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ハウリング - Wikipedia

ハウリング

スピーカーとマイクによるおとかえりのこと

ハウリング または おと(めいおん)は、おとかんする現象げんしょうのひとつ。おおくの場合ばあいトラブルと認識にんしきされているが、楽器がっきではこれを利用りようすることもある。ハウリング(えい: howling)の原義げんぎ英語えいご遠吠とおぼえのことである。日本にっぽんではぞくに「おとまわる」「ハウる」と表現ひょうげんすることもある。英語えいごでは、「フィードバック」(えい: feedback)とばれることがおおい。

マイクによるハウリング

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発生はっせい仕組しく

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マイクによりられた音声おんせい信号しんごうアンプ増幅ぞうふくし、スピーカーから出力しゅつりょくするさいこる。スピーカーからの出力しゅつりょく十分じゅうぶんおおきい場合ばあい、マイクをスピーカーにちかづけると振幅しんぷくおおきな規則きそくてき電気でんき信号しんごうられる。おおくの場合ばあいそのおと不快ふかいかんともななかだか周波しゅうはの「ピー」「キーン」といったおとであるが、比較的ひかくてきひくい「ブーン」「ボー」といったおと場合ばあいもある。連続れんぞくてき過大かだい入出力にゅうしゅつりょくこるため、場合ばあいによってはスピーカーが破損はそんするなど、機材きざいにダメージをあたえることもある[1]

これはスピーカーからの出力しゅつりょく一部いちぶがマイクに帰還きかんされたことによりしょうずる発振はっしん現象げんしょうである。マイク、アンプ、スピーカー、音声おんせい、マイクという経路けいろをたどるせい帰還きかん英語えいごpositive feed-back)が原因げんいんであることから「フィードバック」ともばれる。

なお、スピーカーからたマイク入力にゅうりょくおとを、1あるいはすうかいにわたってマイクがひろことにより、原音げんおんじゅう、またはエコーのようにこえる現象げんしょうしてハウリングとんでいる場合ばあいがあるが、これは間違まちがいである。また、パソコンや携帯けいたい電話でんわなどの音声おんせい通信つうしんで、スピーカーではなくネットワークとうかいして音声おんせいがフィードバックされ、原音げんおんじゅう、あるいはふくすうかいこえる現象げんしょうも、同様どうようにハウリングではい。

これらは音声おんせいのフィードバックによる現象げんしょうというてんではおなじであるが、ハウリングという用語ようごはあくまで比較的ひかくてきみじか周期しゅうきのフィードバックによって規則きそくてき共振きょうしんがおこり、原音げんおんとはまったべつだい振幅しんぷく電気でんき信号しんごう発生はっせいすること、あるいはそのおとす。(ただし、英語えいごではそれらの現象げんしょう発生はっせいしたおとたいしては、通例つうれい「ノイズ」(noise)とう。)

対処たいしょ

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フィードバックをこす周波数しゅうはすうは、使用しようするマイクからスピーカーあいだ周波数しゅうはすう特性とくせいによりことなる。通常つうじょうなん対策たいさくられていないセッティングではミキサーやアンプの出力しゅつりょくげていくと、特性とくせいがピークにある周波数しゅうはすうからフィードバックがこりはじめ、おおくの場合ばあいひとつの周波数しゅうはすうである。イコライザ適切てきせつ調整ちょうせいすると、ハウリングをこさず出力しゅつりょくおおきくることができる(ハウリングマージンをかせぐという)。さらに出力しゅつりょくおおきくすると複数ふくすう周波数しゅうはすうでフィードバックがこりはじめる。そこが、そのマイクからスピーカーへの出力しゅつりょく限界げんかいである。

イベント会場かいじょうなどでは、通常つうじょうはこのようなPAのイコライジングによってハウリングをふせいでいるが、カラオケボックスや、使用しよう機材きざいにそのような機能きのうがない環境かんきょうでは、音量おんりょうげすぎやマイクとスピーカーの位置いち関係かんけい注意ちゅういすることによってのみハウリングの発生はっせいおさえることが出来できる。

