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ディーゼルエンジン - Wikipedia

ディーゼルエンジンえい: Diesel engine)は、ディーゼル機関きかんともばれる内燃ないねん機関きかんであり、ドイツ技術ぎじゅつしゃルドルフ・ディーゼル発明はつめいした往復おうふくピストンエンジンレシプロエンジン)である。1892ねん発明はつめいされ、1893ねん2がつ23にち特許とっきょ取得しゅとくされた。

ルドルフ・ディーゼルの特許とっきょもとづく最初さいしょたん気筒きとうディーゼルエンジン(1898ねん Langen & Wolfせい 出力しゅつりょく14.7 kW
鉄道てつどう車両しゃりょう国鉄こくてつ183けい気動車きどうしゃよう高速こうそくディーゼルエンジンのいちれい。DML30HSIがたディーゼルエンジン
180°Vがた12気筒きとう排気はいきりょう30 L(440 PS/1,600 rpm)
4サイクル・ディーゼルエンジンの動作どうさ

ディーゼルエンジンは燃焼ねんしょう方法ほうほう圧縮あっしゅく着火ちゃっかである「圧縮あっしゅく着火ちゃっか機関きかん」に分類ぶんるいされ、ピストンによって圧縮あっしゅく加熱かねつされた空気くうき液体えきたい燃料ねんりょう噴射ふんしゃすることで着火ちゃっかさせる。液体えきたい燃料ねんりょう発火はっかてんえた圧縮あっしゅく空気くうきない噴射ふんしゃされるため自己じこ発火はっかする。

実用じつようされた単体たんたいねつ機関きかんとしてはもっとねつ効率こうりつすぐれる種類しゅるいのエンジンであり、また、軽油けいゆ重油じゅうゆなどの石油せきゆけいほかにも、発火はっかてんが225 程度ていど液体えきたい燃料ねんりょうであれば、スクワレンエステルけいなど広範囲こうはんい使用しよう可能かのうである[注釈ちゅうしゃく 1]汎用はんようせいたかく、自動車じどうしゃもちい小型こがた高速こうそく機関きかんから巨大きょだい船舶せんぱくよう低速ていそく機関きかんまで、さまざまなバリエーションが存在そんざいする。

エンジンの名称めいしょう発明はつめいしゃにちなむ。日本語にほんご表記ひょうきでは一般いっぱんてきな「ディーゼル」のほか、かつては「ヂーゼル」「ジーゼル」「デイゼル」とも表記ひょうきされた。日本にっぽん自動車じどうしゃ整備せいび国家こっか試験しけんではジーゼルエンジン表記ひょうきしている。

ピストンで空気くうき燃料ねんりょう発火はっかてん以上いじょう圧縮あっしゅく加熱かねつし、そこに燃料ねんりょう噴射ふんしゃして自己じこ発火はっかさせる。これによりしょうじた燃焼ねんしょうガスの膨張ぼうちょうでピストンをす「圧縮あっしゅく着火ちゃっか拡散かくさん燃焼ねんしょう機関きかん」である。ディーゼルエンジンの本質ほんしつは「点火てんか装置そうち不要ふよう内燃ないねん機関きかん」である。

ディーゼルエンジンは、4ストロークサイクルと、2ストロークサイクルに大別たいべつされる。理論りろんサイクル分類ぶんるいでは、低速ていそくのものがディーゼルサイクルとうあつサイクル)、高速こうそくのものはサバテサイクルふくあいサイクル)としてあつかわれる。

ディーゼルエンジンは燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょう出力しゅつりょく制御せいぎょするため、スロットルバルブを必要ひつようとしない。すなわち、常時じょうじ吸入きゅうにゅう空気くうき余剰よじょう希薄きはくいき運転うんてんされる。ただし、均一きんいつ拡散かくさん燃焼ねんしょうのため、全体ぜんたいでは希薄きはくであっても、部分ぶぶんてきのこりの粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ (PM)が発生はっせいする。同時どうじに、燃料ねんりょう希薄きはく領域りょういきでは窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)が発生はっせいすることになる。

燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちもちいて燃焼ねんしょうしつ燃料ねんりょうこうあつ噴射ふんしゃする。燃焼ねんしょうしつ形状けいじょうちがいで、たんしつ直接ちょくせつ噴射ふんしゃしきふくしつしき燃焼ねんしょうしつしきうずりゅうしつしき)にかれる。1990年代ねんだい以降いこう燃料ねんりょう噴射ふんしゃあつげることが可能かのうになったためしょう排気はいきりょうエンジンでも直接ちょくせつ噴射ふんしゃしき主流しゅりゅうであり、乗用車じょうようしゃ小型こがた商用しょうようしゃなど、気筒きとうあたりの容積ようせきが700 cc 程度ていどよりちいさいエンジンで一般いっぱんてきであったふくしつしきは、窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)と燃焼ねんしょう炭化たんか水素すいそ発生はっせいすくないが、てい効率こうりつのため使つかわれなくなった。今日きょうではディーゼル燃料ねんりょう大型おおがたガスエンジン点火てんかするときにふくしつしきもちいられる。

特徴とくちょう

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンは圧縮あっしゅく着火ちゃっかのためこう圧縮あっしゅくとなる。一般いっぱんにピストンエンジンは圧縮あっしゅく膨張ぼうちょうであることから、こう圧縮あっしゅくこう膨張ぼうちょうエンジンとするとねつ効率こうりつたかまる。圧縮あっしゅくげることを気体きたいねつ力学りきがくだけで解析かいせきすると、対数たいすうてき効率こうりつがりつづけるものの圧縮あっしゅく15をえるとなやむ。一方いっぽうこう圧縮あっしゅく摩擦まさつ損失そんしつ可動かどう部品ぶひん重量じゅうりょうぞうによる慣性かんせい損失そんしつ増大ぞうだいさせ、とくこう回転かいてん機械きかい損失そんしつ急増きゅうぞうする。またこう圧縮あっしゅくになるほど着火ちゃっかしやすいが、むしろ着火ちゃっかにより完全かんぜん燃焼ねんしょうしにくくなるため、適正てきせい圧縮あっしゅくは14だいだといわれている。膨張ぼうちょうはよりおおきくてもい。ただし、低温ていおん高地こうちでのエンジン始動しどうせいのため圧縮あっしゅくは14よりおおきいものがおおい。

ディーゼルエンジンはこう圧縮あっしゅくエンジンなので発火はっかてんさえ確保かくほできれば精製せいせいひく安価あんか燃料ねんりょう使用しようできる(重油じゅうゆやいわゆるサラダ油さらだゆはい潤滑油じゅんかつゆ使用しようできる。ただし場合ばあいによりアセトンナフサアルコールおよび予熱よねつ流動りゅうどうせいたかめる必要ひつようがある)。ただし、その実現じつげんには高価こうかぜん処理しょり装置そうち特殊とくしゅなエンジンオイルが必要ひつようになる。てい燃費ねんぴだがエンジン本体ほんたいたか圧縮あっしゅく構造こうぞう強度きょうど必要ひつようになるためおおきくおもくなり、初期しょき費用ひようたかい。稼動かどう回転かいてんいきはガソリンエンジンよりてい回転かいてんでかつせまいため、車両しゃりょう発進はっしんには有利ゆうりだが、より多段ただん変速へんそく必要ひつようになる。

拡散かくさん燃焼ねんしょう特徴とくちょうから気筒きとう容積ようせきあたりの出力しゅつりょくひくわりに、気筒きとう容積ようせき制限せいげんがなく、巨大きょだいなエンジンを実現じつげんできる。ねつ効率こうりついので必要ひつよう出力しゅつりょくられるまでエンジンを大型おおがたすることができる。この場合ばあい大型おおがたほど低速ていそく回転かいてんになるが、これは大型おおがた船舶せんぱくなど低速ていそく回転かいてんだい出力しゅつりょく必要ひつよう用途ようとにおいてはきわめて都合つごうがよく、実際じっさいちょう大型おおがた低速ていそくディーゼルエンジンが大型おおがた商船しょうせんしゅ機関きかんとしてひろもちいられている。

空気くうきだけを圧縮あっしゅくしたなか燃料ねんりょう自己じこ発火はっかするため、混合こんごう燃焼ねんしょうガソリンエンジン問題もんだいとなるノッキング(というよりノッキングの原理げんり逆用ぎゃくようして着火ちゃっかさせるようなものである。)やデトネーション発生はっせいしない。そのためきゅうによる吸入きゅうにゅう充填じゅうてんりょう増加ぞうか気筒きとう容積ようせきあたりのてい出力しゅつりょくおぎなうことが容易よういである。スロットルバルブをたず低速ていそくでも排気はいき圧力あつりょくたかいことから、ターボチャージャーにより排気はいきエネルギー一部いちぶ回収かいしゅうし、効率こうりつ維持いじしたまま排気はいきりょう1リットルたりの出力しゅつりょくを100馬力ばりき程度ていどからそれ以上いじょうにすることも可能かのうである。

4ストロークと2ストローク

編集へんしゅう

一般いっぱんてきなかそく高速こうそくディーゼルエンジンには4ストローク機関きかん使つかわれ、大型おおがた船舶せんぱく大型おおがた発電はつでんには、低速ていそく2ストローク・ユニフロー掃気ディーゼルエンジン使つかわれている。2ストロークエンジンでしんをシリンダーにおくむためには、なんらかのきゅう必要ひつようとなる。ガソリンエンジンでは安価あんかクランクケース圧縮あっしゅく使つかわれているが、ディーゼルエンジンではきゅう頭上ずじょう排気はいきべん併用へいようするユニフロー掃気ディーゼルターボエンジンだけが生産せいさんちゅうである。

4ストロークサイクル・ディーゼルエンジンのかく行程こうてい:

  1. 吸入きゅうにゅう行程こうてい - ピストンしたてんまでがり、空気くうきシリンダーうち
  2. 圧縮あっしゅく行程こうてい - ピストンがうえてんまでがり、空気くうきをシリンダーない圧縮あっしゅく加熱かねつする
  3. 膨張ぼうちょう行程こうてい - 燃焼ねんしょうしつない高温こうおんだかあつ空気くうき燃料ねんりょう噴射ふんしゃすると、燃料ねんりょう自己じこ発火はっかし、膨張ぼうちょうした燃焼ねんしょうガスがピストンをしたてんまでげる
  4. 排気はいき行程こうてい - フライホイール慣性かんせいや、気筒きとうでの膨張ぼうちょうなどによりピストンがうえてんまでがり、燃焼ねんしょうガスをシリンダーがい

2ストロークサイクル・ディーゼルエンジンのかく行程こうてい(ユニフロー掃気の場合ばあい):

  1. 上昇じょうしょう行程こうてい - ピストンの上昇じょうしょうによって掃気ポート、排気はいきべんじゅんにふさがれ、前半ぜんはんまでに掃気が完了かんりょうし、後半こうはん過半かはん)で圧縮あっしゅくおこなわれる。その圧縮あっしゅくじょうてん付近ふきん燃料ねんりょう噴射ふんしゃ点火てんかする。
  2. 下降かこう行程こうてい - ぜん過半かはん膨張ぼうちょうおこなわれたのち排気はいきべんひらき、内圧ないあつがり、直後ちょくごにピストンの下降かこうによって掃気ポートがひらき、吸気きゅうき排気はいきす、掃気がはじまる。

燃焼ねんしょう行程こうてい

編集へんしゅう
  1. 拡散かくさん燃焼ねんしょう
    • ディーゼル機関きかん噴霧ふんむ燃焼ねんしょうにおけるえきしずく拡散かくさん燃焼ねんしょうである。燃焼ねんしょうしつない圧縮あっしゅく加熱かねつした空気くうき液体えきたい燃料ねんりょう噴射ふんしゃすると、複数ふくすう微細びさいえきしずく蒸発じょうはつしながら、個別こべつ表面ひょうめん拡散かくさんいきえやすくなり、自己じこ発火はっか拡散かくさん燃焼ねんしょうかえし、となりえきしずくひろがる。近年きんねんえきしずくあいだひろがりのしゅ要因よういん着火ちゃっかともなうマランゴニ対流たいりゅうによる蒸発じょうはつガスの噴出ふんしゅつで、着火ちゃっか伝播でんぱするとかった。そして重力じゅうりょくではこうあつになるほど、自然しぜん対流たいりゅうにより、マランゴニ対流たいりゅう阻害そがいされ、ひろがり速度そくど低下ていかする。そのこうあつになるほどねつ拡散かくさんりつ物質ぶっしつ拡散かくさん係数けいすう減少げんしょうするため、ひろがり速度そくど限界げんかいがある[1]
    • 拡散かくさん燃焼ねんしょう一気いっき着火ちゃっか燃焼ねんしょうしないので、火花ひばな点火てんか均一きんいつ混合こんごう燃焼ねんしょうこる点火てんかプラグを起点きてんひろがる火炎かえんめん伝播でんぱはない。適切てきせつ着火ちゃっかおくれは拡散かくさん混合こんごういき拡大かくだいにより、良好りょうこう拡散かくさん燃焼ねんしょうをもたらし、燃焼ねんしょうしつすみには空気くうきだけがまっているので圧縮あっしゅくたかくても異常いじょう燃焼ねんしょうによるノッキングは発生はっせいしない。ただし低温ていおん始動しどう着火ちゃっかせいわる燃料ねんりょうではなが着火ちゃっかおくれから一気いっき混合こんごうてき燃焼ねんしょうするディーゼルノックが発生はっせいする。
    • 軽油けいゆディーゼルが確実かくじつ低温ていおん始動しどうするため圧縮あっしゅくを16 - 18程度ていどにしてきた。このこう圧縮あっしゅくではだんこう負荷ふか大量たいりょう燃料ねんりょう噴射ふんしゃおこなわれると、燃焼ねんしょうしつ大幅おおはば発火はっかてんえているため、燃料ねんりょういちじるしく均一きんいつ領域りょういきにおいて、気化きかするまええきしずくまで早期そうき発火はっかてい酸素さんそ状態じょうたい不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうして大量たいりょうのススじょうPMが発生はっせいしていた。PMははつがんせいのある大気たいき汚染おせん物質ぶっしつとなる。本来ほんらい十分じゅうぶん拡散かくさんして気化きかしかけているえきしずく表面ひょうめんから内部ないぶかって完全かんぜん燃焼ねんしょうしたい。さらに完全かんぜん燃焼ねんしょうする条件じょうけんでも空気くうき余剰よじょう燃焼ねんしょうガスが高温こうおんこうあつとなるため、あまった酸素さんそ窒素ちっそ結合けつごう窒素ちっそ酸化さんかぶつ(NOx)も大量たいりょう発生はっせいする。
    • 従来じゅうらいは「圧縮あっしゅく着火ちゃっか」の条件じょうけん優先ゆうせんし、「拡散かくさん燃焼ねんしょう」にとってはこうあつすぎて、早着そうちゃくによる不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうにより排気はいきガスがきたなく、効率こうりつ低下ていかしていた。こう圧縮あっしゅく問題もんだい低減ていげんしつつ、うえてん点火てんかしたときの十分じゅうぶん膨張ぼうちょうかんがえると、自動車じどうしゃよう軽油けいゆディーゼルの圧縮あっしゅくは14だいいとされている。この圧縮あっしゅく燃料ねんりょう自己じこ発火はっかできる手段しゅだんとして燃料ねんりょう噴射ふんしゃこうあつ多段ただん噴射ふんしゃ必要ひつようになる。こうあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃあぶらしずく微細びさいして気化きかしやすくし、多段ただん燃料ねんりょう噴射ふんしゃによって空気くうきふくんだ拡散かくさん領域りょういき拡大かくだいし、高温こうおんになりすぎない雰囲気ふんいき完全かんぜん燃焼ねんしょうをさせる。低温ていおん始動しどうには#予熱よねつ機構きこう拡充かくじゅうする。
    • このような均一きんいつ拡散かくさん燃焼ねんしょうとは均一きんいつ混合こんごう燃焼ねんしょうしつ全体ぜんたいひろがるまえ発火はっかしているにひとしいので原理げんりてきにシリンダー容積ようせき使つかることがむずかしく、容積ようせきあたりの出力しゅつりょくひくい。こう圧縮あっしゅくであることから燃焼ねんしょう速度そくどおそく、こう回転かいてん運転うんてんできない。
  2. PCCI(混合こんごう圧縮あっしゅく着火ちゃっか
    • 1995ねんにはディーゼル機関きかんてい負荷ふか領域りょういきでPCCI(Premixed Charged Compression Ignition、〔均一きんいつ混合こんごう圧縮あっしゅく着火ちゃっか)が実用じつようされる。これは吸気きゅうき過程かてい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ均一きんいつ混合こんごう生成せいせいしたのち一気いっき圧縮あっしゅく着火ちゃっかさせるもので、制御せいぎょされたノッキングとえるものである。混合こんごう燃焼ねんしょうなのでPMが発生はっせいしないうえに、EGR併用へいようしててい負荷ふか燃焼ねんしょう温度おんど低下ていかし、ディーゼルノックとNOxを低減ていげんしながら、希薄きはく燃焼ねんしょうによる燃費ねんぴ向上こうじょうする手段しゅだんとされている[2]
    • ただしPCCIはこう負荷ふかにははげしいディーゼルノックを発生はっせいさせるため使用しようできない。こう負荷ふか有害ゆうがい排気はいき低減ていげんには圧縮あっしゅく14だいで、きれいな拡散かくさん燃焼ねんしょう実現じつげんすることが必要ひつようになる。

燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち燃料ねんりょう噴射ふんしゃポンプと燃料ねんりょう噴射ふんしゃべん

