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5分でわかる『老人と海』!あらすじから最後まで、教訓、魅力をネタバレ考察 | ホンシェルジュ

5ふんでわかる『老人ろうじんうみ』!あらすじから最後さいごまで、教訓きょうくん魅力みりょくをネタバレ考察こうさつ

更新こうしん:2021.12.12

ノーベル文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうしているアーネスト・ヘミングウェイ。かれ代表だいひょうさくである『老人ろうじんうみ』は、自然しぜんたたか人間にんげん姿すがたえがききった名作めいさくとして映画えいが漫画まんがにもなっています。日本にっぽんのバンド・ヨルシカもオマージュした楽曲がっきょく制作せいさくしたことでっているほうもいることでしょう。 今回こんかい記事きじでは、『老人ろうじんうみ』のあらすじや魅力みりょくをご紹介しょうかいしつつ、作品さくひんかられる教訓きょうくんについても考察こうさつしていきます!

ブックカルテ リンク

まずは小説しょうせつ老人ろうじんうみ』のあらすじや特徴とくちょうを、簡単かんたんみじか紹介しょうかい

あらすじ

舞台ぶたいはキューバ・コヒマル。この土地とち漁師りょうしのサンチャゴ老人ろうじんは、84日間にちかん不漁ふりょうつづいていました。かれ今日きょうこそはおおきな獲物えものつかまえてみせると、早朝そうちょううみします。その途中とちゅう巨大きょだいなカジキと遭遇そうぐうし、たたかいをはじめますが……。

著者ちょしゃ
ヘミングウェイ
出版しゅっぱん

概要がいよう

老人ろうじんうみ』は、1952ねん出版しゅっぱんされたヘミングウェイの短編たんぺん作品さくひんです。自然しぜんたたか人間にんげん姿すがたえがいたストーリーで、現在げんざいでも読書どくしょ感想かんそうぶん課題かだいになる傑作けっさくです。この作品さくひんがきっかけで、ヘミングウェイはノーベル文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうしたといわれています。

福田ふくだひさしそん野崎のさきたかしといった著名ちょめい翻訳ほんやくによって翻訳ほんやくされており、日本にっぽんはもちろん、世界中せかいじゅう国々くにぐにあいされる名作めいさくです。

老人ろうじんうみ』はおなじくアメリカ文学ぶんがく傑作けっさくである『白鯨はくげい』にているといわれており、ふたつの作品さくひん対応たいおうする要素ようそっています。

  • メインの登場とうじょう人物じんぶつ老人ろうじん(『白鯨はくげい』のエイハブ船長せんちょう、『老人ろうじんうみ』のサンチャゴ)
  • いちひき獲物えもの目標もくひょうとしてりょうる(『白鯨はくげい』のモビー・ディック、『老人ろうじんうみ』のカジキ)

エイハブは白鯨はくげいにくんでおり、サンチャゴはカジキを尊敬そんけいしているというてんちがいますが、獲物えもの特別とくべつ感情かんじょういている老人ろうじんうみる」という構図こうず共通きょうつうしているので、ているとわれることがおおいのでしょう。

そんな『老人ろうじんうみ』の原文げんぶん英語えいご教科書きょうかしょとしても掲載けいさいされるなど、日本にっぽんでもひろまれています。

ハードボイルドな作風さくふう面白おもしろくないという意見いけんもありますが、多様たようかたができるというてんでは大変たいへん面白おもしろ作品さくひんです。新潮社しんちょうしゃ累計るいけい発行はっこう部数ぶすうでは3はいり、おおきな売上うりあげをあげています。映画えいがやアニメ、漫画まんがばんており、世界中せかいじゅうしたしまれています。

ヨルシカがオマージュして話題わだいに!

2021ねんには日本にっぽんのアーティストであるヨルシカがほんさくをオマージュしたどうタイトルの楽曲がっきょくをリリース。CMソングとしてもしたしまれました。文学ぶんがく作品さくひんの『老人ろうじんうみ』をったうえで、楽曲がっきょく歌詞かし見比みくらべながらたのしめば魅力みりょく倍増ばいぞうではないでしょうか。歌詞かし最後さいご登場とうじょうする「ライオン」の一節いっせつ意味いみも、この記事きじめばヒントがられますよ。

 

むかし小説しょうせつについてむずかしい」「つまらない」といったイメージをっているひとにこそんでいただきたい作品さくひんです。今回こんかい記事きじでは、『老人ろうじんうみ』がきになるような魅力みりょくを、ふんだんにご紹介しょうかいしていきます。

作者さくしゃ・アーネスト・ヘミングウェイとは?

