香港のテーマパーク「海洋公園(Ocean Park)」で8月15日、ジャイアントパンダの「盈盈(Ying Ying)」が双子の赤ちゃんを出産した。19歳の誕生日前日で、人間に換算すると57歳。パンダの初産としては最高齢を記録した。順調に成長すれば数カ月後にお披露目される。
15日未明に生まれてきた双子の赤ちゃんパンダ
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飼育されているパンダの平均寿命はおよそ30歳で、出産できるのは20歳前半までといわれており、ぎりぎりの出産だった。
双子の父は2007年に海洋公園にやってきた「楽楽(Le Le)」。ジャイアントパンダの繁殖期は年間を通じて1回で、期間も3月~6月と短い。自然のパンダでの生態系の生活は1頭で生活することが多いからだという。毎年繁殖のシーズンになると、飼育員は盈盈を丁寧に観察し、ホルモン状態も観察。ベストと思える時にパンダに交配の機会を与える。そのため、毎年妊娠する保証がないほか、盈盈は妊娠してもこれまで何度も流産してきた。
盈盈は7月末に食欲不振となり、休憩や睡眠時間が増えた。併せて、ホルモンレベルの変化が現れたため妊娠が疑われるようになった。ただ、妊娠が判明したのは8月11日に超音波で検査した時だった。
8月14日になると盈盈の活動が活発になり、イライラする様子も増えた。その後、22時ごろに破水し、15日未明に双子の赤ちゃんを産んだ。生まれてきた双子の赤ちゃんは、先に生まれた体重122グラムの雌と後に生まれた112グラムの雄。
現在、海洋公園の飼育員と中国から派遣された専門家が24時間態勢で赤ちゃんの見守りと世話をしている。生まれた当初、「雌の赤ちゃんは体温が低く、泣き声も弱く、食事の量も少ない」と危機感を示していたが、現在は盈盈が赤ちゃんを舐めることで排便を促したり、抱っこしたりするなど母親としての動きを見せているという。ただ、高齢であることから母乳の量が十分ではないため、保存した母乳を中国本土から送られてくるようにした。
海洋公園は9月26日に2頭の新しいパンダを迎える予定で、今後は6頭のパンダが香港で飼育されることになる。そのため、近いうちに新しいパンダ用の施設の建設を計画する。
海洋公園には過去、「佳佳(Jia Jia)」というパンダがおり、1978年に生まれ、2016年に死んだ。当時、世界最高齢の38歳という記録を持っていた。同園では、中国本土からは定期的に5~9種類の竹を取り寄せ、鮮度を保つために4~7度に保ち、スプリンクラーで水分がある状態にする。さらに、ふんを回収して体調を観察すると同時に、どんな竹を残したかなど、徹底した管理を行うことで知られている。