暦こよみ、季き節ぶしの行事ぎょうじを大切たいせつにしてきた日本人にっぽんじん 師走しわすの忙いそがしさと新年しんねんの静寂しじまの変化へんかを味あじわいたい By - 吉元よしもと 由美ゆみ 公開こうかい:2023-12-31 更新こうしん:2023-12-31 エッセイ吉元よしもと由美ゆみ連載れんさい Share Post LINE はてな コメント 吉元よしもと由美ゆみの『ひと・もの・こと』 作詞さくし家かでもあり、エッセイストでもある吉元よしもと由美ゆみさんが、日常にちじょうに関かかわる『ひと・もの・こと』を徒然つれづれなるままに連載れんさい。 たまたま出会であった人ひとのちょっとした言動げんどうから親友しんゆうのエピソード、取材しゅざいなどの途中とちゅうで出会であった気きになる物ものから愛用あいよう品ひん、そして日常にちじょう話ばなしから気きになる時事じじニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関かんするトピックを吉元よしもと流りゅうでお届とどけします。 「近ちかくて遠とおきもの」を味あじわう 昨日きのうから今日きょうに、今日きょうから明日あしたに。日ひは昇のぼり、日ひは沈しずむ。天気てんきの違ちがいはあっても、何なにも変かわることはありません。 それなのに私わたしたちはクリスマスを境さかいに自分じぶんをせき立たてるように歩あるき、頭あたまの中なかでさまざまなことを確認かくにんしながら『やらなければならないこと』『すませてしまいたいこと』をこなしていく。 日毎ひごと、寒さむさが増ましていく。ぐるぐる巻まきにしたマフラーに顔かおを埋うめるようにし、重おもそうな買かい物もの袋ぶくろを持もった人ひとたちが行いき交かう。 年内ねんないの仕事しごとをこなしている一方いっぽうで、クリスマスはどうしようか、プレゼントは? お正月しょうがつには何なにを作つくろうか。それは100メートル走はしを自分じぶん一人ひとりで何なにレーンも同時どうじに走はしらなければならない状況じょうきょう(もちろんありえないのですが)のよう。 12月じゅうにがつは本当ほんとうに忙いそがしい。ゆっくり休やすむことを許ゆるしてくれません。 しかし考かんがえてみれば、これらは誰だれに強制きょうせいされたわけでもない。ゆっくりマイペースに過すごそうと決きめてしまえばできるわけで、結局けっきょく自分じぶんを追おい込こんでいるのは自分じぶんなのですね。 行事ぎょうじ、イベントに振ふり回まわされている。世よの中なかの雰囲気ふんいきに巻まき込こまれている。街まちのイルミネーションや、早々そうそうにマーケットに並ならんだ蒲鉾かまぼこや伊達だて巻まきに踊おどらされているのかもしれません。 とはいえ、友達ともだちや家族かぞくを思おもって動うごき回まわっているということも。忙いそがしさと休息きゅうそくと。何事なにごとにもバランスが必要ひつようということを、毎年まいとし痛感つうかんします。 清少納言せいしょうなごんの『枕草子まくらのそうし』の「近ちかくて遠とおきもの」(166段だん)に、次つぎのような言葉ことばがあります。 「近ちかくて遠とおきもの 宮みやのべの祭まつり。親族しんぞくの中なか。鞍馬あんばのつづらをりといふ道みち。師走しわすのつごもりの日ひ。正月しょうがつ(むつき)のついたちの日ひほど」 師走しわす、そして大晦日おおみそかの喧騒けんそうが除夜じょやの鐘かねと共ともに消きえ去さり、澄すみきった静寂しじまに包つつまれる。何なにかが変かわるわけでもない今日きょうと明日あしたの間あいだに、これほどの変化へんかを感かんじるのは、暦こよみ、季き節ぶしの行事ぎょうじを大切たいせつにしてきた日本人にっぽんじんの感性かんせいなのかもしれません。 カウントダウンをし、HAPPY NEW YEAR!と乾杯かんぱいをする。それも楽たのしいと思おもう一方いっぽうで、忙いそがしさと静寂しじまの変化へんかを味あじわいたいものです。 また『枕草子まくらのそうし』の冒頭ぼうとう「春はるはあけぼの」に続つづき、冬ふゆについてこのように書かかれています。 「冬ふゆはつとめて。雪ゆきの降ふりたるはいふべきにもあらず、霜しものいとしろきも、またさらでもいと寒さむきに、火ひなどいそぎおこして、炭すみもてわたるもいとつきづきし、昼ひるになりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶ひおけの火ひもしろき灰はいがちになりてわろし。」 (口くち訳やく)冬ふゆは早朝そうちょうがあわれふかい。雪ゆきの降ふっているときの面白おもしろさはいうまでもない。霜しもなどがたいへん白しろく、またそうでなくても、非常ひじょうに寒さむい朝あさ、火ひなどをいそいでおこして、炭火すみびを持もってゆくなど、冬ふゆの情感じょうかんにぴったりである。もっとも、昼ひるになって、寒さむさがやわらいでくると、火鉢ひばちの火ひも白しろく、灰はいがちになっている、などというのは、つまらないけど。 平安へいあん時代じだいの冬ふゆは、さぞ寒さむかっただろうと思おもいます。寒さむい冬ふゆの、さらに寒さむい早朝そうちょう。