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンにおいて燃料ねんりょう噴射ふんしゃ着火ちゃっか燃焼ねんしょう制御せいぎょ手段しゅだんなので、噴射ふんしゃ装置そうち重要じゅうよう部品ぶひんとなる。現在げんざい2,000 barやく2,000気圧きあつ程度ていどこうあつ多段ただん噴射ふんしゃ必要ひつようとされており、かなりの高額こうがく部品ぶひんになっている。自動車じどうしゃようディーゼルエンジン・コストの半分はんぶん燃料ねんりょう噴射ふんしゃけいめる。

初期しょきから50ねんほどは大型おおがたエンジンの起動きどうよう共有きょうゆうする圧縮あっしゅく空気くうき燃料ねんりょう噴射ふんしゃする「空気くうき噴射ふんしゃ」もあったが、効率こうりつわる圧力あつりょくたかめられないためにすたれた。燃料ねんりょうだけをこうあつ噴射ふんしゃする「噴射ふんしゃ」になったのち経緯けいい以下いかしめす。

従来じゅうらい方法ほうほう

編集へんしゅう

かつてはプランジャーポンプのいちぎょうほど加圧かあつ吐出としゅつだけでいちかい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ実現じつげんする「ジャークしき」ポンプだったので、多段ただん噴射ふんしゃできなかった。噴射ふんしゃりょう機械きかい制御せいぎょによるプランジャーの有効ゆうこうストロークりょうまった。従来じゅうらいのジャークしきポンプはエンジン回転かいてんすう負荷ふかによって燃料ねんりょう圧力あつりょく噴射ふんしゃりょう変化へんかする欠点けってんがある。燃料ねんりょう噴射ふんしゃべん燃料ねんりょう圧力あつりょく増減ぞうげん従属じゅうぞくてき自動じどう開閉かいへいするものだった。いずれも噴射ふんしゃポンプと噴射ふんしゃべんあいだにあるなが噴射ふんしゃかん毎回まいかい低圧ていあつもど影響えいきょうのため、噴射ふんしゃあつひくく、近年きんねんでは使つかわれなくなってきた。

 
れつがた噴射ふんしゃポンプのいちれい
 
分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプのいちれい
れつがた噴射ふんしゃポンプ
ひとつのプランジャーポンプがたん気筒きとう燃料ねんりょう加圧かあつ吐出としゅつ担当たんとうし、気筒きとうすうぶんのポンプがいちれつならんでいる構造こうぞう。ジャークしきポンプのなかでは低速ていそく回転かいてんから噴射ふんしゃりょう安定あんていするので大型おおがたしゃもちいられた。噴射ふんしゃポンプと噴射ふんしゃべんあいだにある噴射ふんしゃかん毎回まいかい低圧ていあつもど影響えいきょうのため実現じつげんできる燃料ねんりょう圧力あつりょくは200 barきょうまで。それ以上いじょうたかめようとしても噴射ふんしゃ管内かんない衝撃波しょうげきは発生はっせいさせるなど損失そんしつおおきくなり現実げんじつてきでない。
分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプ、別名べつめいロータリーポンプ
ひとつのプランジャーポンプがぜん気筒きとう燃料ねんりょう加圧かあつ吐出としゅつ実現じつげんする。プランジャーが1サイクルに1回転かいてんしながら気筒きとうすうばい往復おうふく運動うんどうをする、プランジャーの外周がいしゅう気筒きとう分配ぶんぱいのためのけがあり該当がいとう位置いち吐出としゅつポートとかさなったときに噴射ふんしゃされる。プランジャーポンプはぜん気筒きとう共有きょうゆうされるが、毎回まいかい加圧かあつ吐出としゅつかえすので、コモンレールのように蓄圧ちくあつしない。

近年きんねん動向どうこう

編集へんしゅう

1990年代ねんだい後半こうはんから以下いか方法ほうほうこうあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ電子でんし制御せいぎょしている。基本きほんてきにポンプで加圧かあつだけを分担ぶんたんし、従属じゅうぞくべんとのあいだ配置はいちした電子でんし制御せいぎょべん噴射ふんしゃりょうとタイミングを分担ぶんたんする。

 
電磁でんじしき噴射ふんしゃポンプ
コモンレール
サプライポンプが共通きょうつう(コモン)の圧力あつりょくかん(レール)にこうあつ燃料ねんりょうたくわえてから、気筒きとうごとに電子でんし制御せいぎょべん内蔵ないぞうした噴射ふんしゃノズル(インジェクター)が噴射ふんしゃする。電子でんし制御せいぎょべん噴射ふんしゃのタイミングと噴射ふんしゃりょう分担ぶんたんし、こうあつ多段ただん噴射ふんしゃ実現じつげんする。ソレノイドしきインジェクターは1,800気圧きあつで1サイクルあたり5かいほど噴射ふんしゃできる。2012ねん現在げんざいピエゾしきインジェクターは2,500気圧きあつちょう高圧こうあつ燃料ねんりょうを1サイクルあたり9かい噴射ふんしゃできる[3]
ユニットインジェクター
噴射ふんしゃポンプと噴射ふんしゃべん一体いったいしき噴射ふんしゃ装置そうち、1930年代ねんだいから機械きかいしきのものが存在そんざいし、1990年代ねんだい電子でんし制御せいぎょされた。気筒きとうごとにユニットインジェクターを設置せっちする。すなわちこうあつパイプをまわさなくてもむため大型おおがたエンジンにてきする。単純たんじゅん構造こうぞうのため、こうあつはコモンレールよりも先行せんこうした、ただし多段ただん噴射ふんしゃ不得意ふとくいで、対応たいおうするにはふたつの電磁でんじべん併用へいようするなど複雑ふくざつ構造こうぞうになる。OHCがユニットインジェクターのプランジャーポンプを駆動くどうし、だいいち電磁でんじべんがポンプの加圧かあつ開始かいし終了しゅうりょう精密せいみつ制御せいぎょし、1サイクルごと噴射ふんしゃりょうめる。多段ただん噴射ふんしゃするには加圧かあつ行程こうてい内部ないぶだい電磁でんじべん噴射ふんしゃべん開閉かいへい制御せいぎょする。したがっておおまかな噴射ふんしゃタイミングに制限せいげんがある。

るい

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンではガソリンエンジンとはことなる特性とくせいおうじた装置そうち必要ひつようになるため、かなりのこうコストになる。上記じょうき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち後段こうだんはいガス対策たいさくよう後処理あとしょり装置そうち代表だいひょうれいであるが、これら以外いがいでも、原理げんりてき振動しんどう騒音そうおんおおきくなるため、ディーゼルエンジンでは2バランサーを追加ついかしたり、ぼうゴムによる固定こてい高度こうど技術ぎじゅつ使用しようされ、また大型おおがたしゃ圧縮あっしゅく開放かいほうブレーキ使用しようされる。

燃料ねんりょう清浄せいじょう

編集へんしゅう

燃料ねんりょう清浄せいじょうはC重油じゅうゆから不純物ふじゅんぶつのぞ装置そうち。1950ねんごろ舶用はくよう大型おおがたディーゼルエンジンで安価あんかなC重油じゅうゆ使つかうために開発かいはつされた燃料ねんりょうぜん処理しょり装置そうち。それまでディーゼルエンジンは一定いってい水準すいじゅん以上いじょうのグレードにあるA重油じゅうゆまでしか使つかえなかった。C重油じゅうゆ製油せいゆざん渣といえる劣悪れつあく燃料ねんりょうで、不純物ふじゅんぶつ混入こんにゅう前提ぜんていとなる。燃料ねんりょう清浄せいじょうざん渣油を加熱かねつして流動りゅうどうせいたかめてから、水分すいぶん固形こけいぶん遠心分離機えんしんぶんりきのぞき、さらにフィルターで濾過ろかしてこまかな混入こんにゅうぶつ除去じょきょはかる。

安価あんかもとめるざん渣油は軽質けいしつ蒸留じょうりゅうしたのこものなので、製油せいゆ技術ぎじゅつ向上こうじょうし、利用りよう価値かちのある各種かくしゅ成分せいぶん高度こうど分留ぶんりゅうできるようになるにつれ、ざん渣部は相対そうたいてき低質ていしつしていく。したがって一定いってい品質ひんしつまらないため、燃料ねんりょう清浄せいじょう高性能こうせいのうもとめられる。1970ねん以降いこう製油せいゆほう進展しんてんによって導入どうにゅうされた接触せっしょく触媒しょくばい分解ぶんかい装置そうちからアルミナ、シリカ微粒子びりゅうしざん渣油に混入こんにゅうするようになり、ピストンリング、シリンダーライナー、燃料ねんりょうポンプを短時間たんじかん損傷そんしょうする事故じこ多発たはつするようになった。燃料ねんりょう分析ぶんせきサービスと併用へいようして事故じこ防止ぼうしはかっている[4]

予熱よねつ機構きこう

編集へんしゅう

火花ひばな点火てんかのような着火ちゃっか機構きこうたず、着火ちゃっかには空気くうき断熱だんねつ圧縮あっしゅくによる高温こうおん利用りようしているため、寒冷かんれいでの長時間ちょうじかん停車ていしゃなど燃焼ねんしょうしつった状態じょうたいからの始動しどうや、標高ひょうこうたか空気くうき密度みつどちいさいところで始動しどうする場合ばあいは、吸気きゅうき着火ちゃっか必要ひつよう温度おんどたっしないことがあり、「予熱よねつ」が必要ひつようとなる。燃焼ねんしょうしつない頭部とうぶ露出ろしゅつさせた「グロープラグ」で予熱よねつおこなったり、場合ばあいによりインテークマニホールド直前ちょくぜんかれた「インテークヒーター」で吸気きゅうき加熱かねつする。マツダのSKYACTIV-Dでは始動しどうにはグロープラグをもちい、始動しどう直後ちょくごには可変かへん排気はいきべんおそじによって高温こうおん排気はいきガスを吸気きゅうきかんかえして(内部ないぶEGR)、吸気きゅうきあたためている。

スターターモーター

編集へんしゅう

小型こがたディーゼルエンジンの始動しどうにはガソリンエンジンと同様どうようスターターモーターによってクランクじく回転かいてんさせ、燃焼ねんしょうサイクルを開始かいしするが、圧縮あっしゅくたかいため、どう程度ていど排気はいきりょうたいして2 - 3ばい程度ていどおおきな出力しゅつりょくのスターターモーターをそなえる必要ひつようがあり、自動車じどうしゃなどでもバッテリーを2直列ちょくれつにして電装でんそうけいを24 Vとするものがある。

大型おおがたエンジンの始動しどうには圧縮あっしゅく空気くうきをシリンダーないみ、ピストンを直接ちょくせつうごかすための装置そうち必要ひつようとなる。あらかじめ補助ほじょ動力どうりょく装置そうち起動きどうして発電はつでん圧縮あっしゅく空気くうき生成せいせいしておく場合ばあいおおい。

エンジン停止ていし機構きこう

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンは着火ちゃっか電気でんきもちいていないため、エンジンキーをオフの状態じょうたいにし(バッテリーからの電源でんげんつ)ても停止ていししない。運転うんてん停止ていしさせる方法ほうほうには以下いかの3種類しゅるいがある。

燃料ねんりょう供給きょうきゅうストップ
おも小型こがたエンジンにおお方法ほうほうふるれつがたポンプには、手動しゅどうしきやキーオフの状態じょうたいモーター噴射ふんしゃポンプのスリーブ制御せいぎょロッドを直接ちょくせつうごかして燃料ねんりょうしぼるものがあるが、分配ぶんぱいがた以降いこうでは、キーオフで「閉」となる電磁でんじべんもちいられている。ピストンが吸気きゅうき圧縮あっしゅくするちから停止ていしするため、振動しんどうることと、停止ていし位置いちおなじになりやすい[注釈ちゅうしゃく 2]短所たんしょもある。
吸気きゅうきストップ
インテークマニホールド直前ちょくぜんかれたインテークシャッターで吸気きゅうきしぼ方法ほうほう停止ていしなめらかで、振動しんどうすくない。シャッターのアクチュエーターには、モーターまたはあつ駆動くどうのダイヤフラムがもちいられる。
圧縮あっしゅくりょく開放かいほう
てこなどできゅう排気はいきバルブを「ひらく」の状態じょうたいにし、ピストンが吸気きゅうき圧縮あっしゅくしないようにする方法ほうほう手動しゅどうでクランキングをおこな小型こがた発動はつどうなどでは、始動しどう負担ふたん軽減けいげんのためにデコンプレッション機構きこう利用りようするが、その機構きこう停止ていしにももちいるもの。燃焼ねんしょうガスや燃料ねんりょう排出はいしゅつされる欠点けってんがあり、主流しゅりゅうではない。

エンジンオイル

編集へんしゅう

エンジンオイル#ディーゼルしゃ参照さんしょう。ディーゼルエンジンではまさしく添加てんかざいくわえられたエンジンオイルでないと、シリンダーない燃料ねんりょうのこった微粒子びりゅうしが、ピストン側面そくめんのトップリング付近ふきんでエンジンオイルの主成分しゅせいぶんである鉱物こうぶつ結合けつごうして沈積ちんせきぶつつくり、リングを固着こちゃくする「リングスティック」という現象げんしょうきる。これを防止ぼうしするために、エンジンオイルにはピストンリング付近ふきんまるのこり、つまり「すす」や「スラッジ」をあらながしてエンジンオイルちゅう分散ぶんさんさせる清浄せいじょう分散ぶんさんざいくわえられる。また、排気はいきEGR)やブローバイガス還流かんりゅうで、それらにふくまれる硫黄いおうなどによるさんでエンジンオイルが変質へんしつするのをふせ酸化さんか防止ぼうしざいや、腐蝕ふしょく防止ぼうしざいねばたび適正てきせいたもねばたび指数しすう向上こうじょうざいくわえられている。

船舶せんぱくよう潤滑油じゅんかつゆについての詳細しょうさいユニフロー掃気ディーゼルエンジン#船舶せんぱくよう参照さんしょうされたい。船舶せんぱくようディーゼルは大別たいべつしてなか高速こうそくなトランクピストンしき4ストロークと、低速ていそくなクロスヘッドしき2ストロークにけられ、前者ぜんしゃのトランクピストンしき潤滑油じゅんかつゆ一般いっぱんてき高速こうそくディーゼルエンジンにちかい。しかし後者こうしゃのクロスヘッドしき大量たいりょう硫黄いおうぶん残留ざんりゅうするC重油じゅうゆ使つか特大とくだいがたディーゼルエンジンとなり、シリンダライナ潤滑じゅんかつようのシリンダとそれ以外いがい潤滑じゅんかつおこなうシステムの2種類しゅるい存在そんざいする特徴とくちょうがある。シリンダ燃焼ねんしょう発生はっせいする硫酸りゅうさん成分せいぶん中和ちゅうわするために塩基えんき(アルカリ)のたかい「こうアルカリシリンダ」がもとめられる。中和ちゅうわしないとエンジン内部ないぶがすぐに腐食ふしょくしてしまうためである。

エンジンオイルフィルター

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンのエンジンオイルは、ガソリンエンジンのものにくらべ、早期そうきおおくの微粒子びりゅうしむため、オイルフィルター大型おおがたこう効率こうりつなものが使つかわれる。一部いちぶエンジンでは、本来ほんらいのオイルりゅうとはべつもうけられた、遠心えんしんしき吸着きゅうちゃくしきによるバイパスしきフィルターで微粒子びりゅうしのぞいてオイルパンにもどすものもある[5]

不純物ふじゅんぶつおおいC重油じゅうゆ使つかうディーゼル機関きかんでは、シリンダー潤滑じゅんかつしたこうアルカリシリンダけがれすぎてフィルタでもさい利用りようできず廃油はいゆとなる。そのわりクランクしつはシリンダしつとは分離ぶんりされ独立どくりつのオイル経路けいろ循環じゅんかんして潤滑じゅんかつされる。

真空しんくうポンプ

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンは、スロットルバルブが不要ふようなこと[注釈ちゅうしゃく 3]吸気きゅうき脈動みゃくどうおおきいことなどで、ガソリンエンジンと比較ひかくしてインテークマニホールドでのあつ生成せいせいにはてきしていない。そのため、真空しんくうばいりょくしきブレーキブースターもちいるディーゼルしゃでは、Vベルトギヤ駆動くどうする専用せんよう真空しんくうポンプと、あつ貯蔵ちょぞうタンクをそなえている。

このポンプの潤滑じゅんかつにはエンジンオイルが兼用けんようされる。

ガソリンエンジンとの比較ひかく

編集へんしゅう

大型おおがた低速ていそくであるほどディーゼルエンジンの長所ちょうしょち、短所たんしょ目立めだたなくなる傾向けいこうにある。ぎゃく小型こがた高速こうそくではガソリンエンジンが有利ゆうりになる。このため小型車こがたしゃのエンジンはガソリンで、大型おおがたしゃのエンジンはディーゼルになることがおおい。鉄道てつどう気動車きどうしゃはディーゼルがほとんどであり、船舶せんぱくも、軍用ぐんよう高速こうそくせん小型こがたせん(20トン未満みまん)のふねがいなどのれいのぞき、ディーゼルエンジンであることが一般いっぱんてきである。

ガソリンエンジンは点火てんか方式ほうしきが「火花ひばな点火てんか」、燃焼ねんしょう方式ほうしきが「均一きんいつ混合こんごう燃焼ねんしょう」である。あらかじめ燃料ねんりょう気化きかさせた混合こんごうをシリンダーに吸入きゅうにゅう圧縮あっしゅくしたのち、電気でんき火花ひばなにより点火てんかする。均一きんいつ混合こんごうたされた燃焼ねんしょうしつ火炎かえんめん伝播でんぱ発生はっせい燃焼ねんしょういき半球はんきゅうじょうひろがって間欠かんけつ燃焼ねんしょうする。シリンダー直径ちょっけいおおきすぎると火炎かえん伝播でんぱ速度そくどわずシリンダーの外周がいしゅうちか混合こんごうまで点火てんかできなくなるので、シリンダ直径ちょっけいボア)に限界げんかい自動車じどうしゃよう場合ばあい10 cm容積ようせきで800 ccほど)がある。一方いっぽう混合こんごう燃焼ねんしょうでは粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ (PM) は発生はっせいしない。ただし圧縮あっしゅく行程こうてい燃料ねんりょう噴射ふんしゃするちょく噴ガソリンエンジンは気化きかできないえきしずくのこ均一きんいつ成層せいそう燃焼ねんしょうなので、粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ発生はっせいする。