ハウリングは共振きょうしん現象げんしょうであるため、条件じょうけんそろわないと発生はっせいしない。よってこのそろった条件じょうけんくずしてやれば解消かいしょうされる。また共振きょうしん部分ぶぶんのみ抑制よくせい除去じょきょする装置そうちける方法ほうほうもある。解消かいしょうこころみる具体ぐたいてき方法ほうほうとしてはしゅとして下記かきげられる。

  • ミキサーまたはアンプからの出力しゅつりょくげる
  • マイクとスピーカーの距離きょりとおざける
  • マイクとスピーカーの相対そうたい角度かくどえる
  • イコライザー発振はっしんする周波数しゅうはすう減衰げんすいさせる[2]
  • リミッターもちいてハウリングがきない音量おんりょう維持いじする。リミッターにはその過大かだい入力にゅうりょくによるスピーカーの破損はそんからまも役割やくわりもある
  • ディレイもちいて 2 - 3 ミリびょう程度ていど出力しゅつりょくおくらせる。これは擬似ぎじてきにマイクとスピーカーの距離きょりとおざける効果こうかがある
  • ハウリング除去じょきょ機能きのうのあるデジタルプロセッサを使つか[1](ハウリングの検知けんち上記じょうき機能きのう自動じどうおこなう)。

ボーカルやスピーチで単一たんいつ指向しこうせいマイクロホンをもちいる場合ばあいは、マイクロフォン#そのあつかいにかんする注意ちゅういにあるように、ウィンドスクリーンの後部こうぶまでふさいでしまわないようにすることも大事だいじである。

そののハウリング

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  • レコード再生さいせいにおいて、再生さいせいおん振動しんどうがスピーカからゆかつくえなどを経由けいゆしてレコードプレーヤーにつたわり、カートリッジにまでその振動しんどうおよんだ場合ばあい、マイクと同様どうようせい帰還きかん発生はっせいすることがある。
  • エレクトリックギターエレクトリックベースにおいて、アンプの出力しゅつりょく演奏えんそうおん)がボディやつる共振きょうしんし、ピックアップから検出けんしゅつされるとせい帰還きかんきる。これを利用りようして意図いとてきにハウリングをこさせるフィードバック奏法そうほうがある。このフィードバックられるおと周波数しゅうはすう音程おんてい)がたかくなりぎると耳障みみざわりなおとになるので、ハウリングんで区別くべつする。また、つる振動しんどうしなくともピックアップないのコイルが振動しんどうすると、ハウリングこしやすい。この対策たいさくとして、コイルをろうけてかためる手段しゅだんがある。高価こうかなピックアップではよくおこなわれている方法ほうほうだが、音色ねいろわるのであえてろうけしていない商品しょうひんもある。
  • 建築けんちく音響おんきょうにおいて、スピーカとう発声はっせい部屋へや固有こゆう振動しんどうすう共振きょうしんすることをハウリングまたは「おとまわる」と表現ひょうげんすることがある。
  • テレビあるいはラジオの生放送なまほうそういて、スタジオから視聴しちょうしゃ聴取ちょうしゅしゃ)に電話でんわけるとする。視聴しちょうしゃがその放送ほうそう音声おんせいける状況じょうきょうにある場合ばあい受話器じゅわきがその音声おんせいひろってスタジオにかえすと、せい帰還きかん発生はっせいしたり、エコーがかかっているようにこえたり、あるいはSFの効果こうかおんのようなおと発生はっせいすることがある。このようなとき、しばしば司会しかいしゃが「テレビ(ラジオ)のまえからはなれてください」「音量おんりょうげてください」と指示しじするのは、せい帰還きかんのルートをつためである(ぎゃくでん参照さんしょう)。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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