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ヒョウモンダコ - Wikipedia

ヒョウモンダコひょうもんだこ)は、マダコマダコヒョウモンダコぞくぞくする4種類しゅるいタコ総称そうしょう

ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコ Hapalochlaena fasciata
鳥羽水族館とばすいぞくかん飼育しいく展示てんじ個体こたい
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 軟体動物なんたいどうぶつもん Mollusca
つな : あたまあしつな Cephalopoda
上目うわめ : はちうでがた上目うわめ Octopodiformes
: タコはちうでOctopoda
: マダコ Incirrina
: マダコ Octopodidae
ぞく : ヒョウモンダコぞく
Hapalochlaena
学名がくめい
Hapalochlaena fasciata
Hoyle, 1886
和名わみょう
ヒョウモンダコひょうもんだこ
英名えいめい
Blue-lined octopus
たね
本文ほんぶん参照さんしょう

小型こがただが猛毒もうどくテトロドトキシンふくむことでられ、人間にんげん死亡しぼうれいもある[1]日本にっぽんではそのなか一種いっしゅHapalochlaena fasciata場合ばあいおおい。

一般いっぱん日本にっぽん小笠原諸島おがさわらしょとう南西諸島なんせいしょとう以南いなん[2]太平洋たいへいようからオーストラリア[1]にかけての西にし太平洋たいへいよう熱帯ねったいいき亜熱帯あねったいいき分布ぶんぷし、あさうみ岩礁がんしょうサンゴ礁さんごしょう砂礫されきそこ生息せいそくする。しかし、海水温かいすいおん上昇じょうしょうにより分布ぶんぷ北限ほくげん北上ほくじょうつづけ、1999ねんには大阪おおさかわんでの捕獲ほかく記録きろくされている[3]ほか、2009ねんになってからは九州きゅうしゅう北部ほくぶ福岡ふくおかけん佐賀さがけん長崎ながさきけん大分おおいたけん)でおお目撃もくげきされていることから、警戒けいかいけられている[4]。また、日本海にほんかいがわ浜名湖はまなこでの捕獲ほかく目撃もくげき報告ほうこくされている[5][6]

特徴とくちょう

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体長たいちょうは10cmほど[1]小型こがたのタコである。のタコと同様どうようからだしょく素早すばや変化へんかさせることができ、周囲しゅういいわ海藻かいそう擬態ぎたいするが、刺激しげきけたり天敵てんてきくわして興奮こうふんすると、あおせん模様もようのあるあかるい黄色おうしょく警告けいこくしょく変化へんかする。和名わみょうはこの模様もようヒョウおもわせることに由来ゆらいする。

のタコ同様どうよう肉食にくしょくせいで、カニエビ捕食ほしょくするが、つかまえられるならば魚類ぎょるいべる。なお、野生やせいでは観察かんさつされたことはないが、飼育しいく環境かんきょうでは共食ともぐすることが確認かくにんされている。

メスと出会であったオスはメスの外套がいとうまくをつかみ、精子せいし嚢をわたすための交接こうせつうで外套がいとうまく腔になん挿入そうにゅうする交尾こうびを、メスのなか十分じゅうぶん精子せいし嚢がはいるまでつづける。メスはあきわりころに50ほどのたまごみ、すぐに触手しょくしゅかかえて食料しょくりょうらず、この状態じょうたいを6かげつあいだつづける。メスはたまご孵化ふかとも体力たいりょく使つかたして寿命じゅみょうむかえるが、幼生ようせいつぎとしにはせい成熟せいじゅくする。

ヒョウモンダコの吸盤きゅうばんちいさくて弱々よわよわしく、スミたくわえる墨汁ぼくじゅう退化たいかしている。およぎも不得意ふとくいで、基本きほんてき海底かいていをゆっくりっている。こうした身体しんたいてき特徴とくちょうは、どくつことで強力きょうりょく獲物えものさえつけたり、スミをいててきからげる必要ひつようがないためとかんがえられている[7]

毒性どくせい

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ヒョウモンダコは、フグどくとしてもられる強力きょうりょく神経しんけい毒素どくそテトロドトキシン保有ほゆうする危険きけん生物せいぶつとしてられている。おもなテトロドトキシンの保有ほゆう部位ぶい後部こうぶ唾液腺だえきせん全身ぜんしん筋肉きんにくかわであり、ふくまれるテトロドトキシン濃度のうど後部こうぶ唾液腺だえきせんもっとたかいが、りょうとしては筋肉きんにくかわもっとおお[8][9]。そのため、内臓ないぞう除去じょきょしたとしてもヒョウモンダコをべる行為こうい非常ひじょう危険きけんである。そのほかにも生殖せいしょくせん消化しょうか器官きかんえらすみからもテトロドトキシンが検出けんしゅつされる場合ばあいがある[8][9]ほんしゅのテトロドトキシンの獲得かくとく経路けいろについてはあきらかになっていないが、ヒョウモンダコのテトロドトキシン保有ほゆうりょうには非常ひじょうおおきな個体こたいがみられ、ほとんど無毒むどく個体こたいもいれば、まれた場合ばあいには死亡しぼうする可能かのうせいのある猛毒もうどく個体こたいもみられる[8]。ヒョウモンダコが保有ほゆうするテトロドトキシンの生態せいたいがくてき役割やくわりとして、えさ防衛ぼうえいげられる。後部こうぶ唾液腺だえきせん存在そんざいするテトロドトキシンは、みついて注入ちゅうにゅうされることでえさ生物せいぶつ捕食ほしょくしゃ麻痺まひさせると推測すいそくされている。また、ほんしゅ筋肉きんにくかわにも多量たりょうのテトロドトキシンを保有ほゆうすることから、フグのように捕食ほしょくしゃによる攻撃こうげき回避かいひのためにもテトロドトキシンを利用りようすると推測すいそくされている[8][9]。テトロドトキシンは非常ひじょう強力きょうりょく神経しんけい毒素どくそであるため、ヒョウモンダコにまれて多量たりょう毒液どくえき注入ちゅうにゅうされれば、ひとであってもいた可能かのうせいがある。ただし、上述じょうじゅつしたように個体こたいによってはテトロドトキシンを少量しょうりょうしか保有ほゆうしていない場合ばあいもあるため、まれてもじゅうあつしにはならず一般いっぱんてきなタコの咬傷こうしょうでみられる難治なんじせい皮膚ひふ潰瘍かいよう[10]のみがしょうじることもかんがえられる。