ディーゼルエンジンは拡散かくさん燃焼ねんしょうなので容積ようせき制限せいげんはない。ただし、こうあつ拡散かくさん燃焼ねんしょう速度そくどおそいのでだい容積ようせきエンジンはてい回転かいてんかぎられる。これは、むしろ大型おおがた船舶せんぱくやポンプ、発電はつでんなどのだい出力しゅつりょくエンジンにとって都合つごうい。1まん馬力ばりきえる巨大きょだい出力しゅつりょく歯車はぐるま減速げんそく信頼しんらいせいとぼしいので、低速ていそくエンジンの直接ちょくせつ出力しゅつりょくもとめられるため。ただし速度そくど変化へんかはげしい車両しゃりょうには多段ただん変速へんそく必要ひつようになる。

ガソリンエンジンは混合こんごう吸入きゅうにゅうりょうをスロットルバルブによってしぼることで出力しゅつりょく制御せいぎょするのにたいし、ディーゼルエンジンは燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょうだけで出力しゅつりょく制御せいぎょするため、ポンピングロスがすくなく、効率こうりつい。またおな理由りゆうでディーゼルは負荷ふか変動へんどうによってそらもえわり、全般ぜんぱんてきにも希薄きはく燃焼ねんしょうであり、理想りそうそらもえ実現じつげんできない。これは容積ようせきあたりの燃料ねんりょう充填じゅうてんすくないことを意味いみし、気筒きとう容積ようせきあたりの出力しゅつりょくひく傾向けいこうにあるが、きゅうにより補完ほかんできる。とくにスロットルがないためてい回転かいてんから排気はいきりょうおおいのでターボチャージャーとの相性あいしょうい。

ただし、最近さいきんでは両者りょうしゃ構成こうせいちかづいている。2012ねん圧縮あっしゅくおなじ14にした、こう圧縮あっしゅくガソリンエンジンとてい圧縮あっしゅくディーゼルエンジンがマツダから出荷しゅっかされている。他社たしゃのガソリンエンジンでも吸気きゅうき可変かへんバルブタイミング機構きこうにより吸入きゅうにゅうりょうえたり、低温ていおん多量たりょうEGRバルブにより排気はいき吸気きゅうき割合わりあいえて出力しゅつりょく調整ちょうせいするようになり、スロットルバルブ必須ひっすでなくなった。これらの改善かいぜんのため近年きんねんガソリンエンジンの効率こうりつ上昇じょうしょうし、ディーゼルとのちぢまっている。

さらに事実じじつじょうおな点火てんか燃焼ねんしょうモードをつエンジンが開発かいはつちゅうである。まず、ガソリン燃料ねんりょうでありながら圧縮あっしゅく14だいにて圧縮あっしゅく着火ちゃっか目標もくひょうとしているHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition:(均一きんいつ混合こんごう圧縮あっしゅく着火ちゃっか)エンジンが開発かいはつちゅう[注釈ちゅうしゃく 4]であり、通称つうしょうディゾットエンジンともばれる[注釈ちゅうしゃく 5][6] 一方いっぽうで、1995ねんにはディーゼルエンジンでありながらてい負荷ふか領域りょういき混合こんごうもちいる PCCI(Premixed Charged Compression Ignition:(均一きんいつ混合こんごう圧縮あっしゅく着火ちゃっか)が実用じつようみであるなど、ガソリンとディーゼルエンジンの区分くわけが曖昧あいまいになりつつある[2]

長所ちょうしょ

編集へんしゅう

燃費ねんぴ効率こうりつめん

編集へんしゅう

圧縮あっしゅくたかく、燃焼ねんしょうしつうち空気くうき過剰かじょうりつおおきいため、作動さどうガスの比熱ひねつたか図示ずしねつ効率こうりつたかい(投入とうにゅうしたエネルギーにたいして燃焼ねんしょうガスの温度おんど上昇じょうしょう使つかわれる割合わりあいひくい)とわれている。ただし、これは大型おおがた低速ていそくエンジンの場合ばあいであり、高速こうそくエンジンでは損失そんしつおおい。2010ねん現在げんざい大型おおがた舶用はくようディーゼルのねつ効率こうりつが50 %にたっするのにたい自動車じどうしゃようディーゼルのねつ効率こうりつは40 %、ガソリン機関きかんねつ効率こうりつが30 %程度ていど、ガソリンアトキンソンサイクル機関きかんねつ効率こうりつは30 %たい後半こうはんである。また重量じゅうりょう負荷ふか変動へんどう速度そくど変速へんそく効率こうりつ加味かみされる自動車じどうしゃ走行そうこうパターンをあたえた場合ばあいにはちぢまる。以下いか乗用車じょうようしゃようエンジンのトップランナー方式ほうしき実効じっこうりつ報告ほうこくしょ結果けっかしめす。2005ねん予備よび調査ちょうさのときより2010ねん結果けっかのほうが、Tank to Wheel効率こうりつ半分はんぶんちぢまっている。おな程度ていど排気はいき規制きせいたすためにちぢまったともいえる。

この報告ほうこくしょ効率こうりつ算出さんしゅつ方法ほうほうについて、まず燃料ねんりょう比較ひかくすると軽油けいゆはガソリンにくら密度みつどが12 %おおきく、容積ようせきあたりの熱量ねつりょうも9 %おおきい。しかし質量しつりょうあたりの熱量ねつりょうは5 %ちいさい。熱量ねつりょうあたりの二酸化炭素にさんかたんそ(CO2発生はっせいりょうは2.5 %おおく、質量しつりょうあたりのCO2発生はっせいりょうは2 %すくない。容積ようせきあたりのCO2発生はっせいりょうは10 %おお[7]。このような燃料ねんりょうことなるエンジンを燃料ねんりょう容積ようせき質量しつりょう単位たんいくらべられないため、生産せいさんエネルギーと消費しょうひエネルギーとをくらべている。

このように補正ほせいしたTank to Wheel効率こうりつではJC08モードでディーゼルはガソリンより3.5 %しかくない[8]。ただし、10・15モードなら8.5 %[9]。さらにWell to Wheel総合そうごう効率こうりつのJC08モードの効率こうりつとCO2排出はいしゅつりょうでは11 %[10]。さらに Well to Wheel総合そうごう効率こうりつの10・15モードのCO2排出はいしゅつりょうでは18 %[11]

まとめると、自動車じどうしゃようディーゼルは現在げんざいきびしい排気はいき規制きせいしたでもJC08モードのTank to Wheel効率こうりつではガソリンエンジンより3.5 %エネルギー効率こうりついが、軽油けいゆ熱量ねつりょうあたりのCO2発生はっせいりょうは2.5 %おおく、クルマ単体たんたいでのCO2排出はいしゅつりょうはほとんどない。ただし、Well to Wheel 総合そうごう効率こうりつのJC08モードのCO2排出はいしゅつりょうで11 %結論けつろんわらない。これはガソリンの精製せいせい軽油けいゆよりもエネルギーを消費しょうひしているためである[12]

車両しゃりょうようディーゼルは高速こうそく道路どうろじょうそく走行そうこうなど負荷ふか一定いってい状態じょうたいならねつ効率こうりつどおりにガソリンより3わりほど効率こうりつい。しかし常用じょうよう回転かいてんいきせまいことから市街地しがいち走行そうこうのような負荷ふか変動へんどう加減かげんそくふく走行そうこうパターンでは一気いっきにガソリンとのがなくなる。変速へんそく単純たんじゅんな10・15モードの効率こうりつがJC08モードよりいことからうかがえる。

構造こうぞう動作どうさめん

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンには点火てんか装置そうちとスロットルバルブが不要ふようであるため、構造こうぞう単純たんじゅんでき、信頼しんらいせいたかい。

ディーゼルエンジンは拡散かくさん燃焼ねんしょう範囲はんいであれば圧縮あっしゅくつつない空気くうきだけなので、きゅうしてもプレイグニッションノッキングデトネーションがない。スロットルバルブがないため、低速ていそくでも排気はいきおおく、ターボチャージャーとの相性あいしょうく、容積ようせきあたりのてい出力しゅつりょくおぎなうことができる。さらに大型おおがたエンジンでは排気はいきエネルギーを出力しゅつりょくじくに、よりおお回収かいしゅうするターボコンパウンド可能かのうである。

ガソリンエンジンには点火てんか火炎かえん伝播でんぱ速度そくどによりシリンダ直径ちょっけい限界げんかいがあるのにたいし、ディーゼルエンジンにはその限界げんかいがないので大型おおがたてきしている。ガソリンエンジンでは、気筒きとう排気はいきりょう確保かくほしてこうトルクをるか、こう回転かいてん出力しゅつりょくげなければならないのにたいし、ディーゼルエンジンでは気筒きとう容積ようせき拡大かくだい可能かのうとなり、構造こうぞう単純たんじゅんされフリクションロスもおさえられ、ねつ効率こうりつたかまる。大型おおがたエンジンほどディーゼルエンジンの利点りてんきてくる。

ディーゼル燃料ねんりょう引火いんかてんはガソリンにくらべて80 ℃ほどたかいため、爆発ばくはつ火災かさい事故じこたいする余裕よゆうおおきい。とく被弾ひだんすることを前提ぜんていとした軍用ぐんよう車両しゃりょうで、このメリットがおおきい[注釈ちゅうしゃく 6]軍用ぐんよう車両しゃりょうのエンジンは航空こうくう燃料ねんりょうJP-8ひとし併用へいようすることも考慮こうりょされ、ディーゼルすすめている。ガスタービン燃料ねんりょう軽油けいゆよりも上質じょうしつであるが、燃料ねんりょう共有きょうゆうすることで有事ゆうじ兵站へいたん合理ごうりされる。

ぎゃく回転かいてん運転うんてん
編集へんしゅう

ディーゼルエンジンのうち、4ストローク機関きかん吸気きゅうき系統けいとうがわに掃気ようたず、噴射ふんしゃポンプでシリンダーない直接ちょくせつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃする構造こうぞうのため(ガソリンちょく噴エンジンのぞく)、ガソリンエンジンとことなり始動しどうなんらかの方法ほうほうでクランクシャフトをぎゃく方向ほうこう回転かいてんさせることにより、ぎゃく回転かいてん運転うんてんをさせることができる。たとえば、自動車じどうしゃ場合ばあい変速へんそく前進ぜんしんギアにれた状態じょうたい車体しゃたい後進こうしん方向ほうこうしたり、坂道さかみちくだ方向ほうこうそらそうさせたりすると、クランクシャフトはぎゃく回転かいてんするため、デコンプひらいておくなど始動しどう予防よぼう措置そちこうじないかぎりはぎゃく回転かいてん状態じょうたいでエンジンがしがけ始動しどうしてしまう危険きけんせい[13]がある。自動車じどうしゃでこのような状態じょうたいになると、変速へんそく前進ぜんしんギアのさい車体しゃたい後退こうたいし、後進こうしんギアのさいぎゃく前進ぜんしんおこなわれることになる。この現象げんしょう事故じこ労働ろうどう災害さいがい誘発ゆうはつする原因げんいんになる一方いっぽうで、船舶せんぱくなどその特性とくせい活用かつようすることで変速へんそくかいすることなくぎゃく回転かいてん運転うんてんのみによる後退こうたい運転うんてん可能かのうとなることも意味いみしている。

4ストロークディーゼルでぎゃく回転かいてん運転うんてんはじまった場合ばあい、吸排気はいきべん機能きのう逆転ぎゃくてんするため、排気はいきかんから吸気きゅうきし、エアフィルターがわ排気はいきおこなわれる[14]。また、カムシャフトのバルブタイミング噴射ふんしゃポンプの噴射ふんしゃタイミングも適切てきせつ反転はんてんさせたものを使用しようしなければ十分じゅうぶん出力しゅつりょく性能せいのうられないため[15]自動車じどうしゃではあまり実用じつようてきとはいえないが、なか小型こがたせん舶用はくよう機関きかんではふるくはMANやスルザー、B&Wなどが前進ぜんしんよう後進こうしんようの2系統けいとうのカムシャフトを可変かへんバルブ機構きこうで4ストロークディーゼルのぎゃく回転かいてん運転うんてんによる後退こうたい航行こうこう実現じつげんしており[16]航空こうくうようエンジンではダイムラー・ベンツ DB 602同様どうよう機構きこうゆうしていた。しかし、今日きょうでは小型こがた船舶せんぱくではこのようなぎゃく回転かいてん運転うんてん機構きこうではなく、油圧ゆあつまたは電動でんどう遠隔えんかく操作そうさ断続だんぞくされるクラッチと[17] 後退こうたいようギアボックスをむことで後退こうたい航行こうこうおこなわれている[18]

なお、2ストローク機関きかんではぎゃく回転かいてん運転うんてんをさせても掃気孔きこう排気はいきべんまたは排気はいきあな機能きのう逆転ぎゃくてんせず、掃気ポートタイミングも変化へんかしないため、リードバルブしきガソリンエンジン・ユニフローディーゼルエンジンどちらでもぎゃく回転かいてん運転うんてん可能かのうであり、ディーゼルエンジン特有とくゆう長所ちょうしょとはなっていない。ただし、ガソリンエンジンではぎゃく回転かいてん後退こうたい利用りようされるれい一部いちぶスノーモビル程度ていどかぎられているが、船舶せんぱくようユニフローディーゼルエンジンにおいては、ぎゃく回転かいてん運転うんてんにより直接ちょくせつスクリューをぎゃく回転かいてんさせ後退こうたい航行こうこうおこな手段しゅだんとして一般いっぱんてきもちいられている[19]

短所たんしょ

編集へんしゅう

自動車じどうしゃようディーゼルエンジンの価格かかくはガソリンエンジンのほぼばいになる(国産こくさんしゃ車体しゃたい価格かかくで、だいたい40まんから50まんえん程度ていどたかい)。スロットルと点火てんか装置そうちらないわりに、高価こうか燃料ねんりょう噴射ふんしゃけいるい必要ひつようとなりエンジン全体ぜんたいこうコストになる。

ディーゼルエンジンのしゅたる短所たんしょは、おおきくおもくかつ、振動しんどうはげしいことである。だい重量じゅうりょうゆえエンジンの出力しゅつりょく重量じゅうりょうわるく、軽量けいりょう要求ようきゅうされる航空機こうくうきでは、一部いちぶのぞいて従来じゅうらいあまり採用さいようされず、レシプロエンジン全盛期ぜんせいきにおいても主流しゅりゅうりえなかった。また、圧縮あっしゅく着火ちゃっかのため、高空こうくう低温ていおんてい気圧きあつ)での始動しどうせい信頼しんらいせいとぼしいというのも、ディーゼルエンジンが敬遠けいえんされたおおきな理由りゆうひとつである。

拡散かくさん燃焼ねんしょうゆえ、くろけむり粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ (PM) が発生はっせいしやすいうえに、燃焼ねんしょうしつうち高温こうおんだかあつかつ希薄きはく燃焼ねんしょういきけい負荷ふかは30:1から60:1)で酸素さんそ窒素ちっそ過多かたであるためNOx発生はっせいしやすく、密閉みっぺいコックピットが普及ふきゅうするまえ飛行機ひこうきにおいては、ディーゼルエンジンがパイロットたちにきらわれた理由りゆうでもある。排気はいき対策たいさくをするにも、排気はいきちゅう残留ざんりゅう酸素さんそおお酸化さんかせい雰囲気ふんいきではさんげん触媒しょくばい使つかえないため、PMとNOx対策たいさく別々べつべつ後処理あとしょり装置そうち必要ひつようとなり、重量じゅうりょうもかさむとともにこうコストする。

健康けんこうめん

編集へんしゅう

燃費ねんぴ効率こうりつめん

編集へんしゅう

こう圧縮あっしゅくのため、ピストンリング軸受じくうけにかかるめんあつたかく、十分じゅうぶん強度きょうどたされた可動かどう部品ぶひん質量しつりょうおおきい、高速こうそく回転かいてんさせると摩擦まさつ損失そんしつなどでエネルギーの損失そんしつ急増きゅうぞうする。 こう圧縮あっしゅくのためこう回転かいてんまでまわらず、常用じょうよう回転かいてんいきせまいため、車両しゃりょうようには走行そうこう速度そくどおうじた変速へんそく必要ひつようで、最適さいてき回転かいてんすうはずすと効率こうりつ低下ていかする。この2てん調和ちょうわしないため、自動車じどうしゃようディーゼル機関きかん大型おおがた舶用はくようディーゼル機関きかんより大幅おおはばてい効率こうりつとなっている。

構造こうぞう動作どうさめん

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンでは燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち点火てんか装置そうち出力しゅつりょく制御せいぎょ装置そうちねるため高価こうかになり、燃焼ねんしょう制御せいぎょむずかしい。燃料ねんりょう噴射ふんしゃけいがエンジンコストの半分はんぶんめる。

こう圧縮あっしゅくであるため、吸排気はいきけい脈動みゃくどうおおきく、こちらの振動しんどう騒音そうおんおおきい。船舶せんぱくようコジェネレーションようでは脈動みゃくどうおさえるためにアキュムレータそなえたものもある。

シリンダーヘッドシリンダーブロックピストンコネクティングロッドクランクシャフトたか強度きょうど剛性ごうせいもとめられ重量じゅうりょうかさむ。

加減かげんそく発進はっしん停止ていし頻繁ひんぱんもとめられる車両しゃりょう用途ようとでは、だいトルクにえられる多段ただん変速へんそく必要ひつようとなる。ふく変速へんそくみで18だんや24だんにもなる変速へんそく手動しゅどう操作そうさするのは煩雑はんざつすぎて現実げんじつてきでないため、優秀ゆうしゅう自動じどう変速へんそく必要ひつようになり、さらににおもく、こうコストする。

