元首げんしゅ

元首げんしゅ（げんしゅ、国家こっか元首げんしゅ、ラテン語らてんご: dux civitatis、フランス語ふらんすご: chef d’État、英語えいご：Head of state）とは、国くにの首長しゅちょうまたは、国家こっかを外そとに向むかって一般いっぱん的てきに代表だいひょうする資格しかくをもつ機関きかん。

現在げんざい、就任しゅうにんしている国家こっか元首げんしゅ（写真しゃしん左ひだり→右みぎ、上うえ→下したへ）

絶対ぜったい君主くんしゅ制せいの元首げんしゅ

• サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ（国王こくおう）

大統領だいとうりょう制せいの元首げんしゅ

• ジョー・バイデン（大統領だいとうりょう）
• ディナ・ボルアルテ（大統領だいとうりょう）

半はん大統領だいとうりょう制せいの元首げんしゅ

• エマニュエル・マクロン（大統領だいとうりょう）

一いち党とう独裁どくさい制せいの元首げんしゅ

• トー・ラム（国家こっか主席しゅせき）

名誉めいよ職しょく型がた大統領だいとうりょう制せいの元首げんしゅ（議院ぎいん内ない閣かく制せい）

• サロメ・ズラビシュヴィリ（大統領だいとうりょう）
• ドラウパディ・ムルム（大統領だいとうりょう）

立憲りっけん君主くんしゅ制せいの元首げんしゅ（議院ぎいん内ない閣かく制せい）

• チャールズ3世せい（国王こくおう）
• カール16世せいグスタフ（国王こくおう）

歴史れきし的てきには、三権さんけんを統合とうごうする国家こっかの統治とうち者しゃとしての絶対ぜったい君主くんしゅ（皇帝こうてい、国王こくおうなど）を指さしたが、三権分立さんけんぶんりつが広ひろがるに従したがい国家こっか元首げんしゅの権限けんげんは（行政ぎょうせい権けんを除のぞき）空洞くうどう化かし、三権さんけんを統合とうごうする国家こっかを憲法けんぽうに従したがって統治とうちする立憲りっけん君主くんしゅ（イギリスなど）、三権さんけんを統合とうごうする国家こっかの儀礼ぎれい的てきな長ちょうである名誉めいよ職しょく型がた大統領だいとうりょう（ドイツ、イタリアなど）、三権さんけんを統合とうごうする国家こっかの長ちょうと行政府ぎょうせいふの長ちょうを兼任けんにんするアメリカ型がた大統領だいとうりょう、三権さんけんを統合とうごうする国家こっかの長ちょうと行政府ぎょうせいふの一部いちぶの長ちょうを兼任けんにんする半はん大統領だいとうりょう制せいの大統領だいとうりょう（フランスなど）などがある。三権分立さんけんぶんりつの国家こっかでは、行政府ぎょうせいふの長ちょうではない国家こっか元首げんしゅの権限けんげんは儀礼ぎれい的てきなものが多おおく、行政府ぎょうせいふに対たいし首相しゅしょうの任命にんめい、立法府りっぽうふに対たいし議会ぎかいの招集しょうしゅう、法律ほうりつの公布こうふ、司法しほう府ふに対たいし最高裁判所さいこうさいばんしょ長官ちょうかんの任命にんめいなどの権限けんげんが残のこるのみである。

国家こっか元首げんしゅは、「政府せいふの長なが」（行政府ぎょうせいふの長なが、英語えいご： Head of Government）と異ことなる概念がいねんであり、「政府せいふの長ちょう」は行政府ぎょうせいふのみを管轄かんかつするのに対たいし、国家こっか元首げんしゅは三権さんけんを形式けいしき的てきにではあるがその権限けんげんに含ふくむ。

概要がいよう

「国家こっか元首げんしゅ」の概念がいねんは、国家こっか有ゆう機体きたい説せつに発はっしている。近代きんだいでは、行政ぎょうせい権けんの長ちょうとして対外たいがい的てき代表だいひょう権けんを持もつ存在そんざい（人ひと）、転てんじて、（行政ぎょうせい権けんの長ちょうであるかないかは問とわず）対外たいがい的てき代表だいひょう権けんを持もっている存在そんざい（人ひと）を指さして「元首げんしゅ」と呼よぶようになった 。しかし、行政ぎょうせい権けんの長ちょうは「政府せいふの長ちょう」と言いわれ、国家こっか元首げんしゅとは異ことなる概念がいねんであり、また条約じょうやく法ほうに関かんするウィーン条約じょうやく第だい7条じょう第だい2項こう(a)は、全権ぜんけん委任いにん状じょうがなくても当然とうぜんに対外たいがい的てきに国くにを代表だいひょうする存在そんざいとして、元首げんしゅ、政府せいふの長なが、外務がいむ大臣だいじんの３名めいを挙あげており、「対外たいがい的てき代表だいひょう権けんを持もっている存在そんざいを指さして元首げんしゅと呼よぶ」というのは正確せいかくではなく、したがって、外国がいこくに対たいする代表だいひょう権けんを基準きじゅんに元首げんしゅを定義ていぎするのは「論理ろんりの逆転ぎゃくてん」と言いわざるを得えないとの批判ひはんもある。「行政ぎょうせい権けんの長ちょうとして対外たいがい的てき代表だいひょう権けんを持もつ存在そんざい、転てんじて対外たいがい的てき代表だいひょう権けんを持もっている存在そんざい」では、「国家こっか元首げんしゅ」というより、「政府せいふの長ちょう」そのものである。

社会しゃかい契約けいやく説せつの国家こっか観かんの下したでは社会しゃかい的てきな委任いにん契約けいやくにおける社会しゃかい的てき人格じんかくの一ひとつ。

君主くんしゅ制せいの国家こっかでは皇帝こうてい・国王こくおうなどの君主くんしゅ、共和きょうわ制せいの国家こっかでは大統領だいとうりょうが元首げんしゅとされることが通例つうれいである。社会しゃかい主義しゅぎ国こくでは大統領だいとうりょうの他ほか、ベトナムの国家こっか主席しゅせきやかつてのキューバの国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょう、ソ連それんの最高さいこう会議かいぎ幹部かんぶ会かい議長ぎちょう、東ひがしドイツの国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうなども国家こっか元首げんしゅに該当がいとうする。

元首げんしゅの資格しかくを持もつ者ものは通常つうじょうは憲法けんぽうで定さだめられているが、国家こっか元首げんしゅに関かんする規程きていを持もたない国くにも少すくなくなく、そうした国くにでの国家こっか元首げんしゅは慣習かんしゅう上じょうのものである。各国かっこくの憲法けんぽうにより、国家こっか元首げんしゅが政治せいじの実権じっけんを持もつ場合ばあいも持もたない場合ばあいもある。実権じっけんの有無うむ、統治とうち形態けいたいの違ちがいにかかわらず、国家こっか元首げんしゅは国家こっかの長ちょうとしての特別とくべつな権威けんいを持もつべきだと考かんがえられている。しかし同時どうじに自由じゆう主義しゅぎ、および国民こくみん主権しゅけんの立場たちばからそうした権威けんいは不要ふようであるとする考かんがえもある。

一般いっぱん的てきに国家こっか元首げんしゅが置おかれる場合ばあい、ひとつの国くにに一人ひとりとされるが、例外れいがいもいくつかある。

• サンマリノ共和きょうわ国こくでは、2名めいの執政しっせいが元首げんしゅ
• アンドラ公国こうこくでは、フランス大統領だいとうりょうとウルヘル司教しきょうが「共同きょうどう元首げんしゅ」
• スイス、ボスニア・ヘルツェゴビナでは、それぞれ合議ごうぎ体たいである連邦れんぽう参事さんじ会かい、大統領だいとうりょう評議ひょうぎ会かいが元首げんしゅ。

分類ぶんるい

以下いかの項目こうもくにおいて国家こっか元首げんしゅの大おおまかな分類ぶんるいを行おこなう。各国かっこくの憲法けんぽう上じょうの規定きていには差異さいがあり、元首げんしゅの機能きのうも多種たしゅ多様たようである。

君主くんしゅ制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

絶対ぜったい君主くんしゅ制せい国家こっか・専制せんせい君主くんしゅ制せい国家こっかの元首げんしゅ

皇帝こうていや国王こくおうのような君主くんしゅが、強大きょうだいな政治せいじ的てき権限けんげんを有ゆうしている。君主くんしゅは世襲せしゅうであることがほとんどである。憲法けんぽうを制定せいていしていない場合ばあい（絶対ぜったい君主くんしゅ制せい国家こっか）や、憲法けんぽうを制定せいていしていても実際じっさい的てきには君主くんしゅの大権たいけんが憲法けんぽうを超越ちょうえつしている場合ばあい（専制せんせい君主くんしゅ制せい国家こっか）などがある。このような国家こっかでは、君主くんしゅが富裕ふゆうで国家こっかから歳費さいひを支給しきゅうされていないことが多おおい。そのため、政府せいふや議会ぎかいが歳費さいひの支給しきゅうを停止ていしして、君主くんしゅの権限けんげんである大権たいけんを制限せいげんさせることができない。さらに、宣伝せんでんや教育きょういくによって君主くんしゅによる統治とうちの正当せいとう化かが行おこなわれている。

