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レーシングカー - Wikipedia

レーシングカーRacing car)とは、レース(競走きょうそう競技きょうぎ目的もくてき自動車じどうしゃである[注釈ちゅうしゃく 1]とくよんりんのものをす。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
耐久たいきゅうレースではことなる規格きかくのレーシングカーが同時どうじはしることがおお
 
フロントカウルがび、エンジンむきしで走行そうこうつづけるレーシングカー。観戦かんせんしゃからは「エンジン冷却れいきゃく性能せいのう向上こうじょうした」「空冷くうれい導入どうにゅうした」などとって面白おもしろがられる

モータースポーツには多様たよう種類しゅるい競技きょうぎがあり、それらごとのレギュレーション(ルール、規則きそく)にわせてレーシングカーが作成さくせいされる。スポーツカーはもちろん、セダンコンパクトカーSUVピックアップトラック貨物かもつトラック、バギー、さらにはフォーミュラカーやドラッグカーのように市販しはんしゃには存在そんざいしない形状けいじょうなど多種たしゅ多様たようなレーシングカーがある。基本きほんてきには国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい(FIA)や各国かっこくのASN(日本にっぽんでいえばJAF)がそれらのレーシングカー規則きそく大枠おおわく作成さくせいしており、通常つうじょうはそれに沿って製作せいさくされる。

レーシングカーの開発かいはつ製造せいぞう業務ぎょうむとしているレーシングチームや企業きぎょうコンストラクターぶ。また、とく市販しはんしゃメーカーが市販しはんしゃをベースもしくはモチーフとしたレーシングカーを開発かいはつしている場合ばあいマニュファクチャラーともばれる。

レース参加さんかしゃたちはかならずしも自分じぶんたちでレーシングカーを開発かいはつしているわけではなく、コンストラクターやマニュファクチャラーから完成かんせい状態じょうたいのレーシングカーを購入こうにゅうしたり、OEM供給きょうきゅうけたりする場合ばあいもある。近年きんねんはレーシングカーの販売はんばいもひとつのビジネスとしてっており、販売はんばいがわはいかに安価あんか戦闘せんとうりょく[注釈ちゅうしゃく 2]のあるレーシングカーを量産りょうさんするか、顧客こきゃく良質りょうしつなアフターサービス(サービススタッフの派遣はけんやメンテナンス、スペアパーツの供給きょうきゅうなど)を提供ていきょうするかに知恵ちえしぼっている。

使つかわったのちのレーシングカーは弱小じゃくしょうレーシングチームに売却ばいきゃくすることで、ったがわ新型しんがた開発かいはつ購入こうにゅうする資金しきんて、ったがわ戦闘せんとうりょくおとるがやすい"がたち"のレーシングカーをれられる[注釈ちゅうしゃく 3]という、市販しはん乗用車じょうようしゃ中古ちゅうこしゃ市場いちばちか実態じったいがある。

ぜん参加さんかしゃおなじレーシングカーを購入こうにゅうしてきそうレースを『ワンメイクレース』、かく参加さんかしゃことなるレーシングカーの使用しようみとめられている場合ばあいは『マルチメイクレース』とぶ。

なおサーキットけでも、『サーキット走行そうこう専用せんようしゃ』という呼称こしょう場合ばあい個人こじん購入こうにゅうしてサーキットや私道しどうたのしんではしることが前提ぜんていであるため、レーシングカーとは区別くべつされる。

市販しはん乗用車じょうようしゃ公道こうどうしゃ)とのちが

編集へんしゅう
 
後部こうぶ座席ざせきはずして、ロールケージを装着そうちゃくしている
安全あんぜんめん
公道こうどうしゃとレーシングカーでかならことなるのが安全あんぜん装備そうびである。カテゴリによって装備そうび種類しゅるいはあるものの、たとえ「市販しはんしゃ改造かいぞう」をうたっていても、ロールケージや6てんしきシートベルトのフルバケットシート、HANSデバイス(くびもと防具ぼうぐ)といった、安全あんぜんかんする改造かいぞうはあらゆる競技きょうぎかなら義務付ぎむづけられる。これらの安全あんぜん装備そうびおおくはFIAや各国かっこくASNのさだめた基準きじゅんをクリアしたものの採用さいよう義務付ぎむづけられるのが一般いっぱんてきである。
エンジンやタイヤのねつにドライバーが長時間ちょうじかんさらされるようなレースでは、口元くちもとにホースをとおしてボタンひとつで水分すいぶん補給ほきゅうができる、ドリンク機能きのう装着そうちゃくみとめられる。
性能せいのうめん
 
