【『ファイトソング』感想かんそう・5話わ】何なん度どでもスタートを切きりなおす・ネタバレあり By - かな 公開こうかい:2022-02-14 更新こうしん:2022-02-14 かなドラマコラムファイトソング Share Post LINE はてな コメント Twitterを中心ちゅうしんに注目ちゅうもくドラマの感想かんそうを独自どくじの視点してんでつづり人気にんきを博はくしている、かな(@kanadorama)さん。 2022年ねん1月がつスタートのテレビドラマ『ファイトソング』(TBS系けい)の見みどころを連載れんさいしていきます。 かなさんがこれまでに書かいたコラムは、こちらから読よめます。 ドラマとして見みている私わたしたちは、いまが『どの位置いち』なのか分わかって楽たのしんでいるけれど(ちなみに今いまは折おり返かえし地点ちてん)本来ほんらい、恋こいをしている当事とうじ者しゃとしては、自分じぶんが『どの位置いち』かなんて分わからないだろう。 地図ちずもナビもない道みちで方角ほうがくを考かんがえ、時折ときおり現あらわれる案内あんない看板かんばんや標識ひょうしきを信しんじて進すすんでいくようなものだ。 終おわったように思おもうけど続つづいたり、続つづくかと思おもえば突然とつぜん終おわる。急きゅうブレーキと加速かそく、ままならない車線しゃせん変更へんこうに、時ときには思おもいもよらぬ一方いっぽう通行つうこう。 恋愛れんあいは地図ちずもナビもない、見知みしらぬ町まちでの運転うんてんみたいなものかもしれない。 画像がぞうを見みる(全ぜん4枚まい) ヒロインは、進行しんこう性せいの病気びょうきで耳みみが聞きこえなくなる前まえに素敵すてきな思おもい出でを。 男おとこはもう一度いちどヒット曲きょくを作つくって、崖がけっぷちの一発いっぱつ屋やミュージシャンから脱だっするために何なにかときめく経験けいけんを。 そうして始はじまった恋こいを描えがく『ファイトソング』(TBS系けい火曜かよう22時じ 主演しゅえん・清原きよはら果はて耶)、5話わにして仕切しきり直なおし、リスタートである。 落おちぶれたミュージシャン・芦田あしだ春樹はるき(間宮まみや祥さち太朗たろう)は、ヒロイン・木皿きさら花枝はなえ(清原きよはら果はて耶)との出会であいを経へて、数すう年ねんぶりにインスピレーションを得えて曲きょくを書かき上あげるものの、その曲きょくはコンペを勝かち抜ぬけなかった。 コンペが終おわった以上いじょうは恋こいの真似事まねごとも必要ひつようない。ここで一旦いったん、花枝はなえと春樹はるきの関係かんけいは解消かいしょうになってしまう。 これまでも会あえない欠落けつらく感かんで自分じぶんの感情かんじょうを意識いしきしていく恋こいなのだが、ついに花枝はなえは自分じぶんが失恋しつれんしたと自覚じかくする。 花枝はなえは恋愛れんあいの、いや人間にんげん関係かんけいの経験けいけん自体じたいが希薄きはくなために自分じぶんが何なにを得えているのかの自覚じかくが難むずかしいのだと思おもう。 得えたものの恵めぐみより、失うしなった部分ぶぶんの痛いたみでようやく気きづくというのは、なんだか切せつない話はなしである。 今回こんかい、春樹はるきの部屋へやに半なかば居候いそうろうのように出入でいりしている烏丸からすま薫かおる(東あずま啓介けいすけ)の過去かこについても描えがかれている。 かつて春樹はるきのバンド仲間なかまだった薫かおるは、解散かいさん後ごも曲きょくが作つくれない春樹はるきにつきまとい、時折ときおり一方いっぽう的てきに高級こうきゅう食材しょくざいで料理りょうりを作つくっては春樹はるきに食たべさせて、その材料ざいりょう代だいと料理りょうりの手間賃てまちんと称しょうして春樹はるきに金かねをせびっている。 春樹はるきも、いつも無造作むぞうさに万札まんさつを取とり出だしては薫かおるに払はらっている。 一見いっけん、薫かおるが悪人あくにんなのか本当ほんとうに友人ゆうじんなのか微妙びみょうなところだが、おそらくそれは友人ゆうじんとしての繊細せんさいな距離きょり感かんではないかと思おもう。 曲きょくを書かけなくなって、いろんなものを失うしないながらずるずると落おちていく春樹はるきに、依存いぞんにも同情どうじょうにもならない方法ほうほうで寄より添そおうとした時ときに、お金かねと食事しょくじを介かいせば、春樹はるきのプライドを傷きずつけず、より細ほそく長ながく寄より添そえると薫かおるが考かんがえた結果けっかなのではないか。 岡田おかだ惠和けいわ脚本きゃくほんが描えがくドラマの登場とうじょう人物じんぶつの姿すがた 花枝はなえにずっと片思かたおもいしている幼おさななじみの夏川なつかわ慎吾しんご(菊池きくち風かぜ磨みがく)、花枝はなえを守まもろうとしている、同おなじく幼おさななじみの凜(藤原ふじわらさくら)、常つねに春樹はるきの現状げんじょうに寄より添そって最善さいぜんを尽つくそうとするマネージャーの弓子ゆみこ(栗山くりやま千明ちあき)。 徐々じょじょに花はなが開ひらくように、二人ふたりの周囲しゅういの描写びょうしゃも厚あつみを増ましてきている。 