リヒテンシュタインの公おおやけ（侯ほう）は形式けいしき的てきには立憲りっけん君主くんしゅ制せいの君主くんしゅであるが、実際じっさい的てきには強大きょうだいな権限けんげんを握にぎっており、絶対ぜったい君主くんしゅ制せいまたは専制せんせい君主くんしゅ制せいの典型てんけいであるといわれる。

アラビア半島はんとう所在しょざいの諸国しょこく（サウジアラビア、アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうを構成こうせいする7首長しゅちょう国こく、オマーン、カタール、クウェート）のスルターンは、絶対ぜったい君主くんしゅ制せいの君主くんしゅの典型てんけいである。君主くんしゅの下したに行政ぎょうせいの実務じつむを担当たんとうする首相しゅしょうが置おかれる場合ばあいもあるが、君主くんしゅが首相しゅしょうを兼任けんにんしていたり、君主くんしゅの一族いちぞく（皇太子こうたいしなど）が首相しゅしょうとなっている場合ばあいも多おおく、こうした事例じれいでは事実じじつ上じょう、首相しゅしょうの権限けんげんは君主くんしゅ大権たいけんの中なかに包括ほうかつされている。

アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうの国家こっか元首げんしゅは大統領だいとうりょうである。これは国家こっかの最高さいこう意志いし決定けってい機関きかんである連邦れんぽう最高さいこう評議ひょうぎ会かい（FSC）で互選ごせんされるため、形かたちの上うえでは君主くんしゅではない。しかし、連邦れんぽう最高さいこう評議ひょうぎ会かいは絶対ぜったい君主くんしゅ制せいを採とる7首長しゅちょう国こくの首長しゅちょうから構成こうせいされるとともに、実際じっさいには大統領だいとうりょうはアブダビ首長しゅちょう、副ふく大統領だいとうりょう兼けん首相しゅしょうはドバイ首長しゅちょうが世襲せしゅうにより継つぐのが慣例かんれい化かしている。さらに、アブダビは連邦れんぽうの最大さいだい国家こっかであるとともに連邦れんぽうの中心ちゅうしん国家こっかである ため、アブダビ首長しゅちょうが兼かねる連邦れんぽうの大統領だいとうりょうは事実じじつ上じょう、絶対ぜったい君主くんしゅ制せい国家こっかの君主くんしゅに比肩ひけんする強大きょうだいな権限けんげんを行使こうししている。

立憲りっけん君主くんしゅ制せい国家こっかの元首げんしゅ

君主くんしゅの政治せいじ的てき権限けんげんが強つよい立憲りっけん君主くんしゅ制せい国家こっかの元首げんしゅ

議院ぎいん内ない閣かく制せいを採用さいようする立憲りっけん君主くんしゅ国こくであり、行政ぎょうせいを担当たんとうする首相しゅしょうが存在そんざいするが、国家こっか元首げんしゅである君主くんしゅ（国王こくおう）が国政こくせいの実権じっけんを握にぎっている場合ばあい。

ヨルダン・ハシミテ王国おうこくの国王こくおうなどが、これに分類ぶんるいされる。

君主くんしゅが儀礼ぎれい上じょうの存在そんざいとなっている立憲りっけん君主くんしゅ制せい国家こっかの元首げんしゅ

議院ぎいん内ない閣かく制せいを採用さいようする立憲りっけん君主くんしゅ国こくであり、行政ぎょうせいは議会ぎかいに指名しめいされる首相しゅしょうに委ゆだねられ、国家こっか元首げんしゅである君主くんしゅ（国王こくおう）は国政こくせいの実権じっけんを有ゆうさない場合ばあい。

イギリス、オランダ、ノルウェー、デンマーク、スペイン、カンボジア、タイなどの国王こくおうが、これに分類ぶんるいされる。

憲法けんぽう上じょう、国家こっか元首げんしゅに期待きたいされる役割やくわりは、内閣ないかくの助言じょげんと承認しょうにんに基もとづく首相しゅしょうを始はじめとする官吏かんりの任免にんめんや、外国がいこく元首げんしゅ・大だい公使こうしの接受せつじゅといった儀礼ぎれい的てきなものである。これらの国くにの中なかには、イギリスの国王こくおうのように法律ほうりつ上じょうは強力きょうりょくな権限けんげんを与あたえられているケースもあるが、そうした権限けんげんは長年ながねんの不ふ行使こうしにより形骸けいがい化かしており、実際じっさいには行使こうしされないのが通例つうれいである。上記じょうきのような理由りゆうから政治せいじ的てき発言はつげんの自制じせいが求もとめられる。

• アンドラ公国こうこくでは、成立せいりつの歴史れきし的てきな経緯けいいによって、フランスの大統領だいとうりょうとウルヘル司教しきょうがアンドラの君きみ主しゅたる「共同きょうどう公こう」となる。行政ぎょうせいの実権じっけんは議会ぎかいが指名しめいする首相しゅしょうにあり、共同きょうどう公こうの権限けんげんは儀礼ぎれい的てきなものに限かぎられる。さらに、共同きょうどう公こうがアンドラに来訪らいほうすることはほとんどなく、それぞれの代行だいこう者しゃが来訪らいほうして、または駐在ちゅうざい代理だいり官かんが委任いにんを受うけて、その権限けんげんを行使こうしする。
• イギリス連邦れんぽう（コモンウェルス）所属しょぞくの国くになどの中なかには、イギリス国王こくおう（現在げんざいは国王こくおうチャールズ3世せい）を自国じこくの国家こっか元首げんしゅとして戴いただき、国王こくおうから任命にんめいされた総督そうとくが元首げんしゅ権けんを代行だいこうするところがある。これらは、英えい連邦れんぽう王国おうこく（イギリス連邦れんぽう王国おうこく、コモンウェルス・レルム、イギリス自治領じちりょうとも称しょうされる）と通称つうしょうされている。アンティグア・バーブーダ、オーストラリア、バハマ、バルバドス、ベリーズ、カナダ、グレナダ、ジャマイカ、ニュージーランド、パプアニューギニア、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、ソロモン諸島しょとう、ツバル、がこれにあたる。また、それに準じゅんずる事例じれいとして、イギリス連邦れんぽう加盟かめい国こくであるニュージーランドと自由じゆう連合れんごうを組くむクック諸島しょとうとニウエもまた、イギリス国王こくおうを自国じこくの国家こっか元首げんしゅとしている。
  • ただし、チャールズ3世せいがイギリス連邦れんぽうという単一たんいつの国家こっかの君主くんしゅなのではない。チャールズ3世せいがイギリス国王こくおう、アンティグア・バーブーダ国王こくおう、オーストラリア国王こくおう、バハマ国王こくおう、……を兼けん位くらいするという形式けいしきをとっている。
  • 総督そうとくの人選じんせんについては、現代げんだいでは他たの大権たいけん行使こうし同様どうように、当該とうがい国こくの首相しゅしょうの助言じょげんどおりになされる。国王こくおう個人こじんやイギリス政府せいふの意向いこうはほぼ問とわれず、通常つうじょうは当該とうがい国こく国民こくみんが指名しめいされる。
  • 形式けいしき上じょう、総督そうとくは強力きょうりょくな大権たいけんを国王こくおうから預あずかるものの、実際じっさいにはもっぱら儀礼ぎれい的てきな役割やくわりを担当たんとうし、大権たいけん行使こうしについては基本きほん的てきに内閣ないかくの助言じょげんどおりに行おこなうべきとする憲法けんぽう的てき慣行かんこうが確立かくりつしている。ただし、1975年ねんのオーストラリアでは、政治せいじ的てき混乱こんらんをうけて総督そうとくが首相しゅしょうを罷免ひめんし、議会ぎかいの解散かいさんを命めいじるという事件じけんが起おこり、憲法けんぽう危機ききと呼よばれ問題もんだい化かされた。
  • 君主くんしゅおよび総督そうとくの保持ほじする大権たいけんは憲法けんぽう的てき法律ほうりつや憲法けんぽう的てき慣行かんこうによって強つよく制限せいげんされるが、わずかではあるが憲法けんぽう上じょう制限せいげんされていない権限けんげんが残のこされている。これは留保りゅうほ権限けんげんと呼よばれ、君主くんしゅおよび総督そうとくの裁量さいりょうによって行使こうしできる。
  • 英えい連邦れんぽう諸国しょこくでイギリス同様どうようにウエストミンスター・システムを採用さいようする国くにでは一般いっぱんに、首相しゅしょう指名しめい選挙せんきょを行おこなわず、元首げんしゅ（もしくは元首げんしゅ代理だいり）が自みずからの判断はんだんで首相しゅしょうを任命にんめいする。ただし内閣ないかくは下院かいんの信任しんにんを確保かくほする必要ひつようがあるため、下院かいん多数たすう派はの指導しどう者しゃが明あきらかである場合ばあいはその者ものを指名しめいするほかなく、実質じっしつ上じょうの裁量さいりょうの余地よちはない。下院かいん過半数かはんすうを掌握しょうあくする指導しどう者しゃが存在そんざいしない場合ばあい、複数ふくすうの下院かいん指導しどう者しゃのうち元首げんしゅ等とうにより選択せんたくされた者ものが首相しゅしょうに任命にんめいされる。
  • 英えい連邦れんぽうの共和きょうわ国こくでもインドなどでは大統領だいとうりょうが上記じょうきのような役割やくわりを担になうが、ナイジェリアのようにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく型かたの大統領だいとうりょう制せいを採用さいようし、行政ぎょうせい権けんを握にぎる大統領だいとうりょうが上院じょういんの承認しょうにんを経へて閣僚かくりょうを任命にんめいする国くにもある。
• リヒテンシュタインの公おおやけ（侯ほう）は絶対ぜったい君主くんしゅ制せいの君主くんしゅとされているが、現在げんざいの公おおやけであるハンス・アダム2世せいと摂政せっしょうアロイス・フォン・リヒテンシュタインは政治せいじの実権じっけんを徐々じょじょに首相しゅしょうに譲ゆずり、自みずからを立憲りっけん君主くんしゅ制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅへと変貌へんぼうさせつつある。