吸気きゅうきかんあつにくいため、乗用車じょうようしゃにおいてはブレーキブースターべつ経路けいろからとる必要ひつようがある。これもまたこうコストの原因げんいんとなる。

寒冷かんれいでは燃料ねんりょうちゅうパラフィン析出せきしゅつして燃料ねんりょうフィルターまりする場合ばあいがある。温暖おんだん地域ちいき軽油けいゆれて寒冷かんれい移動いどうして駐車ちゅうしゃしていると、燃料ねんりょうながれなくなって始動しどうしなくなるおそれがある[20]

ディーゼルエンジンの容積ようせきあたりのてい出力しゅつりょくきゅう、ターボチャージャー、ターボコンパウンドなどでおぎなうと、点火てんか装置そうち単純たんじゅんさというメリットが相殺そうさいされ、こうコストになる。

乗用車じょうようしゃようディーゼル機関きかんでは振動しんどう軽減けいげんのためしょう排気はいきりょうながら気筒きとうする傾向けいこうがあり、気筒きとう容積ようせき拡大かくだい大型おおがたできる利点りてんかしにくく、こうコストになる。

ディーゼルエンジンの暴走ぼうそう
編集へんしゅう

吸気きゅうき系統けいとうにスロットルべんたず、アクセルペダル操作そうさ噴射ふんしゃポンプの噴射ふんしゃりょうのみを制御せいぎょするディーゼルエンジンは、噴射ふんしゃポンプのリンケージの不具合ふぐあい調しらべそく破損はそんなどにより燃料ねんりょう供給きょうきゅう過多かたとなった場合ばあい、エンジン回転かいてんすう回転かいてんとなったまま、オペレーターの操作そうさではエンジン回転かいてんすう制御せいぎょできなくなるディーゼルエンジンの暴走ぼうそう英語えいごばん事故じこ発生はっせいすることがある[21]。ディーゼルエンジンの暴走ぼうそうは、ターボチャージャーの軸受じくうけのオイルれや過度かどのブローバイの発生はっせいなどできりしたエンジンオイルが吸気きゅうき系統けいとう大量たいりょう混入こんにゅうした場合ばあい[22]、あるいは可燃かねんせいのガスが充満じゅうまんした空間くうかん稼動かどう状態じょうたいのディーゼルエンジンがかれた場合ばあいなどの外的がいてき要因よういんによっても発生はっせいしうる[22]

ガソリンエンジンは燃料ねんりょう装置そうち不具合ふぐあい、たとえばチョークべん誤作動ごさどうなどで燃料ねんりょう供給きょうきゅう吸入きゅうにゅう空気くうきりょうたいして過多かたとなった場合ばあいは、点火てんかプラグ失火しっかしてエンジンストールこすか、いちじるしくドライバビリティが低下ていかしていく。ガソリンエンジンでもスロットルべんのリンケージの破損はそんにより、エンジン回転かいてんすう回転かいてんとなったまま制御せいぎょ不能ふのうになる暴走ぼうそう発生はっせいする可能かのうせいはあるが、この場合ばあいメインキースイッチやキルスイッチ作動さどうさせるか、カーバッテリー配線はいせんプラグコード切断せつだんするなどして強制きょうせいてき点火てんか装置そうち点火てんかプラグへの給電きゅうでんつことで、オペレーターは暴走ぼうそう容易ようい停止ていしさせることができる。機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち機械きかいしき燃料ねんりょうポンプキャブレターしきのガソリンエンジンで、ランオン併発へいはつするという特殊とくしゅ状況じょうきょうでのみ、オペレーターの操作そうさだけではエンジンを完全かんぜん停止ていしできない事態じたい発生はっせいしうるが、それでもスロットルべんじれば回転かいてんすうがり、さらマフラー排気はいきこうふさぐことで容易ようい暴走ぼうそうめられる。

しかし、スロットルわきまえバタフライ・バルブ英語えいごばん)をたず、圧縮あっしゅく圧力あつりょくのみで自己じこ着火ちゃっかするディーゼルエンジン、とりわけ噴射ふんしゃポンプが機械きかいしき場合ばあい吸入きゅうにゅう空気くうきりょう制限せいげんする機構きこうなにもないため、ひとたび暴走ぼうそう発生はっせいしてしまうとメインスイッチやアクセルペダルをいくら操作そうさしてもエンジンの回転かいてん停止ていしすることができなくなってしまう[23]さらにはターボチャージャーきディーゼルエンジンの場合ばあいは、暴走ぼうそう発生はっせいするとターボチャージャーも回転かいてん状態じょうたいとなるため、きゅうあつのオーバーシュートも併発へいはつすることでブローバイが燃焼ねんしょうしつから大量たいりょうクランクケースがわけ、そのブローバイがPCVバルブEGRつうじてインテークがわ大量たいりょう吸引きゅういんされることにより、たと噴射ふんしゃポンプへの燃料ねんりょう供給きょうきゅうたれたとしても、多量たりょうのブローバイによりインテークにけるエンジンオイルのみでディーゼルエンジンの暴走ぼうそう継続けいぞくする、ポジティブフィードバック状態じょうたい成立せいりつしてしまう場合ばあいすらある[22]

このようなディーゼルエンジンの暴走ぼうそうエンジンブローいたまえ停止ていしさせるには、燃料ねんりょうタンクから噴射ふんしゃポンプへの燃料ねんりょう供給きょうきゅう遮断しゃだんするのみでは不十分ふじゅうぶんで、エアクリーナーボックスや吸気きゅうきこうぶたせんをはめんだり、二酸化炭素にさんかたんそ消火しょうか吸気きゅうきこう大量たいりょうむことで吸入きゅうにゅう空気くうき酸素さんそ)を遮断しゃだんする[24]、あるいは変速へんそくをトップギアやオーバートップにれた状態じょうたいフットブレーキサイドブレーキいちはいけた状態じょうたいクラッチ一気いっきつなぎ、クランクシャフトの回転かいてん無理矢理むりやり停止ていしさせエンストねらうなどの方法ほうほうるしかない[25]自動車じどうしゃでは走行そうこうちゅうにアクセルペダルをもどしてもエンジン回転かいてん上昇じょうしょうまらない、ディーゼルエンジン暴走ぼうそう兆候ちょうこうられた場合ばあいは、マニュアルトランスミッションではただちにクラッチをり、オートマチックトランスミッションセミオートマチックトランスミッションだん変速へんそくではシフトレバーをニュートラルにれてドライブトレインへの動力どうりょく伝達でんたつったうえで、路肩ろかた停車ていしゃして上記じょうき暴走ぼうそう停止ていし措置そちおこな[26]アメリカ海軍かいぐんでは船舶せんぱくようディーゼルエンジンで暴走ぼうそう発生はっせいした場合ばあいには、燃料ねんりょう供給きょうきゅうべんじたうえデコンプひらいて停止ていしはかるようにトレーニングマニュアルに記載きさいしている[27]

欧米おうべいではディーゼル機関きかんしゃ[28]デトロイトディーゼルなど旧式きゅうしきのディーゼルターボエンジンをレストアしたさい試運転しうんてん度々どどこうした暴走ぼうそう事故じこきており、キャタピラー燃料ねんりょう系統けいとう修理しゅうりしたディーゼルエンジンをはじめて始動しどうするさいには、作業さぎょう助手じょしゅ燃料ねんりょう系統けいとう修理しゅうりミスにともな暴走ぼうそうそなえて吸気きゅうきこうただちにせん出来できるようにそなえておくことを推奨すいしょうしている[29]日本にっぽんでも2000年代ねんだい初頭しょとうに、三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょう三菱みつびし・デリカ三菱みつびし・チャレンジャーにて噴射ふんしゃポンプの製造せいぞう工程こうていのミスにともなうディーゼルエンジン暴走ぼうそう事故じこ発生はっせいし、リコールいたっているれいがある[30]

可燃かねんせいガスの充満じゅうまん発生はっせいしやすい石油せきゆ化学かがくプラントや鉱山こうざんでは、ディーゼルエンジンの暴走ぼうそう事故じこ数多かずおおきており、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく労働省ろうどうしょうなど海外かいがい労働ろうどう行政ぎょうせい機関きかんは、産業さんぎょうようディーゼルエンジンにたいして、まんいち暴走ぼうそう発生はっせいしたさいそなえて吸気きゅうき系統けいとう燃料ねんりょう供給きょうきゅう系統けいとう双方そうほうシャットダウン・バルブ英語えいごばん安全あんぜん遮断しゃだんべん英語えいごばんそなけるように義務付ぎむづけている[31] が、それでもすべてのディーゼルエンジンの暴走ぼうそうフェイルセーフ確立かくりつまでにはいたっておらず、2005ねんテキサスシティ製油せいゆしょ爆発ばくはつ事故じこでもその過程かていにおいて自動車じどうしゃのディーゼルエンジンの暴走ぼうそう関連かんれんしていたことが確認かくにんされている。

フィルター直前ちょくぜん追加ついかインジェクターをたない、燃焼ねんしょう再生さいせいしきDPF・DPRとう装着そうちゃくされるディーゼルエンジンについては、軽油けいゆによってエンジンオイルが希釈きしゃくされることとなるが、燃料ねんりょうふくむエンジンオイルによって発生はっせいしたブローバイガスが、EGR機構きこうによって吸気きゅうきけいもどされることによっても、ディーゼルエンジンの暴走ぼうそう発生はっせいする。

おも用途ようと

編集へんしゅう

定置ていちがた内燃ないねんりょく発電はつでんやポンプなどの原動機げんどうきよう動力どうりょくトラックバスといった大型おおがた自動車じどうしゃ戦車せんしゃのような軍用ぐんよう車両しゃりょう建設けんせつ機械きかい農業のうぎょう機械きかいなどの大型おおがた特殊とくしゅ自動車じどうしゃ[注釈ちゅうしゃく 7]ディーゼル機関きかんしゃ気動車きどうしゃなどの鉄道てつどう車両しゃりょう使用しようされる。発電はつでん、ポンプなどはディーゼルエンジンが主流しゅりゅうであるが、LPGや天然てんねんガスなど気体きたい燃料ねんりょうもちいた電気でんき点火てんかしきガスエンジンや、ガスタービンエンジン場合ばあいがある。

船舶せんぱく

編集へんしゅう

だい出力しゅつりょく大型おおがた舶用はくようエンジンと、そこから派生はせいした定置ていち発電はつでんようエンジンは、ディーゼル機関きかん独擅場どくせんじょうえる用途ようとである。これらの分野ぶんや用途ようとではつね制約せいやく問題もんだいとなる機関きかん本体ほんたいおよび重量じゅうりょう容積ようせきをある程度ていど度外視どがいしでき、ディーゼル機関きかん大型おおがたてきした性質せいしつ合致がっちした結果けっかえる。一方いっぽう軍艦ぐんかんにおいては、水上すいじょう戦闘せんとうかんではガスタービンエンジンとわせての巡航じゅんこうようエンジンとしてもちいられることがおおいほか、潜水せんすいかんではディーゼル・エレクトリック方式ほうしきでの推進すいしん駆動くどうおよび発電はつでん原動機げんどうきとしての電池でんち充電じゅうでんにももちいられる。

  • 21世紀せいき現在げんざい大型おおがた船舶せんぱくではおもにC重油じゅうゆ使用しようする低速ていそくユニフロー掃気2ストロークディーゼル機関きかん主流しゅりゅうとなっている。そとこう大型おおがた船舶せんぱくようのエンジン自体じたいおおきさは、おおきなものいちれいとしてながやく24メートル、たかやく15メートル、重量じゅうりょうが2000トン程度ていど直列ちょくれつ11気筒きとうそう排気はいきりょうやく2まん2せんリットル、出力しゅつりょくやく8.5まん馬力ばりき(MAN B&W 11K98MEがた)というものであり、耐用たいよう年数ねんすうは20ねん程度ていどである。頭上ずじょう排気はいきべん強力きょうりょくきゅうわせ、燃費ねんぴじょう要請ようせい[32]必要ひつようなトルクからピストンみちが1メートルじゃくたいしストロークは2.8メートル程度ていどと、ちょうロングストロークである。このサイズで物理ぶつりてきなピストンスピードを現状げんじょう以上いじょうにするにはあまりに巨大きょだいすぎるため、クランクシャフトのていかく回転かいてんすうまいぶん60–100回転かいてん程度ていど低速ていそくになるが、その結果けっか理論りろんじょうのディーゼルサイクルにちか特性とくせい現実げんじつできている。実際じっさいねつ効率こうりつは50 %をえ、55 %にせま水準すいじゅん到達とうたつする事例じれいもあり、単体たんたい実用じつよう内燃ないねん機関きかんとしては最高さいこう水準すいじゅんねつ効率こうりつ実現じつげんしている。またまいぶん100回転かいてん以下いか低速ていそくは、船舶せんぱくのスクリュー回転かいてんにそのまま適用てきようできる速度そくどでもあり、強度きょうどめん制約せいやくかかえる減速げんそく歯車はぐるま装置そうちもうけることなく、クランクシャフトからの直結ちょっけつでスクリューを駆動くどうできる。つまり実用じつようじょう動力どうりょく伝達でんたつめんでも損失そんしつすくなくなる。
  • 船舶せんぱくよう大型おおがた2ストロークディーゼル機関きかんは、頭上ずじょうべん方式ほうしきであることにくわえ、必要ひつようなトルクをすためにピストンの直径ちょっけいおおきくなりがちである。またピストン直径ちょっけいおおきさと燃費ねんぴ向上こうじょう要請ようせい[32]ゆえにコネクティングロッド部分ぶぶんがピストン・ロッドと連結れんけつぼうに2分割ぶんかつされたクロスヘッド構造こうぞうらざるをないため、エンジンはそうじて非常ひじょうたかい。
  • 使用しよう燃料ねんりょう格安かくやすC重油じゅうゆ舶用はくよう燃料ねんりょう (PDF) とも)であり、石油せきゆ精製せいせいしたのちざん渣油由来ゆらいの、ねばたびたか低質ていしつ燃料ねんりょうであるため、きわめて燃焼ねんしょうざん渣がきたなく、シリンダー内部ないぶ潤滑じゅんかつには燃料ねんりょうふくまれる硫黄いおうから生成せいせいされる硫酸りゅうさん対抗たいこうしうる船舶せんぱくようシリンダー必要ひつようである[32]船舶せんぱくようシリンダーはあぶらいたみがはげしいため、通常つうじょう使つかてであり[33]、そのエンジン部分ぶぶん潤滑じゅんかつになうシステムとは経路けいろ独立どくりつさせている[33]
  • 4ストロークちゅうそくディーゼル機関きかん(300–1,000 rpm)は、大型おおがた漁船ぎょせんからフェリー、客船きゃくせんそとこう大型おおがた船舶せんぱくまで幅広はばひろ使つかわれている。A重油じゅうゆ燃料ねんりょうの、コンロッドでピストンとクランクとがむすばれたトランクピストン機関きかん主流しゅりゅうで、一部いちぶざん渣油由来ゆらいのC重油じゅうゆやACブレンド使用しようできるものがある。ねつ効率こうりつでは2ストローク低速ていそくディーゼル機関きかんおよばないものの、出力しゅつりょくたりの重量じゅうりょう外形がいけい寸法すんぽうちいさく機関きかん配置はいち自由じゆうたかいという利点りてんり、それによるぼう電気でんき推進すいしん容易よういなクルーズせんフェリーRO-ROせんのように構造こうぞうじょう機関きかんしつたかさをおさえたいふね主流しゅりゅうとなっている。通常つうじょう可変かへんピッチプロペラか減速げんそくかいして使つかわれる。
  • 高速こうそくせんていプレジャーボート小型こがた漁船ぎょせんなどでは、A重油じゅうゆあるいは軽油けいゆ燃料ねんりょうとする4ストローク高速こうそくディーゼル機関きかん(1,000 rpm以上いじょう)が使つかわれており、小型こがたのものでは自動車じどうしゃよう共通きょうつうのエンジンが使つかわれている場合ばあいおおい。機関きかん駆動くどうけい小型こがたするために減速げんそくきの構成こうせいになっている。
  • 難点なんてんとして、C重油じゅうゆ燃料ねんりょう船舶せんぱくようディーゼルエンジンは、燃料ねんりょうであるC重油じゅうゆ事前じぜん加熱かねつによって流動りゅうどうせいたかめる必要ひつようがあり、これにかかわるるい多数たすう必要ひつようになること、さらにいちエンジンを休止きゅうしさせるとエンジン本体ほんたいるい再始動さいしどう長時間ちょうじかんようすることから、ふね停泊ていはくちゅうもエンジンの低速ていそく回転かいてん続行ぞっこうして各部かくぶ保温ほおん潤滑じゅんかつとを維持いじし、かつ燃料ねんりょう系統けいとう予熱よねつ同様どうよう維持いじせねばならないてんげられる。

1900年代ねんだいから小型こがたせんける試行しこうてき採用さいようはじまったが、そとこう船舶せんぱくとして本格ほんかくてき成功せいこうおさめた最初さいしょのディーゼルせんは、1912ねんにB&W(バーマイスター・ウント・ウェイン)の1,250 hp・4ストロークエンジン2搭載とうさいして建造けんぞうされたデンマークの5,000 tきゅう貨物かもつせんセランディア」(MS Selandia)である。このふねどうクラスの蒸気じょうき機関きかん搭載とうさいせんして3ぶんの1程度ていど燃料ねんりょう消費しょうひ航行こうこうできた(かつ、蒸気じょうきせんのようなボイラーよう真水まみず不要ふようであった)ことでその経済けいざいせい航続こうぞく距離きょりにおける優位ゆういせい立証りっしょうし、実用じつようてき成功せいこうおさめた。排煙はいえんりょう蒸気じょうきせんくらべてはるかにすくないため、蒸気じょうきせんのようなふと煙突えんとつ実用じつようじょう不要ふようで、簡易かんい排気はいきかんそなえるだけでんだ(以後いごのディーゼルせんでは、しゅとして美観びかんじょう見地けんちから旧来きゅうらい同様どうよう煙突えんとつしたファンネルて、そのなか外見がいけんよりほそ排気はいきかんとお事例じれいおおられる)。

