CDが売れない時代に「CDレコ」はバカ売れ
音楽のCDが売れていない。日本レコード協会のデータによると、10年前に比べて生産量は約半分に減少。2018年に1億枚を切ってから、2021年のCDアルバムの出荷数は7111万枚にまで落ち込んでいる。
CDが売れなくなった理由は、CDラジカセやMDプレイヤーに代わり、スマホやデジタルプレイヤーで曲を聴く人が増えたからである。ネットに接続して音楽をダウンロードすることが主流になり、サブスク音楽サービスの普及でCDの市場はそれに伴って急速にシュリンクしていった。
音楽は保有するものから、クラウドで聴くものに変わった。その中でも人気なのが聴き放題のサブスク型のサービスである。先ほど紹介した参照元のデータによると、2020年第4四半期(10月~12月)のサブスク音楽の市場は前年比125%の507億円。音楽配信売上全体の約65%を占める。限られた音源しか収録できないCDが、無限に音楽が保存できるサブスクに市場を奪われているのは、変えようのない時代の流れと言える。
しかし、CDが売れていないのに、CDの音源をスマホに保存する「CDレコ」はバカ売れしている。スマホとCDレコーダーをケーブルで繋げるだけで、簡単に曲が取り込めるこの商品は、CDの生産数が激減している中、2014年の発売以来、右肩上がりに売れているという。
「現在の販売累計台数は64万台を超えています」
そう話すのは発売元であるアイ・オー・データ機器 (石川県金沢市)の事業本部の開口東史さん。CDレコのプロジェクトリーダーだ。
最初から順風満帆な商品ではなかった。売り出した頃は、口コミサイトに「パソコンがあればこんな商品はいらないだろ」とよく酷評されていた。