「本物ほんものの地面じめん師しは、ドラマよりもずっと…」積水せきすいハウス元もと幹部かんぶが『地面じめん師したち』を見みて感かんじたこと

7月がつ25日にちに配信はいしんがスタートしたネットフリックスのドラマ『地面じめん師したち』が話題わだいを呼よんでいる。配信はいしん開始かいしから国内こくないの人気にんき番組ばんぐみランキングで首位しゅいを独走どくそうし、世界せかいランキングでもトップ3に食くい込こんだ。

劇げき中ちゅうで被害ひがいに遭あう住宅じゅうたくメーカー「石いし洋ようハウス」のモデルは、2017年ねんに地面じめん師しに55億おく円えんをだまし取とられた積水せきすいハウスだ。あのとき、積水せきすいハウス社内しゃないでは何なにが起おこっていたのか――前編ぜんぺん記事きじ『ドラマ『地面じめん師したち』を見みた積水せきすいハウス元もと幹部かんぶが激げき白しろ「あのとき社内しゃないで起おこったこと」』に引ひき続つづき、元もと幹部かんぶの証言しょうげんをもとに当時とうじの状況じょうきょうを再さい構成こうせいする。

ニセ地主じぬしを見抜みぬけない

こうして社内しゃない決裁けっさいが下くだり、取引とりひきにゴーサインが出でる。しかし被害ひがいに遭あう前まえに引ひき返かえすチャンスは幾度いくどとなくあった。

相手あいてが本物ほんものの地主じぬしかどうか確認かくにんするのは不動産ふどうさん取引とりひきの基本きほんであり、地面じめん師したちが連つれてきた地主じぬしが偽者にせものだと見抜みぬければダマされずに済すんだわけだ。だがM氏しら担当たんとう者しゃは何なん度どもニセ地主じぬしと面会めんかいしていたものの、一向いっこうに疑うたがう気配けはいはなかったという。

「購入こうにゅう代金だいきんを支払しはらう前日ぜんじつ、担当たんとう者しゃは重かさねてニセ地主じぬしと対面たいめんし本人ほんにん確認かくにんをしていますが、そのとき彼女かのじょは自分じぶんの誕生たんじょう日びと干支えとを間違まちがえるという致命ちめい的てきなミスを犯おかしたそうです。

そのうえ、財務ざいむアドバイザーとして同席どうせきしていた主犯しゅはんのカミンスカス操みさお（綾野あやの剛つよしが演えんじる辻本つじもと拓海たくみのモデル）の名刺めいしに記載きさいされていたのは、あろうことかフリーメールのアドレスでした。その時点じてんで気きづくべきでしたが、彼かれらの中なかで『社長しゃちょう案件あんけん』を止とめるという選択肢せんたくしはもはやなかったのでしょう」（当時とうじの社内しゃないを知しる積水せきすいハウス元もと執行しっこう役員やくいんのA氏し）

辻本つじもと拓海たくみ役やくの綾野あやの剛つよし［Photo by gettyimages］

仮かりに対面たいめんの場ばで見抜みぬけなくとも、海うみ喜き館かんの近隣きんりん住人じゅうにんにき込きこみをすれば、ニセ地主じぬしを見抜みぬくのは容易たやすかっただろう。しかしドラマと同おなじく、M氏しら担当たんとう者しゃは地主じぬしの機嫌きげんを損そこねて他社たしゃに乗のり換かえられるのを恐おそれるあまり、再度さいどの本人ほんにん確認かくにんを行おこなわなかった。