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警杖 - Wikipedia

警杖(けいじょう)は、しゅとして公安こうあんしょく官吏かんり警備けいび実施じっし使用しようするつえながぼう)。警棒けいぼうよりながい。「つえ」の漢字かんじ常用漢字じょうようかんじひょうにないため、官公庁かんこうちょう公文書こうぶんしょ使用しようされる公用こうようぶん用語ようごとしては「警じょう」と表記ひょうきされる。

台湾たいわん警察けいさつ警察官けいさつかん使つかう警杖
ミネソタしゅう警察官けいさつかんつえのようなものをっているれい。アメリカではかなりめずらしいれい(2008ねん

概要がいよう

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おも日本にっぽん警察けいさつ使用しようされることをにする機会きかいおおいが、警察けいさつ吏のほかにも、法令ほうれいもとづいて警備けいび専門せんもんしょく国家こっか公務員こうむいんである皇宮こうぐう護衛ごえいかん刑務けいむかん指定していされている法務ほうむ事務じむかん海上かいじょう保安ほあんかん警務けいむかん自衛じえいかんとうでも使用しようする。国外こくがいでは台湾たいわん警察けいさつアメリカ警察けいさつ、またインド警察けいさつでもつえ使つかわれることがある。

警杖は「武器ぶき」ではない。「武器ぶき」とは法令ほうれいじょう本来ほんらい殺傷さっしょうようきょうされることを目的もくてきとする道具どうぐけんじゅうサーベルひとし)のことをいう。したがって警杖は「武器ぶき」とはばず、官署かんしょによってかたことなるが「特殊とくしゅ警戒けいかい用具ようぐ」「護身ごしん用具ようぐ」「警備けいび用具ようぐとうび、「武器ぶき」とは明確めいかく区別くべつされている。

日本にっぽん警察けいさつの警杖

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日本にっぽん警察けいさつでは全長ぜんちょう90cm・120cm・180cmの3種類しゅるいがある。基本きほんてきには警備けいびよう装備そうびひんであるが、犯罪はんざい捜査そうささい遺留いりゅうひんさがすためにやぶけたり、応急おうきゅう処置しょち担架たんかしんとしても利用りようされるなど、ひろ用途ようと使つかわれている。おも機動きどうたい装備そうびするが、デモ活動かつどう規制きせいなど乱闘らんとう予想よそうされる現場げんばにはまない。

市民しみん日常にちじょうてきにする機会きかいといえば、空港くうこう鉄道てつどうえき改札かいさつぜん警察けいさつしょ玄関げんかん警察官けいさつかんが警杖を立番たちばんしている状況じょうきょうである。

警杖の歴史れきし

警杖じゅつ

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1927ねん昭和しょうわ2ねん)、警視庁けいしちょう弥生やよいさい奉納ほうのう武術ぶじゅつ大会たいかいにおいて福岡ふくおかけんから参加さんかした清水しみず隆次りゅうじ神道しんとう夢想むそうりゅうつえじゅつ演武えんぶ好評こうひょうはくし、清水しみず警視庁けいしちょうつえじゅつ教師きょうしとなった。清水しみず特別とくべつ警備けいびたい機動きどうたい)の警杖じゅつ訓練くんれん指導しどうした。この警杖じゅつ群衆ぐんしゅう整理せいりおも目的もくてきとするものであったが、場合ばあいによっては制圧せいあつようとしても活用かつようできるように訓練くんれんされた。暴動ぼうどうとう鎮圧ちんあつ用途ようとほかにも、交通こうつう指導しどう取締とりしまりや、やぶしげみをける捜索そうさく道具どうぐとしても使用しようされ、警杖をほんならべて毛布もうふけばおう急用きゅうよう担架たんかとして活用かつようできるものである。

現在げんざい日本にっぽん警察官けいさつかん警察けいさつ学校がっこう警察けいさつしょない道場どうじょうなどで警杖じゅつ訓練くんれんける。警棒けいぼう敬礼けいれいのような敬礼けいれい動作どうささだめられていないが、つえどうおなじようにつえ姿勢しせい相互そうごれいおこなう。

