(Translated by https://www.hiragana.jp/)
タブラチュア - Wikipedia

タブラチュア (Tablature, Tabulature) は、ほう一種いっしゅで、楽器がっき固有こゆう奏法そうほう文字もじ数字すうじ表示ひょうじするものである。また、タブラチュア(TAB、タブ奏法そうほう)は、それらを記載きさいした楽譜がくふである。

ドイツ民謡みんよう小鳥ことりたよ」の五線譜ごせんふ上段じょうだん)とギター・タブ下段げだん

カタカナたんに「タブ」といった場合ばあい後述こうじゅつの「ギター・タブラチュア」をしめ言葉ことばとして使つかわれる(つうじるが、これに限定げんていするのはあやまり)。

タブラチュア (tablature) の語源ごげんは、一覧いちらんひょうなどを意味いみするラテン語らてんごである tablatura からている。現代げんだいでは「タブ」(英語えいごでは guitar tabs)などの省略形しょうりゃくけいしたしまれている。

現代げんだいつらなるタブラチュアが使つかわれはじめたのは14世紀せいき以降いこうである。

1507ねんにはタブラチュアによる世界せかいはつリュートきょくしゅうがフランチェスコ・スピナッチーノ(リューティスト)のにより出版しゅっぱんされた。これはつるさえるゆびのポジションが記号きごうされており、おとだかおとちょうしめされていることもあって現代げんだいてきなタブラチュアの元祖がんそといえるものである。この時代じだいイタリアスペインフランスドイツなどでリュート演奏えんそうさかんにおこなわれており、タブラチュアも各地かくち独自どくじ発展はってんげ、時代じだいによって大幅おおはば変化へんかくわえられていった。

現代げんだい以降いこうギター中心ちゅうしん一般いっぱんてき楽譜がくふとなっている。とくにギターでは、ことなるつることなるポジションでおなたかさのおとせるが、それぞれの場合ばあい音色ねいろ経済けいざいせい(どれだけらく前後ぜんごおとはじけるか)がことなるので、初心者しょしんしゃでも試行錯誤しこうさくごすることなく最適さいてきなポジションではじける利点りてんがある。

欠点けってんとしては、五線譜ごせんふちがい、楽典がくてん知識ちしきっていてもタブラチュア調しらべせい和音わおん直感ちょっかんてきるのがむずかしく、(そのためにかれた)特定とくてい楽器がっきばや演奏えんそうできるが、和声わせいくわえたり延長えんちょうするなどのアレンジおこなうにはてきしていない。

現代げんだいのタブラチュア

編集へんしゅう

現代げんだいのタブラチュア基本きほんてき五線譜ごせんふおな様式ようしきで、そこにゆびのポジションほか楽器がっき固有こゆう情報じょうほう文字もじ付加ふかするなどの書式しょしき追加ついかがなされているものがおおい。

一般いっぱんてきな6げんギターようのタブラチュアは、各々おのおのつる対応たいおうしたろくせん用意よういし、一番いちばんじょうを1げん一番いちばんを6げんとし、数字すうじゆびばんのポジションをしめすものである。0は開放かいほうつるとなる。せん本数ほんすうつるおうじて増減ぞうげんする。ベースギターようでは4ほん一般いっぱんてきおとながさをあらわすときは、二分にぶん音符おんぷぜん音符おんぷ数字すうじまるかこみ、必要ひつようおうじて五線譜ごせんふおなじようにぼうはたてんスタッカートなどをつける。

ギターでのがたよう楽譜がくふでは歌詞かし上部じょうぶにコード表記ひょうきとともにゆびばんのポジションがかれていることがあるが、これはタブとはばれない。

また、ギター独特どくとく奏法そうほうしるすために以下いかのような記号きごう使つかわれる。

× ブラッシング ゆびいたがわゆびつるゆびばんかないようにかるさえて、音程おんていさだまらないおと
/ \ スライド おなつるじょうたかさのちがおとあいだゆびばんさえるゆびすべらせる
H ハンマリング 押弦しているゆびつるたたくようにして、よりたかおと
P プリング 押弦しているゆびつるけるようにしてはなして、よりひくおと
Tr トリル ハンマリングとプリングをかえ
T タッピング 両手りょうてゆびでトリルをおこな
C チョーキング 押弦しているゆびさえたままつる直角ちょっかく方向ほうこううごかしてつるり、よりたかおと
W.C ダブルチョーキング ほんつるをピッキングして低音ていおんつるのみチョーキングしおなおんにする
Vib ビブラート 押弦しているゆびつるらす
Harm ハーモニクス フレットじょうつるゆびかるれた状態じょうたい
P,H ピッキング・ハーモニクス さいにピックをった親指おやゆびをフレットじょうつる一瞬いっしゅんれさせてハーモニクスを
T,H タッピング・ハーモニクス ゆびでフレットじょうつるかるたたいてハーモニクスを
B.M ブリッジ・ミュート 右手みぎてつるかるれさせてピッキングする
Arm. アーミング トレモロ・アームを使つかおと変化へんかさせる