ラリーレイド市販しはんしゃ改造かいぞうクラスでも、エンジンが粉塵ふんじんわないための改造かいぞう車両しゃりょう右側みぎがわのパイプ)とうみとめられる
レーシングカー規則きそくおおくはそらりょくあしまわり・電子でんし制御せいぎょなどのチューニングやボディの軽量けいりょうなどについては規制きせいゆる傾向けいこうにあり、実用じつようせい快適かいてきせい一切いっさい排除はいじょして限界げんかいまではやさを追求ついきゅうできる。「市販しはんしゃ改造かいぞう」を公称こうしょうするレースでも、助手じょしゅせき後部こうぶ座席ざせきエアコンエアバッグ防音ぼうおんざいなどのはずしやまどガラス・サスペンション・ブレーキパッドなどのパーツの素材そざいえる程度ていど改造かいぞうみとめられている場合ばあいおおく、実際じっさいには市販しはんしゃそのままの戦闘せんとうりょくではないことがほとんどである。こうした要素ようそから、コーナーリングスピードやブレーキ性能せいのうでは確実かくじつ市販しはんしゃよりすぐれている。
一方いっぽうでエンジンにかんしては安全あんぜんやコスト、性能せいのう調整ちょうせいなどの観点かんてんから、かならずしもレーシングカーのほうこう出力しゅつりょくというわけではない。LM-GTEGT3のように高性能こうせいのう市販しはんしゃをベースとする規定きていでは、規則きそくわせてエンジンをデチューンしたり、ハイブリッドシステムろさなければならない場合ばあいがある。ぎゃくにJAF-GTやWRカーのように、市販しはんしゃのエンジンを大幅おおはばにチューンアップしたり、ばい以上いじょうおおきさのエンジンにえられるケースもあり、このあたりは規定きていによってまったことなる。
駆動くどう形式けいしきについてもエンジンと同様どうようで、市販しはんしゃ4WDでも2WDへのかわそうもとめられる場合ばあいや、反対はんたい市販しはんしゃが2WDでも4WDしてよい場合ばあいもある。
内装ないそう
 
不要ふようぶつ徹底的てっていてき排除はいじょするため、鉄板てっぱんしになる
トップカテゴリではステアリングホイールには燃料ねんりょうさやタイヤの内圧ないあつ調節ちょうせつできるスイッチ・ダイヤルるいそなわっていたり、ブーストあつやエンジン冷却れいきゃくすい温度おんどかるメーターが装着そうちゃくされていたり、ピットとの交信こうしん機器ききそなわっていたり、なかには後方こうほうカメラも装着そうちゃくされるものもあったりと、レースで必要ひつようなあらゆる情報じょうほう把握はあくほろ調整ちょうせい可能かのうとなっている。
また重量じゅうりょうぶつ慣性かんせいモーメントをちいさくするため、可能かのうかぎ中央ちゅうおうかつひくめに配置はいちされる。おな理由りゆう座席ざせき可能かのうかぎ下方かほうへとげられるため、前方ぜんぽうはほとんどえないことがおおい。クーラーは軽量けいりょうのため装着そうちゃくされないことがおおく、防音ぼうおんざいすべはずされるため、快適かいてきせいはすこぶるわるい。
外装がいそう
 
やめしゃのレーシングカーのれい
レースの活動かつどう資金しきん個人こじんきんでは限界げんかいがあるため、基本きほんてきには複数ふくすう企業きぎょうとのスポンサー契約けいやく不可欠ふかけつである。またかぎられた場所ばしょでの使用しようとなるため景観けいかん他人たにんにする必要ひつようはなく、エンターテイメントせいちかられやすいため、がいして派手はでになりやすい。いわゆるやめしゃのレーシングカーが近年きんねん増加ぞうかしているのも、そうした事情じじょう無関係むかんけいではない。
また派手はでなウィングやフェンダー、だいみちのホイールなどが装着そうちゃくされるが、これはたいていそらりょくめんでメリットがあるためで、だけのものではない(後述こうじゅつ)。
タイヤ
 