上記じょうきの通とおり、このタイプの国家こっかの君主くんしゅは儀礼ぎれい的てき役割やくわりのみを果はたすことが通例つうれいであるが、政争せいそうやクーデターによる国政こくせいの混乱こんらん時じには、仲裁ちゅうさい者しゃとしての役割やくわりを期待きたいされ、権限けんげんを行使こうしする場合ばあいもある。

• タイの場合ばあい、1946年ねんから2016年ねんまで在位ざいいした国王こくおうラーマ9世せいプーミポンアドゥンラヤデートがしばしばこうした役割やくわりを演えんじた。
• スペインでは、1981年ねん2月がつ23日にちに勃発ぼっぱつしたクーデターの際さい、当時とうじの国王こくおうフアン・カルロス1世せいは、全ぜん軍ぐんと国民こくみんに呼よびかけて民主みんしゅ制せいの維持いじを図はかり、これによって反乱はんらんを失敗しっぱいに追おい込こんだ。一方いっぽうで、2017年ねんのカタルーニャ自治じち州しゅうの独立どくりつ住民じゅうみん投票とうひょうの際さいには、当時とうじの国王こくおうフェリペ6世せいが「カタルーニャ州しゅう政府せいふはスペイン国家こっかに対たいし許ゆるしがたい不誠実ふせいじつな態度たいどをとった」と、カタルーニャ州しゅう政府せいふと当時とうじのカルレス・プッチダモン自治じち州しゅう首相しゅしょうに対たいする批判ひはんと敵対てきたいを示しめす演説えんぜつを行おこない、当時とうじのバスク政府せいふ首班しゅはんのイニゴ・ウルクリュをはじめ、国内外こくないがいからの批判ひはんと失望しつぼうに晒さらされた。

君主くんしゅは世襲せしゅうによって継承けいしょうされることが一般いっぱん的てきであるが、例外れいがいもある。

• マレーシアの国王こくおう（アゴン 〈Agong, 「Yang di-Pertuan Agong」〉） は、同国どうこくを構成こうせいする13の州しゅうのうちスルターンをおいている9州しゅう（ジョホール州しゅう・ケダ州しゅう・クランタン州しゅう・ヌグリ・スンビラン州しゅう・パハン州しゅう・ペラ州しゅう・プルリス州しゅう・セランゴール州しゅう・トレンガヌ州しゅう）のスルターンにより、5年ねんを任期にんきとしての輪番りんばん制せいが採とられている（形式けいしき上じょうはスルターンたちによる互選ごせんであるが、実質じっしつ的てきには各州かくしゅうスルターンが輪番りんばんによって国王こくおうをつとめる）。ただし、マレーシアの政治せいじ実権じっけんは首相しゅしょうにあり、国王こくおうは象徴しょうちょう的てき存在そんざいである。
• サモア独どく立国りっこくの元首げんしゅはオ・レ・アオ・オ・レ・マーロー（意味いみは「国家こっか元首げんしゅ」）である。任期にんきは5年ねんで、立法りっぽう議会ぎかいにおいて選出せんしゅつされる。立法りっぽう議会ぎかい議員ぎいん（ほとんどはサモアの伝統でんとう的てき指導しどう者しゃ層そうである首長しゅちょう〈マタイ〉が占しめる）から選出せんしゅつされるが、実際じっさいにはその中なかでも特別とくべつに高たかい権威けんいを有ゆうする4人にんの大だい首長しゅちょう（タマ・ア・アイガ）から選えらばれる。選挙せんきょ制せい・任期にんき制せいである点てんを考慮こうりょすると公選こうせん制せいの大統領だいとうりょうに該当がいとうするとも考かんがえられるが、一般いっぱん的てきには同国どうこくの政体せいたいは立憲りっけん君主くんしゅ制せいと見みなされており、敬称けいしょうも大統領だいとうりょうのような「閣下かっか」ではなく、君主くんしゅ制せいに見みられる「殿下でんか」（His Highness）である。すなわち、オ・レ・アオ・オ・レ・マーローは選挙せんきょ君主くんしゅ制せいの君主くんしゅに該当がいとうすることになる。

君主くんしゅが統治とうち権けんの行使こうしに関与かんよせず象徴しょうちょう化かしている立憲りっけん君主くんしゅ制せい（＝象徴しょうちょう君主くんしゅ制せい）国家こっかの元首げんしゅ

詳細しょうさいは「象徴しょうちょう君主くんしゅ制せい」を参照さんしょう

立憲りっけん君主くんしゅ制せいのひとつではあるが、君主くんしゅの政治せいじ的てき権限けんげんを排除はいじょした場合ばあいには、君主くんしゅ＝国家こっか元首げんしゅの役割やくわりは象徴しょうちょう的てきなものに限定げんていされる。こうした事例じれいに対たいしては、象徴しょうちょう君主くんしゅ制せいという新あらたな区分くぶんで説明せつめいされることがある。

スウェーデンの国王こくおうは、首相しゅしょうの任命にんめいや議会ぎかいの招集しょうしゅう・解散かいさんの権限けんげんを形式けいしき的てきにも失うしなっており、国家こっか元首げんしゅと行政府ぎょうせいふを完全かんぜんに分離ぶんりしている。そのため、世界せかいで最もっとも象徴しょうちょう的てきな立憲りっけん君主くんしゅ制せいとされており、これを象徴しょうちょう君主くんしゅ制せいの典型てんけいとみなす説せつがある。

イギリスの国王こくおう（女王じょおう）もこれに分類ぶんるいされることがある。イギリスの国王こくおうは形式けいしき的てきには強力きょうりょくな権限けんげんを持もっているが、実際じっさいにはそれを行使こうししないのが通例つうれいとなっているからである。

日本にっぽんの天皇てんのうもこれに分類ぶんるいされることがある。日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい4条じょうに「天皇てんのうは、この憲法けんぽうの定さだめる国事こくじに関かんする行為こういのみを行くだりひ、国政こくせいに関かんする権能けんのうを有ゆうしない」と規定きていされているからである（象徴しょうちょう天皇てんのう制せい）。ただし、天皇てんのうが元首げんしゅであるか否ひかは諸説しょせつある（「＃日本にっぽんの元首げんしゅ」を参照さんしょう）。

共和きょうわ制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

共和きょうわ制せい国家こっかでは国家こっか元首げんしゅの権限けんげんは各国かっこくの政治せいじ体系たいけいによりまちまちであり、大統領だいとうりょうが議会ぎかいから独立どくりつした政府せいふの長ながとして強大きょうだいな権限けんげんを握にぎっている場合ばあい（大統領だいとうりょう制せい）、大統領だいとうりょうは行政ぎょうせいに関かんして権限けんげんを有ゆうするが、議会ぎかいによる一定いっていの制限せいげんを受うける場合ばあい（半はん大統領だいとうりょう制せい）、大統領だいとうりょうは形式けいしき的てきな権限けんげんを行使こうしする象徴しょうちょう的てきなものである場合ばあい（議院ぎいん内ない閣かく制せい）、などがある。社会しゃかい主義しゅぎ国こくは君主くんしゅ制せいでない点てんにおいて共和きょうわ制せい国家こっかに分類ぶんるいされるが、国家こっか元首げんしゅの地位ちいは形式けいしき的てき・象徴しょうちょう的てきであり、実権じっけんは共産党きょうさんとうの書記しょき長ちょう・総そう書記しょきが握にぎっていることが多おおい。また、国家こっか元首げんしゅの地位ちいは独どく任にんの機関きかんではなく、合議ごうぎ体たいの長ちょう（ソ連それんの最高さいこう会議かいぎ幹部かんぶ会かい議長ぎちょう、東ひがしドイツなど旧きゅう東欧とうおう圏けんやキューバの国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうなど）であることが多おおい。東ひがしアジアの共産きょうさん圏けんでは、大統領だいとうりょうに相当そうとうする職位しょくいがある場合ばあいでも、中国ちゅうごくやベトナム、北朝鮮きたちょうせんのように国家こっか主席しゅせきと称しょうする。

大統領だいとうりょう制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

大統領だいとうりょうは有権者ゆうけんしゃの選挙せんきょにより選出せんしゅつされ（代議員だいぎいん制せいの場合ばあいもある）、一般いっぱんに政府せいふの長ちょうとして強大きょうだいな権限けんげんを有ゆうする。大統領だいとうりょうは議会ぎかいとは独立どくりつした地位ちいにあり、議会ぎかいの勢力せいりょくと関係かんけいなく一定いっていの任期にんきが保証ほしょうされる。一般いっぱんに大統領だいとうりょうは議会ぎかいの法案ほうあんへの拒否きょひ権けんを持もつが、法案ほうあんの提出ていしゅつ権けんはない。また閣僚かくりょうの任免にんめん権けんを有ゆうする。閣僚かくりょうは一般いっぱん的てきに、国会こっかい議員ぎいんとの兼任けんにんはできない。議会ぎかいの勢力せいりょくが、大統領だいとうりょう派はの与党よとうで占しめられている場合ばあいには強大きょうだいなリーダーシップを発揮はっきできるが、野党やとうが多数たすう派はになった場合ばあいには厳きびしい議会ぎかい運営うんえいが強しいられる。

