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アマチュア - Wikipedia

アマチュアえい: amateur)は、芸術げいじゅつ学問がくもん・スポーツなどを、職業しょくぎょうではなく、趣味しゅみ余技よぎとしておこなこと[1]であって、素人しろうと愛好あいこうともう。よく「アマ」とりゃくされる。対義語たいぎごプロフェッショナル(professional。金銭きんせんひと[1]

概説がいせつ

編集へんしゅう

「アマチュア」は、ラテン語らてんごの「amator」(=愛好あいこう)が語源ごげんである[2]。スポーツにおいて、「福祉ふくしてき目的もくてきでスポーツをおこなものは、アマチュアでなくてはならない」とことがある。あるいは「健康けんこう増進ぞうしん目的もくてきとしてアマチュア精神せいしんしたがっておこなう」という主張しゅちょうアマチュアリズムばれる[3]

プロとアマチュアを区分くぶんすることについて、日本にっぽんゴルフ協会きょうかいは「特別とくべつ報酬ほうしゅう目的もくてきとしない、ゴルフの挑戦ちょうせんたいしてプレーするというアマチュアにてきした姿勢しせいがある。一方いっぽうでプロフェッショナルとしてゴルフをプレーするプレーヤーの職域しょくいき侵害しんがいしないこと」と、その意義いぎうたっている[4]

アマチュアやアマチュアリズムは、スポーツの分野ぶんや精神せいしんろんとして役割やくわりたしてきた歴史れきしがあるが、分野ぶんやでも、人々ひとびと無償むしょうでの参加さんかによって発展はってんしている分野ぶんやおおい。たとえば、アマチュア無線むせん無線むせん技術ぎじゅつ発展はってんおおきく貢献こうけんし、アプリケーションソフトウェア分野ぶんやでは、無償むしょうつくられたフリーソフトウェアが、コンピュータプログラム利用りようされている。とくに、おおくの有志ゆうし参加さんかする方式ほうしきでソフトウェア開発かいはつおこなう「バザール方式ほうしき」はすぐれた方法ほうほうとされる[5]

その昆虫こんちゅうがく天文学てんもんがくといった分野ぶんやで、アマチュアは一定いってい役割やくわりたしてきた[6][7]

スポーツにおけるアマチュア

編集へんしゅう

報酬ほうしゅう目的もくてき競技きょうぎするのではなく、たのしみながらスポーツを純粋じゅんすい愛好あいこうするひとをアマチュアといい[2]、その精神せいしんスピリット)をアマチュアリズムといい希望きぼうさづける[2]

アマチュアリズムが根幹こんかんしているスポーツや、アマチュアのみによっておこなわれているスポーツ種目しゅもくなどをアマチュア・スポーツとう。対義語たいぎごプロフェッショナルスポーツ

近代きんだいのスポーツ大会たいかいはアマチュアリズムによって発展はってんしている歴史れきしがある。1896ねんはじまった近代きんだいオリンピック参加さんか資格しかくをアマチュアに限定げんていしており、オリンピック憲章けんしょうの「アマチュア条項じょうこう」がもうけられた。人々ひとびとはアマチュアリズムで大会たいかいいどむことをよろこびとしていた。各国かっこくのオリンピック委員いいんかいなどの規定きていでも、国際こくさい競技きょうぎ連盟れんめいでも(解釈かいしゃく若干じゃっかんちがいはある)おおむね継承けいしょうされていた。だが、1945ねん以降いこう流動りゅうどうする社会しゃかい情勢じょうせいやスポーツの水準すいじゅん向上こうじょうなどによって、伝統でんとうてきなアマチュアリズムのかんがかたでは対応たいおうしきれなくなる事態じたいきており、スポーツかいはアマチュア規定きてい緩和かんわ方向ほうこうへとすすんだことにより、1962ねんにはクリケットがアマチュア規定きてい廃止はいしし、1968ねんにはテニスのウィンブルドン大会たいかいがプロフェッショナルにも開放かいほうされた[2]。1974ねんにはついにオリンピック憲章けんしょうの「アマチュア条項じょうこう」からもアマチュアにかんする規定きてい削除さくじょされている。