アーネスト・ヘミングウェイはアメリカ出身しゅっしん小説しょうせつです。『はまたのぼる』『武器ぶきよさらば』などの作品さくひんられ、1954ねんにノーベル文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうしました。『だれがためにかねる』『老人ろうじんうみ』などの作品さくひん映画えいがにもなっています。簡潔かんけつ文体ぶんたい特徴とくちょうで、おおくの作家さっか影響えいきょうあたえました。

スペインの内戦ないせん従軍じゅうぐん記者きしゃとしてかかわり、そのとき経験けいけんは『武器ぶきよさらば』などの戦争せんそうあつかった作品さくひんかされています。ボクシングや狩猟しゅりょう趣味しゅみで、活動かつどうてき作家さっかとしてられていました。

ノーベル文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうしたとし飛行機ひこうき事故じこにあい、そのうつびょうになってしまいます。このころから活動かつどうてきいちめんはなくなってしまい、1961ねんにショットガンで自殺じさつしました。

老人ろうじんうみ』の登場とうじょう人物じんぶつ紹介しょうかい

老人ろうじんうみ』の主人公しゅじんこうサンチャゴという老人ろうじんです。かつてはうでのいい漁師りょうしでしたが、84日間にちかん不漁ふりょうつづき、漁師りょうし仲間なかまからは馬鹿ばかにされています。

もう一人ひとり登場とうじょう人物じんぶつは、マノーリンという少年しょうねんです。マノーリンは以前いぜんまでサンチャゴとともにりょうをしていましたが、かれ不漁ふりょうつづきになったので、両親りょうしんからべつふねくようにめいじられました。マノーリンは現在げんざいでは「親方おやかた」のふねっていますが、食事しょくじれなどをしてサンチャゴをづかっています。

おも登場とうじょう人物じんぶつとしてはこの2人ふたりですが、うみ出会であうマカジキやトビウオに、老人ろうじん人間にんげんのようにはなしかけます。さかなをはじめとした自然しぜんも、登場とうじょう人物じんぶつとして物語ものがたり重要じゅうよう要素ようそになっているのです。

老人ろうじんうみ』には、興味深きょうみぶか解釈かいしゃくがあります。「サンチャゴはキリストの象徴しょうちょうなのではないか」というものです。

老人ろうじんうみ』の冒頭ぼうとうでは、サンチャゴの小屋こやにマリアのと「色刷いろずりのイエスの精神せいしん」がかざられているという描写びょうしゃがあります。また、うみでカジキとたたかうときも、老人ろうじんは「われらのちち」と「アヴェ・マリア」のいのりをくちにしているのです。

このように、ところどころにキリスト教きりすときょうのモチーフが使つかわれているだけでなく、帰港きこうしたサンチャゴはマストを背負せおって坂道さかみちあるいていきます。この姿すがたは、キリストが十字架じゅうじか背負せおってゴルゴダのおかかう姿すがたかさなります。

老人ろうじんうみ』は、不漁ふりょうつづきだったサンチャゴがひさしぶりにおおきな獲物えものつかまえるはなしですが、ヘミングウェイはその姿すがたにキリストの復活ふっかつかさねたといわれているのです。

カジキとの激闘げきとうたしてサンチャゴは?

老人ろうじんうみ最大さいだいどころは、サンチャゴがマカジキとたたか場面ばめんです。

3日間にちかんにわたるたたかいは、どんな結末けつまつをむかえるのでしょうか。

一人ひとりりょうたサンチャゴは、おおきさが18フィート(やく5.5メートル)もあるカジキと出会であいました。カジキはいとにつながり、ふねっぱっていきます。なんとしてもしとめたいサンチャゴは、3にちあいだ死闘しとうをくりひろげるのです。

ふねには食料しょくりょうがなく、肝油かんゆげたしょうさかなべながら、老人ろうじんはカジキとたたかいます。最後さいごにはカジキにとどめをさすことができましたが、かれ本当ほんとうたたかいはここからがはじまりでした

老人ろうじんうみ』からられる教訓きょうくん・テーマとは?つたえたいことを考察こうさつ

老人ろうじんうみ』は、外面がいめん描写びょうしゃにこだわった作風さくふうなので、人物じんぶつ感情かんじょう思想しそうといった内面ないめんについてはあまり説明せつめいされていません。そのため、作品さくひんにどんな意味いみがあるのか、なぜ名作めいさくなのかがかりづらいかもしれません。この作品さくひんとおして、ヘミングウェイはなにがいいたかったのでしょうか。

