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ジャニーズはなぜインターネットをガン無視するのか?(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(3/3)


2017.01.04
# エンタメ

ジャニーズはなぜインターネットをガン無視むしするのか?

戦後せんご日本にっぽん文化ぶんかの「特異とくいてん」をかた
現代げんだいビジネス編集へんしゅう

ジャニーズはなぜ肖像しょうぞうけんかこむのか

矢野やの しばさんは、いまのジャニーズについてどうおもいますか?

しば ぼくのスタンスから明確めいかくえるのは、マネージメント事務所じむしょ肖像しょうぞうけん著作ちょさくけんまもることは当然とうぜんですが、インターネットにオフィシャルなかたち写真しゃしん音源おんげん動画どうが公開こうかいしないのは時代じだいにそぐわないし、日本にっぽんの「エンターテイメントの基準きじゅん」をこわしている存在そんざいだとすらおもっています。

ジャニーズだけの問題もんだいではないですよね。たとえば、出版しゅっぱんしゃがdマガジンに雑誌ざっし表紙ひょうししろきでさなければいけない。あるいは、Amazonや楽天らくてんのようなEC事業じぎょうしゃがシルエットでものをらなければいけない。これは日本にっぽんのエンターテイメントの産業さんぎょう構造こうぞうそのものをゆがめているとおもいます。

シンプルないいかたをすると、いち企業きぎょう、いち事務所じむしょ方針ほうしんだけで、それをゆがめるのは本当ほんとうによくない。

ただ一方いっぽうで、ジャニーズがコンテンツとしてっているつよさ、っている世界せかいかん楽曲がっきょく面白おもしろさ、スターの育成いくせい方法ほうほうにはものすごい可能かのうせいかんじてもいます。

それは国内こくないだけでなく、アジア各国かっこく、ヨーロッパ、アメリカにも進出しんしゅつしうるポテンシャルをっている。けれども、その機会きかいをみすみすのがしている。もっといける。そういうこともおもいます。

矢野やの 面白おもしろいことをやっているのに、制限せいげん過剰かじょうにかけているからもったいないな、と。

しば そうですね。

 

矢野やの ほぼ同感どうかんですし、とく肖像しょうぞうけんかんする部分ぶぶんはちょっと異様いようがしています。ジャニーズと日本にっぽんでは、肖像しょうぞうけん強固きょうこかこむのは、ジャニーズがそもそもファンを日常にちじょう世界せかいってたのしませるからだ、という見方みかたをしています。

ジャニー喜多川きたがわはカリフォルニアのロサンゼルス出身しゅっしん日系にっけいせいのアメリカじんとしてまれました。その出自しゅつじとなるカリフォルニアは、そもそも砂漠さばく開拓かいたくするところからはじまった土地とちです。そういう西海岸にしかいがん気風きふう、カリフォルニアのエンターテイメントにジャニー喜多川きたがわ魅了みりょうされています。

たとえば、ウォルト・ディズニーが砂漠さばくなかにディズニーランドをつくったように、かれらのエンターテイメントのありかた日常にちじょうとのつながりをすべって、そと世界せかいかかわらないユートピアをつくることにある。そういうありかたをこじらせて、ジャニーズのタレントもネットじょうにはてこないわけです。

その日常にちじょう表現ひょうげんする姿勢しせいは、現代げんだいにおいては覚悟かくごがいることであって、稀有けうでいいものだとおもうんです。この裏表うらおもてかんじが、自分じぶんとしては評価ひょうかのしづらいところでもある。肖像しょうぞうけん云々うんぬんかこみにかんしては批判ひはんすべきだとおもいますけど、ジャニーズの歴史れきしかられば「ジャニーズらしさ」をささえる要因よういんにもなっている。

しば いま、おはなしいていてもおもいましたが、やはりジャニーズと日本にっぽんのポイントは、ジャニーズが戦後せんごそれぞれの時代じだいの、それぞれのアメリカにあこがれ、体現たいげんしているととらえたことですね。

ブルース、ジャズ、ミンストレル・ショー、ヒップホップ、ディスコ……かれらの音楽おんがくっていくと、「グッドオールド・アメリカ」ではなく、「トレンド・アメリカ」をちゃんと翻案ほんあんして体現たいげんしているという。

つまり、ジャニー喜多川きたがわはもともとアメリカじんであり、アメリカの民主みんしゅ主義しゅぎ日本にっぽんんでいるという根本こんぽんからジャニーズをとらえているところが、のジャニーズろんとは一線いっせんかくするものだとおもっています。

矢野やの ジャニーズをはさむと、日本にっぽんとアメリカにおける音楽おんがく関係かんけいせいが、きゅうにねじれていくところがあるんですよね。そもそも、アメリカで流行はやっている音楽おんがく日本にっぽんれるとき、ふつうは言葉ことば翻訳ほんやくしたり、日本人にっぽんじんけにメロディーをアレンジしたりするのだけれど、ジャニーズはそれをやっているのか、やっていないのか、わからなくなるんです。そこは個別こべつ検証けんしょうすべきだとおもいますが、位置いちとらえにくいといいますか。

しば すくなくともジャニーズのエンターテイメントが、日本にっぽんをアメリカするいとなみのなか戦後せんご50ねんつづいてきたのはうたがいようのないことにおもいます。

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