イギリスとアメリカ

18世紀せいきのイギリスのスポーツかいでは「ジェントルマン」という用語ようごがアマチュアと同義語どうぎごとして使つかわれており、当時とうじは「ジェントルマンでなければアマチュアでない」とされた[2]。 「アマチュア」という言葉ことばがスポーツにはじめてれられたのは、1839ねんにイギリスでおこなわれたボートレースのヘンリー・ロイヤル・レガッタである[2]。この1839ねんのヘンリー・ロイヤル・レガッタでめられた参加さんか資格しかくが、(成文せいぶんされなかった)世界せかいはじめてのアマチュア規定きていであった[2]規定きていはじめて成文せいぶんされたのは、1866ねんのイギリス陸上りくじょう競技きょうぎ選手権せんしゅけん大会たいかいである[2]。(ただし、その内容ないようは、スポーツによって生計せいけいいとなものだけでなく、職業しょくぎょうをもつすべての労働ろうどうしゃもアマチュアからすものであった。イギリスは、階級かいきゅう意識いしきつよく、「スポーツは上流じょうりゅう階級かいきゅう人々ひとびと同士どうしおこなうもの」というのが、当時とうじの(上流じょうりゅう階級かいきゅうの)社会しゃかい通念つうねんであった[2]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、1868ねんにアマチュア競技きょうぎかいへの参加さんか規定きていめられたが、(イギリスでは趣旨しゅしおおきくことなり)、プロ野球やきゅう創設そうせつ発展はってん多額たがく賞金しょうきん賭博とばく行為こうい増加ぞうか横行おうこうなどによって腐敗ふはいすすみ、プロフェッショナル競技きょうぎしゃとアマチュア競技きょうぎしゃ区別くべつ明確めいかくする必要ひつようせまられたからである。アメリカでは(イギリスのようには)労働ろうどうしゃ階級かいきゅう排除はいじょする内容ないようはなかった[2]

イギリスでもその次第しだい労働ろうどうしゃ社会しゃかいてき地位ちい向上こうじょうし、労働ろうどうしゃにもスポーツに参加さんかするようになって、スポーツは大衆たいしゅうへとすすんでいった[2]

近代きんだいオリンピック

近代きんだいオリンピック1896ねんアテネオリンピックはじまったわけであるが、参加さんか資格しかくをアマチュアに限定げんていしていた。国際こくさいオリンピック委員いいんかいは、1901ねんはじめてかく競技きょうぎ種目しゅもく共通きょうつう規定きていつくったが、その内容ないようつぎの3つに該当がいとうするものはアマチュアとしてみとめない、というものである[2]

  1. 金銭きんせんるためにプレーをするもの
  2. プロとして一緒いっしょにプレーするもの
  3. 講師こうしひとしもしくはトレーナーとして、金銭きんせんもの資格しかくとう

スポーツ競技きょうぎおおくのひときそ場合ばあいおなじような資質ししつっている人々ひとびとでは、年月としつきをかけてトレーニングを十分じゅうぶんんだひと有利ゆうりになる傾向けいこうがある。貴族きぞく紳士しんしは、領地りょうちなどからの収入しゅうにゅうがあり、生活せいかつわれ時間じかん必要ひつようもないので、ふんだんにトレーニングに時間じかんけるわけである。

上述じょうじゅつのように、労働ろうどうしゃ階級かいきゅうもアマチュアとして、つまり趣味しゅみとして、スポーツをたのしむことができるようになったことで、労働ろうどうしゃ階級かいきゅうひとがトレーニングに日々ひび時間じかんことえて、(領地りょうちからの収入しゅうにゅう労働ろうどうしゃ場合ばあいきるために必要ひつよう生活せいかつをどのようにるか、という問題もんだいしょうじることになる。

スポーツ競技きょうぎだい規模きぼ大会たいかいは、人々ひとびと注目ちゅうもくく。注目ちゅうもくあつまるというのは、大抵たいてい 宣伝せんでん利用りようされる。国家こっか権力けんりょくしゃはオリンピックに着目ちゃくもくし、国家こっか宣伝せんでんとして利用りようするようになった。自国じこくから参加さんかさせる選手せんしゅ上位じょういおおくとらせることで、人々ひとびとに、そのくに体制たいせいすぐれている、という印象いんしょうけようとした。ナチス・ドイツは、1936ねんベルリンオリンピックプロパガンダ目的もくてき使つかった。

