「ラブコメ」「異い世界せかい転生てんせい」に押おされ…それでも、今いまこそ「スポーツ漫画まんが」がアツいワケ。

オリンピックや海外かいがいで活躍かつやくするスポーツ選手せんしゅなど、日常にちじょう的てきにスポーツが話題わだいとなる昨今さっこん。一方いっぽう、スポーツ漫画まんがにおいてはどうだろうか。漫画まんがにおいて「スポーツ」ジャンルは流行はやりすたりはなく普遍ふへん的てきなテーマで一定いっていの需要じゅようを持もつが、「ラブコメ」「異い世界せかい転生てんせい」「バトルアクション」ジャンルが全盛期ぜんせいきの今いま、相対そうたい的てきにヒット作さくは少すくなく感かんじられる。

そんなスポーツ漫画まんがに対たいし「面白おもしろければ必かならず売うれる」と可能かのう性せいを信しんじ、ひたすらスポーツ漫画まんが作つくり続つづける「COMIC BULL（コミックブル）」の編集へんしゅう長ちょう・土屋つちや萌もえにインタビューを実施じっし。現状げんじょうのスポーツ漫画まんが事情じじょうと「COMIC BULL」が実践じっせんする売うれるスポーツ漫画まんがづくり、そしてスポーツ漫画まんがの未来みらいを語かたってもらう。

「COMIC BULL」連載れんさい作さく『イレギュラーズ』　©松本まつもと直記なおき／講談社こうだんしゃ

スポーツ漫画まんがの現状げんじょう

ーー現在げんざいの少年しょうねん誌しは、ラブコメ、異い世界せかい転生てんせい、バトルアクション漫画まんがが全盛期ぜんせいきであると感かんじます。その中なかで、スポーツ漫画まんがの現状げんじょうをどのように捉とらえているか教おしえてください。

土屋つちや　前提ぜんていとして、今こん現在げんざいも面白おもしろいスポーツ漫画まんがはたくさんありますし、どの漫画まんが家かさんも素晴すばらしい作品さくひんを日々ひび執筆しっぴつなさっています。ですが、一いち時代じだい前まえと比くらべたときに、今いまおっしゃったようなジャンルと相対そうたい的てきに見みてスポーツ漫画まんがの純粋じゅんすいな作品さくひん数すうが減へっているとは感かんじています。スポーツ漫画まんがを描えがこうとしてくださる新人しんじん作家さっかさん、新しん連載れんさいを企画きかくするときにスポーツ漫画まんがを描えがきたいと提案ていあんされる作家さっかさんの数かずも減へってきているように思おもいます。

個人こじん的てきに一ひとつ理由りゆうとして考かんがえられるのは、スポーツ漫画まんがは物語ものがたりが盛もり上あがるまでの道みちのりが長ながくなりがちであること。たとえば主人公しゅじんこうがスポーツを始はじめて、チームメンバーに認みとめられて、レギュラーを取とって、試合しあいに出でて勝利しょうりをつかむのがひとつの王道おうどうな流ながれだとすると、1話わから最高潮さいこうちょうにまで盛もり上あがる構成こうせいにはしづらいジャンルかもしれません。

たとえば、異い世界せかい転生てんせい作品さくひんの場合ばあい、「現実げんじつでうだつの上あがらない人ひとが何なにかのキッカケで異い世界せかいに行いったら、いきなりすごい魔法まほうが使つかえるようになった」といったように、1話わ目めからマックスの盛もり上あがりをつくりやすい。一方いっぽう、スポーツ漫画まんがでは非ひ現実げんじつ的てきなレベルアップなどは受うけ入いれられづらい傾向けいこうがあり、かと言いって瞬間しゅんかん的てきな盛もり上あがりを重視じゅうしするあまり、大おおきな災害さいがいが起おこったり、誰だれかが亡なくなったりといった、ある種しゅ奇きをてらったようなショッキングな展開てんかいで掴つかみを作つくっても、それはスポーツを楽たのしみたい読者どくしゃが求もとめる面白おもしろさではなかったり。

今いまの漫画まんがは昔むかしに比くらべて1話わで面白おもしろくないと見切みきられてしまうことが多おおいため、そのジレンマから相対そうたい的てきにスポーツ漫画まんがが減へってしまったのかもしれません。