吉元よしもと由美ゆみの『ひと・もの・こと』

ハイヒールへの憧あこがれは永遠えいえんに

これは、アメリカの人気にんき連続れんぞくテレビドラマ『SEX and the CITY』の中なかでのキャリー・ブラッドショーの言葉ことばです。

キャリーのシューズクロゼットにはマノロ・ブラニクのハイヒールがショーケースのように並ならんでいます。細ほそいピンヒールを履はいてマンハッタンを颯爽さっそうと歩あるくその姿すがたに、多おおくの女性じょせいたちが憧あこがれたことでしょう。

『SEX and the CITY』をはじめとするアメリカのドラマには、ハイヒールで街まちを闊歩かっぽするシーンが多おおく登場とうじょうします。

ファッション業界ぎょうかいを描えがいたドラマはもちろん、法定ほうていドラマでも女性じょせい弁護士べんごしが凛りんとした立たち姿すがたで無罪むざいを勝かち取とっていきます。バリバリと仕事しごとをこなす女性じょせいたちへの憧あこがれと、エレガントな女性じょせいへの憧あこがれと。

ハイヒールを履はくと、そんな女性じょせいに近ちかづけるような、そんな魔法まほうがあるような気きがします。そして何なによりも少女しょうじょたちにとって、ハイヒールは大人おとなへの憧あこがれでもあるのです。

マノロ・ブラニクやクリスチャン・ルブタンのような華奢きゃしゃなハイヒールは苦手にがてでしたが、２０代だい、３０代だいの頃ころはヒールの高たかい靴くつばかり履はいていました。

ハイヒールはよそ行いきの自分じぶんへのスイッチでもありました。ところが年々ねんねん、履はけなくなる。やはり、脚あしを鍛きたえていないと支ささえられなくなるのですね。

それでもヒールの高たかい靴くつが好すきだったので、厚底あつぞこの靴くつや、ウェッジソールの靴くつを履はいていました。そして４年ねん前まえに転ころんで手首てくびを骨折こっせつし、特別とくべつな機会きかい以外いがいではヒールの高たかい靴くつをすっかり履はかなくなりました。

今いまではローファーとスニーカーの毎日まいにちですが、地ちを踏ふみ締しめて歩あるく心地ここちよさを感かんじます。それは『魔法まほう』ではなく自然体しぜんたいでいることの喜よろこび、と言いってもいいかもしれません。

この夏なつニューヨークでスニーカーを買かったところ、これが最高さいこうに歩あるきやすい。毎日まいにち、１万まん５千せん歩ほ、１万まん６千せん歩ほを歩あるいても疲つかれない。

どこまでも歩あるいていけそうなこの人気にんき急上昇きゅうじょうしょうのブランドのスニーカーは、すっかり私わたしのバディになりました。

また、ニューヨークでハイヒールを履はいている人ひとは少数しょうすう派はでした。もちろんTPOはあると思おもいますが、ほとんどがスニーカーでした。

どこまでも歩あるけそうなスニーカーを愛用あいようしつつ、やはりハイヒールへの憧あこがれも胸むねの奥おくにぽっと灯ともっている。大人おとなへの憧あこがれだったハイヒールは、今いまでは若わかかった頃ころへの憧あこがれに。

とは言いえ、ハイヒールを履はいたグレイヘアの女性じょせいの凛りんとした立たち姿すがたはかっこいい。憧あこがれが明日あしたの自分じぶんを創つくる。そのためにも、歩あるいて鍛きたえることですね。

※記事きじ中ちゅうの写真しゃしんはすべてイメージ

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[文ぶん・構成こうせい／吉元よしもと由美ゆみ]