だい世界せかい大戦たいせんのちになると、ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわこく連邦れんぽうなどの共産きょうさん主義しゅぎ諸国しょこく東側ひがしがわ諸国しょこく)がオリンピックを宣伝せんでん目的もくてき使つかい、それに対抗たいこうするように、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの資本しほん主義しゅぎ諸国しょこく西側にしがわ諸国しょこく)もおこなうようになった。

社会しゃかい主義しゅぎこくでは、競技きょうぎしゃ生活せいかつ補償ほしょうする必要ひつようせまられ、国家こっかが(トレーニングにだけ集中しゅうちゅうできる生活せいかつ環境かんきょう無償むしょう提供ていきょう養成ようせいする選手せんしゅステート・アマチュア)が登場とうじょうし、米国べいこくでは、奨学しょうがくきんによってスポーツにはげ選手せんしゅ(スカラシップ・アマチュア)が登場とうじょうし、おお資本しほん主義しゅぎこくでも、スポンサー企業きぎょう援助えんじょけて(生活せいかつ環境かんきょう道具どうぐととのえる)その代償だいしょうとして宣伝せんでん使つかわれる選手せんしゅコマーシャル・アマチュア)が誕生たんじょうした[2]

たとえば「ステート・アマ」とはスポーツに専念せんねんできる環境かんきょう国家こっかによってあたえられたものであり、トレーニング期間きかんちゅう競技きょうぎしゃでいる期間きかん金銭きんせんていないので一応いちおうは「アマチュア」ではあるものの、メダルを獲得かくとくすれば将来しょうらい競技きょうぎしゃ引退いんたい一般人いっぱんじんよりもめぐまれた年金ねんきんあたえられるなどべつかたち金銭きんせんてき見返みかえりがあった。ステート・アマをアマチュアのカテゴリとしてとらえてよいのかについては議論ぎろん余地よちのこる。同様どうようにコマーシャル・アマチュアも(現金げんきんていない場合ばあいでも、実際じっさいには貨幣かへい換算かんさん可能かのう現物げんぶつ支給しきゅうされており)アマチュアのカテゴリにはいるのか議論ぎろん余地よちのこる。

1945ねん以降いこう流動りゅうどうする社会しゃかい情勢じょうせいやスポーツの「水準すいじゅん向上こうじょう」(≒尋常じんじょうでないトレーニングりょう要求ようきゅうされるしつわざ)などによって、伝統でんとうてきなアマチュアリズムのかんがかたでは対応たいおうしきれなくなってきていた[2]。(西側にしがわ世界せかい資本しほん主義しゅぎ諸国しょこく)では、スポーツ大会たいかいやアスリートにたいする商業しょうぎょう主義しゅぎ侵食しんしょくはげしくなった。)ついにはアマチュア規定きてい緩和かんわ方向ほうこうへとすすみ、1962ねんにはクリケットがアマチュア規定きてい廃止はいしし、1968ねんにはテニスのウィンブルドン大会たいかいがプロフェッショナルにも開放かいほうされた[2]

IOCは、ステート・アマにたいする西側にしがわからの批判ひはんさらにプロ選手せんしゅ出場しゅつじょうさせることによってられそうな経済けいざいてき見返みかえりから、1974ねんオーストリア首都しゅとウィーン開催かいさいされただい75かい国際こくさいオリンピック委員いいんかい総会そうかいで、オリンピック憲章けんしょうからアマチュア条項じょうこう削除さくじょ[8]、オリンピックの「オープン」をはかり、アマ/プロの区別くべつなく参加さんかできるようになり、アマチュアからプロへ転向てんこうする選手せんしゅや、プロであることの宣言せんげんおこな選手せんしゅるようになった。

日本にっぽんにおけるアマチュア競技きょうぎ

編集へんしゅう

日本にっぽんのスポーツ牽引けんいんしてきた要素ようそとして学校がっこうスポーツ企業きぎょうスポーツがある。これらはいずれもアマチュアスポーツとして発足ほっそくしたが、オリンピックとおなじく現状げんじょうでアマチュアである必要ひつよう見出みだせなくなっている。現状げんじょうでもこれらがアマチュアスポーツであるという理解りかい仕方しかた存在そんざいするが、アマチュアの定義ていぎ学校がっこうスポーツ・企業きぎょうスポーツの現状げんじょう無視むししたものであり、精神せいしんてきにでクラシカルな認識にんしき定義ていぎ方法ほうほうである。