フォーミュラEではれもあめおなじタイヤにすることでコストを削減さくげんしている
プロレベルのサーキットようレーシングカーは、かわいた路面ろめんでは『スリックタイヤ』とばれる、みぞのないつるつるのタイヤをく。あめっている場合ばあい排水はいすいせいたかみぞきの『レインタイヤ』にえてタイヤを使つかける。これらはいずれも性能せいのう発揮はっきできる温度おんどことなっており、とくにスリックタイヤはある程度ていどはしってねつれないとスピンの原因げんいんになる。
ラリーのように公道こうどうはし競技きょうぎでは、タイヤも公道こうどう規則きそく合致がっちするものがもとめられる。とくスパイクタイヤくにによって禁止きんしかがことなり、禁止きんしされている日本にっぽんではスノーラリーでもスタッドレスタイヤ装着そうちゃくする。
レーシングカーの構造こうぞう部品ぶひん唯一ゆいいつ地面じめんせっしているタイヤはもっと消耗しょうもうはげしい部品ぶひんひとつで、1週末しゅうまつなん交換こうかんすることになる。
そらりょく
 
フロント上部じょうぶ小型こがたウィングをけたアロウズ・A22。そらりょく追求ついきゅうはレーシングカーの至上しじょう命題めいだいひとつであるが、追求ついきゅうしすぎるあまりにとんでもなく奇抜きばつなスタイルのマシンが登場とうじょうすることもある
スポーツカーのぞ市販しはんしゃそらりょく燃費ねんぴ向上こうじょうのため空気くうき抵抗ていこう低減ていげんさせるのがだいいちとなるが、レーシングカーのそらりょく開発かいはつはこれにくわえてダウンフォースをいかにるかのたたかいとなる。ダウンフォースとはそらりょくによってマシンを地面じめんおさけるちからで、レースのなかでタイヤ・ブレーキの性能せいのう限界げんかいまですために必要ひつよう不可欠ふかけつ要素ようそである。ダウンフォースと空気くうき抵抗ていこう基本きほんてきには二律背反にりつはいはん概念がいねんで、コースによってはダウンフォースをすくなくしてでも空気くうき抵抗ていこう低減ていげんするほうがはや場合ばあいもあるため、両者りょうしゃのバランスを調整ちょうせいするのはエンジニアのうでせどころとなる[1]
サスペンション
コーナーをめる必要ひつようのない市販しはんしゃでは、心地ごこち重視じゅうししたやわらかめのサスペンションセッティングにされるのが普通ふつうである。しかしレーシングカーでは重心じゅうしんげるためにサスペンションストロークりょうらしてくるまだかとすため、心地ごこちかたくなる。だが無闇矢鱈むやみやたらかたくすると車体しゃたいねてタイヤの接地せっちせいわるくなってしまうので、すくないストロークりょうでしなやかにうごくショックアブソーバーをもちいる必要ひつようがある。これを実現じつげんするには当然とうぜん高度こうど技術ぎじゅつとコストが必要ひつようとなる。サスペンションのセッティングは前述ぜんじゅつそらりょくのセッティングとあわせておこなわれるものであり、非常ひじょう奥深おくふかいものである。
電子でんしデバイス
現代げんだい市販しはんしゃ義務付ぎむづけられているTCSABSESCといった運転うんてん補助ほじょのための電子でんしデバイスは、トッププロのレーシングカーでは禁止きんしされている。カテゴリによってはパワーステアリングすら禁止きんしされている場合ばあいもある。これはドライバーにラフな運転うんてんゆるさず、ドライビングテクニックのバトルを演出えんしゅつするためである。ただしアマチュアドライバーがることが前提ぜんてい開発かいはつされるグループGT3一部いちぶTCRでは、アマチュアがたのしみやすいようにするためや安全あんぜんのためTCSとABSが認可にんかされている。
灯火ともしびるい
 