そのだいいち世界せかい大戦たいせん初期しょきには、機関きかんしつ密閉みっぺい容易よういでガソリン機関きかんよりも大型おおがたてきし、航続こうぞく距離きょりばせることから、当時とうじ急速きゅうそく実用じつよう水準すいじゅんたっした潜水せんすいかんしゅ動力どうりょく導入どうにゅうされた。だいいち大戦たいせんの1920年代ねんだい以後いご通常つうじょう軍艦ぐんかん商船しょうせんにも本格ほんかくてき普及ふきゅうはじまったが、舶用はくよう動力どうりょく主流しゅりゅうとなるには時間じかんがかかった。1950ねんごろまでの船舶せんぱくよう大型おおがたディーゼルエンジンにはある程度ていどこう品質ひんしつ重油じゅうゆ必要ひつようであり、また単体たんたいでは蒸気じょうきタービンに比肩ひけんするだい出力しゅつりょく進展しんてんせず、だい出力しゅつりょく高速こうそく確保かくほには複数ふくすうエンジンを連動れんどうさせて出力しゅつりょく合成ごうせいする複雑ふくざついられた(れいとして1934ねんから1936ねんまでに就役しゅうえきしたドイツの「ポケット戦艦せんかん」ことドイッチュラントきゅう装甲そうこうかんは12,000トンきゅうディーゼルかんで2じくのスクリューをそなえていたが、49,000 hpきゅう出力しゅつりょく確保かくほのためディーゼル機関きかん8搭載とうさい、4ごとにスクリュー1じく駆動くどうした)。このため、とく大型おおがた船舶せんぱく動力どうりょくとしては、石炭せきたん粗悪そあく重油じゅうゆでも使用しよう可能かのう蒸気じょうきボイラーで作動さどうし、なおかつだい出力しゅつりょく容易ようい蒸気じょうきタービンを駆逐くちくするまでにはいたらなかった。

1920年代ねんだい舶用はくよう大型おおがたディーゼル機関きかん分野ぶんやでは、4ストロークしきと2ストロークしき通常つうじょう構造こうぞう燃焼ねんしょうしつたんどうしきと、ピストン下部かぶとクランクしつとのあいだのクロスヘッド別途べっと燃焼ねんしょうしつふくどうしきがそれぞれ並行へいこうして市場いちば投入とうにゅうされ、出力しゅつりょく増大ぞうだいはかっていた。この過程かてい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ圧縮あっしゅく空気くうきしきから、より小型こがたのエンジン同様どうよう噴射ふんしゃしきへと進化しんかした。

1930年代ねんだい初頭しょとう以降いこう舶用はくよう大型おおがたディーゼル機関きかん国際こくさい市場いちば技術ぎじゅつてきにリードしていたB&W、スルザー、MANの3しゃは、燃焼ねんしょう頻度ひんどおおくできだか出力しゅつりょくてきする、クロスヘッドづけの2ストロークふくどうしき傾倒けいとうするようになるが、この方式ほうしき複雑ふくざつせいねつ負荷ふかめん課題かだいかかえていた。このため、だい世界せかい大戦たいせんにはクロスヘッドと2ストローク方式ほうしき維持いじされたが、複雑ふくざつふくどうしき燃焼ねんしょうしつ衰退すいたいし、たんどうしき主流しゅりゅうとなった。この時期じき大日本帝國だいにっぽんていこく海軍かいぐんにおいてはかんせい本部ほんぶ各種かくしゅ船舶せんぱくようディーゼルエンジンの開発かいはつ主導しゅどうし、潜水せんすいかんにおいては当初とうしょ水上すいじょう速力そくりょく重視じゅうしする目的もくてきで2ストロークディーゼル機関きかん多用たようされた。戦前せんぜんごう潜水せんすいかんふくどうされた2ストロークディーゼル機関きかん水上すいじょう20ノットをえる高速こうそくりょくほこっていたが、だい世界せかい大戦たいせんはじまると急速きゅうそくに4ストロークたんどうしきへと移行いこうし、水上みずかみ速力そくりょくも10ノット中盤ちゅうばん急速きゅうそく低下ていかした。2ストロークふくどうディーゼル機関きかんだい出力しゅつりょく可能かのうではあるが、騒音そうおんおおきく、排気はいき圧力あつりょくひくいため排気はいきかん水中すいちゅうぼっしている潜水せんすいちゅうはシリンダーが浸水しんすいする危険きけんせいたかく、おものディーゼルエンジンの駆動くどうおこなえなかった。これはすなわちシュノーケルもちいたしゅ機関きかんでの水中すいちゅう連続れんぞく航行こうこう不向ふむきで、水中すいちゅうでの移動いどう事実じじつじょう電動でんどうのみにたよらざるをないことを意味いみしていた。そのため、大幅おおはば性能せいのう低下ていか覚悟かくごうえで4ストロークへの移行いこうおこなわれたのである。4ストロークへの移行いこうにより出力しゅつりょく低下ていかしたが、騒音そうおんおさえられ燃費ねんぴ大幅おおはば向上こうじょうだい世界せかい大戦たいせん末期まっきよんひゃくがた潜水せんすいかんでは水上すいじょう航続こうぞく距離きょりが37,500海里かいりやく7まんキロ、世界せかい一周いっしゅうやく1.5ばい)にもたっするものとなった[34]

1940年代ねんだい後期こうき液体えきたい燃料ねんりょうとしてはもっと廉価れんかだが低質ていしつざん渣油を低速ていそくディーゼルエンジンでもちいるこころみがすすめられ、在来ざいらいディーゼル機関きかんでのこう品質ひんしつ燃料ねんりょうへの混合こんごう試用しようのほか、事前じぜん加熱かねつ濾過ろか装置そうちによる流動りゅうどうせい改善かいぜん、ロングストローク徹底てっていしたクロスヘッドしきたんどうがた構造こうぞうによるシリンダーかべ潤滑じゅんかつ保護ほごで、ざん渣油のみを燃料ねんりょうとできるエンジンが実用じつようされるようになった。

蒸気じょうきタービンを代替だいたいするためのディーゼル機関きかんだい出力しゅつりょく過程かていで、低速ていそくディーゼル機関きかん特性とくせいかした排気はいきタービンによるせいあつきゅうが1950年代ねんだい前半ぜんはんから実用じつようされた。その最初さいしょは1952ねんにB&Wがタンカー「ドルテ・マースク」(10,630 GRTよう製作せいさくした6,500 HP機関きかんである。競合きょうごう各社かくしゃも1953–55ねんまでにしずかあつきゅう方式ほうしき導入どうにゅうすすんだ。以後いご舶用はくようディーゼルの大型おおがただい出力しゅつりょくこう効率こうりつ進行しんこうし、舶用はくよう機関きかんとしての経済けいざい優位ゆういせい圧倒的あっとうてきなものとなった。ただし1970ねんごろまでは、国際こくさいてき石油せきゆ需要じゅよう増大ぞうだいおうじてちょう大型おおがたすすむタンカーの巨大きょだい動力どうりょく蒸気じょうきタービン機関きかんしか用意よういできなかったため、ディーゼル機関きかん出力しゅつりょくベースのシェアが一時いちじ低下ていかした時期じきもあった。しかし1973ねん石油せきゆ危機きき到来とうらいすると、運行うんこうコストの低減ていげん至上しじょう命令めいれいとなり、タンカーでも際限さいげんなく大型おおがたする機運きうんうしなわれた。ほぼすべての商船しょうせんは30まんトン以下いか十分じゅうぶんとされ、ほとんどディーゼル動力どうりょくされた。

だい大戦たいせん石油せきゆ精製せいせい技術ぎじゅつ向上こうじょうともない、原油げんゆからは従来じゅうらいよりおおくのこう品質ひんしつ成分せいぶんすことができるようになった反面はんめん高度こうど精製せいせいのこざん渣油の品質ひんしつ年々ねんねん低下ていかし、ざん渣油由来ゆらいのC重油じゅうゆふくまれる硫黄いおうとう有害ゆうがい不純物ふじゅんぶつ含有がんゆうりょうたかくなっていった。この燃料ねんりょう粗悪そあく進行しんこうにも大型おおがた舶用はくようディーゼル機関きかん時代じだいごとの技術ぎじゅつ改良かいりょうえてきたが、1990年代ねんだい以降いこうざん渣油由来ゆらい燃料ねんりょう起因きいんする硫黄いおう酸化さんかぶつや、燃焼ねんしょう過程かてい生成せいせいけられない窒素ちっそ酸化さんかぶつ粒子りゅうしじょう物質ぶっしつなどがはいこんじる、船舶せんぱくからの排気はいきガスによる地球ちきゅう環境かんきょう汚染おせん沙汰ざたされるようになり、あらたな課題かだいとなっている。

鉄道てつどう

編集へんしゅう

自動車じどうしゃ

編集へんしゅう
 
レーシングカーアウディ・R10 TDI搭載とうさいされた5.5 L Vがた12気筒きとうディーゼルエンジン

世界中せかいじゅう大型おおがた自動車じどうしゃトラックおよびバス特装車とくそうしゃ特種とくしゅしゃ)や建設けんせつ機械きかいもちいられている。さらに日本にっぽんにおいては税制ぜいせいによりディーゼル燃料ねんりょうである軽油けいゆがガソリンよりも安価あんかなため[注釈ちゅうしゃく 8]経済けいざいせい優先ゆうせんする商用しょうようしゃはディーゼル比率ひりつたかい。

乗用車じょうようしゃようのディーゼルはくにによって人気にんきはげしく、欧州おうしゅうでは、小型こがた乗用車じょうようしゃでも新車しんしゃ販売はんばい台数だいすうやく43 %がディーゼルしゃ(2006ねん)で、一時いちじは50 %をえた。一方いっぽう米国べいこくでは、乗用車じょうようしゃ市場いちばにおけるディーゼルしゃのシェアはわずか0.5 %(2005ねん)しかなく、日本にっぽんでもマツダのぞ人気にんきい。

2000ねんごろには9–16リットルきゅう中型ちゅうがたエンジンでは直列ちょくれつ6気筒きとうとインタークーラー・ターボきゅう採用さいようされて500 PS程度ていど出力しゅつりょくであり、16–30 Lの大型おおがたでは自然しぜん吸気きゅうきVかたち8気筒きとう以上いじょう配列はいれつ採用さいようされていた。高速こうそくじょうそく走行そうこう頻度ひんどたか高速こうそくバス輸送ゆそうようトラックには中型ちゅうがたターボチャージャーてきし、すべりやすいみち(いわゆるひくμみゅーみち)や走行そうこう抵抗ていこうおおきいあくでのほろ低速ていそく走行そうこう機会きかいおおいダンプトラックには、レスポンスにすぐあつかいやすい大型おおがたVがた8気筒きとうノンターボエンジンがこのまれてきたからである。

しかし、次第しだいきびしくなるはいガス規制きせいまえに、各社かくしゃとも2010ねんまでに排気はいきりょうを11–13リットル程度ていどまでとし、排気はいきガスの後処理あとしょり装置そうち親和しんわせいたか直列ちょくれつ6気筒きとうエンジンに生産せいさんしぼんだため、排気はいきりょうおおきなVがた自然しぜん吸気きゅうきディーゼルは姿すがたした。自動車じどうしゃよう4ストロークエンジンではきゅうによるこうあつすすみ、すでにつつない最高さいこう圧力あつりょく (Pmax) の上昇じょうしょう限界げんかいのために圧縮あっしゅく低下ていか傾向けいこうにある。

排気はいきりょう2–5リットル程度ていど小型こがたディーゼルエンジンのおおくは乗用車じょうようしゃようなので、静粛せいしゅくせいはいガス対策たいさくちゅう大型おおがたエンジンよりもつよもとめられ、コモンレールによる直接ちょくせつ噴射ふんしゃしきとなっている。

欧州おうしゅうくら日本にっぽんでは、CO2削減さくげんメリットよりNOxやPMにたいするほう規制きせい優先ゆうせんされたため、2000ねんごろから小型こがたディーゼルエンジン搭載とうさい乗用車じょうようしゃ減少げんしょうした[5]。しかしポスト新長しんちょう規制きせいばれるきびしい基準きじゅんぐん対応たいおうするクリーンディーゼル乗用車じょうようしゃが2010ねん以降いこう発売はつばいされ、ふたた徐々じょじょ増加ぞうかしていたが、フォルクスワーゲンの排出はいしゅつガス規制きせい不正ふせい問題もんだい発覚はっかく以降いこうディーゼル乗用車じょうようしゃは(とく欧州おうしゅうの)規制きせい当局とうきょくやメーカー、なによりユーザーのさんぽうから見放みはなされつつある。

そう車両しゃりょうにおいては、たんなるきゅうとのわせでなく、タービン機関きかんとのふくあい機関きかんターボコンパウンド機関きかん)とされるれいルクレール)がある。

競技きょうぎ世界せかいでは、低速ていそくのトルクのゆたかさから、ラリーレイド重宝ちょうほうされる。サーキットレースでは1990〜2010年代ねんだいごろ市販しはんしゃ市場いちばのクリーンディーゼルの流行りゅうこうわせて多数たすう投入とうにゅうされ、世界せかい選手権せんしゅけん国際こくさいレースを制覇せいはすることもあったが、現在げんざいではブームはっている。

インドではふるくからディーゼルりんしゃ生産せいさん販売はんばいされていた(れい富士重工業ふじじゅうこうぎょうげん・SUBARU)せい汎用はんようがた小型こがた空冷くうれいたん気筒きとうディーゼルエンジン搭載とうさいしたエンフィールド=ロビン・D-R400D)。

近年きんねんイギリス陸軍りくぐんカワサキせいオフロードバイクにディーゼルエンジンを搭載とうさい運用うんよう開始かいしした。これにより陸軍りくぐん車両しゃりょう燃料ねんりょう軽油けいゆへの統一とういつ完了かんりょうした。同様どうよう車輛しゃりょうが、HDT M1030-M2 JP8(680 cc)として市販しはんされている。

 
2002〜2008ねん生産せいさんのカワサキ・ミュール3010。953cc 4ストロークOHV水冷すいれい直列ちょくれつ3気筒きとう自然しぜん吸気きゅうきディーゼルエンジンを搭載とうさいした。

公道こうどうはしらない、オートバイから派生はせいしたオフロードしゃのATV(ぜん地形ちけい対応たいおうしゃ)/やUTV(サイド・バイ・サイド)でもディーゼルエンジンがもちいられることがある。

とく業務ぎょうむよう(ユーティリティがた)のATV/UTVにおいては、てい燃費ねんぴによる原価げんか低減ていげんきゅう加速かそく必要ひつようとしない、騒音そうおん問題もんだいされないなどの観点かんてんからディーゼルエンジンが搭載とうさいされることがしばしある[36]

航空機こうくうき

編集へんしゅう
 
パッカードせいほしがた9気筒きとう
 
Diamond DA42に搭載とうさいされたCenturion 1.7
 
パリ航空こうくうショー展示てんじされるHIPE-AE440(2017ねん

飛行船ひこうせんにおいては1920年代ねんだいから1930年代ねんだい開発かいはつされたLZ129ヒンデンブルクLZ130は、ぎゃく回転かいてん可能かのうなディーゼルエンジン(ダイムラー・ベンツ DB 602)により、プロペラ駆動くどうしていた。カムシャフトじょうのギアをえることにより回転かいてん方向ほうこうえることができる。ぜん出力しゅつりょくからエンジン停止ていしぎゃく回転かいてんさせてぜん出力しゅつりょくまでの時間じかんは60びょう以下いかであった。これはまさに船舶せんぱくようエンジンとおな機能きのうである。 1929ねん完成かんせいしたR101飛行船ひこうせんには直列ちょくれつ8気筒きとうのビアドモアせいトルネードエンジンが5搭載とうさいされた。鉄道てつどうようの4気筒きとうエンジンを2つわせてこう出力しゅつりょく軽量けいりょうしたものであった。気温きおんたかくなるインド航路こうろでの利用りようおお見込みこまれたため、引火いんかてんひくいガソリンでの火災かさい事故じこ懸念けねんからディーゼルが選択せんたくされた。飛行船ひこうせん固定こていつばさ航空機こうくうきことなり、連続れんぞく運転うんてん要求ようきゅうされず、ちゅうそくクラスの可逆かぎゃく回転かいてんディーゼル機関きかん流用りゅうようできたが、1930年代ねんだい末期まっき硬式こうしき飛行船ひこうせんそのものの衰退すいたいで、それ以上いじょう発展はってんなかった。

固定こていつばさにおいて、最初さいしょにディーゼルエンジンがためされたのは1920年代ねんだいから1930年代ねんだいにかけてであり、1928ねん9月18にちパッカードせいほしがたディーゼルエンジンを搭載とうさいしたスチンソンデトロイター機体きたい番号ばんごうX7654)がはつ飛行ひこう成功せいこうしている[37]。パッカードのエンジンを搭載とうさいした機体きたい発生はっせいするくろけむり対策たいさくとして機体きたいしょくくろにしていたが、においやくろけむり不評ふひょうだった。

