康樂及文化事務署(LSCD)は4月10日、大角咀(Tai Kok Tsui)エリアあった海輝道花園と海輝道休憩用地を統合し、新しい公園「海輝道公園(Hoi Fai Road Park)」をオープンした。テーマは「オリンピック」で、今年7月26日に開幕するパリ五輪に合わせ香港市民にスポーツを通じて健康に過ごしてもらうのが狙い。
公園内には、SNSを意識した写真撮影スポットも
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場所はMTR奥運駅(Olympic Station)のA出口から徒歩5分の場所にある。元々このエリアには海輝道花園とプロムナードがあり、市民の憩いの場として利用されていた。そこを再整備して新しい公園として生まれ変わらせた。
公園が整備されたエリアは昔、大角咀碼頭(Tai Kok Tsui Ferry Pier)があり、中環(Central)を結ぶフェリーや中国各地を結ぶフェリーが就航する場所だった。しかし、西九龍(West Kowloon)の埋め立てプロジェクトに関連してふ頭の運用が停止された。そして、このエリアも一部埋め立てをしながら大規模住宅ゾーンとして開発されることになった。現在では、維港湾(Island Harbourview)や浪澄湾(The Long Beach)を中心としたマンション群が形成されている。埋め立てされていないマンション群の東側は1950年代から板金、金属などを中心とした工場街として栄えてきた。
同エリアは、地名としては「大角咀」だが、公園の最寄り駅の名前が奥運駅となっているのは1996年のアトランタ五輪で李麗珊さんがウインドサーフィンで香港初の金メダルを獲得したことを記念して名付けられたため。それ以降、駅に隣接している大型ショッピングモールの奥海城(Olympian City)ではオリンピック関連のイベントが行われたり、サッカーワールドカップを含めたスポーツのパブリックビューイングなども開催されてきた。
こうした経緯やパリ五輪開催の背景もあり、香港政府は「オリンピック」をテーマにした公園と位置付けた。広さは9500平方メートルで、展望台、ジョギングコース、フィットネス機器を備えたフィットネス・ガーデン、砂場、さまざまな年齢の子どもたちが楽しめる遊び場などがある。小さな丘を設け高低差を演出。そこに障害物を設置することことで身体能力、バランス能力を養う設計を施す。
加えてプールのデザインコンセプトを取り入れたパビリオンがあり、パビリオンの天井には競泳選手が水中で泳ぐ模様を描く。SNS時代を反映し、地面に聖火の種火を掲げる女性の絵が描き、利用者が聖火の火をつけてもらえるような写真を撮影することもできるようにした。
香港政府は現在、旧啓徳空港(Kai Tak Airport)跡地で建設が進められている総合スポーツゾーンの「啓徳体育園(Kai Tak Sports Park)」を進めるなど、スポーツの振興に力を入れていることから、今後も市民の健康増進を考慮した公園づくりが進むと見られている。