武装ぶそう

武装ぶそう（ぶそう）は、戦闘せんとうのための装備そうびをすること。また、その装備そうびのこと。武装ぶそうをする権利けんりのことを武装ぶそう権けんという。

武装ぶそう化か

個人こじんの武装ぶそう

兵士へいしや警察官けいさつかんなど個人こじんの場合ばあいは、武装ぶそうの度合どあいによって軽けい武装ぶそう・重じゅう武装ぶそうなどという格付かくづけをすることもあるが、その個人こじんがいる時代じだいや果はたす役目やくめに応おうじて何なにをもって重じゅう武装ぶそうとするかは大おおきく異ことなる。現代げんだいの兵士へいしであれば、小銃しょうじゅうの他ほかに重じゅう機関きかん銃じゅうなどで武装ぶそうすれば重じゅう武装ぶそうと言いえるであろうが、古代こだいギリシアや古代こだいローマで活躍かつやくした重じゅう装そう歩兵ほへいのような古代こだいの兵士へいしは兜かぶと、胸当むねあてにすね当あてを身みにつけ、パイクと剣けんを持もてば重じゅう武装ぶそうと言いえた。また、警察官けいさつかんであれば警棒けいぼうや拳銃けんじゅうの他ほかに散弾さんだん銃じゅう（ライアットガン）を持もつと重じゅう武装ぶそうととらえられる。

あらゆる状況じょうきょうを想定そうていして必要ひつようとなる装備そうびを持もち運はこべるだけ装備そうびすることを完全かんぜん武装ぶそうと呼よぶ。しかし、この言葉ことばは国語こくご辞典じてんには載のっていないことも多おおく^[1]^[2]^[3]、和英かずひで辞典じてんでは掲載けいさいされているなどの差異さいがあり、完全かんぜん武装ぶそうという言葉ことばは英語えいごの"fully armed"の直訳ちょくやく語ごである可能かのう性せいがある^[4]。また、武器ぶきには限かぎらない言葉ことばであるが、あらゆる事態じたいを想定そうていした思おもいつく限かぎりの装備そうびを持もつという点てんでは完全かんぜん装備そうびとほぼ同義どうぎであり、その英訳えいやく語ごとして"fully equipped"の他ほかに"fully armed"も挙あげられている^[4]。

国家こっかの武装ぶそう

国家こっかの場合ばあいは、軍事ぐんじ力りょくを持もつことを軍備ぐんびのほかに武装ぶそうと呼よぶことがあり、特とくに核兵器かくへいきによって武装ぶそうした場合ばあいを核かく武装ぶそうという。比喩ひゆ的てきな表現ひょうげんを除のぞけば、国家こっかに対たいして武装ぶそうの程度ていどに応おうじて軽重けいちょうの区別くべつをしたり、完全かんぜん武装ぶそうと呼よんだりすることはあまりない。

国家こっかにおいての軍事ぐんじ的てきな武力ぶりょくは、各国かっこくの経済けいざい力りょくと比例ひれいすることが多おおい。しかし、一部いちぶの後進こうしん国こくでは、自国じこくの経済けいざい力りょくに匹敵ひってきする武力ぶりょくを持もつ例れいもある。これは、国内こくないの福祉ふくし、教育きょういく、医療いりょう面めんなどに使つかわれるべき資金しきんを、深刻しんこくなレベルにまで軍事ぐんじ力りょくへ注つぎ込こんだ結果けっかである。傾向けいこうとしては、クーデター後のちに建国けんこくされた国家こっか、または軍事ぐんじ独裁どくさい政権せいけん下かにある国家こっかが武装ぶそう強化きょうかを表あらわしやすい面めんがある。顕著けんちょな武装ぶそう国家こっかの例れいとしては、北朝鮮きたちょうせんなどがある。