• 大統領だいとうりょうが行政ぎょうせいを総攬そうらんし、首相しゅしょうを置おかない場合ばあい：アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、フィリピン共和きょうわ国こくなど。
• 大統領だいとうりょうとは別べつに首相しゅしょうが置おかれ、首相しゅしょうは大統領だいとうりょうの補佐ほさ役やくとして行政ぎょうせいの実務じつむを担当たんとうする場合ばあい：大韓民国だいかんみんこくや中華民国ちゅうかみんこく（台湾たいわん）がこれにあたる。正式せいしきには、前者ぜんしゃは国務こくむ総理そうり、後者こうしゃは行政ぎょうせい院長いんちょうと呼よばれる。韓国かんこくの国務こくむ総理そうりは国会こっかい議員ぎいんである必要ひつようはなく、大統領だいとうりょうを補佐ほさしその命いのちを受うけ行政ぎょうせい機関きかんを統括とうかつし国務こくむ会議かいぎ（日本にっぽんの内閣ないかくに相当そうとう）の副ふく議長ぎちょうを務つとめる。
• 例外れいがいとして、首長しゅちょう国こくによる連邦れんぽう制せい国家こっかであるアラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうは各国かっこくの首長しゅちょうから選出せんしゅつする独自どくじの大統領だいとうりょう制せいを導入どうにゅうしている。

半はん大統領だいとうりょう制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

議会ぎかいが選出せんしゅつする首相しゅしょう・内閣ないかくと、国民こくみんが直接ちょくせつ選挙せんきょで選えらぶ大統領だいとうりょう（国家こっか元首げんしゅ）が併存へいそんする体制たいせい。行政ぎょうせい権けんの主体しゅたいは大統領だいとうりょうと首相しゅしょう（内閣ないかく）にあることが多おおく、内閣ないかくの首班しゅはんたる首相しゅしょうは議会ぎかいの承認しょうにんを得えて大統領だいとうりょうに任命にんめいされる。大統領だいとうりょうは議会ぎかいと独立どくりつした存在そんざいでその任期にんき中ちゅうは地位ちい、身分みぶんを保障ほしょうされ、首相しゅしょうの任免にんめん権けんを通つうじて実質じっしつ的てきに法案ほうあん提出ていしゅつ権けんを行使こうしする。このように内閣ないかくは議会ぎかいに責任せきにんを持もち、議院ぎいん内ない閣かく制せいの枠組わくぐみが取とり入いれられているが、同時どうじに大統領だいとうりょうに対たいしても責任せきにんを負おっている。大統領だいとうりょうは議会ぎかい解散かいさん権けんや法案ほうあん拒否きょひ権けん、大統領だいとうりょう令れいの発布はっぷなど議院ぎいん内ない閣かく制せいと比くらべより強大きょうだいな権限けんげんを有ゆうすることが多おおい。

議会ぎかいで大統領だいとうりょう側がわの勢力せいりょくが多数たすうを占しめれば、大統領だいとうりょうは内閣ないかくを自由じゆうに組織そしきし、内政ないせいでも強大きょうだいなリーダーシップを発揮はっきできるが、反対はんたい勢力せいりょくが多数たすう派はを占しめた場合ばあいは、反対はんたい勢力せいりょくの党首とうしゅに組閣そかくを命めいじざるをえず、外交がいこう・国防こくぼうは大統領だいとうりょう、内政ないせいは反対はんたい勢力せいりょくの首相しゅしょうが分担ぶんたんすることとなる。このような状態じょうたいをフランスではコアビタシオンと呼よぶ。

フランスやロシアの大統領だいとうりょうや中華民国ちゅうかみんこくの総統そうとうが、半はん大統領だいとうりょう制せいに分類ぶんるいされる。

議会ぎかい共和きょうわ制せい国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

議院ぎいん内ない閣かく制せいを採用さいようする共和きょうわ国こくの大統領だいとうりょうがこれにあたる。行政ぎょうせいは議会ぎかいに指名しめいされる首相しゅしょうに委ゆだねられ、国家こっか元首げんしゅである大統領だいとうりょうは国政こくせいの実権じっけんを有ゆうさない。憲法けんぽう上じょう、国家こっか元首げんしゅに期待きたいされる役割やくわりは、内閣ないかくの助言じょげんと承認しょうにんに基もとづく首相しゅしょうを始はじめとする官吏かんりの任免にんめんや、外国がいこく元首げんしゅ・外交がいこう官かんの接受せつじゅといった儀礼ぎれい的てきなものである。大統領だいとうりょうは直接ちょくせつ選挙せんきょで選出せんしゅつされる場合ばあいと、それによらずに議会ぎかいの投票とうひょうにより功績こうせきのある長老ちょうろう政治せいじ家かが選出せんしゅつされる場合ばあいなどがある。これらの国くにの中なかには、オーストリアの連邦れんぽう大統領だいとうりょうのように法律ほうりつ上じょうは強力きょうりょくな権限けんげんを与あたえられているケースもあるが、そうした権限けんげんは長年ながねんの不ふ行使こうしにより形骸けいがい化かしており、実際じっさいには行使こうしされないのが通例つうれいである。

インド、イタリア、アイルランド、アイスランド、ギリシャの大統領だいとうりょう、ドイツの連邦れんぽう大統領だいとうりょう、オーストリアの連邦れんぽう大統領だいとうりょうなどが、これに分類ぶんるいされる。

スイスでは、合議ごうぎ体たいである連邦れんぽう参事さんじ会かい（内閣ないかく）が国家こっか元首げんしゅかつ政府せいふの長ながとされているが、その7人にんの閣僚かくりょうの中なかの1人ひとりが輪番りんばん制せいで就任しゅうにんする連邦れんぽう大統領だいとうりょう（任期にんき1年ねん）は、他国たこくにおいて通常つうじょう、国家こっか元首げんしゅが果はたす儀礼ぎれい的てきな機能きのうを果はたしている。

スイスに類るいする例れいとして、かつてのイングランド共和きょうわ国こくにおいても、元首げんしゅとして護国ごこく卿きょうが設置せっちされるまでは、合議ごうぎ体たいである国務こくむ院いん（Council of State）が元首げんしゅとされた。なお、国務こくむ院いんの議長ぎちょうは（枢密院すうみついん議長ぎちょうと同おなじく）Lord President of the Councilと呼よばれたが、ここでいうpresidentは単たんに議長ぎちょうの意味いみである。

社会しゃかい主義しゅぎ国こくの国家こっか元首げんしゅ

社会しゃかい主義しゅぎ国こくの国家こっか主席しゅせきの権能けんのうは国くにによりまちまちであるが、通常つうじょうは議会ぎかい共和きょうわ制せい国家こっかにおける国家こっか元首げんしゅに相当そうとうする権能けんのうを有ゆうする。国家こっか主席しゅせき自体じたいは儀礼ぎれい的てきな存在そんざいであり、実質じっしつ的てきな最高さいこう指導しどう者しゃである共産党きょうさんとうの党首とうしゅ（書記しょき長ちょう・総そう書記しょき・第だい一いち書記しょきなど）が兼任けんにんしたり、長老ちょうろう幹部かんぶを礼遇れいぐうするための名誉めいよ職しょくとして用もちいられたりするケースが多おおいが、元首げんしゅの職権しょっけんに実質じっしつ的てき権限けんげんが付与ふよされるケースとして、毛沢東もうたくとう・劉少奇りゅうしょうきが就任しゅうにんした時代じだいの中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく主席しゅせきや金きむ日成いるそん時代じだいの朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく主席しゅせき、ミハイル・ゴルバチョフが就任しゅうにんしたソビエト連邦れんぽう大統領だいとうりょうがある。ベトナムでは、最高さいこう指導しどう者しゃであるベトナム共産党きょうさんとう書記しょき長ちょうと元首げんしゅであるベトナム社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく主席しゅせきが分離ぶんりすることが慣例かんれい化かしているものの、同国どうこくの国家こっか主席しゅせきは憲法けんぽう上じょうは軍ぐんの統帥とうすい権けんを持もっているため、全まったく無力むりょくな存在そんざいという訳わけではない。なお、党とう中央ちゅうおうが動揺どうようする非常時ひじょうじに、儀礼ぎれい的てきな国家こっか元首げんしゅが自みずからの判断はんだんで重要じゅうような権限けんげんを行使こうしする例れい がある。

ベトナム社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくの憲法けんぽう 第だい86条じょう

—国家こっか主席しゅせきは，国家こっか元首げんしゅであり，対内たいない的てき及および対外たいがい的てきにベトナム社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくを代表だいひょうする。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの憲法けんぽう 第だい81条じょう

—中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく主席しゅせきは、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくを代表だいひょうし、国事こくじ活動かつどうを行おこない......

