政府庁舎の一つ、灣仔(Wanchai)の入境事務處總部(Immigration Headquarters)(61 Po Yap Road, Tseung Kwan O, New Territories, Hong Kong TEL 2824 6111)が6月11日、將軍澳(Tseung Kwan O)に移転した。
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イミグレーションは、ビザ、IDカード、パスポート、婚姻登記、出生届などの公共サービスを提供しており、日本でいう市役所、区役所、役場のような機能を持つ。日本人を含めた香港在住外国人にとって、各種ビザの取得の関係から最も重要な政府機関の一つである。
日本は霞ヶ関に代表されるように基本的に官庁を集約させているが、香港にはその考えはあまりなく、状況に応じて庁舎を建設することから各省庁はかなり分散してきた。2015年には旧啓徳空港跡地に22フロア、建築面積3万2400平方メートルの工業貿易大楼(Trade and Industry Tower)を建設し、工業貿易署(TID)の本部を中心にいくつかの政府部門をこちらに移転させている。
今回のイミグレーションの引っ越しだが、灣仔の庁舎は1989年に完成し1990年から供用を開始し築35年が経過した。耐用年数としてはまだ使えるが、2017年、林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官(当時)の「施政報告」で、会議展覧中心(HKCEC)の拡張を含む新しい政府の合同庁舎を現地に建設することを発表しており、その計画を推進する形となる。
將軍澳エリアは、元々は小さな漁村でその昔は船で行くしかないような場所だった。香港政府が綿密なプラン作り、事実上ゼロから開発した新興住宅地。地下鉄、高速道路、橋、トンネルを次々に造ったことにより利便性は高まり、イミグレーションの場所は香港島中心の灣仔よりかなり東側に移動したもののアクセスは充実している。
新庁舎は1万7200平方メートルの敷地に17フロアと16フロアを持つ2棟で構成し、総面積は14万平方メートル。外壁にはガラスを多用してオフィス内を明るくするほか、吹き抜けなども活用して広々とした空間を作り出している。
各種手続きは混雑具合などによっては半日以上かかるケースもあったことから、政府はDX化をさらに進め業務の効率化を図ったほか、受付ブースを増やすなどして、時間の短縮を図る。加えて、灣仔にはなかった結婚式場と結婚登記所、出生届を行う部門を新たに設置した。これに合わせて、本部に比較的近くにある観塘(Kwun Tong)のイミグレーションの出先機関は閉鎖となるが、その他の香港各地にあるイミグレーションの出先機関はそのまま残り、これまでと同じ業務を続ける。
本部の新しい場所はMTR調景嶺駅(Tiu Keng Leng Station)と將軍澳駅(Tseung Kwan O Station)の中間にあり將軍澳駅B1出口から徒歩5分、調景嶺駅A2出口からは徒歩8分の位置となる。周辺には多く香港各地から来るバスも数多く走っている。
一部移民局などは営業時間の延長(月曜~土曜の8時~22時)を決めているが、部署ごとに異なるため、営業時間はウェブサイトで確認するのが望ましい。