代表だいひょうてきなものとしてはパッカードの空冷くうれいほしがたエンジンくろけむり排出はいしゅつ強度きょうどめん欠陥けっかんにより早期そうき市場いちばから淘汰とうたされた)や、対向たいこうピストンしきユモ205などがある。ソ連それんではだい世界せかい大戦たいせんちゅうチャロムスキー Ach-30ディーゼルエンジンがイェモラーエフ Yer-2ペトリャコフ Pe-8などのばくげき搭載とうさいされた。 フランスではブロック(Bloch)MB.203ばくげきクレルジェ(英語えいごばんせいほしがたディーゼルエンジンを搭載とうさいした。ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントでは1932ねんロールスロイス・コンドル(英語えいごばん)エンジン圧縮あっしゅく着火ちゃっかしきエンジンに改造かいぞうして、ホーカー・ホーズリー爆撃ばくげき英語えいごばん搭載とうさいしてテストした。

このようにおおくのメーカーがエンジン開発かいはつこころみたが、ディーゼルエンジンは耐久たいきゅうせい燃費ねんぴ良好りょうこうだがスロットルの反応はんのうにぶい、ひど排煙はいえん振動しんどうなどの理由りゆうにより、主流しゅりゅうとはなりなかった。

大戦たいせんのユニークな提案ていあんとしては複雑ふくざつターボコンパウンド機関きかん燃焼ねんしょうにディーゼルを利用りようするネイピア ノーマッドがあるが、これも実用じつようにはいたらなかった。またアリソン 250などディーゼル燃料ねんりょう対応たいおううたったターボプロップエンジンも存在そんざいするが、出力しゅつりょくちるため積極せっきょくてき使つかわれることはなく緊急きんきゅうようとしている。

航空機こうくうきようガソリンエンジンの進化しんか頭打あたまうちになり、さらに2のオイルショックにくわえて環境かんきょう悪影響あくえいきょうおよぼすゆうなまり航空こうくうようガソリンへの規制きせいつよまったことから、従来じゅうらい航空機こうくうきようレシプロエンジンの燃料ねんりょう価格かかくこうまりした。そのためヨーロッパでは1980年代ねんだい以降いこう、ジェット燃料ねんりょう利用りよう可能かのうかつてい出力しゅつりょくではタービンエンジンよりも燃費ねんぴすぐれる、小型こがたプロペラてい燃費ねんぴディーゼルへの関心かんしん復活ふっかつした。1980ねんにNASAのグレン研究けんきゅうセンターではコンチネンタル・モータース共同きょうどうで3気筒きとうと6気筒きとうほしがたディーゼルエンジンを発表はっぴょうするなどしている。おおきく、おもく、振動しんどうおおきいという欠点けってん改善かいぜんするため、「エアロディーゼル」とばれる軽量けいりょうされたエンジンの開発かいはつこころみられている。いちれいとしてイギリスのDair[38] の2ストロークディーゼルがげられる。これはおもたいシリンダヘッドを使つかわず2つの対向たいこうピストンひとつの燃焼ねんしょうしつ形成けいせいする対向たいこうピストンしきエンジンの現代げんだいばんである。しかし、-5 以下いかでの始動しどう保証ほしょうされない、着火ちゃっか燃焼ねんしょう安定あんていしないので高空こうくう使つかえない、など、この形式けいしき性能せいのう信頼しんらいせいけっしてたかくない。ディーゼルの適用てきよう低空ていくう使用しようする飛行船ひこうせんけい飛行機ひこうき・ヘリコプターにかぎられており、発展はってんせいすくない。

2001ねんドイツのThielert(のちTechnify Motors)が、ディーゼルエンジンではだい世界せかい大戦たいせんはじめてJAA(合同ごうどう航空こうくう当局とうきょく英語えいごばん)による認証にんしょう取得しゅとくした[39][40]。2002ねん認証にんしょう取得しゅとくしたCenturion 1.7(TAE 125)エンジンとそののCenturion2.0エンジンはそれぞれメルセデス・ベンツ・Aクラス搭載とうさいされたOM668、OM640エンジンをベースにしており、ダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズDA40(英語えいごばんDA42(英語えいごばんなどの小型こがた採用さいようされた。2010ねんまでに合計ごうけい3000以上いじょう生産せいさんされている。会社かいしゃ2008ねん倒産とうさんしたのち管財かんざいじんもと再建さいけんおこなわれ、2013ねん中国ちゅうごく航空こうくう工業こうぎょう集団しゅうだん公司こうし(AVIC)傘下さんかコンチネンタル・モータース買収ばいしゅうされた。

2010ねんにはEADSによって制御せいぎょされるディーゼルハイブリッドヘリコプターのコンセプトが発表はっぴょうされた[41]。EcoMotorsしゃ対向たいこうピストンエンジンが採用さいようされている。

2015ねんからNASAによって電動でんどうVTOLはたドローンディーゼル・エレクトリック方式ほうしきとすることで、航続こうぞく時間じかんばす研究けんきゅうもおこなわれている[42][43]

2015ねん11月6にちにはエアバス・ヘリコプターズがHIPE-AE440(Vがた8気筒きとう4.6リットルちょくターボ)を搭載とうさいした試験しけんH120飛行ひこう成功せいこうした[44]。European Clean Sky initiativeの一環いっかんとして開発かいはつされた。これにより、ヘリコプターで主流しゅりゅうのターボシャフトエンジンであるチュルボメカ アリウス搭載とうさいした同型どうけいよりも燃料ねんりょう消費しょうひが30 %低減ていげんされ、航続こうぞく距離きょりが2ばいちかくになり、高温こうおん高地こうちでの運用うんようせい向上こうじょうするとされる[44]

現代げんだい航空こうくうほうではエンジンについてピストンタービンけているが、ガソリンとディーゼルどちらを使用しようするかについては言及げんきゅうしておらず、ディーゼルエンジン搭載とうさいもピストンの資格しかく操縦そうじゅう整備せいびできる。とく日本にっぽんでは航空こうくうようガソリン給油きゅうゆできる飛行場ひこうじょう減少げんしょう価格かかく上昇じょうしょうしていることから[45]、より安価あんか給油きゅうゆできる場所ばしょおおJET-A1対応たいおうしたディーゼルエンジンに交換こうかんする事業じぎょうしゃもある[46]。コンチネンタル・モータースではかわ装用そうようとしてJET-A1対応たいおうのエンジンと交換こうかんようキットのセット販売はんばいおこなっている。またセスナでは172にディーゼルエンジンを搭載とうさいしたモデルを販売はんばいしている[47]

くい

編集へんしゅう

大型おおがた構造こうぞうぶつ建築けんちくぶつ基礎きそくいしつらえするくいひとつとしてディーゼルハンマがあった[48]みずからの振動しんどう自重じちょう鋼管こうかんくいやコンクリートくいむもの(打撃だげき工法こうほう)で、機械きかい移動いどう容易ようい効率こうりついメリットがあったが、騒音そうおん排気はいきガスの問題もんだいから日本にっぽん国内こくないでは使用しようされなくなった。

環境かんきょうへの影響えいきょう対策たいさく

編集へんしゅう

ガソリンエンジンよりねつ効率こうりつたかいディーゼルエンジンは、CO2発生はっせいりょうでは環境かんきょうへの負荷ふかすくなくてむ。しかしPMやNOx発生はっせいりょうはガソリンエンジンより大量たいりょう問題もんだいふくんでいる[5]

気体きたいだけをやす混合こんごう燃焼ねんしょうことなり、燃料ねんりょうえきしずくのままやす噴霧ふんむ燃焼ねんしょう原理げんりじょうえきしずくのこりとして、PMくろけむり発生はっせいしやすいことが欠点けってんである。またディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高温こうおんだかあつで、余分よぶん空気くうき内燃ないねん機関きかんなので、窒素ちっそ酸化さんかぶつ (NOx)生成せいせいりょうおおくなってしまう。

ディーゼル機関きかんてい負荷ふかそらもえは30:1から60:1もの希薄きはくえるが、均一きんいつ混合こんごう燃焼ねんしょうではないので、低温ていおん燃焼ねんしょうによるNOx低下ていかい。むしろディーゼル機関きかんえきしずく付近ふきん空気くうきだけを消費しょうひする均一きんいつ拡散かくさん燃焼ねんしょうのため、燃焼ねんしょう温度おんどたかいまま多量たりょう余剰よじょう空気くうき加熱かねつし、行程こうていあたりだか負荷ふかよりも大量たいりょうのNOxを生成せいせいする。

ディーゼル機関きかん排気はいき酸素さんそ過多かたとなるので、ガソリン機関きかん多用たようされている排気はいき浄化じょうかようさんげん触媒しょくばい使つかえない。さんげん触媒しょくばい理論りろんそらもえ運転うんてんする場合ばあい炭化たんか水素すいそ (HC)・窒素ちっそ酸化さんかぶつ (NOx)・一酸化いっさんか炭素たんそ (CO) を同時どうじ浄化じょうかできる。

ただあたらしい解決かいけつ、そこにそれ以上いじょう開発かいはつ 水素すいそ内燃ないねん機関きかん しゃおよびトラックのための商業しょうぎょうてき[49][50]

排気はいきガスのはつがんせい

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンの排気はいきガスのはつがんせいについて、WHO下部かぶ機関きかんである国際こくさいがん研究けんきゅう機関きかん(IARC)はながらく「グループ2Aのはつがんせい」=「ひとたいするはつがんせいがおそらく(probably)ある」としてきたが、2012ねん6がつアメリカ国立こくりつがん研究所けんきゅうじょ国立こくりつ労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい研究所けんきゅうじょだい規模きぼ疫学えきがく調査ちょうさから、「グループ1」=「ひとたいするはつがんせいがある」と格上かくあげした[51][52]

硫黄いおうとSOx

編集へんしゅう

ディーゼル燃料ねんりょう硫黄いおう残留ざんりゅうしていると排気はいき有害ゆうがい硫黄いおう酸化さんかぶつ (SOx) がふくまれる。また硫黄いおう酸化さんかりょくおおきいので排気はいき浄化じょうかよう酸化さんか触媒しょくばい還元かんげん触媒しょくばいともさき反応はんのうして無効むこうにしてしまう。そのため自動車じどうしゃようエンジンへの対応たいおうはもっぱら燃料ねんりょう脱硫だつりゅうたよっている。従来じゅうらい欧州おうしゅう軽油けいゆてい硫黄いおうぶん北海ほっかいさん原油げんゆからつくられるのにたいし、日本にっぽん軽油けいゆこう硫黄いおうぶん中東ちゅうとうさん原油げんゆからつくられるためてい硫黄いおうむずかしいとわれていた。しかし日本にっぽん脱硫だつりゅうかんしても2004ねんまつ自動車じどうしゃ排出はいしゅつガス規制きせい関連かんれんする「自動車じどうしゃ燃料ねんりょう品質ひんしつ規制きせい」の変更へんこうおこなわれ、軽油けいゆふくまれる硫黄いおう許容きょよう限界げんかいは、従来じゅうらいの0.01 %質量しつりょう以下いかから0.005 %質量しつりょう以下いかへとあらためられ、欧州おうしゅうおな時期じきおなじレベルに低減ていげんしている[53]硫黄いおうぶんには燃料ねんりょうポンプにたいして潤滑じゅんかつ作用さようがあるため、脱硫だつりゅう燃料ねんりょうには燃料ねんりょうポンプ保護ほごのため潤滑じゅんかつざい添加てんかされる。

大型おおがた舶用はくようエンジンには3 %ほどの硫黄いおうぶんおお粗悪そあく燃料ねんりょう使つかわれるため海水かいすいスクラバー装置そうちはいガスちゅうふくまれるSOxを海水かいすい吸収きゅうしゅうさせる排煙はいえん脱硫だつりゅう装置そうち)などの後処理あとしょり排気はいきからSOx除去じょきょしようとしている。湿式しっしきスクラバーの後段こうだんでNOx低減ていげん触媒しょくばい使つかえるようになるが、排気はいき温度おんど低下ていかしすぎているのでむずかしい。2012ねん現在げんざい欧州おうしゅうはい気温きおんげすぎない乾式かんしきスクラバーと#SCRわせが開発かいはつちゅうである[54]

NOxくろけむり

編集へんしゅう

はいガスちゅうのNOxくろけむりとは、二律背反にりつはいはん関係かんけいにあり、しかも自動車じどうしゃ走行そうこう条件じょうけんは、どちらの状態じょうたいもあるので2000年代ねんだいのPM、NOx対策たいさくでは2つの後処理あとしょり装置そうち必要ひつようになる。

こうあつ噴射ふんしゃ少量しょうりょう燃料ねんりょう完全かんぜん燃焼ねんしょうさせくろけむり発生はっせいふせごうとしても、高温こうおんだかあつ窒素ちっそ酸素さんそ空気くうき)により、NOx生成せいせいされてしまう。このため、てい負荷ふかにはEGRをやし燃焼ねんしょう温度おんどげてNOx低下ていかさせる。

EGRをやすと完全かんぜん燃焼ねんしょうしにくくなりくろけむりえるため、こう負荷ふかにEGRは使つかえない。またEGRをなくしても高温こうおんだかあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょうえると、均一きんいつ燃料ねんりょう早期そうき発火はっかして、PMが発生はっせいする。1990年代ねんだいにコモンレール方式ほうしき多段ただん噴射ふんしゃ使つかえるようになると、欧州おうしゅう自動車じどうしゃメーカーは発生はっせいしたPMを多段ただん噴射ふんしゃによるのち燃焼ねんしょう完全かんぜん燃焼ねんしょうしようとした。しかしNOxには無効むこうだった。結局けっきょく、PM対策たいさくとNOx対策たいさくのために、別々べつべつ後処理あとしょり装置そうち使つかわれた。

2012ねん発売はつばいされたマツダSKYACTIV-Dてい圧縮あっしゅくディーゼルによってはじめてこう負荷ふかのNOx低減ていげんされ、NOx後処理あとしょり装置そうち不用ふようになった。

大型おおがた舶用はくようエンジンには硫黄いおうぶんおおいC重油じゅうゆ使つかわれるため、NOx浄化じょうか触媒しょくばい容易ようい使つかえない。また粗悪そあく重油じゅうゆ着火ちゃっかするため圧縮あっしゅく低下ていかできない。派生はせいがた内燃ないねん発電はつでんではみず添加てんか燃焼ねんしょうにより燃焼ねんしょう温度おんどげてNOx低減ていげんしている。みず気化きかねつ燃焼ねんしょうガス温度おんど低下ていかし、水蒸気すいじょうき作用さよう気体きたいとなる。ねつ効率こうりつは2–3 %低下ていかするだけでNOxを50 %低下ていかする。さらに多層たそうすい添加てんかという高度こうどわざ使つかえばねつ効率こうりつ維持いじして60 %のNOx低減ていげん可能かのうとされる[55]

関連かんれんするほう規制きせい

編集へんしゅう

日米にちべいおう各地かくちでは、ディーゼル自動車じどうしゃたいする環境かんきょう規制きせいおこなわれている。

国際こくさい海事かいじ機関きかん(IMO)は海洋かいよう汚染おせん防止ぼうし条約じょうやく付属ふぞくしょVI(MARPOL73/78 ANNEX VI)を1997ねん採択さいたくし、批准ひじゅんこく定数ていすうたっすると発効はっこうするという手順てじゅんで、2000ねんからSOx規制きせい発効はっこうはじめ、定期ていきてき規制きせい強化きょうかする方針ほうしんである。NOxについてはぜん海域かいいき適用てきようされる2005ねん発効はっこうしただいいち規制きせい、2011ねん発効はっこうしただい規制きせいつづき、2016ねんにはECA(排出はいしゅつ規制きせい海域かいいき)だけに極端きょくたんきびしいだいさん規制きせいけられる予定よていである[54]

排気はいきガス処理しょり

編集へんしゅう

排気はいきガス処理しょり技術ぎじゅつは、できるだけ低温ていおん低圧ていあつ燃焼ねんしょうさせることでNOx発生はっせいすくなくおさえ、酸化さんか触媒しょくばいやDPFによりPM、CO、HCを処理しょりする方法ほうほうと、できるだけ高温こうおん完全かんぜん燃焼ねんしょうさせることでCO、HCの生成せいせいおさえ、その結果けっか増加ぞうかするNOx窒素ちっそ還元かんげんするNOx還元かんげん触媒しょくばいの2つを併用へいようする方法ほうほう主流しゅりゅう

NOx還元かんげん触媒しょくばい従来じゅうらいがたさんげん触媒しょくばいから派生はせいしたものと、SCRとばれるものの2つがある。また常時じょうじおなじようにNOx浄化じょうかする「尿素にょうそSCRシステム」と、リーン燃焼ねんしょうちゅうにNOxを吸蔵し、リッチ燃焼ねんしょう以降いこう浄化じょうか作用さようすすめる「吸蔵触媒しょくばい」の2つがあり、それぞれわせられる。

そのほか、燃料ねんりょうあらためしつによりNOxらす構想こうそうがあり、ジメチルエーテル混入こんにゅうみずエマルジョン燃料ねんりょうなどの研究けんきゅう舶用はくようエンジンの分野ぶんや中心ちゅうしんすすんでいるが、供給きょうきゅう体制たいせい整備せいびや、使用しようしゃ補給ほきゅうおこたった場合ばあい対策たいさくなどの問題もんだいがあり、実用じつようすすんでいない。