• • 現行げんこうの中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく憲法けんぽうには国家こっか元首げんしゅを直接ちょくせつ定さだめる規定きていはないが、第だい81条じょうの規定きていで国家こっかを代表だいひょうするとされている国家こっか主席しゅせきが外交がいこう慣例かんれい上じょうでは元首げんしゅと同様どうようの待遇たいぐうを受うけている。

ラオス人民じんみん民主みんしゅ共和きょうわ国こくの憲法けんぽう 第だい65条じょう

—国家こっか主席しゅせきは，ラオス人民じんみん民主みんしゅ共和きょうわ国こくの国家こっか元首げんしゅであり，国内外こくないがいにおいて，多た民族みんぞくからなるラオス国民こくみんの代表だいひょう者しゃである。

他たに社会しゃかい主義しゅぎ国こくの特徴とくちょうとしては、正式せいしきには国家こっかの最高さいこう決議けつぎ機関きかんの常設じょうせつ委員いいん会かいに国家こっか元首げんしゅの権能けんのうが与あたえられ、その議長ぎちょうが代表だいひょうして国家こっか元首げんしゅの権限けんげんを執行しっこうするケースが見みられる。

北朝鮮きたちょうせんの国家こっか元首げんしゅに関かんする規定きていは複雑ふくざつであり、名目めいもく上じょうの国家こっか元首げんしゅと実際じっさいの最高さいこう権力けんりょく者しゃが一致いっちしない時期じきがある。

• 1948年ねんから1972年ねんまでは、政治せいじ的てき実権じっけんは首相しゅしょうであった金きむ日成いるそんにあったが、形式けいしき上じょうは最高さいこう人民じんみん会議かいぎ常任じょうにん委員いいん会かい委員いいん長ちょうが元首げんしゅであった。
• 1972年ねんから1994年ねんまでは、金きむ日成いるそんが朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく主席しゅせきとして国家こっか元首げんしゅになったが、1994年ねんに金きむ日成いるそんが死去しきょしたことによって主席しゅせきが空席くうせきとなる。その後ご、1998年ねんの憲法けんぽう改正かいせいで金きむ日成いるそんを「永遠えいえんの主席しゅせき」と表記ひょうきしたことに伴ともない、主席しゅせきは廃止はいしされた。そして、2009年ねんに改訂かいていされた現行げんこうの朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく社会しゃかい主義しゅぎ憲法けんぽうの序文じょぶんでも、金きむ日成いるそんを「永遠えいえんの主席しゅせき」としている。
• 2009年ねんまでの国家こっか元首げんしゅは最高さいこう人民じんみん会議かいぎ常任じょうにん委員いいん会かい委員いいん長ちょうであった。1998年ねん憲法けんぽう第だい111条じょうで「最高さいこう人民じんみん会議かいぎ常任じょうにん委員いいん会かい委員いいん長ちょうは、国家こっかを代表だいひょうし、外国がいこくの使臣ししんの信任しんにん状じょう、召還しょうかん状じょうを接受せつじゅする」と規定きていされているからである。ただしこの職しょくの権能けんのうは儀礼ぎれい的てきな部分ぶぶんにとどまり、実際じっさいの最高さいこう権力けんりょくは朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう中央ちゅうおう委員いいん会かい総そう書記しょき、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく国防こくぼう委員いいん会かい委員いいん長ちょう、朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐん最高さいこう司令しれい官かんの金きむ正日じょんいるが掌握しょうあくしていた。
• 2009年ねんに同国どうこくの憲法けんぽうが改正かいせいされ、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく国防こくぼう委員いいん会かい委員いいん長ちょう（以下いか「国防こくぼう委員いいん長ちょう」）を「朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくの最高さいこう指導しどう者しゃである」（第だい100条じょう）と明確めいかくに規定きていした。これにより、国防こくぼう委員いいん長ちょうが国家こっかの最高さいこう指導しどう者しゃとしての国家こっか元首げんしゅに宛あてられたことになる。ただし、その一方いっぽうで「最高さいこう人民じんみん会議かいぎ常任じょうにん委員いいん会かい委員いいん長ちょう（以下いか「常任じょうにん委員いいん長ちょう」）は、国家こっかを代表だいひょうし、外国がいこく使節しせつの信任しんにん状じょう、召喚しょうかん状じょうを接受せつじゅする」（第だい117条じょう）という規定きていもそのまま残のこされており、常任じょうにん委員いいん長ちょうも国家こっか元首げんしゅの権能けんのうの一部いちぶ（ただし儀礼ぎれい的てきな部分ぶぶんに限かぎられる）を行使こうししていることになる。
• 2011年ねんに金きむ正日じょんいるが死去しきょすると国防こくぼう委員いいん長ちょうは空席くうせきとなり、翌年よくねんの第だい12期き最高さいこう人民じんみん会議かいぎ第だい5回かい会議かいぎで金きむ正日じょんいるを「永遠えいえんの国防こくぼう委員いいん長ちょう」と位置いちづける決議けつぎが採択さいたくされるとともに、憲法けんぽうが改正かいせいされて国防こくぼう委員いいん長ちょうの職しょくは廃止はいしされた。新あらたに国家こっかの最高さいこう指導しどう者しゃとして国防こくぼう委員いいん会かい第だい一いち委員いいん長ちょうが設置せっちされ、金きむ正ただし恩おんが就任しゅうにんした。
• 2016年ねん6月29日にちに朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく社会しゃかい主義しゅぎ憲法けんぽうが改正かいせいされ、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく国防こくぼう委員いいん会かいが廃止はいしされ、それに代かわる国家こっかの最高さいこう政策せいさく指導しどう機関きかんとして朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく国務こくむ委員いいん会かいが設置せっちされた。国家こっかの最高さいこう指導しどう者しゃと規定きていされた国務こくむ委員いいん長ちょうには、金きむ正ただし恩おんが就任しゅうにんした。
• 2019年ねん8月がつ29日にちに朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく社会しゃかい主義しゅぎ憲法けんぽうが改正かいせいされ、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく国務こくむ委員いいん長ちょうに法令ほうれいや重要じゅうような政令せいれい、決定けっていを公布こうふする権限けんげんと外国がいこくに駐在ちゅうざいする外交がいこう代表だいひょうの任命にんめいや解任かいにんの権限けんげんが規定きていされた。

朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく社会しゃかい主義しゅぎ憲法けんぽう 第だい100条じょう

—国務こくむ委員いいん長ちょうは、国くにを代表だいひょうする朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくの最高さいこう指導しどう者しゃである。

キューバでは、2019年ねんまでは国家こっか元首げんしゅは国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうであり、単たんに儀礼ぎれい的てき地位ちいにとどまらず強大きょうだいな権限けんげんを有ゆうしていた。さらに、内閣ないかくに相当そうとうするのは閣僚かくりょう評議ひょうぎ会かいであり、閣僚かくりょう評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうが行政ぎょうせい権けんの担当たんとう者しゃとしての首相しゅしょうに相当そうとうする。機構きこう上じょうではその両者りょうしゃは分離ぶんりされているが、1976年ねん制定せいていの新しん憲法けんぽうでは国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうは閣僚かくりょう評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうが兼任けんにんすると規定きていされており、国家こっか元首げんしゅと行政ぎょうせい権けんの首長しゅちょうの権能けんのうは統合とうごうされて国家こっかの最高さいこう指導しどう権けんが集中しゅうちゅうしていた。ラウル・カストロが国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうを退しりぞいた2018年ねん以降いこうは大統領だいとうりょう制せいが導入どうにゅうされ、国家こっか元首げんしゅは大統領だいとうりょうと定さだめられた。

専制せんせい国家こっか・軍事ぐんじ国家こっか・独裁どくさい政治せいじ国家こっかの国家こっか元首げんしゅ

形式けいしき的てきには共和きょうわ制せいなどの政体せいたいを採とっているものの、実際じっさいには終身しゅうしん大統領だいとうりょうのような独どく任にん制せいの元首げんしゅが強大きょうだいな政治せいじ的てき権限けんげんを有ゆうしている。軍部ぐんぶ・宗教しゅうきょう団体だんたい・部族ぶぞく・外部がいぶ勢力せいりょくといった特定とくていの集団しゅうだんが権力けんりょくを掌握しょうあくし、その代表だいひょう者しゃが元首げんしゅに就任しゅうにんしていることが多おおい。これらの場合ばあい、形式けいしき的てきに議会ぎかいは存在そんざいしていても、それは国家こっか元首げんしゅや特定とくてい集団しゅうだんの追認ついにん機関きかんに過すぎない。民主みんしゅ的てきで公正こうせいな選挙せんきょが行おこなわれていないこともよく見みられる。北朝鮮きたちょうせん、アフリカの多おおくの諸国しょこくや、いわゆる「開発かいはつ独裁どくさい」制せいを敷しく国家こっか、かつての南米なんべいの多おおくが、これに分類ぶんるいされる。

軍事ぐんじ国家こっかでは、軍部ぐんぶ出身しゅっしんの大統領だいとうりょうが国家こっか元首げんしゅとなる場合ばあいや、軍事ぐんじ政権せいけんが樹立じゅりつした「○○評議ひょうぎ会かい」（革命かくめい評議ひょうぎ会かい、救国きゅうこく評議ひょうぎ会かい、国家こっか評議ひょうぎ会かいなど）議長ぎちょうが国家こっか元首げんしゅの役割やくわりを果はたす場合ばあい、などがある。