ボンネットにライトを追加ついかしたラリーカー
市販しはんしゃをベースに改造かいぞうする競技きょうぎでは基本きほんてきにヘッドライトが装着そうちゃくされる。十分じゅうぶん照明しょうめい設備せつび公道こうどうはし耐久たいきゅうレースやラリーでは、さらに強力きょうりょくなヘッドライトを装着そうちゃくすることがみとめられる場合ばあいもある。また公道こうどうおなじくパッシングウィンカーしゃへの合図あいずもちいることもある。
フォーミュラカーではヘッドライトは装着そうちゃくしない。ただし雨天うてんでも前方ぜんぽうしゃ視認しにんできるよう、リアにランプが装着そうちゃくされる。
照明しょうめい器具きぐ十分じゅうぶんととのったオーバルコース開催かいさいされ、雨天うてんではかなら中断ちゅうだんされるストックカーレースでは、前後ぜんご灯火ともしびるいをシールなどの装飾そうしょくませ、外観がいかんだけ市販しはんしゃせている。
燃料ねんりょう
おおくのカテゴリ(WECスーパーフォーミュララリーけい競技きょうぎなど)では一般いっぱん市販しはんされているものとおなじガソリンを使用しようするが、F1では石油せきゆ会社かいしゃとの提携ていけいにより、エネルギー密度みつどたかめた専用せんようのガソリンを開発かいはつしている。インディカーストックカー・ブラジルなど穀物こくもつのよくれる南北なんぼくアメリカのレースでは昨今さっこん環境かんきょう意識いしきたかまりにわせ、同地どうち生産せいさんされるバイオエタノールを100%にした燃料ねんりょうにするケースがえており[2]近年きんねんはWRC(ラリー1規定きてい)や世界せかいラリーレイド選手権せんしゅけん(グループT1+規定きてい)、SUPER GT(GT500クラス)でもバイオ燃料ねんりょう義務付ぎむづけられるなど、環境かんきょう意識いしきたかまりとともに変化へんかきている。EVレースでは、ディーゼルエンジンで発電はつでんした電気でんき使用しようすることおおい。
燃費ねんぴ
 
トヨタ・スポーツ800圧倒的あっとうてき燃費ねんぴさから、500km耐久たいきゅうレースでいち給油きゅうゆのためにまることなくかくうえたちに勝利しょうりした
給油きゅうゆ回数かいすう時間じかん削減さくげん軽量けいりょう観点かんてんから、レーシングカーにおいても燃費ねんぴいことは重要じゅうよう事項じこうである。しかし基本きほんてきにははやさを追求ついきゅうしているため、市販しはんしゃくらべると燃費ねんぴはすこぶるわるい。2014ねん以降いこうハイブリッドカーされ、一説いっせつにはねつ効率こうりつ50%にたっした[3]とされるF1マシンであるが、300kmのコース距離きょりたいして105kg(≒140L)の燃料ねんりょう制限せいげんであることから、燃費ねんぴはせいぜい2km/L前後ぜんごかんがえられている。日本にっぽんSUPER GTのGT500・300もそれとおおきくわらない[4][5]ため、トップカテゴリはおよそその程度ていど燃費ねんぴ予想よそうできる。あまりにだい排気はいきりょう車両しゃりょうや、一切いっさい燃費ねんぴ考慮こうりょしない車両しゃりょうは0.5km/lやそれ以下いか場合ばあいもある。
市販しはんしゃおなじエンジンやパワーユニットをもちいたレーシングカーは市販しはんしゃどう程度ていど燃費ねんぴはしることは理論りろんじょう可能かのうであるが、ライバルよりもはやはしらせる必要ひつようがあるため、実際じっさい燃費ねんぴはそのぶん悪化あっかする。市販しはんしゃのカタログ記載きさい同等どうとう以上いじょう燃費ねんぴ記録きろくできるのは、燃費ねんぴきそ特殊とくしゅルールの場合ばあいかぎられる。
価格かかく
プライベーター(個人こじん参戦さんせんしゃ)に販売はんばいされるタイプのレーシングカーは、市販しはんしゃからすうせんまんえん単位たんいことなる場合ばあいもある。グループGT3もっと顕著けんちょで、たとえば日産にっさん・GT-R NISMO(2018年版ねんばん)は市販しはんしゃが1023まんえん[6]なのにたいし、GT3仕様しようは6000まんえんじつに5000まんえんものがある[7]
ぎゃく市販しはんしゃちかヤリスカップトヨタ・ヤリスは、市販しはんしゃ(6そくMTモデル)のさい廉価れんかグレードが154まんえんたいし、安全あんぜん装備そうびやレースようパーツを追加ついかしたレーシングカー仕様しようは217まんえんとそのは70まんえん程度ていどおさまっている[8]。このようにレースのレベルによってその大小だいしょうちがいはあるが、いずれも市販しはんしゃよりは高額こうがくなものとなっている。
耐久たいきゅうせい
市販しはんしゃではかんがえられないような速度そくど週末しゅうまつなんあいだはしまわるレーシングカーだが、車体しゃたいとくにモノコック)にかんしては意外いがい耐久たいきゅうせいたかく、かずシーズン単位たんいもちいる場合ばあいめずらしくない。ただしそれ以外いがいのパーツ(エンジン、ブレーキパッド、サスペンションなど)については消耗しょうもうひんであるため、かずレースもしくは1レースでの交換こうかん基本きほんである。トップレベルのレーシングカーは、レースがわるたびに車体しゃたいとエンジンをバラバラに解体かいたいし、消耗しょうもうしているものがないかをきびしくチェックしている[9]。もちろんひとたびおおきなクラッシュやトラブルなどがあれば、たった1レースですうせんまんえんもの車体しゃたいえなければならなくなってしまうこともよくある。
公道こうどう走行そうこうについて
 
