私たちがよく見かける蚊の一つである。ふだんは花の蜜や草の汁などを食べている大人しい昆虫だが、産卵期になって交尾したメスは、動物から吸血するようになる(オスは吸血しない)。卵を作るための栄養分として、タンパク質などが必要になるからだ。
吸血するのはおもに夕方から夜にかけてで、私たちが吐く二酸化炭素や皮膚の匂いや体温などを感知して、やってくるらしい。そして、皮膚に針を突き刺して、血液を吸うのである。
蚊の細長い口の中には、6本の針が仕込まれている。
外側の2本の針の先端にはギザギザした刃が付いており、これで皮膚を切り裂きながら針を刺し込んでいく。次に使うのは管になっている針で、血液が固まらないようにする唾液を注入する。この唾液によってアレルギー反応が起きると、私たちは痒みを感じるのだ。そして、最後に使うのが中心にある太い針で、先端に開いている穴から血液を吸入するのである。ちなみに、残りの2本は、皮膚が開いた状態で固定するために使っているようだ。
こう書くと何でもないが、吸血は蚊にとって命がけの仕事である。血液を吸うためには、どうしても2~3分はかかるし、そのあいだは動くこともできない。私たちに気づかれれば、叩かれたりして命を落とすこともしばしばである。私たちにとってはありがたくないことだが、蚊にとっても死活問題なのだ。