学校がっこうスポーツは高校こうこう大学だいがく体育たいいくかいけいおこなわれているスポーツである。とく後者こうしゃについては企業きぎょうスポーツが整備せいびされるまでは日本にっぽんのスポーツの牽引けんいんやくになってきた歴史れきしがある。柔道じゅうどうなどでは形式けいしきじょう企業きぎょうスポーツに移行いこうした選手せんしゅでも実体じったい出身しゅっしんこうなどの学校がっこうスポーツで普段ふだん練習れんしゅうしているケースもある。現状げんじょうにおいてはこれらのトッププレイヤーはスポーツで活躍かつやくすること期待きたいされ入学にゅうがく許可きょかされていたり、その見返みかえりとして学費がくひ部費ぶひ免除めんじょあたえられている。これらは「スポーツ特待とくたいせい制度せいど」などと呼称こしょうされるが、これは経済けいざいてき見返みかえりではなく、とく私立しりつ学校がっこう選手せんしゅはステート・アマの一種いっしゅとみなされることもある。

企業きぎょうスポーツは会社かいしゃない同好どうこうかいやサークルとしてはじまったものである。1960年代ねんだい以降いこう全国ぜんこく規模きぼのリーグせん実施じっしされるようになって企業きぎょうアマ(あるいはコーポレート・アマ)とばれる形態けいたい成立せいりつし、それ以前いぜん大学だいがくスポーツにわって国内こくないスポーツのけんいんやくになうようになった。企業きぎょうアマとは社員しゃいん職員しょくいん福利ふくり厚生こうせい健康けんこう増進ぞうしんしくは企業きぎょう対外たいがいてき宣伝せんでん効果こうか名目めいもくとして、所属しょぞくする企業きぎょうから金銭きんせんてき支援しえんシステムがあった。たとえば就業しゅうぎょう時間じかんない練習れんしゅうをしても、あるいはスポーツ活動かつどう専業せんぎょう社業しゃぎょう従事じゅうじしていなくても、就業しゅうぎょうしたものとなして賃金ちんぎんはらったり、体育館たいいくかんやグランドの整備せいび会社かいしゃからの金銭きんせんてき支援しえんがあるという仕組しくみであった。こうした企業きぎょうアマについてもステート・アマとおなじく「アマチュア」とんでいいのかについて議論ぎろん余地よち存在そんざいする。企業きぎょうによるスポーツ活動かつどうはあくまでも企業きぎょうメセナ一環いっかんであり、会社かいしゃ業績ぎょうせき如何いかしくは全体ぜんたいてきこう不況ふきょう如何いかによって整理せいり廃止はいしされることがある。リーグ自体じたい存在そんざいできなくなったという場合ばあい想定そうていできる。