車両しゃりょう・航空機こうくうき・船舶せんぱくの武装ぶそう

時代じだいが下くだってくると、人間にんげんの武装ぶそうの延長えんちょうとして車両しゃりょう、航空機こうくうき、船舶せんぱくなどに対たいして武装ぶそうを施ほどこすようになってきた。武装ぶそうを施ほどこした時点じてんで、それは乗用じょうようの機械きかいではなく兵器へいきとなる。そのような自動車じどうしゃは総称そうしょうとして軍用ぐんよう車両しゃりょうと呼よばれ、機関きかん銃じゅうや大砲たいほう、ミサイルで武装ぶそうし、用途ようとに応おうじて戦車せんしゃや装甲車そうこうしゃなどと呼よばれる。武装ぶそうした航空機こうくうきは総称そうしょうとして軍用ぐんよう機きと呼よばれ、機関きかん砲ほうをはじめ、ミサイルや爆ばく弾だんなどで武装ぶそうしている。船舶せんぱくでは、古ふるくは鉄てつの砲丸ほうがんを打うち出だす大砲たいほうにはじまり、現代げんだいではミサイルや魚雷ぎょらいなどで武装ぶそうしており、その搭載とうさい量りょうを活いかして自動車じどうしゃや航空機こうくうきよりも多おおくの武装ぶそうを持もっていることも多おおい。また、自身じしんでは主力しゅりょくとなる武器ぶきを持もっていない航空こうくう母艦ぼかんも艦載かんさい機きを搭載とうさいし、発進はっしんさせる能力のうりょくも広ひろい意味いみでは武装ぶそうと言いえる。このような船舶せんぱくは総称そうしょうとして軍艦ぐんかんと呼よばれる。鉄道てつどう車両しゃりょうにも武装ぶそうした装甲そうこう列車れっしゃや、車両しゃりょうそのものが兵器へいきとなった列車れっしゃ砲ほうがあった。なお、車両しゃりょうや船舶せんぱくなどの本体ほんたいに武装ぶそうを施ほどこすことを艤装ぎそうと呼よぶこともあるが、通常つうじょうの運行うんこう・航行こうこうに必要ひつような装備そうびを取とり付つけることも艤装ぎそうと呼よぶため、武装ぶそうのことだけに限かぎらないことに注意ちゅういしなければならない。

一般いっぱんの武装ぶそう

一般いっぱんにおいての武装ぶそうについては、日本にっぽん国内こくないでは銃刀じゅうとう法ほう、並ならびに凶器きょうき準備じゅんび集合しゅうごう罪ざいに基もとづき、個人こじんおよび警備けいびについての過剰かじょうな武装ぶそうが規制きせいされている。しかしながら、日本にっぽんも含ふくめて世界せかいの歴史れきしを見みると、民衆みんしゅうが武器ぶきをとって時ときの支配しはい者しゃの圧政あっせいに立たち向むかった事例じれいも多おおくあり、こういった民衆みんしゅうの武装ぶそうおよび反乱はんらんを武装ぶそう蜂起ほうきと呼よぶ。

非ひ武装ぶそう化か

詳細しょうさいは「非ひ武装ぶそう化か」を参照さんしょう

武装ぶそうとは逆ぎゃくに、武装ぶそうを取とり除のぞくことを非ひ武装ぶそう化かと言いい、武装ぶそうしていない状態じょうたいを非ひ武装ぶそうまたは丸腰まるごし^[5]と言いう。特とくに、戦闘せんとう中なかに降伏ごうぶくし捕虜ほりょになった者もの、また、戦闘せんとうに敗北はいぼくした軍隊ぐんたいから武器ぶきを強制きょうせい的てきに取とり上あげることを武装ぶそう解除かいじょと言いう。個人こじんの場合ばあいはともかく、軍隊ぐんたいやテロリスト集団しゅうだんなどの組織そしきの場合ばあいは武装ぶそう解除かいじょが適切てきせつに行おこなわれないと、再さい武装ぶそうされてしまって戦闘せんとうが再ふたたび始はじまってしまうことになる。

車両しゃりょう、航空機こうくうき、船舶せんぱくの非ひ武装ぶそう化かは、武器ぶきを取とり外はずしたり、使用しようできないように破壊はかいすることによって行おこなわれる。人間にんげんの場合ばあいは武装ぶそうを取とり去されば普通ふつうの人間にんげんであるが、もともと兵器へいきとして作つくられたこれらの機械きかいは武装ぶそうを取とり払はらった時点じてんで通常つうじょうの乗用じょうよう機械きかいとはなれないことがほとんどである。また、ミサイルの場合ばあいは、ミサイルが兵器へいきたる部分ぶぶんである弾頭だんとうを取とり外はずして再度さいど装備そうびすることができないようにすることで非ひ武装ぶそう化かとされ、非ひ武装ぶそう化かされたミサイルは標的ひょうてきなどの用途ようとに転用てんようされる。

また、武装ぶそう・非ひ武装ぶそうの区別くべつは上記じょうきのような人間にんげん、国家こっか、機器ききのほかに特定とくていの場所ばしょに対たいしても用もちいられ、平和へいわ条約じょうやく・休戦きゅうせん協定きょうていなどによって設もうけられる、軍事ぐんじ活動かつどうが許ゆるされない地域ちいきを非ひ武装ぶそう地帯ちたいと呼よぶ。