つえほう

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つえほう(しつじょうほう)は、警杖の携帯けいたい方法ほうほう
  1. たてつえ(りつじょう)――基本きほん姿勢しせい長時間ちょうじかん警戒けいかい
  2. ささつえ(ささえじょう)――方向ほうこう変換へんかん隊形たいけい変換へんかん整頓せいとん
  3. かかつえ(かかえじょう)――行進こうしん(はやあしあし
  4. つえ(さげじょう)――職務しょくむ質問しつもん連行れんこうまわみぎ

防護ぼうごみさおほう

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防護ぼうごみさおほう(ぼうごそうほう)は、警杖の基本きほんてきかま
  1. つねかまえ(つねのかまえ)
  2. 本手ほんてかまえ(ほんてのかまえ)
  3. 逆手さかてかまえ(ぎゃくてのかまえ)
  4. としのかまえ(ひきおとしのかまえ)――半身はんしんではなく、やや半身はんしんであることが制定せいていつえどうとはことなる
  5. たてつえかまえ(たてじょうのかまえ)
つえ八相はっそうかまえ(はっそうのかまえ)がある。

基本きほんみさおほう

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基本きほんみさおほう(きほんそうほう)は、制定せいていつえどうとおおむねおなじだが、まわみぎをせず、「もとのー位置いち!(もとのーいち!)」の号令ごうれいうしきに後退こうたいする
  1. ほん手打てうち(ほんてうち)
  2. ぎゃく手打てうち(ぎゃくてうち)
  3. としち(ひきおとしうち)――半身はんしんではなく、やや半身はんしんであることが制定せいていつえどうとはことなる
  4. かえとっき(かえしづき)
  5. 逆手さかてとっき(ぎゃくてづき)
  6. とし(まきおとし)

警備けいびみさおほう

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警備けいびみさおほう(けいびそうほう)は、群集ぐんしゅう規制きせい交通こうつう整理せいり
  1. かまつえ(かまえじょう)
  2. ぜんつえ(まえじょう)
  3. みぎつえ(みぎじょう)
  4. ひだりつえ(ひだりじょう)
  5. 連鎖れんさつえ(れんさじょう)

応用おうようみさおほう

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応用おうようみさおほう(おうようそうほう)は、神道しんとう夢想むそうりゅう基本きほんにない所作しょさであるが、神道しんとう夢想むそうりゅうなめらかしの技法ぎほう応用おうようしたものである
  1. かたかた(かたのうちかた)
  2. 小手こてかた(こてのうちかた)
  3. 水月すいげつとっかた(すいげつのつきかた)
  4. あしかぶととっかた(あしのこうのつきかた)
  5. どうかた(どうのうちかた)
  6. ひだりにさばきすねのかた(ひだりにさばきすねのうちかた)
  7. みぎにさばきすねのかた(みぎにさばきすねのうちかた)

実践じっせんみさおほう

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実践じっせんみさおほう(じっせんそうほう)は、警杖じゅつ独自どくじわざ名称めいしょう制定せいていつえどうおなじでも、警杖じゅつでは内容ないようことなる
  1. 一本いっぽんとし(うちおとし)」――水平すいへいまでろしてくるところをからださばいて逆手さかてとし、ほん手打てうちでみぎ小手こて
  2. ほん水月すいげつ(すいげつ)」――攻撃こうげきさばいて水月すいげつぎゃく手打てうちし、ぎゃく関節かんせつきわめて制圧せいあつする
  3. さんほん斜面しゃめん(しゃめん)」――みぎななまえにかわすてんだけ制定せいていつえどうおな
  4. よんほんつえ(つきづえ)」――制定せいていつえどうまったことなる
  5. ほんはい(いりみ)」――はいして小手こてち、水月すいげつ
  • ろし
    • ちょくめん
    • ちょく小手こて
  • みぎちょくとっ
  • ひだりちょくとっ
  • とっ
    • 前後ぜんごとっ
    • 左右さゆうとっ
  • みぎ
  • ひだり
  • 太刀たち落(たちおとし)
  • 左貫さぬき(さかん)
  • かさ(かさのした)
  • かすみ(かすみ)
  • いちりょく(いちりき)
  • らんとめ(みだれどめ)
  • こうつえ(うしろづえ)
  • すすむ(しんしん)
  • かみなり(らいうち)
  • よこ切留きりどめ(よこぎりどめ)
  • 正眼せいがん(せいがん)
  • みぎつらぬけ(うかん)
  • 一礼いちれい(いちれい)
  • 一文字いちもんじ(いちもんじ)
  • つぶせ(がんつぶし)
  • らんあい(らんあい)
  • まえ
  • よこ
  • ほん手取てどり
  • にん
  • 引立ひきたて