公道こうどう移動いどうするラリーカー
日本にっぽん法律ほうりつではとくに「レーシングカー」の走行そうこう禁止きんしする項目こうもくいが、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい(FIA)などの競技きょうぎ団体だんたい競技きょうぎ車両しゃりょう公道こうどう規則きそく合致がっちすることをもとめていない、または、公道こうどう規則きそくはんした競技きょうぎ規定きていもとめている。このため基本きほんてき公道こうどう走行そうこうできないとかんがえたほうがよい[注釈ちゅうしゃく 4]公道こうどう合法ごうほうてき走行そうこうできるレーシングカーは「ストリートリーガル」とぶ。多種たしゅ車両しゃりょう記録きろく比較ひかくできる単純たんじゅん競技きょうぎ(ゼロヨンなど)では、そのような車両しゃりょうによる記録きろくべつあつかうこともある。
ただしラリーラリーレイドなど、競技きょうぎ一環いっかんとして公道こうどうはしるものもある。これらはその地域ちいきくにしゅうなど)の法令ほうれいとう沿った保安ほあん部品ぶひんナンバープレート装備そうびし、はいガス基準きじゅんもクリアしなければならない。公道こうどうはしっているさい速度そくど違反いはん危険きけん走行そうこうおこなうと、たとえ競技きょうぎちゅうであろうと逮捕たいほされることもあり、最悪さいあく場合ばあい拘留こうりゅうされ棄権きけん余儀よぎなくされる。
競技きょうぎによっては86/BRZレースD1ストリートリーガルなどナンバー車両しゃりょうでの参加さんか前提ぜんていのものもあり、そういった場合ばあいではチューニングカーとほぼおなじものである。レース終了しゅうりょう公道こうどうそうして自宅じたくなどの拠点きょてんかえ場合ばあいはもちろん、競技きょうぎによっては積載せきさい車両しゃりょうせる場合ばあいでもマシンを公道こうどう規則きそく合致がっちするように装備そうびもどすことが義務付ぎむづけられている場合ばあいもあり、そのてんについては技術ぎじゅつ規則きそくをよく確認かくにんする必要ひつようがある。
最低さいてい生産せいさん台数だいすう
 