西にしヨーロッパで重要じゅうよう位置いちめているアスレチッククラブ、スポーツクラブなどでの社会しゃかいスポーツの形態けいたい日本にっぽんではレクリエーションスポーツやならごととしてはさかんである。チャンピオンスポーツ・トップレベルの選手せんしゅ育成いくせいをこの社会しゃかいスポーツに主流しゅりゅうをおいているのは水泳すいえいアーティスティックスイミングフィギュアスケート体操たいそうゴルフなど一部いちぶ競技きょうぎ限定げんていされてきた。1990年代ねんだい以降いこうになってJリーグはこうしたスポーツクラブの形態けいたい積極せっきょくてき推奨すいしょうした。また、バブル崩壊ほうかい以降いこう景気けいき後退こうたい局面きょくめんで、経済けいざいてき判断はんだんによって企業きぎょうからほうされたチームが積極せっきょくてき企業きぎょうスポーツから社会しゃかいスポーツに転換てんかんするれいられるようになった。こうした経緯けいいによって、社会しゃかいスポーツは既存きそん学校がっこうスポーツや企業きぎょうスポーツにだいさんのスポーツのとして、日本にっぽんでも重要じゅうようしてきている。Jリーグにおいては年代ねんだいべつチーム(ユース、ジュニアユース、ジュニア)の所有しょゆう義務付ぎむづけており、また、これ以外いがいにも女子じょしチームやアマチュアチームを所有しょゆうするクラブがある。またサッカーにかぎらず幅広はばひろいスポーツの普及ふきゅう選手せんしゅ育成いくせいすクラブも存在そんざいする。Jリーグ主導しゅどうのクラブはすで収入しゅうにゅう仕組しくみをゆうしているためクラブ財政ざいせい許容きょようする範囲はんい選手せんしゅ支援しえんすること可能かのうである。また、これ以外いがいのスポーツクラブについてもトップレベルの選手せんしゅ商業しょうぎょうてき利用りようしたり、クラブがスポンサーからの提供ていきょうによって運営うんえい資金しきんている。この範囲はんいなか選手せんしゅにおかねをかけるのはJリーグクラブと共通きょうつうである。また、柔道じゅうどうやレスリング、相撲すもうなどをのぞくマイナー格闘技かくとうぎ、マイナー武道ぶどう武術ぶじゅつ世界せかいはトップレベルの選手せんしゅ育成いくせいふく社会しゃかいスポーツ中心ちゅうしんふるくからおこなわれている。この社会しゃかいスポーツが「しんのアマチュア」ととらえられているが、みずからや家族かぞく金銭きんせんてき支援しえんおおく、貧困ひんこんそう参加さんか困難こんなんであり、スポーツかいにおける経済けいざいりょくでの差別さべつ要因よういんおよび「スポーツの貴族きぞく回帰かいき」との批判ひはんがある。

すべてのスポーツが程度ていどはあるが上記じょうきのような現状げんじょうであると理解りかいしてかまわない。トップレベルの選手せんしゅはアマチュアでないことがおおいが、アマチュアでなくてもオリンピックやその国際こくさい大会たいかいには出場しゅつじょう可能かのうである。また国内こくない大会たいかいでも国体こくたいインターハイインターカレッジ出場しゅつじょう可能かのう方向ほうこう徐々じょじょあらためられている。このため、アマチュアでないことにたいして特段とくだん問題もんだいになることはないため選手せんしゅ実態じったいについても問題もんだいにされることはない。

野球やきゅう

編集へんしゅう

日本にっぽん野球やきゅうでは、日本にっぽんプロ野球やきゅう以外いがいのものを総称そうしょうしてアマチュア野球やきゅうにカテゴライズしている。この解釈かいしゃくは「プロフェッショナル以外いがいすべてアマチュア」という二元論にげんろんであり、この定義ていぎのスポーツとくらべてきわめて特異とくいである。野球やきゅう以外いがいのスポーツについても学校がっこう企業きぎょうのスポーツがアマチュアであるという古典こてんてき理解りかい仕方しかたがまかりとおるのは野球やきゅう影響えいきょうするところがおおきい。

この特異とくいさは選手せんしゅとくにトップレベルのおおく)の実態じったいがアマチュアでない(=全国ぜんこく大会たいかい優勝ゆうしょうしようものならたか名声めいせいて、プロ野球やきゅうから手数多てあまたとなる)高校こうこう野球やきゅう大学だいがく野球やきゅう社会しゃかいじん野球やきゅうにおいてしばしば問題もんだいする[ちゅう 1]選手せんしゅ実態じったいとしてはこれらの野球やきゅうにおいても競技きょうぎ学生がくせいスポーツ、企業きぎょうスポーツとわるところはない。日本にっぽん野球やきゅうきわめて特異とくいなのはこうした選手せんしゅ実態じったい完全かんぜん無視むしして「アマチュア」野球やきゅうであると主張しゅちょうしているところに存在そんざいし、これは建前たてまえとしてはアマチュア野球やきゅう選手せんしゅはあくまでも「アマチュア」であると主張しゅちょうするものである。このため実態じったい建前たてまえけて理解りかいする必要ひつようせまられる。

