「写 うつ し絵 え 」はこの項目 こうもく へ転送 てんそう されています。絵 え の上 うえ に透 す ける紙 かみ を置 お き、なぞって写 うつ す行為 こうい については「トレース (製図 せいず ) 」をご覧 らん ください。
影絵 かげえ (かげえ)は、紙 かみ や木 き で作 つく られた人形 にんぎょう 、または動物 どうぶつ などに見立 みた てた手 て など体 からだ の一部 いちぶ の後方 こうほう から光 ひかり を当 あ てて、その影 かげ をスクリーンに投影 とうえい したもの。また、それによって演 えん じられる芝居 しばい 。
バリ の影絵 かげえ 人形 にんぎょう
影絵 かげえ は多 おお くの国 くに で親 した しまれており、20以上 いじょう の国々 くにぐに に影絵 かげえ 芝居 しばい の劇団 げきだん がある。
影絵 かげえ に使用 しよう される人形 にんぎょう は光 ひかり を透過 とうか する部分 ぶぶん があって、色 いろ セロファン などを貼 は り付 つ けることで影 かげ に様々 さまざま な色 いろ をつけることがある。また、関節 かんせつ が設 もう けられていて簡単 かんたん な操作 そうさ ができるものが多 おお い。
中国 ちゅうごく における影絵 かげえ は、紀元前 きげんぜん 200年 ねん 頃 ごろ の漢 かん 時代 じだい に、薄 うす い動物 どうぶつ の皮 かわ を着色 ちゃくしょく した人形 にんぎょう を使 つか った神 かみ 降 くだ 術 じゅつ の一種 いっしゅ として採用 さいよう されていた。北 きた 宋 そう 時代 じだい には大道 だいどう 演芸 えんげい として存在 そんざい した[ 1] 。
13世紀 せいき になると、元 もと 王朝 おうちょう とともにアジア大陸 たいりく から中東 ちゅうとう まで影絵 かげえ が伝 つた わり、それぞれの地域 ちいき に様々 さまざま な形 かたち で根付 ねつ いた。
中国 ちゅうごく の影絵 かげえ 人形 にんぎょう は、革 かわ でできた操 あやつ り人形 にんぎょう が棒 ぼう の先 さき に括 くく り付 づ けられ、数々 かずかず のおとぎ話 ばなし や神話 しんわ が演 えん じられる形式 けいしき である。
十返舎一九 じっぺんしゃいっく 画 が 『和 かず 蘭 らん 影絵 かげえ 於都里 さと 伎 』。影絵 かげえ のやり方 かた を指南 しなん するパロディ本 ほん
日本 にっぽん では影絵 かげえ 劇団 げきだん の『木馬 もくば 座 ざ 』が有名 ゆうめい で、全国 ぜんこく 興行 こうぎょう のほかテレビ番組 ばんぐみ にもなっていた。その他 た 『劇団 げきだん 角笛 つのぶえ 』などが知 し られている
[ 1] 。
手 て の形 かたち を組合 くみあ わせて、イヌ ・ネコ ・キツネ など様々 さまざま な影 かげ を表現 ひょうげん するものを、手 て 影絵 かげえ という。手 て 影絵 かげえ によって演 えん じる影絵 かげえ 芝居 しばい もある。江戸 えど 時代 じだい には、影絵 かげえ を応用 おうよう して走馬灯 そうまとう (回 まわ り灯篭 どうろう )が流行 りゅうこう した[ 1] 。ほかに、切 き り抜 ぬ きの影絵 かげえ (人 ひと 型 がた に切 き った紙 かみ に棒 ぼう をつけたもの)、写 うつ し絵 え (障子 しょうじ に描 えが いた絵 え を灯火 ともしび で幕 まく に映 うつ すもの)、阿波 あわ 名物 めいぶつ 指人形 ゆびにんぎょう (吉田 よしだ 春之助 はるのすけ が明治 めいじ に考案 こうあん したが廃絶 はいぜつ )などがある[ 2] 。
また、江戸 えど 時代 じだい に影絵 かげえ 一座 いちざ や影絵 かげえ 売 う りが存在 そんざい していた。