なお、NOxとPMの排出はいしゅつりょう前述ぜんじゅつとお二律背反にりつはいはんであり、基本きほんてき燃焼ねんしょうのセッティングによっておお排出はいしゅつされる物質ぶっしつ処理しょりてきした処理しょり装置そうち搭載とうさいする方式ほうしき基本きほんなのだが、使用しようじょうきょうなどによってはメーカーの意図いとしたとおりの作用さようをしなくなってしまうこともある(たとえば、尿素にょうそSCRシステムを採用さいようした車両しゃりょうにおいて、なんらかの理由りゆう燃焼ねんしょう低温ていおんもしくは低圧ていあつになってしまいくろけむりおお排出はいしゅつすることがある。ぎゃくに、DPFを装備そうびした車種しゃしゅにおいて、メーカーの想定そうてい以上いじょう低温ていおん低圧ていあつなどによりPMがDPFの処理しょり能力のうりょく以上いじょう排出はいしゅつされ燃料ねんりょう原因げんいんではないフィルターのまりをこすことがある)。また、後述こうじゅつのようにDPFの強制きょうせい再生さいせい燃料ねんりょう消費しょうひおおく(=燃費ねんぴわるい)、尿素にょうそSCRシステムでも構造こうぞうじょう燃費ねんぴ悪化あっか無視むしできるほどにちいさくとも一方いっぽう尿素にょうそすい消費しょうひりょうはそのシステムを搭載とうさいすることのおおいトラック・バスにおいては莫大ばくだいなものとなる。これらの事態じたい軽減けいげんするために2010年代ねんだいはいりDPFと尿素にょうそSCRシステムを併用へいようした浄化じょうかシステムが普及ふきゅうしはじめた(れいダイムラーグループが採用さいようするBlueTecとう)。併用へいようする場合ばあい燃焼ねんしょうのセッティングを低温ていおん低圧ていあつまたは高温こうおんだかあつ一方いっぽう必要ひつようがなく、またそれによりPMの発生はっせいりょうがDPFのみの車種しゃしゅのものよりることで強制きょうせい再生さいせい機会きかい燃費ねんぴ改善かいぜんされる。一方いっぽうNOx発生はっせいりょう尿素にょうそSCRシステムのみの車種しゃしゅ場合ばあいよりはすくないため尿素にょうそすい消費しょうひおさえることができる。

はいガスの一部いちぶ吸気きゅうきけい導入どうにゅうする排気はいきさい循環じゅんかん(Exhaust Gas Recirculation, EGR)によって、吸気きゅうきちゅう酸素さんそりょうらしてピークの燃焼ねんしょう温度おんどげ、NOx発生はっせい抑制よくせいする。ディーゼルエンジンにはスロットルバルブはないため、てい負荷ふか極端きょくたん空気くうき過多かた希薄きはく燃焼ねんしょうになるところにEGRを導入どうにゅうし、NOx低下ていか利用りようする。乗用車じょうようしゃ場合ばあいこう負荷ふかにEGRはおこなわれないが、トラックなどはこう負荷ふかにもEGRを利用りようしているケースがある。また、EGRには燃焼ねんしょう騒音そうおん低下ていかさせるメリットもある(酸素さんそ濃度のうど低減ていげんでき、急激きゅうげき燃焼ねんしょうおさえることができる)。

微粒子びりゅうし除去じょきょ装置そうち

編集へんしゅう

ディーゼル排気はいきふくまれる粒子りゅうしじょう物質ぶっしつ ( Particulate matter, PM)は、おおくの場合ばあいDPF」(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子びりゅうしフィルター)とばれるセラミックせいのフィルターでらえて燃焼ねんしょう処分しょぶんされるようになっている。

DPFは排気はいきかん途中とちゅう挿入そうにゅうされ、内部ないぶめられた多孔たこうしつセラミックの微細びさい間隙かんげき排気はいき通過つうかさせススじょうのPMをしゅうする。 多孔たこうしつ表面ひょうめんには白金はっきんなどの金属きんぞく触媒しょくばい塗布とふしてあり、300 以上いじょう雰囲気ふんいきちゅうでPMが触媒しょくばいによって排気はいき化学かがく反応はんのうこし、H2OとCO2無害むがい気体きたい酸化さんかされ排出はいしゅつされる。 エンジンからの排気はいき温度おんどひく状態じょうたいつづ場合ばあいには、「強制きょうせい再生さいせい」といって、手動しゅどう燃料ねんりょう過多かた排気はいきつくし、定期ていきてき高温こうおん状態じょうたいつくしてDPFにまったPMを無害むがいしてのぞく。

触媒しょくばいおおくは硫黄いおうよわく、フィルターのまりの原因げんいんとなるため、てい硫黄いおうされた軽油けいゆ以外いがい不正ふせい軽油けいゆなど)の使用しようはできないが、フィルターにセラミックを使つかわず、金網かなあみ炭化たんか珪素けいそ繊維せんいもちいた製品せいひんもあり、こちらはてい硫黄いおう軽油けいゆ以外いがい使用しよう可能かのうである。

SCR(Selective Catalytic Reduction, 選択せんたくてき触媒しょくばい反応はんのう)とは選択せんたくてき触媒しょくばいによる還元かんげん作用さようのことで、はいガス対策たいさく場合ばあいはNOxだけを選択せんたくして還元かんげんざいアンモニア反応はんのうさせ窒素ちっそみず還元かんげんする浄化じょうか触媒しょくばい作用さようである。アンモニア還元かんげんざいもちいるため従来じゅうらいのNOx還元かんげん触媒しょくばいよりも高性能こうせいのうである。アンモニアを方法ほうほうで2つにかれる。

尿素にょうそSCRシステム
あらかじめこう純度じゅんど尿素にょうそ精製水せいせいすいかしんだ尿素にょうそすい独立どくりつしたタンクに積載せきさいしておき、走行そうこうちゅうにNOx還元かんげん触媒しょくばい手前てまえ尿素にょうそすい噴霧ふんむし、高温こうおん排気はいきちゅう加水かすい分解ぶんかい反応はんのうによりアンモニアをる。幅広はばひろはいガス温度おんど領域りょういきでNOx還元かんげん性能せいのうたかい(実際じっさいのシステムでは、HCぶん低減ていげんのためはいガスはSCRに先立さきだ空気くうき酸化さんか触媒しょくばいとで燃焼ねんしょうさせておき、またSCR処理しょりにはのこったアンモニアを分解ぶんかいするための酸化さんか触媒しょくばい必要ひつようである)。尿素にょうそすい補給ほきゅうとシステム全体ぜんたい場所ばしょ確保かくほできるトラック・バスとうにおいて実用じつようされている。
NOxアンモニア吸蔵SCR
SCRにNOx吸蔵そうとアンモニア吸蔵そう付加ふかした、あたらしいコンバインドタイプのNOx吸蔵還元かんげん触媒しょくばい。まず、リーン燃焼ねんしょうなかにNOxを吸蔵そうんでおき、制御せいぎょ装置そうち適宜てきぎリッチ燃焼ねんしょう開始かいしする。リッチ燃焼ねんしょうちゅう白金はっきん触媒しょくばいによりCOとH2OとNOxからアンモニアを生成せいせいし吸蔵する。つぎにリーン燃焼ねんしょうするときにSCRがはたらいて、新規しんきのNOx窒素ちっそみず還元かんげんする。米国べいこくはいガス規制きせいをクリアしたホンダ触媒しょくばい使つかわれている。またベンツも尿素にょうそ噴射ふんしゃおこなわないSCRにNOx吸蔵機能きのうわせている。日産にっさん新型しんがた触媒しょくばい開発かいはつ、2008ねん国内こくない販売はんばいする車両しゃりょう搭載とうさいすると発表はっぴょうした(2009ねん4がつ時点じてんで、エクストレイルのみが日本にっぽん国内こくない販売はんばいされている)。

NOx吸蔵還元かんげん触媒しょくばい

編集へんしゅう

はいガスちゅうのNOxをリーン燃焼ねんしょうみ、そのにリッチ燃焼ねんしょう還元かんげんさせる触媒しょくばいのことである。NOx還元かんげん上記じょうきのSCRを使つかわないもので、還元かんげんざいはHCとCOとH2になり、さんげん触媒しょくばいにNOx吸蔵そう追加ついかしたものとえる。ガソリンちょく噴エンジンで使つかわれてきたものであり、ディーゼルには一部いちぶ使つかわれている。

乗用じょうようディーゼルエンジンようとしては、欧州おうしゅう仕様しようアベンシス採用さいようされているDPFと一体化いったいかしPMとNOx同時どうじ還元かんげんするトヨタのDPNRがある。

NOx還元かんげんするのに燃料ねんりょうぶんおおいリッチ燃焼ねんしょう必要ひつようであり、軽油けいゆない硫黄いおうぶん触媒しょくばい機能きのううばうのが欠点けってんである。

燃料ねんりょう

編集へんしゅう

ディーゼルエンジンの燃料ねんりょうは、発火はっかてんが225 程度ていどであれば多様たようなものが使用しようできるが、灯油とうゆ軽油けいゆ重油じゅうゆ使つかわれる[注釈ちゅうしゃく 9]。ディーゼルエンジンにあやまってガソリン給油きゅうゆすると、発火はっかてんやく300 ℃とたかいため点火てんかできずにエンジンはまる。給油きゅうゆ配管はいかん噴射ふんしゃポンプからガソリンをのぞくことで復旧ふっきゅうできるが、潤滑じゅんかつせいのないガソリンによって噴射ふんしゃポンプをいためる可能かのうせいがある。

軽油けいゆ水素すいそなどを混合こんごうした二元にげん燃料ねんりょう利用りよう可能かのうである[56]が、エンジンや配管はいかんさい設計せっけい必要ひつようとなる[57]

一方いっぽう引火いんかてんについては、軽油けいゆやく50 ℃であるのにたいして、ガソリンのそれはやく-40 ℃となるため、ガソリンを危険きけんなものにしている。ガソリンは-40 以上いじょうちかづけるだけで危険きけんだが、50 以下いか軽油けいゆちかづけても、すぐにえるわけではない。それにもかかわらず、がない環境かんきょうでこれら2つの温度おんどげてゆくと、発火はっかてんからさきみずかくのは軽油けいゆである。この軽油けいゆ発火はっかてんひくさと引火いんかてんたかさが、燃料ねんりょう爆発ばくはつ自己じこ着火ちゃっかたよるディーゼルエンジンでの使用しよう容易よういにしている。

航空機こうくうきでは、灯油とうゆちか性質せいしつ航空こうくうようガソリンより安価あんかジェット燃料ねんりょう使つかえる。これは現代げんだい固定こていつばさならびに回転かいてんつばさ主流しゅりゅうターボジェットエンジンターボファンエンジンターボシャフトエンジンといったガスタービンエンジン燃料ねんりょう共用きょうようできるてんではガソリンエンジンよりも有利ゆうりであり、またてい出力しゅつりょくではディーゼルエンジンをふくむレシプロエンジンのてい燃費ねんぴのメリットがおおきくなる。ノッキング対策たいさくとして使用しようされるゆうなまりガソリン有毒ゆうどくあつかいがむずかしく、環境かんきょう負荷ふかおおきいため環境かんきょうぜい値上ねあげなどで規制きせいされる傾向けいこうにある。そのため現代げんだいでは地方ちほう飛行場ひこうじょう燃料ねんりょう補給ほきゅう支障ししょうをきたすこともすくなくない。以上いじょう理由りゆうなどにより、無人むじんふくけい飛行機ひこうき一部いちぶ小型こがたヘリコプターなどのように、タービンエンジンのつよみである軽量けいりょうだか出力しゅつりょくやディーゼルエンジンの弱点じゃくてんである低温ていおん環境かんきょうこう高度こうどでの性能せいのう必要ひつようとしない機材きざいについては、軍民ぐんみんともに複数ふくすうおおきな利点りてんがある。

車両しゃりょうにおいては、機材きざい大型おおがたになるほどガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンが有利ゆうりになりやすいという一般いっぱんてき特徴とくちょうくわえて、燃料ねんりょう引火いんかてんたかいことから被弾ひだん火災かさいリスクがひくいといった利点りてんがあり、とくに軍用ぐんようではおお使つかわれている。また、上述じょうじゅつのように軍用ぐんよう航空機こうくうき燃料ねんりょう共用きょうようしやすいてんも、とくに補給ほきゅうルートや設備せつびかぎられる戦場せんじょうではおおきな優位ゆういてんとなる。

あらたな燃料ねんりょう

編集へんしゅう

合成ごうせい

編集へんしゅう

エミッション(排気はいきガス)低減ていげんあしかせとなる鉱物こうぶつ由来ゆらい天然てんねん燃料ねんりょうわり、次世代じせだいのディーゼル燃料ねんりょうとして注目ちゅうもくされているのが、GTL(Gas To Liquid、ガス・トゥー・リキッド)、BTL(Biomass To Liquid、バイオマス・トゥー・リキッド)、CTL(Coal To Liquid、コール・トゥー・リキッド)とう合成ごうせいである。これらの燃料ねんりょうは、単体たんたいで、あるいは軽油けいゆ混合こんごうしてディーゼルエンジンに使用しようすることで、はいガスではてい公害こうがい期待きたいできる。

GTL燃料ねんりょう原料げんりょう天然てんねんガス、CTL燃料ねんりょう石炭せきたんであり、軽油けいゆくらべセタンたかく、SOx原因げんいんとなる硫黄いおうぶんやPMを発生はっせいさせるベンゼンキシレンなどの芳香ほうこうぞく炭化たんか水素すいそをほとんどふくまない。CNG水素すいそとはことなり常温じょうおんでも液体えきたいのため、現在げんざい燃料ねんりょう販売はんばいルートになじみやすい。ただし、加工かこうのエネルギーぶんのCO2排出はいしゅつりょうがそのまま燃焼ねんしょうさせるより増加ぞうかするために、地球ちきゅう環境かんきょうにはやさしくない[58]。また、硫黄いおうふくまれないことから、潤滑じゅんかつ作用さようてん軽油けいゆおとるため、添加てんかざい対応たいおうする必要ひつようがある。

BTL燃料ねんりょうは、植物しょくぶつ原料げんりょうとし液体えきたい燃料ねんりょうとして合成ごうせいしたもので、GTL・CTL燃料ねんりょう同様どうよう硫黄いおう芳香ほうこうぞく炭化たんか水素すいそふくまず、燃焼ねんしょう排出はいしゅつされるCO2植物しょくぶつ生長せいちょうするさい吸収きゅうしゅうしたCO2りょう[注釈ちゅうしゃく 10]ひとしくなる、などの特徴とくちょうがある。

これらの合成ごうせいは、こうセタン燃料ねんりょうであるため、単体たんたい専用せんようディーゼルエンジンとしてなら圧縮あっしゅくを13–15:1へとてい圧縮あっしゅくでき、エネルギー効率こうりつひく燃費ねんぴできるのも利点りてんである。これらは、生産せいさんりょう増加ぞうかすれば価格かかくがっていくとられており、今後こんごのディーゼル燃料ねんりょう主流しゅりゅうとして期待きたいされている[59]

ジメチルエーテル((DM) をディーゼル燃料ねんりょうとして使つかうことも実用じつようされつつある。メタノール脱水だっすいちぢみあい反応はんのう合成ごうせいしてエネルギー密度みつどげる方法ほうほうではなく、合成ごうせいガスからの直接ちょくせつ合成ごうせいによるてい純度じゅんどてい価格かかく大量たいりょう生産せいさん確立かくりつしつつある。原料げんりょうとして天然てんねんガス、石炭せきたん植物しょくぶつなど合成ごうせいガスできるものならく、ゆう酸素さんそ燃料ねんりょうでガス由来ゆらい合成ごうせいより合成ごうせいエネルギー損失そんしつすくないのが利点りてんである。

DME燃料ねんりょう軽油けいゆ同等どうとうセタンで、硫黄いおうぶん芳香ほうこうぞく炭化たんか水素すいそふくまない。機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃでは低圧ていあつ体積たいせき変化へんかするため噴射ふんしゃりょう制御せいぎょむずかしかったが、コモンレールでこうあつ安定あんていされたことにより噴射ふんしゃりょう制御せいぎょ正確せいかくになり、てきした燃料ねんりょうとなった。

また、重油じゅうゆとDMEを混合こんごうすることで、排気はいきガスの浄化じょうかのぞまれることもあきらかになりつつある。A重油じゅうゆ混合こんごうした場合ばあい、NOx,COxもボリュームパーセントでは低下ていかする。

植物しょくぶつエステル交換こうかん(メタノリシス)してグリセリン除去じょきょ脂肪酸しぼうさんメチルエステル(FAME)とした燃料ねんりょう(Bio Diesel Fuel;BDF)である。

油脂ゆし水素すいそ分解ぶんかいしてつく水素すいそ処理しょり(Bio Hydrofined Diesel; BHD)である。

1885ねん、イギリスじん発明はつめいハーバート・アクロイド・スチュアートがパラフィン使つかったエンジンの可能かのうせいについて調査ちょうさはじめた。これはガソリンとちがいキャブレターで蒸発じょうはつさせるのがむずかしかった[60]かれ発明はつめいした焼玉やきだまエンジンは1891ねんにリチャード・ホーンスビー・アンド・サンズしゃにて製造せいぞうされた。これは世界せかいはつ加圧かあつしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち使つかった内燃ないねん機関きかんであった[61]。このホーンスビー・アクロイドしき機関きかん比較ひかくてきてい圧縮あっしゅくで、圧縮あっしゅく加熱かねつによる燃料ねんりょう着火ちゃっかには温度おんど不十分ふじゅうぶんであった。現代げんだいてきなディーゼルエンジンは直接ちょくせつ噴射ふんしゃ圧縮あっしゅく着火ちゃっかんだものであり、この2つのアイディアはアクロイド・スチュアートとチャールズ・リチャード・ビニー(Charles Richard Binney)によって1890ねん5がつ特許とっきょ取得しゅとくされている[60]。1890ねん10がつ8にちには、燃料ねんりょう空気くうきけてエンジンに供給きょうきゅうする完全かんぜんなエンジンの基本きほんてきはたらきをくわしくべたもうひとつの特許とっきょがとられた。アクロイドのエンジンと現代げんだいのディーゼルエンジンのちがいはひやあいだ始動しどうときにシリンダーに特別とくべつねつ供給きょうきゅうする必要ひつようがあるかどうかである。1892ねん、ディーゼルエンジンが発明はつめいされる1ねんまえにアクロイドスチュアートは追加ついか熱源ねつげん必要ひつようとしない改良かいりょうばんつくした[62]