サンチャゴは84日間にちかんもの不漁ふりょうのなかにいて、漁師りょうし仲間なかまからもわらいものになっています。サンチャゴは失意しついのなかにいて、しんささえはマノーリンだけです。

マノーリンはサンチャゴとふねっていた時期じきもあり、老人ろうじんしたっています。少年しょうねんべつふね獲物えものりあげており、漁師りょうしとしてのうでげています。サンチャゴにとって、かれ希望きぼうといえる存在そんざいです

また、マカジキとの出会であいは、サンチャゴが漁師りょうしとしての名誉めいよをとりもどすチャンスでした。しかし、つかまえたカジキはみなともど途中とちゅううしなってしまうことになるのです。それは人生じんせい残酷ざんこくさを象徴しょうちょうしているかのよう。

結局けっきょく、なにもれられなかったサンチャゴは、つかれはててねむりにつきます。しかし、少年しょうねんかれからおしえてもらった技術ぎじゅつ経験けいけんかして、漁師りょうしとして成長せいちょうしています。老人ろうじんはすべてをうしなってしまいましたが、少年しょうねん技術ぎじゅつ希望きぼうつたえることができました

した世代せだい価値かちあることをつたえられたことによって、老人ろうじん人生じんせいむくわれたのかもしれません。

老人ろうじんうみ』の勇気ゆうき名言めいげん解説かいせつ

老人ろうじんうみ』のなかで、印象いんしょうのこ一節いっせつをご紹介しょうかいします。

きっときょうこそは。とにかく、毎日まいにちあたらしいなんだ 
(『老人ろうじんうみ』より引用いんよう

不漁ふりょうつづ毎日まいにちにもめげずりょうるサンチャゴが、ふねをこぎすときのセリフです。逆境ぎゃっきょうにもけない力強ちからづよさがかんじられますね。

けれど、人間にんげんけるようにつくられてはいないんだ 
(『老人ろうじんうみ』より引用いんよう

3日間にちかん死闘しとうすえつかまえたカジキは、ある存在そんざいによって無残むざん姿すがたにされてしまいます。それをたサンチャゴの言葉ことばです。たたかっているうちにカジキを「兄弟きょうだい」とぶほど親近しんきんかんいていた老人ろうじんにとって、カジキがわりてた姿すがたになってしまったのはつらかったはず。それでもまえかれ姿すがたは、敗北はいぼくこごめしない意志いしかんじます。

老人ろうじんうみ』の結末けつまつとは?最後さいご内容ないようをネタバレ解説かいせつ

カジキとのたたかいがどころの『老人ろうじんうみ』ですが、結末けつまつはどうなるのでしょうか。

3日間にちかんたたかいのすえにカジキをつかまえた老人ろうじんですが、みなとかえ途中とちゅう、カジキはある出来事できごとによって、るも無残むざん姿すがたに。そして、ほねだけになったカジキをれて、かれかえってきました。

サンチャゴは小屋こやかえってねむりにつくところではなしわりますが、結末けつまつかんしてはいろいろな解釈かいしゃくがあります。

著者ちょしゃ
ヘミングウェイ
出版しゅっぱん
著者ちょしゃ
["ヘミングウェイ", "高見たかみ ひろし"]
出版しゅっぱん

1研究けんきゅうしゃあいだでは、ゆめオチだったのでは」という意見いけんもあります。根拠こんきょとしては

  • 序盤じょばん投網なげあみぜごはんのやりとりがあるが、それらはすべて老人ろうじん少年しょうねん演技えんぎであること
     
  • 最後さいご場面ばめんで、給仕きゅうじが「ティブロン……いえ、サメです」ということ
     

などです。老人ろうじん最初さいしょからゆめているだけで、りょうになどていないという可能かのうせい指摘してきされています。

老人ろうじんふね横付よこづけにされているったさかなほねて、給仕きゅうじは「ティブロン(スペインでサメのこと)」といいます。カジキとたたかっていたというのは、ゆめぎなかったのではないか、という意見いけんです。

また、ほんさく最後さいご老人ろうじんはライオンのゆめていた」という一説いっせつわります。「ライオン」というモチーフは、作中さくちゅうのところどころでてきます。それは老人ろうじんわかいころにたもので、かれがもっとも活躍かつやくしていた時代じだい象徴しょうちょうするものでもあります。

不漁ふりょうつづきで失意しついそこにいた老人ろうじんは、自分じぶん黄金おうごん時代じだいゆめていただけなのかもしれません。あなたは実際じっさい作品さくひんんだとき、どうかんじるでしょうか?

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