LM-GT1規定きてい日産にっさん・R390公道こうどうバージョン。1だいのみの生産せいさんで、市販しはんにはいたらなかった
市販しはんしゃ」とべるには、ある程度ていどかず実際じっさい消費しょうひしゃえるものである(=量産りょうさんしゃである)必要ひつようがある。そのため市販しはんしゃ改造かいぞうするレーシングカーの規定きていでは、ベースとする市販しはんしゃ最低さいてい生産せいさん台数だいすう義務付ぎむづけられている。れいげるとグループAなどでは年間ねんかん2,500だいLM-GTEでは年間ねんかん250だい生産せいさん条件じょうけんとなっている。レーシングカーにすることを前提ぜんてい設計せっけいされて最低さいてい生産せいさん台数だいすうたした市販しはんモデルは「ホモロゲーションモデル」とばれる。
くるまマニアには市販しはんしゃからほとんど改造かいぞうしない状態じょうたいのレーシングカーがこのまれる傾向けいこうにあるが、市販しはんしゃ時点じてん戦闘せんとうりょくたかい(=高価こうか一般いっぱん需要じゅようすくない)ホモロゲーションモデルを量産りょうさんしつつ採算さいさんることは自動車じどうしゃメーカーにとって負担ふたんおおきいため、運営うんえいにとってもエントリーをあつめづらい。そのため現在げんざいツーリングカーレースラリーのトップカテゴリは、安価あんか量産りょうさんしやすい大衆たいしゅうしゃ骨格こっかくだけのこしてまったくの別物べつもの改造かいぞうするか、骨格こっかくすらもちいず鋼管こうかんパイプフレーム市販しはんしゃ外見がいけんをしたボディをかぶせるようなケースがほとんどである。
かつてのLM-GT1やJAF-GTにはわずか1だい公道こうどう車両しゃりょう生産せいさんで(=事実じじつじょうじゅんレーシングカーとして)参戦さんせん許可きょかけられる規定きていや、市販しはんされることが前提ぜんてい特別とくべつ認可にんかけたのに結局けっきょく1だい発売はつばいされなかったスポーツカーなどが多数たすうあり、こうしたケースはマニアのあいだでしばし物議ぶつぎかもす。

競技きょうぎ・ジャンルべつ名称めいしょう

編集へんしゅう

下記かき代表だいひょうてきなジャンルであり、実際じっさいにはさらに多様たようなレーシングカーが存在そんざいする。

フォーミュラカー

編集へんしゅう
 
フォーミュラカーのれい

F1カー代表だいひょうされるサーキット専用せんようのレーシングカー。北米ほくべいではインディカーふくめて『オープンホイール』ともばれる。はやはしるために必要ひつようなもの以外いがいはぶいたフォルムをしており、タイヤやサスペンション、コックピットなどおおくの構造こうぞうをむきしにしている。運転うんてんしゃそべったような窮屈きゅうくつ姿勢しせいいられるうえ、強烈きょうれつなGにもさらされるため、30ふんから1、2あいだ程度ていどのスプリントレースがおもである。

かるさとそらりょく武器ぶきにあらゆるレーシングカーのなかもっとはやくコーナーをがれるメリットをつが、運転うんてんしゃがむきしなため重大じゅうだい事故じこきている。そのため、速度そくどおさえる目的もくてきでたびたびレギュレーションが変更へんこうされるほか、近年きんねんは『Halo』とばれる、運転うんてんしゃ頭部とうぶ保護ほごするデバイスがけられるようになってきている。

グランドツーリングカー(GT)

編集へんしゅう
 
GTカーのれい

2ドアの市販しはんクーペ改造かいぞうしたレーシングカー。2019ねん現在げんざいクラス1LM-GTEGT3、GT4などの規則きそくさかんで、プロ・アマわずたか人気にんきほこる。

日本にっぽん最大さいだい人気にんきほこSUPER GTもGTレースである。

ツーリングカー

編集へんしゅう
 
ツーリングカーのれい

市販しはんしゃ改造かいぞうしたレーシングカー。前述ぜんじゅつのGTカーも広義こうぎではツーリングカーであるが、専門せんもんてきには(とく前輪ぜんりん駆動くどうの)4ドアセダンや5ドアハッチバックのレーシングカーがとくに「ツーリングカー」とばれる。

エントリー台数だいすう市販しはんしゃ事情じじょう直接ちょくせつ左右さゆうされるため規則きそく興亡こうぼうはげしく、1980年代ねんだいグループA、1990年代ねんだいスーパーツーリング、2000年代ねんだいスーパー2000といった規則きそくまれてはえていった。2015ねん以降いこうTCR規定きてい世界せかい隆盛りゅうせいほこっている。