影絵 かげえ を使 つか ったパフォーマンス として、早乙女 さおとめ 太一 たいち とチームラボ の合作 がっさく による「龍 りゅう と牡丹 ぼたん - 剣舞 けんぶ /影絵 かげえ 」(2011年 ねん )がある[ 3] 。
東南 とうなん アジア・インドネシアの影絵 かげえ 芝居 しばい はワヤン・クリッ Wayang kulitとして有名 ゆうめい である。ガムラン の伴奏 ばんそう が付 つ く。ワヤンは「影 かげ 」クリッは「皮 かわ 」を意味 いみ し、牛 うし の皮 かわ で作成 さくせい した人形 にんぎょう を用 もち いる。
同様 どうよう のものがマレーシアにもある。
タイの影絵 かげえ 芝居 しばい はナン・ヤイ(タイ語 ご :หนังใหญ่ , Nang yai)と呼 よ ばれる。
カンボジアでは、特 とく に西部 せいぶ で影絵 かげえ 芝居 しばい が行 おこな われている。大型 おおがた の人形 にんぎょう を使 つか う影絵 かげえ 芝居 しばい をスバエク・トムと言 い う。スバエク・トムはタイのナン・ヤイに似 に ている。かつて大 おお きな仏教 ぶっきょう 行事 ぎょうじ 、とりわけ高僧 こうそう の火葬 かそう 儀礼 ぎれい に七 なな 日間 にちかん から時 とき には二 に 週間 しゅうかん もかけて夜 よ ごと明 あ け方 がた まで連続 れんぞく 上演 じょうえん をしたと言 い う。シェムリアップ州 しゅう が発祥 はっしょう 地 ち だとされる。
小型 こがた の手足 てあし の動 うご かせる人形 にんぎょう を使 つか う影絵 かげえ 芝居 しばい をスバエク・トーイと言 い う。スバエク・トーイはタイのナン・タルン(タイ語 ご :หนังตะลุง , Nang talung)やジャワ島 じゃわとう のワヤンに似 に ている。
スバエクは、人 ひと や動物 どうぶつ の皮 かわ 、皮膚 ひふ を意味 いみ する。
インドの影絵 かげえ 芝居 しばい は様々 さまざま な名 な で呼 よ ばれる。古 ふる い時代 じだい と現在 げんざい で名前 なまえ が異 こと なるし、州 しゅう によっても名 な が異 こと なり、いろいろなものがある。
トルコの影絵 かげえ 芝居 しばい はカラギョズ(トルコ語 ご :Karagöz)として知 し られる。カラギョズはトルコ語 ご で「黒 くろ い瞳 ひとみ 」を意味 いみ する。これは影絵 かげえ 芝居 しばい の主人公 しゅじんこう の名 な で、伝説 でんせつ によると14世紀 せいき にブルサ の街 まち でモスク を建設 けんせつ する実在 じつざい の労働 ろうどう 者 しゃ だったされる。主人公 しゅじんこう の名 な が影絵 かげえ 芝居 しばい の名 な となった。オスマン帝国 ていこく 支配 しはい 下 か で広 ひろ く楽 たの しまれた。カラギョスは2003年 ねん UNESCOにより無形 むけい 文化財 ぶんかざい に指定 してい された。ギリシアにはトルコのカラギョズに由来 ゆらい するカラギオジスもしくはカラギョージス(ギリシア語 ご :Καραγκιόζης , Karagiozis , Karaghiozis)がある。
ジャワ島 じゃわとう 、バリ島 ばりとう 、トルコ 、インド などでは神事 しんじ 芸能 げいのう として行 おこな われている[ 1] 。
中国 ちゅうごく の影絵 かげえ
中国 ちゅうごく ・西安 しーあん の影絵 かげえ 人形 にんぎょう 販売 はんばい 店 てん
インドネシア・ヨグヤカルタYogyakartaのワヤン・クリッWayang Kulit
ワヤン・クリッWayang kulitの上演 じょうえん 風景 ふうけい
マレーシアの影絵 かげえ 芝居 しばい (ビデオ)
タイの影絵 かげえ 芝居 しばい ナン・ヤイ(タイ語 ご :หนังใหญ่ , Nang yai)
トルコの影絵 かげえ 芝居 しばい カラギョズの舞台裏 ぶたいうら
カラギョズの登場 とうじょう 人物 じんぶつ :カラギョズとハジワットの影絵 かげえ 人形 にんぎょう