 
ディーゼルの1897ねんのオリジナルエンジンが展示てんじされているドイツミュンヘンドイツ博物館はくぶつかん

1892ねん、アクロイド・スチュアートは圧縮あっしゅく向上こうじょう可能かのうにするウォータージャケット気化きか特許とっきょ取得しゅとくした。同年どうねんにトーマス・ヘンリー・バートンが実験じっけんてき気化きかをなくし、シリンダーヘッドにえたこう圧縮あっしゅくばん制作せいさくした。それたか圧縮あっしゅくとおして着火ちゃっかし、空気くうき予備よび加熱かねつたよらなくなった。

ルドルフ・ディーゼルはアクロイドエンジンを発展はってんさせ、1892ねんにドイツ、スイス、イギリス、アメリカで特許とっきょ取得しゅとくした[注釈ちゅうしゃく 11]

1893ねんにアクロイドはエンジン開発かいはつをやめている。

年表ねんぴょう

編集へんしゅう
 
ルドルフ・ディーゼルの1893ねん特許とっきょ証書しょうしょ
  • 1892ねん: 2がつ23にち、ルドルフ・ディーゼルが "Arbeitsverfahren und Ausführungsart für Verbrennungskraftmaschienen" とだいした特許とっきょ (RP 67207) を取得しゅとく
  • 1893ねん: ディーゼルが「既知きち蒸気じょうき機関きかん内燃ないねん機関きかん置換ちかんする合理ごうりてきねつ機関きかん理論りろん構築こうちく」とだいする論文ろんぶん発表はっぴょう
  • 1897ねん: 8がつ10日とおか、ディーゼルがアウクスブルクはつ実働じつどうするプロトタイプを製作せいさく
  • 1898ねん: ディーゼルがロシアの石油せきゆ会社かいしゃ Branobel にディーゼルエンジンのライセンスを供与きょうよ同社どうしゃ蒸留じょうりゅうしていない石油せきゆうごくエンジンに興味きょうみっていた。同社どうしゃ技術ぎじゅつしゃらは4ねんをかけて船用せんようのディーゼルエンジンを設計せっけい
  • 1898ねん: ディーゼルは製造せいぞう業者ぎょうしゃクルップスルザーにディーゼルエンジンのライセンスを供与きょうよ両社りょうしゃはまもなくおもなディーゼルエンジン製造せいぞう業者ぎょうしゃとなる。
  • 1902ねん: 1910ねんまでにMANがたディーゼルエンジンを82製造せいぞう
  • 1903ねん: ニジニ・ノヴゴロド造船ぞうせんしょで、世界せかいはつのディーゼルエンジン搭載とうさい石油せきゆタンカー "Vandal" が進水しんすい
  • 1904ねん: フランスで世界せかいはつのディーゼル潜水せんすいかん Z を建造けんぞう
  • 1905ねん: Alfred Büchi がディーゼルエンジンようターボチャージャーインタークーラー考案こうあん
  • 1908ねん: Prosper L'OrangeDeutzしゃともに、ニードルがた噴射ふんしゃノズルで精密せいみつ制御せいぎょ可能かのう噴射ふんしゃポンプを開発かいはつ
  • 1909ねん: Prosper L'Orange がベンツ&シーしゃとも燃焼ねんしょうしつしき半球はんきゅうがた燃焼ねんしょうしつ開発かいはつ
  • 1910ねん: ノルウェー探検たんけんせんフラムごうにディーゼルエンジンを搭載とうさい商船しょうせんではシェランディアが最初さいしょとなる。
  • 1912ねん: デンマークはつのディーゼルせんシェランディア(Selandia建造けんぞう世界せかいはつディーゼル機関きかんしゃ製作せいさく
  • 1913ねん: アメリカ海軍かいぐん潜水せんすいかんがNELSECOしゃせいのディーゼルエンジンを採用さいよう郵便ゆうびんせんドレスデンごうイギリス海峡かいきょうわたっているとき、ルドルフ・ディーゼルなぞげる。
  • 1914ねん: ドイツのUボートがMANしゃせいディーゼルエンジンを搭載とうさい
  • 1919ねん: Prosper L'Orange 燃焼ねんしょうしつしき特許とっきょ取得しゅとくし、ニードル噴射ふんしゃノズルを製作せいさくカミンズがディーゼルエンジンを生産せいさん開始かいし
  • 1921ねん: Prosper L'Orange が連続れんぞく可変かへん出力しゅつりょくしき噴射ふんしゃポンプを製作せいさく
  • 1922ねん: ベンツがディーゼルエンジンを搭載とうさいしたはつトラクター発売はつばい
  • 1923ねん: MAN、ベンツ、ライムラーはつのディーゼルエンジン搭載とうさいトラック製作せいさくし、試験しけん開始かいし
  • 1924ねん: フランクフルトモーターショーにディーゼルエンジン搭載とうさいトラックが出展しゅってんされる。フェアバンクス・モースがディーゼルエンジンを生産せいさん開始かいし
  • 1927ねん: ボッシュトラックよう噴射ふんしゃポンプと噴射ふんしゃノズルを生産せいさん開始かいしStoewerはつのディーゼルエンジン搭載とうさい乗用車じょうようしゃ試作しさく
  • 1930年代ねんだい: キャタピラーしゃ自社じしゃせいトラクターようにディーゼルエンジンの生産せいさん開始かいし
  • 1932ねん: MANしゃが160馬力ばりきという当時とうじ世界せかい最高さいこう出力しゅつりょくのディーゼルトラックを発売はつばい
  • 1933ねん: シトロエン世界せかいはつのディーゼルエンジン搭載とうさい乗用車じょうようしゃ(Rosalie)を製作せいさく。イギリスのディーゼルエンジン研究けんきゅうしゃハリー・リカルド設計せっけいしたエンジンを採用さいよう[65]。ディーゼルエンジンの使用しよう規制きせいされていたため、発売はつばいされなかった。一方いっぽう日本にっぽんではヤンマー小型こがた汎用はんよう高速こうそくディーゼルエンジンの自社じしゃ開発かいはつ成功せいこう(「HBがた」ディーゼルエンジン)。
  • 1934ねん: マイバッハ世界せかいはつ鉄道てつどう車両しゃりょうようターボディーゼルを製造せいぞう
  • 1934ねん-35ねん: ドイツのユンカース航空機こうくうきようディーゼルエンジン「ユモ(Jumo)」シリーズの生産せいさん開始かいし有名ゆうめいユモ205だい世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつまでに900だい以上いじょう生産せいさんされている。
  • 1936ねん: メルセデス・ベンツがディーゼル乗用車じょうようしゃ260D製作せいさくハノマーグSaurer相次あいついでディーゼル乗用車じょうようしゃ生産せいさんアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道てつどうスーパー・チーフようのディーゼル機関きかんしゃ採用さいようされる。建造けんぞうちゅう飛行船ひこうせんヒンデンブルクでディーゼルエンジンを採用さいようダイムラー・ベンツせいエンジン 602LOF6)。
  • 1936ねん: ソビエト連邦れんぽうBT-7戦車せんしゃにVD-2ディーゼルエンジンを搭載とうさいして実験じっけんのち改良かいりょうがたV-2エンジン搭載とうさいのBT-7Mとして量産りょうさんされ、1939ねんまつより部隊ぶたい配備はいび開始かいし
  • 1937ねん: ソビエト連邦れんぽう開発かいはつちゅう戦車せんしゃA-20およびA-32にV-2ディーゼルエンジンを搭載とうさい。1939ねんにA-32の拡大かくだい改良かいりょうがたA-34が、T-34として採用さいようされる。
  • 1937ねん: BMW航空機こうくうきようディーゼルエンジン BMW 114試作しさく
  • 1940ねん: 航空機こうくうきようディーゼルエンジン・ユモ207A搭載とうさいしたJu 86P高々たかだか爆撃ばくげき/偵察ていさつ開発かいはつされ、同年どうねんから実戦じっせん投入とうにゅうされる。
  • 1944ねん: Klöckner Humboldt Deutz AG(KHD)が空冷くうれいしきディーゼルエンジンを開発かいはつ
  • 1953ねん: メルセデス・ベンツがターボディーゼル搭載とうさいトラックをシリーズで発売はつばい
  • 1968ねん: プジョー204小型車こがたしゃとしてははつのディーゼルエンジンを採用さいようよこきで前輪ぜんりん駆動くどう
  • 1973ねん: DAF空冷くうれいしきディーゼルエンジンを採用さいよう
  • 1976ねん: 2がつフォルクスワーゲン乗用車じょうようしゃゴルフようのディーゼルエンジンの試験しけん開始かいしチューリッヒ工科こうか大学だいがくでコモンレールしき噴射ふんしゃシステムを開発かいはつ
  • 1977ねん: はつのターボディーゼル搭載とうさい乗用車じょうようしゃ生産せいさん開始かいし(メルセデス・ベンツ・300SD)。
  • 1994ねん: ボッシュがディーゼルエンジンようユニットインジェクターシステムを開発かいはつ
  • 1995ねん: デンソーコモンレールシステム世界せかいはじめて実用じつようし、日野ひのライジングレンジャーに搭載とうさい
  • 1997ねん: アルファロメオ・156乗用車じょうようしゃはつのコモンレールを実現じつげん
  • 1998ねん: BMWがディーゼルエンジン搭載とうさいの320dでニュルブルクリンク24あいだレース優勝ゆうしょう
  • 2004ねん: 西にしヨーロッパで乗用車じょうようしゃのディーゼルエンジン搭載とうさいりつが50 %をえた。
  • 2008ねん: スバル乗用車じょうようしゃよう水平すいへい対向たいこうディーゼルエンジンを導入どうにゅうEGRシステムで「ユーロ5」にも適合てきごう

製造せいぞうしゃ

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日本にっぽんのメーカー

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2021ねん現在げんざい。△はエンジンを他社たしゃより供給きょうきゅうけている

メーカー 乗用車じょうようしゃ 商用しょうようしゃ 船舶せんぱく のう 産業さんぎょう 鉄道てつどう
井関農機いせきのうき
いすゞ自動車ずじどうしゃ
三菱みつびしふそうトラック・バス
日野自動車ひのじどうしゃ
UDトラックス
きゅう:日産にっさんディーゼル)
トヨタ自動車とよたじどうしゃ
日産自動車にっさんじどうしゃ 海外かいがいのみ
本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう 海外かいがいのみ
マツダ
SUBARU
きゅう:富士重工業ふじじゅうこうぎょう
海外かいがいのみ
(2020ねん廃止はいし
三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょう 海外かいがいのみ
ダイハツ工業だいはつこうぎょう 海外かいがいのみ 海外かいがいのみ
スズキ 海外かいがいのみ
(2021ねん廃止はいし
海外かいがいのみ
(2021ねん廃止はいし
ヤンマーパワーテクノロジー
ヤンマーホールディングス
クボタ
IHIシバウラ
小松製作所こまつせいさくしょ
三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう 三菱みつびしUE機関きかんのライセンサーならびに Wärtsilä しゃのスルザーけい製品せいひんのライセンシーけん一部いちぶ共同きょうどう開発かいはつ
川崎重工業かわさきじゅうこうぎょう MAN B&W のライセンシー
三井造船みついぞうせん MAN B&W のライセンシー
日立造船ひたちぞうせん MAN B&W と Wärtsilä のライセンシー
IHI(ディーゼルユナイテッド)Wärtsilä と MAN SAS の もとS.E.M.T Pielstickけい のライセンシー
新潟にいがた原動機げんどうき
きゅう新潟鐵工所にいがたてっこうじょ
神鋼造機しんこうぞうき
赤阪鐵工所あかさかてっこうしょ 自社じしゃ4ストローク機関きかん三菱みつびしUE機関きかんのライセンシー
阪神内燃機工業はんしんないねんきこうぎょう 自社じしゃ4ストローク機関きかん川崎かわさきMAN B&Wのライセンシー
マキタ 自社じしゃ4ストローク機関きかん三井みついMAN B&Wのライセンシー
ダイハツディーゼル
神戸発動機こうべはつどうき 三菱みつびしUE機関きかんのライセンシー

アジア諸国しょこく日本にっぽんのぞく)のメーカー

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韓国かんこく

欧州おうしゅう諸国しょこくのメーカー

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欧米おうべいでは複数ふくすうメーカーを買収ばいしゅうした持株もちかぶ会社かいしゃまるごとべつ持株もちかぶ会社かいしゃ買収ばいしゅうするなどだい規模きぼ再編さいへん進行しんこうちゅうであり、かつ合併がっぺいによって消滅しょうめつしたメーカーもおおい。

ドイツ

フランス

スウェーデン

フィンランド

イギリス

その

アメリカのメーカー

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基幹きかん部品ぶひんメーカー

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ディーゼルはほろ粉炭ふんたんふくむさまざまな燃料ねんりょう使用しよう計画けいかくしたが、粉末ふんまつ燃料ねんりょう使用しようには成功せいこうしなかった。1900ねんパリ万国博覧会ばんこくはくらんかいではピーナッツあぶらでの運転うんてん実演じつえんした(バイオディーゼル参照さんしょう)。
  2. ^ フライホイールのリングギアじょうなん箇所かしょかが、いつもスターターモーターのピニオンギアの位置いちる→へん磨耗まもう原因げんいん
  3. ^ ディーゼルエンジンはスロットルバルブによる回転かいてんすう出力しゅつりょく制御せいぎょではないものの、アイドルてい回転かいてんいき吸気きゅうき騒音そうおんおさえるため、コンバインドガバナーのようにあつ必要ひつようとする調しらべそくのため、アクセルぜん閉時に酸素さんそ過多かたとなって発生はっせいするNOxおさえるため、ひとし目的もくてきで、吸気きゅうきかんにバタフライバルブをそなえているものがある。この場合ばあい一般いっぱんてきわれる「ディーゼルエンジンの吸気きゅうきけいあつにならない」はてはまらない。
  4. ^ この方式ほうしきはじめて実用じつようしたエンジンがマツダSKYACTIV-Xである。
  5. ^ ディーゼルサイクルとオットーサイクルの性質せいしつあわつことから、メルセデス・ベンツ名付なづけた造語ぞうご
  6. ^ ただし、シリンダーブロック燃料ねんりょうタンク直撃ちょくげきだんけた場合ばあい、ガソリンエンジンにくら爆発ばくはつ危険きけんすくないが、炎上えんじょうする可能かのうせいはそれほどわらない
  7. ^ 農業のうぎょう機械きかいではおも耕運機こううんきトラクターコンバインや6じょううえ以上いじょう乗用じょうよう田植たうえなどがある。
  8. ^ 軽油けいゆ引取ひきとぜい揮発きはつぜいよりも税率ぜいりつひくく、その結果けっかとして燃料ねんりょうそのものの価格かかく高額こうがくである軽油けいゆのほうが小売こうり価格かかくではガソリンよりも1わりきょうほど安価あんかになる。こうした軽油けいゆ優遇ゆうぐう税制ぜいせい先進せんしんこくかぎると日本にっぽんのみ[35]
  9. ^ ただし灯油とうゆ重油じゅうゆ燃料ねんりょうにした自動車じどうしゃ公道こうどうはしると軽油けいゆ引取ひきとぜい脱税だつぜい行為こういとなる。
  10. ^ BTL燃料ねんりょうは、生産せいさん過程かてい消費しょうひ過程かていでのCO2りょうひとしいことから、カーボンニュートラルとみなされ、京都きょうと議定ぎていしょ目標もくひょう達成たっせいには非常ひじょう有効ゆうこうとなる。くきなど、植物しょくぶつ全体ぜんたい原材料げんざいりょうとしたセルロースからつくられるBTL燃料ねんりょうは、植物しょくぶつ種子しゅしからられるデンプンもとにした植物しょくぶつ燃料ねんりょうBDF/バイオ ディーゼル フューエル、SVO/ストレート ヴェジタブル オイル)にくらべ、植物しょくぶつ質量しつりょうあたりのエネルギーりょうは2ばいおな耕地こうち面積めんせきからられる収穫しゅうかくりょうは10ばい以上いじょうわれる。雑草ざっそうなどを原料げんりょうにできるため、食物しょくもつ価格かかく高騰こうとうや、水不足みずぶそく問題もんだい解決かいけつする一助いちじょともなる
  11. ^
     
    あつ発火はっかによる発火はっか実験じっけん観察かんさつ

    冷凍れいとう発明はつめい著名ちょめいであったカール・フォン・リンデは、マレーシアペナンとうでの講演こうえんまねかれたときに土産みやげとしてあつ発火はっかゆずけ、ドイツへ帰国きこくした[63]。1877ねんごろ、リンデがミュンヘン工業こうぎょう学校がっこうでの帰朝きちょう講演こうえんで、このあつ発火はっか実演じつえんして、葉巻はまきをつけた[64][63]。ルドルフ・ディーゼルは、この講演こうえん聴講ちょうこうしていた[64]。ディーゼルは「この体験たいけんは、こうあつ内燃ないねん機関きかん発明はつめいするのに、もっともおおきな刺激しげきとなったもののひとつだった」と回顧かいこしている[64]

出典しゅってん

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  10. ^ 総合そうごう効率こうりつとGHG排出はいしゅつ分析ぶんせき報告ほうこくしょ 平成へいせい23ねん3がつ 日本にっぽん自動車じどうしゃ研究所けんきゅうじょ 5-3 標準ひょうじゅんケースにおけるWtWエネルギー消費しょうひりょう・CO2排出はいしゅつりょう(J-MIX;JC08モード)
  11. ^ 総合そうごう効率こうりつとGHG排出はいしゅつ分析ぶんせき報告ほうこくしょ 平成へいせい23ねん3がつ 日本にっぽん自動車じどうしゃ研究所けんきゅうじょ 5-1 標準ひょうじゅんケースにおけるWtWエネルギー消費しょうひりょう・CO2排出はいしゅつりょう(J-MIX;10・15モード)
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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