• 1988年ねん9月から2011年ねん2月がつまでのミャンマーの国家こっか元首げんしゅは、国家こっか平和へいわ発展はってん評議ひょうぎ会かい議長ぎちょう（ソウ・マウン、タン・シュエ）だった。同国どうこくは2011年ねん2月がつに大統領だいとうりょう制せいに移管いかんし、選挙せんきょの結果けっかとしてテイン・セイン首相しゅしょうが大統領だいとうりょうに就任しゅうにんした。大統領だいとうりょう制せい移管いかん後ごも暫しばらくは、国家こっか平和へいわ発展はってん評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうのタン・シュエが国家こっか元首げんしゅと目めされていたが2011年ねん3月がつに国家こっか平和へいわ発展はってん評議ひょうぎ会かいは解散かいさんとなり、タン・シュエは政治せいじ的てき影響えいきょう力りょくを行使こうししなくなった。軍事ぐんじ政権せいけんの基盤きばんは与党よとうの連邦れんぽう団結だんけつ発展はってん党とうに引ひき継つがれ、2011年ねん3月がつの国家こっか平和へいわ発展はってん評議ひょうぎ会かい解散かいさん後ごの国家こっか元首げんしゅは名実めいじつともに大統領だいとうりょうのテイン・セインになった。それ以降いこう、ミャンマーは少すこしずつ民主みんしゅ化か路線ろせんを受うけ入いれていき、2016年ねん3月30日にちに国民こくみん民主みんしゅ連盟れんめいが選出せんしゅつしたティン・チョーが大統領だいとうりょうに就任しゅうにんし、54年ねんぶりの文民ぶんみん大統領だいとうりょうが誕生たんじょうした。
• モーリタニアでは2008年ねんに軍事ぐんじクーデターが起おこって大統領だいとうりょうが失脚しっきゃくし、軍事ぐんじ政権せいけんの高等こうとう国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょう（ムハンマド・ウルド・アブデルアズィーズ）が国家こっか元首げんしゅとなった。2009年ねん、大統領だいとうりょう選せんが実施じっしされて形式けいしき的てきには民政みんせい移管いかんを果はたし、国家こっかの形態けいたいも大統領だいとうりょう制せいに戻もどった。ただ、新あたらしい大統領だいとうりょうとなったのは前ぜん高等こうとう国家こっか評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうのムハンマド・ウルド・アブデルアズィーズであった。

かつてのナチス・ドイツでは、1934年ねん8月がつ2日にちに発効はっこうした「国家こっか元首げんしゅに関かんする法律ほうりつ」によって、それまで国家こっか元首げんしゅであった大統領だいとうりょうと首相しゅしょうの職務しょくむが統合とうごうされ、指導しどう者しゃおよび首相しゅしょうであるアドルフ・ヒトラー（Der Führer und Reichskanzler Adolf Hitler）個人こじんに大統領だいとうりょう権限けんげんが委譲いじょうされた。これはヒトラーが民族みんぞく共同きょうどう体たいの指導しどう者しゃであるという指導しどう者しゃ原理げんりに基もとづくものであり、法律ほうりつや命令めいれいを必要ひつようとせず、発言はつげんすべてが「法ほう」となる存在そんざいとなった（総統そうとうを参照さんしょう）。

ナチス・ドイツの支配しはい下かにあったクロアチア独どく立国りっこく（1941年ねん - 1945年ねん）では、建国けんこく当初とうしょの国家こっか元首げんしゅは国王こくおう（トミスラヴ2世せい）であった。しかしこの地位ちいはまったく形式けいしき上じょうのもの（トミスラヴ2世せいは終始しゅうしイタリアに居住きょじゅうし、クロアチアには足あしを踏ふみ入いれることがなかった）であり、国家こっかの最高さいこう指導しどう者しゃはポグラヴニク（国家こっか指導しどう者しゃまたは総統そうとうと訳やくされる）の称号しょうごうを名乗なのるアンテ・パヴェリッチであった。さらに、1943年ねんのイタリア敗戦はいせんにともなってトミスラヴ2世せい国王こくおうが退位たいいしたため、パヴェリッチはポグラヴニクの称号しょうごうのもとで名実めいじつともに国家こっか元首げんしゅとなった。

特殊とくしゅな政体せいたいを採とる国家こっかの元首げんしゅ

ムアンマル・アル＝カッザーフィー（カダフィ大佐たいさ）が支配しはいしていた時代じだいのリビアはジャマーヒリーヤ（直接ちょくせつ民主みんしゅ制せい）という特異とくいな政体せいたいを標榜ひょうぼうしており、法的ほうてきには国家こっか元首げんしゅは存在そんざいしなかった。通常つうじょうは国家こっか元首げんしゅの職務しょくむとされている権能けんのうの一部いちぶは、全国ぜんこく人民じんみん会議かいぎ書記しょきが担になっており、同どう書記しょきが事務じむ的てきには元首げんしゅ代行だいこうともいえる。事実じじつ上じょうの最高さいこう指導しどう者しゃは革命かくめい指導しどう者しゃのカッザーフィーであり、1979年ねんまでは革命かくめい評議ひょうぎ会かい議長ぎちょうや全国ぜんこく人民じんみん会議かいぎ書記しょき長ちょうという役職やくしょくに就ついていた名実めいじつともに国家こっか元首げんしゅであった。カッザーフィーは1979年ねんに一切いっさいの公職こうしょくを退しりぞいているが、それ以降いこうも革命かくめい指導しどう者しゃという肩書かたがきで他国たこく元首げんしゅと親書しんしょのやり取とりをするなど、対外たいがい的てきに国家こっか元首げんしゅと受うけ取とれる役割やくわりを担になっていた。その一方いっぽうでカッザーフィーは1988年ねんに勃発ぼっぱつしたパンアメリカン航空こうくう103便びん爆破ばくは事件じけんの容疑ようぎ者しゃ引ひき渡わたし問題もんだいで国連こくれんのコフィー・アナン事務じむ総長そうちょうと会談かいだんした際さいには「私わたしは国家こっか元首げんしゅでも首相しゅしょうでもないので、容疑ようぎ者しゃを引ひき渡わたす権限けんげんを持もっていません」と語かたったことがある。

イランはイスラム共和きょうわ制せいを採とっており、国家こっか元首げんしゅに相当そうとうするのはイスラーム聖職せいしょく者しゃである最高さいこう指導しどう者しゃである。それとは別べつに、直接ちょくせつ選挙せんきょによって選えらばれる大統領だいとうりょうは存在そんざいするが行政ぎょうせい権けんの首長しゅちょうにすぎず、最高さいこう指導しどう者しゃから解任かいにんされる規定きていがある。ただ、対外たいがい的てきにはイランの大統領だいとうりょうも元首げんしゅに準じゅんずる存在そんざいとして扱あつかわれている。日本にっぽんの外務省がいむしょうは最高さいこう指導しどう者しゃと大統領だいとうりょうが「元首げんしゅ」としての権能けんのうを分有ぶんゆうしているとしている。

バチカン市し国こくの国家こっか元首げんしゅはローマ教皇きょうこうである。ローマ教皇きょうこうはバチカンという独立どくりつ国こくの国家こっか元首げんしゅであるとともに、全ぜん世界せかいのローマ・カトリック教会きょうかいの統治とうち者しゃであり、イエス・キリストの代理人だいりにんとされている。教皇きょうこうの選出せんしゅつはローマ・カトリック教会きょうかいの高位こうい聖職せいしょく者しゃである枢機卿すうききょうによる互選ごせん（コンクラーヴェ）であるから、大統領だいとうりょう制せいのような国家こっか元首げんしゅ公選こうせん制せいと見みることもできる。ただ、教皇きょうこうは任期にんきが定さだめられていない上うえに本人ほんにんの意いに反はんする退位たいいが認みとめられておらず、事実じじつ上じょう終身しゅうしんの地位ちいである。また教皇きょうこうの地位ちいには特別とくべつな権威けんい（聖せい座ざ）が認みとめられている。そうした点てんではバチカン市し国こくの国家こっか元首げんしゅとしてのローマ教皇きょうこうの地位ちいは大統領だいとうりょう制せいの大統領だいとうりょうと同等どうとうとはいえず、むしろ選挙せんきょ君主くんしゅ制せいのもとでの君主くんしゅに近ちかい。

チベット（1959年ねん以降いこうは亡命ぼうめい政権せいけん）の国家こっか元首げんしゅは、チベット仏教ぶっきょうのダライ・ラマ法王ほうおうであった。ダライ・ラマ法王ほうおうの地位ちいは世襲せしゅうでも選挙せんきょ制せいでもなく「転生てんせい」という特異とくいな方式ほうしきにより継承けいしょうされていた。1959年ねんのチベット動乱どうらんによってダライ・ラマ14世せいとチベット政府せいふ（ガンデンポタン）はインドに移うつって亡命ぼうめい政府せいふを樹立じゅりつした。1961年ねん、将来しょうらいの独立どくりつチベット国家こっかの体制たいせいの指針ししんであるとともに亡命ぼうめいチベット人じん社会しゃかいを統治とうちするための自由じゆうチベット憲法けんぽうが制定せいていされ、ダライ・ラマは立憲りっけん君主くんしゅ制せい体制たいせいの元首げんしゅと定さだめられた。その後ご、2011年ねんにダライ・ラマ14世せいの発議はつぎによって亡命ぼうめいチベット人じん憲章けんしょうが改訂かいていされ、ダライ・ラマは「チベットとチベット人じんの守護しゅご者しゃであり象徴しょうちょう」となり、チベット亡命ぼうめい政府せいふの国家こっか元もと首くびの座ざは亡命ぼうめい政府せいふ主席しゅせき大臣だいじんに移譲いじょうされた。