警備けいびぎょう警戒けいかいつえ

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たてつえかまえで「警戒けいかいつえ」を周辺しゅうへん警戒けいかいする警備けいび綜合そうごう警備けいび保障ほしょうによる貴重きちょうひん輸送ゆそう警備けいび業務ぎょうむにて)

警備けいびぎょうでも、近年きんねん条件じょうけんきながら、法令ほうれいにより、たてとともに警戒けいかいつえ(けいかいじょう)という名称めいしょうの警杖を装備そうびすることができるようになった(以前いぜん警備けいび業界ぎょうかいでいう「警戒けいかいぼう」つまり警棒けいぼう)しかみとめられていなかった)。神道しんとう夢想むそうりゅう椎谷しいや光男みつお師範しはん全国ぜんこく警備けいびぎょう協会きょうかい指導しどうしており、警視庁けいしちょうけいつえである。形状けいじょうえんぼうであって、130センチメートル690グラム以下いか制限せいげんされている。部隊ぶたい編成へんせいするなど集団しゅうだんちからもちいて警備けいび業務ぎょうむおこな場合ばあいは、警戒けいかいつえ携帯けいたいすることはできない。

ひとたびテロ行為こういおこなわれた場合ばあい多数たすうもの生命せいめい身体しんたい財産ざいさん生活せいかつとういちじるしい被害ひがい支障ししょうしょうじるおそれがある重要じゅうよう施設しせつ警備けいび業務ぎょうむ空港くうこう原子力げんしりょく関係かんけい施設しせつ鉄道てつどう施設しせつ航空こうくう関係かんけいかく施設しせつ石油せきゆ関係かんけい施設しせつ電力でんりょく関係かんけい施設しせつ、ガス関係かんけい施設しせつ水道すいどう関係かんけい施設しせつ火薬かやく製造せいぞう貯蔵ちょぞう施設しせつどくげきぶつ製造せいぞう貯蔵ちょぞう施設しせつ、そのこれらにじゅんずる施設しせつ)、貴重きちょうひん運搬うんぱん警備けいび業務ぎょうむかく燃料ねんりょう物質ぶっしつとう危険きけんぶつ運搬うんぱん警備けいび業務ぎょうむ機械きかい警備けいび業務ぎょうむのうち非常ひじょうはつほう現場げんば緊急きんきゅう出動しゅつどうする機動きどう隊員たいいんとう各種かくしゅ警備けいび業務ぎょうむ活用かつようされている。

つえ警備けいびみさおほう群集ぐんしゅう規制きせい用途ようときょうし、雑踏ざっとう事故じこ防止ぼうしして、祭事さいじとう多数たすうひと往来おうらいする場所ばしょ安全あんぜん安心あんしんするものであるが、現在げんざいのところ雑踏ざっとう警備けいび業務ぎょうむではつえ活用かつようされていない。

警杖の規格きかく法令ほうれいにより細部さいぶまで規程きていされているが、おおむねつえとして流通りゅうつうしている製品せいひん適合てきごうするようになっている。ながさはつえどうていすんである128センチメートル前後ぜんこうのものがおおい。直径ちょっけいつえあつさ)は3センチメートル以下いか前後ぜんごつえさきつえともに危険きけん突起とっきがない(えんではなくまるみをたせた加工かこうをしたつえもある)。材質ざいしつつえどうのような白樫しらかしのみならず、合気道あいきどうなどの赤樫あかがしや、強化きょうかプラスチックグラスファイバーせいなどがあるが、けっしててつつえではない。赤樫あかがしせい重量じゅうりょうかるいが、れやすい難点なんてんがある。警棒けいぼうのように手首てくびとおひもいている警杖は、神道しんとう夢想むそうりゅうなめらかしちにはてきさない。

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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