火鉢ひばちに白しろく灰はいが溜たまって来くるのはよろしくないと。フレッシュであることの大切たいせつさを説といているのでしょう。 寒さむさがもたらす美うつくしく新鮮しんせんな緊張きんちょう感かん。新年しんねんの朝あさも、静寂せいじゃくと共ともにそうありたいと思おもいます。 いのちを紡つむぐ言葉ことばたち かけがえのないこの世界せかいで吉元よしもと 由美ゆみ1,584円えん(09/29 06:02時点じてん)Amazon楽天らくてん市場いちばYahooAmazonの情報じょうほうを掲載けいさいしています ※記事きじ中ちゅうの写真しゃしんはすべてイメージ 作詞さくし家か・吉元よしもと由美ゆみの連載れんさい『ひと・もの・こと』バックナンバー [文ぶん・構成こうせい/吉元よしもと由美ゆみ] 吉元よしもと由美ゆみ 作詞さくし家か、作家さっか。作詞さくし家か生活せいかつ30年ねんで1000曲きょくの詞しを書かく。これまでに杏里あんり、田原たはら俊彦としひこ、松田まつだ聖子せいこ、中山なかやま美穂みほ、山本やまもと達彦たつひこ、石丸いしまる幹みき二に、加山かやま雄三ゆうぞうなど多おおくのアーティストの作品さくひんを手掛てがける。平原ひらはら綾香あやかの『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在げんざいは「魂たましいが喜よろこぶように生いきよう」をテーマに、「吉元よしもと由美ゆみのLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信はっしん。 ⇒ 吉元よしもと由美ゆみオフィシャルサイト ⇒ 吉元よしもと由美ゆみFacebookページ ⇒ 単行本たんこうぼん「大人おとなの結婚けっこん」 「ルパン婚こんですね」「驚おどろいた!」 勝かち矢や、宝塚たからづか元もとトップスターと結婚けっこん勝かち矢やさんが、元もと宝塚たからづかトップ真ま風ふう涼すずし帆かいさんと結婚けっこん!ネット上じょうでは「ルパン婚こん」と話題わだいです。 やす子こ、最近さいきん通かよっている『習ならい事ごと』明あかす 「こんなに忙いそがしいのに!?」「本当ほんとうに尊敬そんけい」2024年ねん9月がつ27日にち、お笑わらいタレントのやす子こさんが、Xを更新こうしん。最近さいきん、ピアノ教室きょうしつに通かよっていることを明あかし、多おおくのファンを驚おどろかせました。 Share Post LINE はてな コメント
たまたま出会 った人 のちょっとした言動 から親友 のエピソード、取材 などの途中 で出会 った気 になる物 から愛用 品 、そして日常 話 から気 になる時事 ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関 するトピックを吉元 流 でお届 けします。
「近 くて遠 きもの」を味 わう
それなのに私 たちはクリスマスを境 に自分 をせき立 てるように歩 き、頭 の中 でさまざまなことを確認 しながら『やらなければならないこと』『すませてしまいたいこと』をこなしていく。
しかし考 えてみれば、これらは誰 に強制 されたわけでもない。ゆっくりマイペースに過 ごそうと決 めてしまえばできるわけで、結局 自分 を追 い込 んでいるのは自分 なのですね。
とはいえ、友達 や家族 を思 って動 き回 っているということも。忙 しさと休息 と。何事 にもバランスが必要 ということを、毎年 痛感 します。
「近 くて遠 きもの 宮 のべの祭 。親族 の中 。鞍馬 のつづらをりといふ道 。師走 のつごもりの日 。正月 (むつき)のついたちの日 ほど」
カウントダウンをし、HAPPY NEW YEAR!と乾杯 をする。それも楽 しいと思 う一方 で、忙 しさと静寂 の変化 を味 わいたいものです。
また『枕草子 』の冒頭 「春 はあけぼの」に続 き、冬 についてこのように書 かれています。
「冬 はつとめて。雪 の降 りたるはいふべきにもあらず、霜 のいとしろきも、またさらでもいと寒 きに、火 などいそぎおこして、炭 もてわたるもいとつきづきし、昼 になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶 の火 もしろき灰 がちになりてわろし。」
(口 訳 )冬 は早朝 があわれふかい。雪 の降 っているときの面白 さはいうまでもない。霜 などがたいへん白 く、またそうでなくても、非常 に寒 い朝 、火 などをいそいでおこして、炭火 を持 ってゆくなど、冬 の情感 にぴったりである。もっとも、昼 になって、寒 さがやわらいでくると、火鉢 の火 も白 く、灰 がちになっている、などというのは、つまらないけど。
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※記事 中 の写真 はすべてイメージ
[文 ・構成 /吉元 由美 ]
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