それは柔やわらかなガーゼを次々つぎつぎと重かさねていくような、いかにも岡田おかだ惠和けいわの脚本きゃくほんらしい優やさしい厚あつみである。 岡田おかだ惠めぐみ和わは、2021年ねんのテレビドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日てれびあさひ系けい 主演しゅえん・高畑たかはた充たかし希まれ)でも、病やまいを抱かかえながら生いきていくヒロインと、それぞれに欠落けつらくを抱かかえながら生いきていく人物じんぶつ群ぐんを独特どくとくの距離きょり感かんで描えがいていた。 岡田おかだの描えがく病気びょうきや人生じんせいの欠落けつらくは、戦たたかったり乗のり越こえるというよりも「ただ傍かたわらにある」「時折ときおりのしかかってくるが共存きょうぞんする」、そんな感覚かんかくで、今いま作さくでも花はな枝えだの視野しやを広ひろげる人物じんぶつとして、中途ちゅうと失しつ聴者ちょうしゃである杉野すぎの葉子ようこ(石田いしだひかり)を伸のびやかに描えがいている。 人生じんせいの途中とちゅうで何なにかを失うしなっても、同おなじくらい別べつの何なにかを得えることは出来できるし、新あたらしい出会であいがあって人生じんせいは続つづいていく。 これもまた、恋愛れんあいドラマの『背景はいけい』としてベテラン脚本きゃくほん家かが若わかい世代せだいに向むけて描えがく愛あいある発信はっしんだと思おもう。 今週こんしゅうの最後さいごで春はる樹じゅの曲きょく作づくりには更さらにもう少すこしの猶予ゆうよが与あたえられる。 曲きょく作づくりのための方策ほうさくなのか、それとも本当ほんとうに恋愛れんあい感情かんじょうなのか、自分じぶんでも分わからないままに花はな枝えだに再度さいどの交際こうさいを申もうし込こもうとする春はる樹じゅに、ついに慎吾しんごが声こえをあげて待まったをかける。 恋愛れんあいごっこは、本気ほんきで立たち上あがった一人ひとりの存在そんざいで、否いや応おうなく『ごっこ』ではいられなくなる。物語ものがたりの折おり返かえしで、恋こいは改あらためて仕切しきり直なおしになる。 歌詞かしで言いうなれば、いつだって今いまが常つねにスタートライン。 単たん独走どくそうよりも競せり合あえばタイムは当然とうぜん荒あれるだろう。どんな後半こうはんの展開てんかいが待まっているか、わくわくする。 この記事きじの画像がぞう(全ぜん4枚まい) ドラマコラムの一覧いちらんはこちら [文ぶん・構成こうせい/grape編集へんしゅう部ぶ] かな Twitterを中心ちゅうしんに注目ちゅうもくドラマの感想かんそうを独自どくじの視点してんでつづり人気にんきを博はくしている。 ⇒ かなさんのコラムはこちら 「ルパン婚こんですね」「驚おどろいた!」 勝かち矢や、宝塚たからづか元もとトップスターと結婚けっこん勝かち矢やさんが、元もと宝塚たからづかトップ真ま風ふう涼すずし帆かいさんと結婚けっこん!ネット上じょうでは「ルパン婚こん」と話題わだいです。 田中たなかれいな、不審ふしんな男性だんせいの行動こうどうにズバリ 経緯けいいに「これは怖こわい」「マジでそれ」エレベーターに乗のっていた田中たなかれいなさん。見知みしらぬ男性だんせいの行動こうどうに苦言くげんを呈ていしました。 Share Post LINE はてな コメント
Twitterを中心 に注目 ドラマの感想 を独自 の視点 でつづり人気 を博 している、かな(@kanadorama)さん。
2022年 1月 スタートのテレビドラマ『ファイトソング』(TBS系 )の見 どころを連載 していきます。
かなさんがこれまでに書 いたコラムは、こちらから読 めます。
ドラマとして見 ている私 たちは、いまが『どの位置 』なのか分 かって楽 しんでいるけれど(ちなみに今 は折 り返 し地点 )本来 、恋 をしている当事 者 としては、自分 が『どの位置 』かなんて分 からないだろう。
ヒロインは、進行 性 の病気 で耳 が聞 こえなくなる前 に素敵 な思 い出 を。
そうして始 まった恋 を描 く『ファイトソング』(TBS系 火曜 22時 主演 ・清原 果 耶)、5話 にして仕切 り直 し、リスタートである。
コンペが終 わった以上 は恋 の真似事 も必要 ない。ここで一旦 、花枝 と春樹 の関係 は解消 になってしまう。
これまでも会 えない欠落 感 で自分 の感情 を意識 していく恋 なのだが、ついに花枝 は自分 が失恋 したと自覚 する。
かつて春樹 のバンド仲間 だった薫 は、解散 後 も曲 が作 れない春樹 につきまとい、時折 一方 的 に高級 食材 で料理 を作 っては春樹 に食 べさせて、その材料 代 と料理 の手間賃 と称 して春樹 に金 をせびっている。
それは柔 らかなガーゼを次々 と重 ねていくような、いかにも岡田 惠和 の脚本 らしい優 しい厚 みである。
これもまた、恋愛 ドラマの『背景 』としてベテラン脚本 家 が若 い世代 に向 けて描 く愛 ある発信 だと思 う。
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