さらに特異とくいなのはのスポーツを掌握しょうあくする組織そしき傘下さんか野球やきゅうぞくしていない(高野連こうやれん高体連こうたいれんに、日本にっぽん学生がくせい野球やきゅう協会きょうかい日本にっぽん体育たいいく協会きょうかいぞくしていない独自どくじ組織そしき)か、ぞくしていても対外たいがいてき大会たいかい参加さんかするための組織そしき国内こくない大会たいかい参加さんかするための組織そしきがバラバラであることなどからのスポーツの基準きじゅん潮流ちょうりゅう野球やきゅうかんしてまった適用てきようされないことである。「アマチュア」の規定きていかんしてすで日本にっぽん野球やきゅう独自どくじローカルルールになっているのはすでべたとおりである。また、のスポーツでは最近さいきん潮流ちょうりゅうとして「アマチュアでない」状態じょうたい追認ついにんされているが、日本にっぽんのアマチュア野球やきゅうでは歴史れきしてき経緯けいいからプロ野球やきゅうとの明確めいかく差異さいもとめられることはないが、アマチュアリズムへの回帰かいきがある。

日本にっぽんにおけるボクシングの「プロフェッショナル」「アマチュア」も特異とくいてき性格せいかくっている。カテゴライズとしては[よう説明せつめい]日本にっぽんボクシングコミッション(JBC)およ日本にっぽんプロボクシング協会きょうかい(JPBA)がかかわるものを「プロボクシング」、日本にっぽんボクシング連盟れんめい(JABF)がかかわるものを「アマチュアボクシング」としているが、JBC/JPBAではどう団体だんたい関係かんけいしない競技きょうぎをすべて「アマチュア」、一方いっぽうでJABFではどう団体だんたい関係かんけいしない競技きょうぎをすべて「プロフェッショナル」とみなしている。しかし、国内こくないではJBC/JPBA、JABFいずれも直轄ちょっかつしない競技きょうぎ団体だんたいザ・おやじファイト、かつての日本にっぽん女子じょしボクシング協会きょうかいなど)も存在そんざいしているため第三者だいさんしゃから場合ばあい見方みかたによっては「プロフェッショナル」「アマチュア」双方そうほうふくまれると矛盾むじゅん発生はっせいしている。

また、JBC/JPBAにおいては「プロボクサー活動かつどうでの報酬ほうしゅうっていない選手せんしゅボクシングジム所有しょゆうして所属しょぞくする選手せんしゅを「社員しゃいん」として雇用こようする企業きぎょう存在そんざいしており、実態じったいとしてはのスポーツにおける「アマチュア」と「プロフェッショナル」が混合こんごうしているとされる。

ゴルフの場合ばあいプロゴルファーとしての資格しかくだけでなくアマチュア資格しかく存在そんざいし、日本にっぽんでは日本にっぽんゴルフ協会きょうかい管理かんりしている。ゴルフにかんして報酬ほうしゅうるなどの、アマチュア資格しかく規則きそくへの違反いはん行為こういがあればアマチュア資格しかく喪失そうしつし、「プロでもアマチュアでもない」状態じょうたいとなる[9]

スポーツ以外いがい

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将棋しょうぎ

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将棋しょうぎにおいては、日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい日本にっぽん女子じょしプロ将棋しょうぎ協会きょうかいなどにぞくする棋士きし女流じょりゅう棋士きしが「プロ」でそれ以外いがいものが「アマチュア」となっており、いわゆるアマチュア棋戦きせん参加さんかけん後者こうしゃ限定げんていされている。ただし、プロを目指めざして奨励しょうれいかいはいったもののプロになれなかったもと奨励しょうれい会員かいいんがアマチュア棋戦きせん参加さんかすることやアマチュアのトップレベルがプロ棋戦きせんに(棋戦きせん独自どくじ規定きていにより)参加さんかすることは普通ふつうのことである[ちゅう 2]。かつては将棋しょうぎ連盟れんめい所属しょぞくではなく将棋しょうぎによって生計せいけいてていた真剣しんけんという職業しょくぎょう存在そんざいしていた(真剣しんけんはアマチュア棋戦きせん参加さんかした実例じつれいがあり、アマチュア名人めいじんせん優勝ゆうしょうしゃもいる)。現在げんざいでは真剣しんけんという職業しょくぎょうはなくなり、女流じょりゅう棋士きし一部いちぶのぞいてプロ棋士きし対局たいきょく普及ふきゅう活動かつどうによって生計せいけいて、かつてのように副業ふくぎょうやスポンサーからの支援しえんたよっている棋士きし存在そんざいしないため、プロとアマの境界きょうかいせんは「対局たいきょく報酬ほうしゅうれるものがプロ、それ以外いがいがアマ」という古典こてんてき分類ぶんるいいている(棋士きし待遇たいぐう改善かいぜん将棋しょうぎへのまりもあって、「プロとアマの境界きょうかいせん明確めいかくになる方向ほうこう事態じたい推移すいいする」という、スポーツとは反対はんたいながれになった)。