サモア独どく立国りっこく（1997年ねん7月がつ3日にちまでは西にしサモア（独立どくりつ国こく））の国家こっか元首げんしゅは、オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー（サモア式しき国家こっか元首げんしゅ）であり、独立どくりつ前まえの1960年ねん10月28日にちの起草きそうによるものであり、1962年ねん1月がつ1日にちの独立どくりつとともに施行しこうされた憲法けんぽうで定さだめられた国家こっか元首げんしゅの称号しょうごうである。「アオ」「マーロー」は現地げんち語ご（サモア語ご）でそれぞれ「頭あたま（ここでは“長ちょう（おさ）”）」「政府せいふ/王国おうこく」を意味いみする（詳細しょうさいはサモア国家こっか元首げんしゅの「概要がいよう」を参照さんしょう）。

政治せいじ的てきな諸しょ事情じじょうによって本来ほんらいの国家こっか元首げんしゅを置おくことができない場合ばあい、それに代かわる存在そんざいが国家こっか元首げんしゅとなる場合ばあいがある。

• 第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごのハンガリー王国おうこくは、本来ほんらいはハプスブルク家か出身しゅっしんのオーストリア大公たいこうヨーゼフ・アウグストを国王こくおうとする王国おうこくとして成立せいりつするはずであった。しかしハプスブルク家かの国王こくおうを戴いただくことに内外ないがいの反発はんぱつが強つよかったため、ヨーゼフ・アウグストは国王こくおうになることができず、さらにオーストリア＝ハンガリー帝国ていこく最後さいごの皇帝こうていであったカール1世せい（カーロイ4世せい）のハンガリー国王こくおうとしての復辟ふくへき運動うんどうとその失敗しっぱいもあり、国王こくおう空位くういの王国おうこくとなった。国王こくおうに代かわる国家こっか元首げんしゅとして摂政せっしょうが置おかれ、建国けんこくから1944年ねんまで海軍かいぐん提督ていとくホルティ・ミクローシュが摂政せっしょうを務つとめた。
• スペイン内戦ないせん後ごのスペインでは、内戦ないせんに勝利しょうりしたフランシスコ・フランコ将軍しょうぐんが独裁どくさい権けんを握にぎり、国家こっか元首げんしゅに就任しゅうにんした。国家こっか元首げんしゅとしてのフランコはカウディーリョ（Caudillo、日本語にほんごでは総統そうとうと訳やくされる）の称号しょうごうを用もちいた。なお、軍ぐん総そう司令しれい官かんとしてのフランコの称号しょうごうはヘネラリッシモ（Generalísimo、総帥そうすい）である。一方いっぽう、フランコは自分じぶんの後継こうけい体制たいせいにおいては王制おうせい復古ふっこしてスペインを王国おうこくに戻もどすべきだと考かんがえていた。1947年ねんにフランコ総統そうとうは「国家こっか首長しゅちょう継承けいしょう法ほう」を制定せいていし、スペインを「王国おうこく」とすること、フランコが王国おうこくの「摂政せっしょう」として終身しゅうしんの国家こっか元首げんしゅとなること、フランコに後継こうけいの国王こくおうの指名しめい権けんが付与ふよされることなどを定さだめた。

満まん洲しゅう国こくは1932年ねんの建国けんこくの際さい、愛あい新しん覚さとし羅ら溥儀ふぎが国家こっか元首げんしゅとなった。清きよしの最後さいごの皇帝こうていであった溥儀ふぎは、満まん洲しゅう国こくでも皇帝こうていとなることを熱望ねつぼうしていたが、同国どうこくの実質じっしつ上じょうの支配しはい者しゃであった日本にっぽんの関東軍かんとうぐんは帝政ていせいを採とることによる新しん国家こっかのイメージの低下ていかを懸念けねんしてそれを許ゆるさなかったため、建国けんこく当初とうしょの満まん洲しゅう国こくの国家こっか元首げんしゅの称号しょうごうは執政しっせいという曖昧あいまいなものとなった。関東軍かんとうぐんの意向いこうは「満まん洲しゅう国こくの元首げんしゅは執政しっせい、ただし執政しっせいが善政ぜんせいを敷しくこと数すう年ねんに及およぶならば、全ぜん国民こくみんの推戴すいたいによって執政しっせいは皇帝こうていとなる」というものであった。1934年ねん（康徳やすのり元年がんねん）3月がつ1日にち、満まん洲しゅう国こくは帝政ていせいに移行いこうして溥儀ふぎが皇帝こうていに即位そくい、それによって「執政しっせい」の称号しょうごうは消滅しょうめつした。満まん洲しゅう国こくの組織そしき法ほう第だい三さん条じょうは「皇帝こうていは国くにの元首げんしゅにして統治とうち権けんを総攬そうらんし本法ほんぽうの条規じょうきによりこれを行くだりふ」と規定きていした。

ヴィシー政権せいけんのフランス（国号こくごうは「フランス国こく」、1940年ねん - 1944年ねん）の国家こっか元首げんしゅはフィリップ・ペタン元帥げんすいであった。国家こっか元首げんしゅとしてのペタンはフランス国家こっか主席しゅせき（フランス語ふらんすご: Chef de l'État français）の称号しょうごうを名乗なのっていた。この国くには、憲法けんぽうが「全ぜん権力けんりょくをペタン将軍しょうぐんに委任いにんする」の1条じょうだけから構成こうせいされるという、きわめて特異とくいな国家こっか体制たいせいを採とっていた。

日本にっぽんの元首げんしゅ

詳細しょうさいは「日本にっぽんの元首げんしゅ」および「象徴しょうちょう天皇てんのう制せい#議論ぎろん」を参照さんしょう

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうでは天皇てんのうを元首げんしゅと規定きていしていたが、日本国にっぽんこく憲法けんぽうを始はじめとする現行げんこうの日本にっぽんの法律ほうりつには国家こっか元首げんしゅの規定きていがない。

内閣ないかく法制ほうせい局きょくは、「要ようするに元首げんしゅの定義ていぎいかんに帰きする問題もんだいである」「かつてのように元首げんしゅとは内うち治ち、外交がいこうのすべてを通つうじて国くにを代表だいひょうし行政ぎょうせい権けんを掌握しょうあくをしている、そういう存在そんざいであるという定義ていぎによりますならば、現行げんこう憲法けんぽうのもとにおきましては天皇てんのうは元首げんしゅではないということになろう」「今日きょうでは、実質じっしつ的てきな国家こっか統治とうちの大権たいけんを持もたれなくても国家こっかにおけるいわゆるヘッドの地位ちいにある者ものを元首げんしゅと見みるなどのそういう見解けんかいもあるわけでありまして、このような定義ていぎによりますならば、天皇てんのうは国くにの象徴しょうちょうであり、さらにごく一部いちぶではございますが外交がいこう関係かんけいにおいて国くにを代表だいひょうする面めんを持もっておられるわけでありますから、現行げんこう憲法けんぽうのもとにおきましてもそういうような考かんがえ方かたをもとにして元首げんしゅであるというふうに言いっても差さし支つかえない」「天皇てんのうは限定げんていされた意味いみにおける元首げんしゅである」としており、天皇てんのうを元首げんしゅと呼よびうるかは定義ていぎによるとしている。

憲法けんぽう学がく説せつ上じょうは議論ぎろんがあり、多数たすう説せつは内閣ないかくまたは内閣ないかく総理そうり大臣だいじん元首げんしゅ説せつで、元首げんしゅ不ふ存在そんざい説せつ等とうもある。

外交がいこう慣例かんれい上じょうでは天皇てんのうは元首げんしゅと同様どうようの待遇たいぐうを受うけている。

国家こっか元首げんしゅに関かんする慣例かんれい

国家こっか元首げんしゅの慣例かんれいとみなされる例れいについては「兵へいは誰だれに忠誠ちゅうせいを誓ちかうか」や「自国じこくで開催かいさいされたオリンピック開会かいかい式しきの開会かいかい宣言せんげんは誰だれが行おこなうか」などがある。

外交がいこう特権とっけん

国家こっか元首げんしゅや政府せいふの長ながおよび外務がいむ大臣だいじんについては、慣例かんれいにより対象たいしょう国こくによる外交がいこう官かん接受せつじゅがなくとも外交がいこう特権とっけんが認みとめられる。

パスポートや査証さしょうの扱あつかいも異ことなり、例たとえば日本にっぽんでは、皇后こうごうを除のぞく皇族こうぞくが外交がいこうの際さいに用もちいるパスポートは外交がいこう旅券りょけんであり、天皇てんのう及および皇后こうごうは旅券りょけんは必要ひつようない。公式こうしき訪問ほうもんの際さいには、受入うけいれ（接受せつじゅ）国こくに保護ほご義務ぎむが発生はっせいする。

兵へいは誰だれに忠誠ちゅうせいを誓ちかうか

古代こだいローマの昔むかしより軍ぐんはインペリウム（ローマ法ほうに承認しょうにんされた命令めいれい権けん）に対たいして忠誠ちゅうせいの宣誓せんせいを行おこなうことが政せい軍ぐん関係かんけいの基礎きそとされていた。