プロトタイプカー

編集へんしゅう
 
プロトタイプカーのれい

『プロトタイプスポーツカー』『スポーツプロトタイプ』『プロトタイプレーシングカー』などの表記ひょうきれがある。FIA 世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん(WEC)/ル・マン24あいだレースIMSA/デイトナ24あいだレースなどで総合そうごう優勝ゆうしょうあらそうクラスに採用さいようされる、耐久たいきゅうレースけのレーシングカー。ぞくに「ル・マンカー」などとばれることもある。

フォーミュラカーとくらべるとコーナリングのはやさではてきわないが、運転うんてん姿勢しせいらくでエアコンや灯火ともしびるい装備そうびしているため、長時間ちょうじかん運転うんてん可能かのうである。また現代げんだいのフォーミュラカーの駆動くどうレイアウトが完全かんぜんMRのみなのにたいし、プロトタイプはFRFF4WDなども規則きそくじょう可能かのうで、比較的ひかくてき自由じゆうたかい。

もともとはグランドツーリングカーの派生はせいで、市販しはんしゃモデルを発売はつばいすることを前提ぜんてい試作しさくしゃ(=プロトタイプ)も参戦さんせんできる、という規則きそく採用さいようしたのがルーツである。このためプロトタイプとグランドツーリングカーがこんはしするレースをまとめてスポーツカーレースぶ。現代げんだいのプロトタイプは基本きほんてき市販しはんしゃ関係かんけいないサーキット専用せんようとして開発かいはつされるが、自動車じどうしゃメーカーのワークス・チームけのクラスではベースとなる公道こうどうモデルを少量しょうりょう生産せいさんすることが規則きそくもとめられる場合ばあいもある。

2022ねん現在げんざいはWECのLMハイパーカーやLMP1~3、北米ほくべいのLMDh規定きていなどがられている。

 
ラリーカーのれい

ラリーもちいられる、おも市販しはん乗用車じょうようしゃ改造かいぞうしたレーシングカー。ラリーは競技きょうぎちゅうに『リエゾン』とばれる公道こうどう区間くかん走行そうこうすることが義務付ぎむづけられているため、かずあるレーシングカーではめずらしく、公道こうどう規則きそくかなら合致がっちすることがもとめられる。過去かこにはグループB・A・N、スーパー2000などが人気にんきあつめた。現在げんざい世界せかいラリー選手権せんしゅけん(WRC)ではラリー1、それ以外いがいではグループRally主流しゅりゅうである。

ラリーよう車両しゃりょう一般いっぱんにレーシングカーに分類ぶんるいされるが、「国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい」(FIA)やその傘下さんかの『日本にっぽん自動車じどうしゃ連盟れんめい』(JAF)など自動車じどうしゃ連盟れんめいでは、ラリーはレースにはふくまないため、「ラリーカー」とばれる。

クロスカントリーカー

編集へんしゅう
 
クロスカントリーカーのれい

ラリーレイドもちいるレーシングカー。

ラリーと競技きょうぎ形式けいしき環境かんきょうこうむりがおおいこともあり、ぞくに『ラリーカー』とひとまとめにばれることもあるが、ラリーが基本きほんてきにはまちちゅうでよくかけるようなモノコック構造こうぞう小型こがた乗用車じょうようしゃもちいるのにたいし、ラリーレイドではラダーフレーム構造こうぞう本格ほんかくてきSUVトラックバギーカーなど多様たようである。

FIAのグループT規定きていしたに、各種かくしゅクロスカントリーカーがまとめられている。

ストックカー

編集へんしゅう
 
ストックカーのれい

NASCARスピードカー・シリーズなど、南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりくオセアニアもちいられているレーシングカー。一見いっけんするとツーリングカーとおなじであるが、ツーリングカーが骨格こっかくやドアなどなんらかの部分ぶぶん市販しはんしゃ由来ゆらいのものを使用しようしているのにたいし、ストックカーは運営うんえいさだめられた競技きょうぎ専用せんようボディに、市販しはんしゃせたペイントをしているだけであるてんことなる。