ただし、境界きょうかいせん明確めいかくとなったことはかならずしも「プロとアマチュアの垣根かきねがある」ことを意味いみするものではない。81Dojo将棋しょうぎ倶楽部くらぶ24などといったネット将棋しょうぎ普及ふきゅうにより、アマチュアとプロが対局たいきょくできる環境かんきょうとなっており、ネット将棋しょうぎうでげたアマチュアがプロりしたれい[10]や、奨励しょうれい会員かいいんがネット将棋しょうぎ練習れんしゅうとするれい[11]もある。さらに、プロの棋戦きせんにあるアマチュアわくから出場しゅつじょうしたトップアマがプロ棋士きし互角ごかく以上いじょうたたかいをせるれいもあり、特例とくれいとして瀬川せかわ晶司しょうじのプロ編入へんにゅう試験しけんおこなわれ、さらにはプロ編入へんにゅう試験しけん制度せいどされるいたっている。

よって2019ねん11がつ現在げんざいにおける一般いっぱんてき解釈かいしゃくでは、「日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい」または「日本にっぽん女子じょしプロ将棋しょうぎ協会きょうかい」に所属しょぞくする「棋士きし」・「女流じょりゅう棋士きし」が「プロ」と定義ていぎされ、逆説ぎゃくせつてきにそれ以外いがいものが「アマチュア」かんがる。

無線むせん通信つうしんアマチュア無線むせんきょく開拓かいたく開発かいはつしていった[ちゅう 3]という歴史れきしてき経緯けいいもあって、国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごうによる国際電気こくさいでんき通信つうしん連合れんごう憲章けんしょうじょう無線むせん通信つうしん規則きそくや、日本にっぽん電波でんぱほうせいじょうアマチュア無線むせん位置いちづけられており、周波数しゅうはすうたいや、国家こっか資格しかくであるアマチュア無線むせん技士ぎしによる無線むせん従事じゅうじしゃ免許めんきょしょう制度せいども、商用しょうよう業務ぎょうむ無線むせんとは別個べっこ存在そんざいする[ちゅう 4]

電波でんぱほうに「アマチュア業務ぎょうむ」とあるように、行動こうどうにより区分くぶんされる。つまり、アマチュア無線むせんかどうかは属人ぞくじんてきなものではなく、無線むせん従事じゅうじしゃ職業しょくぎょうとしておこなひとであっても容認ようにん相手方あいてがたがアマチュアきょく)されているものであればアマチュア無線むせんおこなうことができる。

また電波でんぱほうにあるとおり、日本にっぽんこくにおいてアマチュア無線むせん業務ぎょうむであり、日本にっぽん無線むせん通信つうしんにおいてのアマチュアは、無償むしょう無線むせん業務ぎょうむおこなこととなる。

アマチュア無線むせん災害さいがい活躍かつやくし、たとえば日本にっぽんでは阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいなど、だい規模きぼ災害さいがいなどにおける非常ひじょう通信つうしんなどでは、重要じゅうよう役割やくわりになっている。

そして日本にっぽんアマチュア無線むせん連盟れんめい(JARL)により、非常ひじょう通信つうしん支援しえんや、趣味しゅみ範疇はんちゅうにおける無線むせん活動かつどう活性かっせいおこなわれている[12]

アマチュアコード

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日本にっぽんアマチュア無線むせん連盟れんめい(JARL)では、「アマチュア」にたいして以下いか定義ていぎおこなっている。

  • アマチュアは、社会しゃかいじんであること
  • アマチュアは、健全けんぜんであること
  • アマチュアは、親切しんせつであること
  • アマチュアは、進歩しんぽてきであること
  • アマチュアは、国際こくさいてきであること