日本にっぽんでは1882年ねん（明治めいじ15年ねん）の軍人ぐんじん勅みことのり諭さとしにおいて、統帥とうすい権けんは天皇てんのうにあり忠節ちゅうせつは国家こっか・国権こっけんに尽つくすものとした。戦後せんご、この忠誠ちゅうせい宣誓せんせいは自衛隊じえいたい法ほう施行しこう規則きそく（39-42条じょう）により規定きていされた が、国くに、日本国にっぽんこく憲法けんぽう、法令ほうれいおよび国民こくみんの負託ふたくに宣誓せんせいする体裁ていさいをとっており、天皇てんのうや内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに対たいする宣誓せんせいの体裁ていさいは採用さいようしていない。一方いっぽうで自衛隊じえいたい法ほう第だい7条じょうにより、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんは内閣ないかくを代表だいひょうして自衛隊じえいたいの最高さいこうの指揮しき監督かんとく権けんを有ゆうする、とされる。なお、服務ふくむ宣誓せんせいについては国家こっか公務員こうむいん一般いっぱん職しょく（国家こっか公務員こうむいん法ほう第だい97条じょう）、地方ちほう公務員こうむいん一般いっぱん職しょく（地方ちほう公務員こうむいん法ほう第だい31条じょう）においても求もとめられる。

オリンピックの開会かいかい式しきの開催かいさい宣言せんげんは誰だれが行おこなうか

「オリンピックの開会かいかい宣言せんげん者しゃ一覧いちらん」も参照さんしょう

オリンピック憲章けんしょうでは近代きんだいオリンピックの開会かいかい宣言せんげんは、開催かいさい国こくの国家こっか元首げんしゅによっておこなわれるものと規定きていされている。

日本にっぽんで開ひらかれた近代きんだいオリンピック（1964年ねん東京とうきょう・1972年ねん札幌さっぽろ・1998年ねん長野ながの、2021年ねん東京とうきょう）では、いずれも今上きんじょう天皇てんのうが開会かいかい宣言せんげんを行おこなっている。

一個人いっこじんとしての国家こっか元首げんしゅがいないとされるスイスでは2回かいのオリンピック（1928年ねんサンモリッツと1948年ねんサンモリッツ）でいずれもその年としの連邦れんぽう大統領だいとうりょうが開会かいかい宣言せんげんを行おこなっている。

1980年ねんにソビエト連邦れんぽうで開ひらかれた1980年ねんモスクワオリンピックでは最高さいこう会議かいぎ幹部かんぶ会かい議長ぎちょうレオニード・ブレジネフが開会かいかい宣言せんげんを行おこなっている。

英えい連邦れんぽう王国おうこくにおいては、1976年ねんモントリオールオリンピックではエリザベス2世せいがカナダ女王じょおうとして開会かいかい宣言せんげんを行おこなっている。その後ご、1988年ねんカルガリーオリンピックでカナダ総督そうとくジャンヌ・ソーヴェが開会かいかいを宣言せんげんして以降いこう、2000年ねんシドニーオリンピックではオーストラリア総督そうとくウィリアム・ディーンが、2010年ねんバンクーバーオリンピックではカナダ総督そうとくミカエル・ジャンが開会かいかいを宣言せんげんしている。

ただし、憲章けんしょうができる前まえには閣僚かくりょうや有力ゆうりょく者しゃが、国家こっか元首げんしゅが出席しゅっせきできない場合ばあいは国家こっか元首げんしゅに準じゅんずる人物じんぶつ（王おう配はいや副ふく大統領だいとうりょうなど）が、開会かいかい宣言せんげんを行おこなったことがある。

その他た

国家こっか元首げんしゅが宗教しゅうきょうの首長しゅちょうを兼かねる例れい

現在げんざいの事例じれいとして、次つぎのようなものがある。

• ローマ教皇きょうこう - バチカン市し国こく元首げんしゅとカトリック教会きょうかいの首長しゅちょうを兼かねる
• イギリス国王こくおう - イギリス国王こくおうとイングランド国教こっきょう会かいの地上ちじょうにおける唯一ゆいいつ最高さいこうの首長しゅちょうを兼かねる
• デンマーク国王こくおう ‐ デンマーク国教こっきょう会かい（ルター派は）首長しゅちょう
• ノルウェー国王こくおう ‐ ノルウェー国教こっきょう会かい（ルター派は）首長しゅちょう

かつての事例じれい（近代きんだい以降いこう）。

• 中国ちゅうごくの皇帝こうていは天命てんめいを受うけ天子てんしとして天てんを祭まつる祭政さいせいの総攬そうらん者しゃであった。
• オスマン帝国ていこくのスルタンはイスラームの首長しゅちょうであるカリフの称号しょうごうを持もち、オスマン帝国ていこくの崩壊ほうかい後ごはヒジャーズ王おうがカリフを名乗なのった。
• モンテネグロでは中世ちゅうせい以来いらいツェティニェの主教しゅきょうが「主教しゅきょう公こう」として支配しはいしており、16世紀せいき以降いこうペトロヴィチ＝ニェゴス家かがその地位ちいを保持ほじした。
• ネパール王国おうこくの君主くんしゅは、ヒンドゥー教きょうの神かみヴィシュヌの化身けしんとされた。
• チベットでは1959年ねんまでダライ・ラマ が国家こっか元首げんしゅとチベット仏教ぶっきょうの法王ほうおうを兼かねていた。1959年ねんに発足ほっそくしたチベット亡命ぼうめい政府せいふでもダライ・ラマは元首げんしゅとチベット仏教ぶっきょうの最高さいこう指導しどう者しゃを兼かねていた。しかし、2011年ねん5月がつ28日にちに亡命ぼうめいチベット人じん憲章けんしょうが改訂かいていされ、ダライ・ラマは政治せいじ的てき権限けんげんを亡命ぼうめい政府せいふ主席しゅせき大臣だいじんに委譲いじょうし、同どう大臣だいじんがチベット亡命ぼうめい政府せいふの国家こっか元首げんしゅとなった。ダライ・ラマは「チベットとチベット人じんの守護しゅご者しゃであり象徴しょうちょう」となった。
• 日本にっぽんの天皇てんのうは、明治めいじから第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつまでは国家こっか神道しんとう（神社じんじゃ神道しんとう）の頂点ちょうてんに立たち、現人神あらひとがみと呼よばれた。現在げんざいは皇室こうしつ神道しんとうは神社じんじゃ神道しんとうから分離ぶんりしており、天皇てんのうは神社じんじゃ本庁ほんちょうの長ちょうではない。ただ、現在げんざいでも伝統でんとう的てきに皇室こうしつは大嘗祭だいじょうさい等とうをはじめとした多おおくの神道しんとうの祭祀さいしを執とり行おこない、伊勢神宮いせじんぐうや勅みことのり祭さい社しゃに定期ていき的てきに勅使ちょくしを派遣はけんしている。

日本にっぽんにおける「外国がいこくの元首げんしゅ」が関連かんれんする法ほう規定きてい

日本にっぽんでは「外国がいこくの元首げんしゅ」が関連かんれんする法ほう規定きていとして以下いかのものがある。

• 特別とくべつ永住えいじゅう者しゃを外国がいこくの元首げんしゅに対たいする犯罪はんざい行為こういで禁錮きんこ以上いじょうの刑けいに処しょせられた上うえに日本にっぽん国こくの外交がいこう上じょうの重大じゅうだいな利益りえきが害がいされたと法務大臣ほうむだいじんが認定にんていして退去たいきょ強制きょうせいさせる規定きてい（入管にゅうかん特例とくれい法ほう第だい9条じょう第だい1項こう第だい3号ごう）
• 日本にっぽん国内こくないにおける外国がいこく政府せいふと個人こじんにおける労働ろうどう契約けいやく終了しゅうりょう効力こうりょくに関かんする訴うったえであって、当該とうがい外国がいこく元首げんしゅによって当該とうがい訴うったえに係かかる裁判さいばん手続てつづきが当該とうがい外国がいこく等とうの安全あんぜん保障ほしょう上じょうの利益りえきを害がいするおそれがあるとされた場合ばあいは裁判さいばん権けんから免除めんじょされる規定きてい（対たい外国がいこく等とう民事みんじ裁判さいばん権けん法ほう第だい9条じょう第だい2項こう）

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 『天皇てんのう制せい（皇室こうしつ典範てんぱんその他たの皇族こうぞく関連かんれん法ほうに関かんする調査ちょうさを含ふくむ）に関かんする基礎きそ的てき資料しりょう (PDF) 』衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさ会かい事務じむ局きょく（平成へいせい16年ねん2月がつ5日にちの参考さんこう資料しりょう）
• 『象徴しょうちょう天皇てんのう制せいに関かんする基礎きそ的てき資料しりょう 最高さいこう法規ほうきとしての憲法けんぽうのあり方かたに関かんする調査ちょうさ小しょう委員いいん会かい (PDF) 』衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう調査ちょうさ会かい事務じむ局きょく（平成へいせい15年ねん2月がつ6日にち及および3月がつ6日にちの参考さんこう資料しりょう）

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの元首げんしゅ
• 国家こっか
• 君主くんしゅ制せい
• 立憲りっけん君主くんしゅ制せい
• 共和きょうわ制せい
• 統治とうち者しゃ
• 世界せかい各国かっこくの指導しどう者しゃ一覧いちらん
• 選出せんしゅつもしくは任命にんめいされた女性じょせいの元首げんしゅの一覧いちらん
• 存命ぞんめいする高齢こうれいの元首げんしゅ・首脳しゅのう経験けいけん者しゃの一覧いちらん

日本にっぽん関連かんれん

• 天皇てんのう制せい（皇室こうしつ制度せいど）
• 象徴しょうちょう天皇てんのう制せい

外部がいぶリンク

• 元首げんしゅ - コトバンク