「ストックカー(Stock Car)」の原義げんぎは「市販しはんしゃ」であり、からだあらわしていない、というてんではプロトタイプとおなじである。

スプリントカー

編集へんしゅう
 
スプリントカーのれい

アメリカ大陸あめりかたいりくやオセアニアでさかんな、ダート路面ろめんのオーバル(シンプルな楕円だえんがたの)サーキットでもちいられるレーシングカー。派手はでなウィングが特徴とくちょうだが、ウィングがついていないスプリントカーも存在そんざいする。

ドリフトカー(ドリしゃ

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ドリしゃれい

ドリフト競技きょうぎもちいられる車両しゃりょうだが、ドリフト走行そうこうはやさをきそうものではないため、厳密げんみつにはレーシングカーではない。運営うんえい各車かくしゃはやさを均衡きんこうさせる必要ひつようがなく、のレーシングカーにくらべるとかなり規則きそくゆるく、フォーミュラ・ドリフトD1グランプリなどのトップカテゴリでは、市販しはんモデル(ストックモデル)のばいほどもある排気はいきりょうのエンジンにかわそうするなどの改造かいぞうほどこされることがおおい。また、前輪ぜんりんキャンバーかくおおきくネガティブがわにセットするのも特徴とくちょうである。

ドラッグカー

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ドラッグスターのれい

ドラッグレースもちいられるレーシングカー。フォーミュラカーのようにあらゆる無駄むだをそぎとした『ドラッグスター』(ディガーとも)、市販しはんしゃ改造かいぞうした『ファニーカー』などいくつかの種類しゅるいがある。

レーシングカート

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レーシングカートのれい

もっとちいさなレーシングカーで、若手わかて育成いくせいやアマチュアがメイン。レース以外いがいゆう園地えんちのゴーカートのような娯楽ごらくにも使つかわれる。

改造かいぞうトラクター

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フォーミュラ・トラックもちいられる改造かいぞうトラック。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 競争きょうそうあるいは競技きょうぎ対応たいおうする英語えいごはコンペティションであり、そのうちとくきおいはし対応たいおうするのが「レース」である。
  2. ^ 一般いっぱんてき戦闘せんとうりょくとは破壊はかいなど直接的ちょくせつてき攻撃こうげきという意味いみであるが、ほんこうでは自動車じどうしゃレースで成果せいかしやすい能力のうりょくるという意味いみである。基本きほんてきにレースけい自動車じどうしゃ競技きょうぎでは衝突しょうとつなど意図いとした直接的ちょくせつてき攻撃こうげき禁止きんししているが、例外れいがいてきデモリション・ダービーのように衝突しょうとつ勝負しょうぶ前提ぜんていとした自動車じどうしゃ競技きょうぎ存在そんざいする
  3. ^ そのため弱小じゃくしょうプライベーターを対象たいしょうとしたクラスでは、ていコスト車両しゃりょう使つかわせつつ条件じょうけんそろえるために、かたちのレーシングカーの使用しよう義務付ぎむづけする場合ばあいもある。
  4. ^ たとえば、いわゆるフォーミュラカーは基本きほんてきにオープンホイール(タイヤがカウルにおおわれていない)が絶対ぜったい条件じょうけんとなっているため、日本にっぽん公道こうどう走行そうこうすることはできない。

出典しゅってん

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  1. ^ えない大切たいせつなものをさぐSUBARU MOTORSPORT MAGAZINE 2021ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ F1マシンが使用しようするガソリンは、まちのスタンドでってるガソリンとなにちがうのか?Citrus 2021ねん8がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ メルセデスのF1パワーユニット、テストベンチでねつ効率こうりつ50%えを達成たっせいMotorsports.com 2021ねん8がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ こう効率こうりつだけど「燃費ねんぴ」はきびしい!? 鈴鹿すずか5かいピット義務付ぎむづけの裏側うらがわauto sports WEB 2021ねん8がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ 値段ねだん高級こうきゅう住宅じゅうたくなみ! 燃費ねんぴはGT500よりわるい! スーパーGTのGT300に参戦さんせんする「GRスープラ」のものすご中身なかみ (2/2ページ)WEB CARTOP 2021ねん8がつ4にち閲覧えつらん
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