さんせん(さんしん)

編集へんしゅう

伝統でんとうてきこうこうよん(くんくんしー)は、「ごう」「おつ」「ろう」「よん」などの漢字かんじかくポジションをあらわし、原稿げんこう用紙ようしのような升目ますめたてきでかれる。アップストローク(さんせんはダウンストロークが基本きほん)やハンマリングに対応たいおうした記号きごうえる。さんせん調しらべつる(ちんだみ)は絶対ぜったい音程おんていだけでなくつるあいだ相対そうたい音程おんていバリエーションがあるが、こうこうよんおとだかではなくポジションをあらわすのでタブラチュアとみなせる。最近さいきん沖縄おきなわ音楽おんがく人気にんきともない、ギターのタブラチュアのように水平すいへい方向ほうこうつる対応たいおうした3ほん直線ちょくせんえがき、そのうえこうこうよん漢字かんじ五線譜ごせんふかぜおとちょうよんふん音符おんぷ、8ふん音符おんぷなど)や小節しょうせつ記号きごう付加ふかして記述きじゅつしたモダンなこうこうよんタブ普及ふきゅうしている。

ハーモニカ(10ホールズダイアトニックハーモニカ)

編集へんしゅう

ハーモニカようのタブは、数字すうじあな番号ばんごうしめす。吸音・吹音の区別くべつには以下いかのようなものがある。

  • さんせんの吸音をだいいちあいだ、吹音はだいあいだく。
  • 一線いっせん上下じょうげに吸音・吹音をける。
  • 数字すうじを吹音・まる数字すうじを吸音とする。
  • 吸音は数字すうじまえに-をつける。
  • 数字すうじのちに吹音はB(Blow)・吸音はD(Draw)をつける。
  • 数字すうじに↑↓をつける。あるいは↑のなか数字すうじく。

ベンドなどの奏法そうほうについては独自どくじ記述きじゅつがなされることもある。

クロマチックハーモニカよう五線譜ごせんふ番号ばんごうがついているものもある。スライド操作そうさしめす←がかれている。これはあな番号ばんごうしめすタブでなく、おとめいあらわ数字すうじ場合ばあいもある。

複音ふくおんハーモニカでもちいられるものは、おとめい数字すうじあらわしたもので、これはタブではなく数字すうじである。

ドラムスようのタブラチュアはドラムばれる。一般いっぱんてき五線譜ごせんふ使つかってせんあいだ(つまりおとだか)それぞれに打楽器だがっきてるもの。

鍵盤けんばん楽器がっき

編集へんしゅう

鍵盤けんばん楽器がっきようのタブラチュアは、五線譜ごせんふせんゆび対応たいおうさせ、おとだか文字もじ表示ひょうじするものが代表だいひょうれい

管楽器かんがっき

編集へんしゅう

リコーダーティン・ホイッスルバグパイプひとし管楽器かんがっきようのタブラチュアは、五線譜ごせんふ併用へいようする。音符おんぷしたゆびあなかずだけまる(○)をたてならべ、さえるあなりつぶす(●)ものが代表だいひょうてき

三味線しゃみせん

編集へんしゅう

横書よこがさんせん。「文化ぶんか」は邦楽ほうがくしゃ登録とうろく商標しょうひょう。「文化ぶんか」のように開放かいほうつるを「0あるいは〇」とする場合ばあいと、開放かいほうつるを「1」とする場合ばあいがある。地歌じうたおおもちいられているだい日本にっぽん家庭かてい音楽おんがくかい発行はっこうの「たてわくしき」のでは、IIIのいと算用さんよう数字すうじ、IIのいとかん数字すうじ、Iのいとかん数字すうじに「イ」(にんべん)をけて表記ひょうきする。開放かいほうつるはいずれも1であるので、IIIの開放かいほうつるは1、IIの開放かいほうつるいち、Iの開放かいほうつるはイいち、となる。オクターブじょうは、数字すうじみぎに「・」、さらにそのオクターブじょうは「・・」をける。

尺八しゃくはち

編集へんしゅう

5(あるいは7)あなさえるポジションで、ぜん閉(筒音つつおと)を「ロ」とし、じゅんに「ツ」「レ」「チ」「リあるいはハ」(流派りゅうはによってことなる)であらわす。オクターブじょうはまた一部いちぶ表記ひょうきことなる。

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう