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合成燃料 - Wikipedia

合成ごうせい燃料ねんりょう(ごうせいねんりょう、英語えいご: Synthetic fuel)は、天然てんねん燃料ねんりょう近似きんじ組成そせい同等どうとうエネルギー製造せいぞう燃料ねんりょう適用てきようされる総称そうしょうである[1]一般いっぱんには石油せきゆるいはじめとする化石かせき燃料ねんりょう代替だいたい燃料ねんりょうすことがおおく、石炭せきたん液化えきかなどはふるくから研究けんきゅうされてきた。近年きんねん主要しゅよう製造せいぞう方法ほうほうとして、一酸化いっさんか炭素たんそ水素すいそ合成ごうせいガス)から触媒しょくばい反応はんのうにより炭化たんか水素すいそ合成ごうせいするフィッシャー・トロプシュほうMTGほう英語えいごばんがある[2]おなじく工業こうぎょうてき製造せいぞうされるバイオ燃料ねんりょうたいし、合成ごうせい燃料ねんりょう自体じたいかならずしもカーボンニュートラル(CN)ではないが、原油げんゆにくらべて硫黄いおうぶん重金属じゅうきんぞくぶんすくなく、排出はいしゅつガスがクリーンという特徴とくちょうもある。

合成ごうせい燃料ねんりょう」の定義ていぎ曖昧あいまいで、もっとひろ定義ていぎとしては、天然てんねん存在そんざいする原油げんゆ由来ゆらいしない燃料ねんりょうはすべて合成ごうせい燃料ねんりょうである。米国べいこくエネルギー情報じょうほうきょくは、合成ごうせい燃料ねんりょうを、石炭せきたん天然てんねんガス、バイオマス原料げんりょうから、合成ごうせい原油げんゆ合成ごうせい液体えきたい燃料ねんりょう化学かがく変換へんかんして生産せいさんされる燃料ねんりょう定義ていぎしている[3]合成ごうせい燃料ねんりょう定義ていぎには、バイオマス産業さんぎょう廃棄はいきぶつ都市とし廃棄はいきぶつから製造せいぞうされた燃料ねんりょうふくまれている。これらの定義ていぎでは、オイルサンドオイルシェール合成ごうせい燃料ねんりょうげんとして理解りかいすることができる。また、液体えきたい燃料ねんりょうくわえ、合成ごうせいされた気体きたい燃料ねんりょう合成ごうせい燃料ねんりょうとみなされる[4]。さらにメタノールエタノール水素すいそ定義ていぎふくまれるという見方みかたもできる。[5]

再生さいせい可能かのうエネルギー由来ゆらい水素すいそもちいた合成ごうせい燃料ねんりょうは「e-fuel」とばれており、炭素たんそ循環じゅんかん貢献こうけんするだつ炭素たんそ燃料ねんりょうになりうるとして注目ちゅうもくされている[6]

合成ごうせい方法ほうほう

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合成ごうせい方法ほうほうは、直接ちょくせつ変換へんかん間接かんせつ変換へんかんけられる。[7]

間接かんせつ変換へんかん

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世界せかいてき主流しゅりゅうなのが間接かんせつ変換へんかんで、フィッシャー・トロプシュほう(FTほう)をもちいるのが代表だいひょうてき合成ごうせい方法ほうほうである。この方法ほうほうでは、メタンから一酸化いっさんか炭素たんそ(CO)と水素すいそ(H)からなる合成ごうせいガスを生成せいせいしたのち、さい合成ごうせいしてディーゼル燃料ねんりょう軽油けいゆ)やガソリン直接ちょくせつ生成せいせいする[8]合成ごうせいガスのつぎにメタノールを経由けいゆするMTGとばれる方法ほうほうもあるが、コストめんからFTほう有利ゆうりとされる[8]

メタンは天然てんねんガスからのあらためしつでも生成せいせい可能かのうであるが、CO2とH2合成ごうせいして製造せいぞうメタネーション)するのが有用ゆうようである[8]

二酸化炭素にさんかたんそ調達ちょうたつさきは、工場こうじょう発電はつでんしょなどから排出はいしゅつされる二酸化炭素にさんかたんそと、大気たいきちゅう二酸化炭素にさんかたんそがある。これにより、二酸化炭素にさんかたんそによる地球ちきゅう温暖おんだん直接的ちょくせつてき抑制よくせいすることも期待きたいされる。調達ちょうたつには、研究けんきゅう開発かいはつちゅう二酸化炭素にさんかたんそ回収かいしゅう貯留ちょりゅう利用りよう(CCUS)技術ぎじゅつ空気くうきからのCO2分離ぶんり回収かいしゅうDAC技術ぎじゅつもとめられ、ともに実用じつようにはコスト削減さくげん課題かだいである[9]

水素すいそ水素すいそ単体たんたいかたち存在そんざいしないため、水素すいそ化合かごうぶつにエネルギーをくわえて水素すいそ必要ひつようがある。製造せいぞうされる水素すいそは、CO2排出はいしゅつ形態けいたいにより3つに大分おおいたされる[10]。1つは、化石かせき燃料ねんりょうあらためしつにより水素すいそ製造せいぞうする方法ほうほう(グレー水素すいそ)。既存きそん主要しゅよう水素すいそ製造せいぞう方法ほうほうであるが、CO2はそのまま排出はいしゅつされる問題もんだいてんがある。2つは、1つ製造せいぞうほうとCCUS技術ぎじゅつわせたもの(ブルー水素すいそ)。CNとなるが、効率こうりつである。3つは、再生さいせい可能かのうエネルギーによる電力でんりょくもちいてみず電気でんき分解ぶんかいすることにより製造せいぞうする手法しゅほう(グリーン水素すいそ)。完全かんぜんCNかつ効率こうりつてきプロセスで、将来しょうらい基本きほんになるとされている[6]

直接ちょくせつ変換へんかん

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直接ちょくせつ変換へんかんは、石炭せきたんやバイオマスの原料げんりょう直接ちょくせつ中間ちゅうかん製品せいひん最終さいしゅう製品せいひん変換へんかんする方法ほうほうである。ガスさせてから合成ごうせいするプロセスをはぶけるのが特徴とくちょうで、褐炭かったん水素すいそして合成ごうせい燃料ねんりょうつくベルギウスほうなどがられている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Synthetic Fuel - an overview”. www.sciencedirect.com. 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ vol.6 カーボンニュートラルで話題わだいの「合成ごうせい燃料ねんりょう(e-fuel)」とは?そのメリットから製造せいぞう方法ほうほうまで解説かいせつ”. www.jogmec.go.jp. 2023ねん5がつ2にち閲覧えつらん
  3. ^ Annual Energy Outlook 2006 with Projections to 2030”. The Energy Information Administration. 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ Handbook of Alternative Fuel Technologies』CRC Press、2017ねんhttp://www.liu.umd.edu/files/Handbook%20of%20Alternative%20Fuel%20Technologies.pdf 
  5. ^ Lee, Sunggyu (1990). Methanol synthesis technology. Boca Raton, Fla.: CRC Press. ISBN 0-8493-4610-X. OCLC 20167730. https://www.worldcat.org/oclc/20167730 
  6. ^ a b エンジンしゃでもだつ炭素たんそ?グリーンな液体えきたい燃料ねんりょう合成ごうせい燃料ねんりょう」とは”. 経済けいざい産業さんぎょうしょう 資源エネルギしげんえねるぎちょう. 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  7. ^ 合成ごうせい燃料ねんりょう現状げんじょう今後こんご動向どうこうについて”. IEEJ (2008ねん). 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c 合成ごうせい燃料ねんりょうはどこまでCNか、コストはがるか”. 日経にっけいクロステック. 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  9. ^ 日経にっけいクロステック(xTECH). “合成ごうせい燃料ねんりょうかぎにぎ原料げんりょうとしてのCO2”. 日経にっけいクロステック(xTECH). 2023ねん4がつ2にち閲覧えつらん
  10. ^ 次世代じせだいエネルギー「水素すいそ」、そもそもどうやってつくる?”. 経済けいざい産業さんぎょうしょう 資源エネルギしげんえねるぎちょう. 2023ねん4がつ21にち閲覧えつらん