不動産事業の伸びしろは…?
可能性としては都営地下鉄との合併。以前から検討されてきながら、なかなか実現への道筋が見えない。
他の私鉄各社は鉄道事業より、付随する不動産事業を成長戦略の中心に置いている。都市部から郊外へ延びる沿線で、中核となる駅周辺での再開発などがこれからも行なわれることだろう。
東京メトロでも渋谷マークシティや渋谷ヒカリエなどオフィスビルやホテルなどの不動産事業も行なっているのは確かだ。だがほかの私鉄大手と比べるとその規模感において見劣りしてしまう。これは東京メトロが都心部に駅が集中しているという大きなメリットが、逆に足を引っ張っている。つまり開発余地の広い土地が少ないというデメリットになっている。
ただ首都圏の私鉄沿線の再開発は、東京メトロにまったく関係ないとはいえない。
東京メトロは各私鉄と乗り入れを行っている。たとえば埼玉県から神奈川へ向かう客は(あるいはその逆の神奈川から埼玉)、私鉄を乗り継いで東京メトロを中継することになる。東京メトロへの恩恵もあるわけだ。
日本の少子化を懸念する声もあった。将来の乗客数減に直結する話ではある。ただ当面、少子化の影響は主に地方都市で、首都圏への影響はさほど大きくはない。それどころか東京への人口流入は続いている。少子化の影響はしばらくは考えなくてもいいだろう。
ではメリット、デメリットをトータルで勘案して東京メトロの株は「買い」か「見送り」か。