以上いじょうの5項目こうもくを、アマチュア無線むせん提唱ていしょうしている。

音楽おんがく

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クラシック音楽おんがく演奏えんそう趣味しゅみとするアマチュアの演奏えんそう自主じしゅてきあつまって活動かつどうする管弦楽かんげんがくだんを、アマチュア・オーケストラ(アマオケ)と[13]

クラシック音楽おんがく以外いがいではアマチュアによるバンド活動かつどう(アマチュアバンド)があるほか、吹奏楽すいそうがくだん合唱がっしょうだん和楽わらく演奏えんそうなど各種かくしゅ団体だんたい個人こじん存在そんざいする。

いずれも演奏えんそうにより報酬ほうしゅう目的もくてきではないため、活動かつどう資金しきんは「だん」として参加さんかしゃ自身じしん拠出きょしゅつしたり、チケットの自主じしゅ販売はんばい寄付きふつのとうによってまかな[14]

日本にっぽん全国ぜんこくのアマチュア・オーケストラ活動かつどう促進そくしんするため、1972ねん日本にっぽんアマチュアオーケストラ連盟れんめい結成けっせいされている。

関連かんれん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 日本にっぽんプロ野球やきゅう独立どくりつリーグ)のひとつである関西かんさい独立どくりつリーグ (2代目だいめ)きゅう・BASEBALL FIRST LEAGUE)所属しょぞく兵庫ひょうごブルーサンダーズには、芦屋大学あしやだいがく在学ざいがくちゅう選手せんしゅ所属しょぞくしている。日本にっぽん野球やきゅうかい定義ていぎによれば、これは「大学生だいがくせいでありながらプロ野球やきゅう選手せんしゅ」ということであり、芦屋あしや学園がくえんとアマチュア球界きゅうかいとのあいだ軋轢あつれき原因げんいんとなっている。芦屋あしや学園がくえんベースボールクラブはアマチュア球界きゅうかいとは断絶だんぜつ状態じょうたいにある。BFLそのものも、社会しゃかいじん野球やきゅう統括とうかつ団体だんたいである日本にっぽん野球やきゅう連盟れんめいとのあいだ所属しょぞく球団きゅうだん同士どうし対戦たいせんかんする協定きょうていむすべておらず、BFL所属しょぞく球団きゅうだん社会しゃかいじんチーム・クラブチームとの対戦たいせん不可能ふかのう状況じょうきょうである。なお、日本にっぽん野球やきゅう機構きこう(NPB)としては、独立どくりつリーグ球団きゅうだん所属しょぞく大学生だいがくせいについて「プロ野球やきゅうドラフト会議かいぎでのあつかいについては『大学生だいがくせい』という身分みぶん独立どくりつリーグ所属しょぞくという立場たちばよりも優先ゆうせんし、年度ねんどむかえるまでに卒業そつぎょう予定よていがない場合ばあい指名しめい対象たいしょうにならない」という立場たちばっている(独立どくりつリーグ・兵庫ひょうご球団きゅうだん挑戦ちょうせん 規定きていかべ交流こうりゅうせん出来できず…-独立どくりつリーグ・兵庫ひょうご球団きゅうだん挑戦ちょうせん 規定きていかべ交流こうりゅうせん出来できず…産経新聞さんけいしんぶん 2014.1.28づけ)。アマチュアフィギュアスケートの女子じょし選手せんしゅがどんなに好成績こうせいせきげていても身分みぶんくまで高校生こうこうせい大学生だいがくせいであるのと対照たいしょうてき
  2. ^ 奨励しょうれいかい初段しょだん以上いじょうでの退会たいかいしゃは、1年間ねんかん日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい主催しゅさい共催きょうさいとうのアマチュア将棋しょうぎ棋戦きせん復帰ふっきできない制約せいやくがある。
  3. ^ 長波ちょうは中波ちゅうは活用かつようされていて“電波でんぱえば中波ちゅうは”の1920年代ねんだい短波たんぱ有用ゆうようせい実験じっけん証明しょうめいしたのはアマチュアである
  4. ^ ただし、日本にっぽんのように、商用しょうよう無線むせん従事じゅうじしゃ資格しかくでアマチュア業務ぎょうむおこなえるくにもある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん,世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんない言及げんきゅう, 大辞林だいじりん. “アマチュアとは”. コトバンク. 2020ねん6がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 小学しょうがくかん日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ』「アマチュアリズム」
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