トルコ ・
イスタンブール のカラギョズ。
手 て に
太鼓 たいこ ダウルdavulを
持 も っている
ギリシアのカラギオジスΚαραγκιόζης(トルコのカラギョズに由来 ゆらい )の影絵 かげえ 人形 にんぎょう
中国 ちゅうごく の漢 かん 民族 みんぞく から海 うみ 呂 りょ の影 かげ の操 あやつ り人形 にんぎょう 。 20世紀 せいき 。インディアナポリス子供 こども 博物館 はくぶつかん のコレクションである。
金子 かねこ 量 りょう 重 じゅう 著 ちょ 「タイのラーマーヤナに見 み る伝承 でんしょう と民族 みんぞく 造形 ぞうけい 影絵 かげえ 芝居 しばい (ナン・ヤイ)を中心 ちゅうしん として」、金子 かねこ 量 りょう 重 じゅう 、坂田 さかた 貞二 ていじ 、鈴木 すずき 正 ただし 崇 たかし 編 へん 『ラーマーヤナの宇宙 うちゅう ——伝承 でんしょう と民族 みんぞく 造形 ぞうけい 』春秋 しゅんじゅう 社 しゃ 、1998年 ねん 1月 がつ 30日 にち 、80-108頁 ぺーじ 。ISBN 4-393-13274-2 。
サムアン・サム 著 ちょ 「第 だい 4章 しょう カンボジアにおけるラーマーヤナ演劇 えんげき 」、福岡 ふくおか まどか 編 へん 『現代 げんだい 東南 とうなん アジアにおけるラーマーヤナ演劇 えんげき 』福岡 ふくおか まどか 翻訳 ほんやく 、めこん、2022年 ねん 3月 がつ 20日 はつか 、98-119頁 ぺーじ 。ISBN 978-4-8396-0330-4 。
後藤 ごとう 圭 けい 『影絵 かげえ SHADOW ART』劇団 げきだん かかし座 ざ 監修 かんしゅう 、文溪堂 ぶんけいどう 、2012年 ねん 4月 がつ 。ISBN 978-4-89423-764-3 。
福岡 ふくおか まどか『インドネシア上演 じょうえん 芸術 げいじゅつ の世界 せかい 伝統 でんとう 芸術 げいじゅつ からポピュラーカルチャーまで』大阪大学 おおさかだいがく 出版 しゅっぱん 会 かい 、2016年 ねん 3月 がつ 31日 にち 。ISBN 978-4-87259-533-8 。
福岡 ふくおか まどか『ジャワの芸能 げいのう ワヤン——その物語 ものがたり 世界 せかい 』スタイルノート、2016年 ねん 2月 がつ 12日 にち 。ISBN 978-4-7998-0146-8 。
宮尾 みやお 慈良 『アジアの人形 にんぎょう 劇 げき 』三 さん 一 いち 書房 しょぼう 、1984年 ねん 7月 がつ 31日 にち 。
宮尾 みやお 慈良 著 ちょ 「アジアの人形 にんぎょう 芸 げい ——呪術 じゅじゅつ 芸 げい と人形 にんぎょう 芸 げい ——」、諏訪 すわ 春雄 はるお 編 へん 『アジアの人形 にんぎょう 芸 げい 』勉 つとむ 誠 まこと 出版 しゅっぱん 〈遊学 ゆうがく 叢書 そうしょ 6〉、1999年 ねん 12月 がつ 20日 はつか 、7-35頁 ぺーじ 。ISBN 4-585-04066-8 。
宮尾 みやお 慈良 著 ちょ 「ラーマーヤナ演劇 えんげき の身体 しんたい 伝承 でんしょう 」、金子 かねこ 量 りょう 重 じゅう 、坂田 さかた 貞二 ていじ 、鈴木 すずき 正 ただし 崇 たかし 編 へん 『ラーマーヤナの宇宙 うちゅう ——伝承 でんしょう と民族 みんぞく 造形 ぞうけい 』春秋 しゅんじゅう 社 しゃ 、1998年 ねん 1月 がつ 30日 にち 、109-139頁 ぺーじ 。ISBN 4-393-13274-2 。
山本 やまもと 慶一 けいいち 『江戸 えど の影絵 かげえ 遊 あそ び 光 こう と影 かげ の文化 ぶんか 史 し 』草 くさ 思 おもえ 社 しゃ 、1988年 ねん 。
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