従来じゅうらい唾液だえきのみにテトロドトキシンがふくまれているとかんがえられていたが、2018ねん9月の日本水産にっぽんすいさん学会がっかいにて、長崎大学ながさきだいがく水産すいさん環境かんきょう科学かがく総合そうごう研究けんきゅうのグループが報告ほうこくした内容ないようによると、筋肉きんにくからだひょうにもふくまれていることが判明はんめいし、しょくしたり素手すでれないよう注意ちゅうい喚起かんきおこなった[11]。ヒョウモンダコは積極せっきょくてきひとおそうことはほとんどないが、不用意ふよういさわるとまれる危険きけんせいがある。必要ひつよう以上いじょうおそれる必要ひつようはないが、イカりやいそあそびなどで偶然ぐうぜん発見はっけんされることもおおいため、つけてもさわらない、いそあそびのさいはマリンブーツを着用ちゃくようするなど対策たいさく必要ひつようである。

テトロドトキシンはヒョウモンダコの獲物えものである甲殻こうかくるいには無害むがいだが、唾液腺だえきせんちゅうふくまれるもうひとつのどく「ハパロトキシン (Hapalotoxin) 」は、甲殻こうかくるい麻痺まひさせる毒性どくせいつ。ヒョウモンダコはカニなどをらえるさいに、このどく海水かいすいちゅう放出ほうしゅつすることであらかじめ獲物えものうごきをうば[12]捕食ほしょくともなうリスクをらしているとかんがえられる。[よう検証けんしょう]

分類ぶんるい

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オオマルモンダコ Hapalochlaena lunulata

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c どくをもつもの(1)あお点々てんてんたら要注意ようちゅうい日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん2020ねん1がつ26にち(サイエンスめん)2020ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  2. ^ 上里うえさとひろし海洋かいよう危険きけん生物せいぶつによる皮膚ひふ障害しょうがい(III)」『西日本にしにほん皮膚ひふ』2013ねん 75かん 2ごう p.154-163, doi:10.2336/nishinihonhifu.75.154認証にんしょう必要ひつよう
  3. ^ 有山ありやま啓之ひろゆき大阪おおさかわん採集さいしゅうされたヒョウモンダコ」『南紀なんき生物せいぶつ』41(1), 23-26, 1999-06, NAID 40002787853
  4. ^ 猛毒もうどくタコ九州きゅうしゅう北上ほくじょう、かまれるとぬことも[リンク]読売新聞よみうりしんぶん』2010ねん7がつ22にち(2010ねん7がつ23にち閲覧えつらん
  5. ^ ヒョウモンダコ 「殺人さつじんダコ」日本海にほんかい北上ほくじょう 温暖おんだん影響えいきょう毎日新聞まいにちしんぶん東京とうきょう夕刊ゆうかん2016ねん2がつ22にち(2020ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  6. ^ 浜名湖はまなこ猛毒もうどくのタコ相次あいついでつかるNHK NEWS WEB(12月16にち 1320ふん更新こうしん)2016ねん12月16にち閲覧えつらん
  7. ^ 野口のぐちたまゆう橋本はしもとあまねひさ水産すいさん動物どうぶつどく化学かがく」『化学かがく生物せいぶつ』1987ねん 25かん 1ごう p.44-52, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.25.44
  8. ^ a b c d Yamate Y, Takatani T, Takegaki T (2021). Levels and distribution of tetrodotoxin in the blue-lined octopus Hapalochlaena fasciata in Japan, with special reference to within-body allocation. Journal of Molluscan Studies. 87: eyaa042. https://doi.org/10.1093/mollus/eyaa042
  9. ^ a b c Williams BL, Caldwell RL (2009). Intra-organismal distribution of tetrodotoxin in two species of blue-ringed octopuses (Hapalochlaena fasciata and H. lunulata). Toxicon. 54: 343-353. https://doi.org/10.1016/j.toxicon.2009.05.019
  10. ^ 奥谷おくたに喬司たかし編著へんちょ日本にっぽんのタコがく』(東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい、2013ねん)11ぺーじ
  11. ^ 食用しょくようダメ!「ヒョウモンダコ」筋肉きんにく表皮ひょうひにも猛毒もうどく 長崎大ながさきだい分析ぶんせき”. 『西日本にしにほん新聞しんぶん』 (2018ねん10がつ17にち). 2018ねん10がつ17にち閲覧えつらん
  12. ^ 松居まつい たかし東京大学とうきょうだいがく農学部のうがくぶ)「フグどく起源きげんさぐ」『ファルマシア』20(3), 219-221, 1984 公益社こうえきしゃだん法人ほうじん 日本にっぽんやく学会がっかい

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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