軸じく索さく終末しゅうまつ

軸じく索さく終末しゅうまつ（じくさくしゅうまつ、英えい: axon terminal、シナプスボタン（synaptic bouton）、終末しゅうまつボタン（terminal bouton）、終おわり足あし（end-foot）とも）は、軸じく索さく（神経しんけい線維せんい）の先端せんたん部ぶに位置いちする終末しゅうまつ分岐ぶんき（telodendron）の遠とお位くらい端はしである。軸じく索さくは神経しんけい細胞さいぼう（ニューロン）が投射とうしゃする長ながく細ほそい突起とっきであり、活動かつどう電位でんいと呼よばれる電気でんきインパルスを神経しんけい細胞さいぼうの細胞さいぼう体たいから他たの神経しんけい細胞さいぼう、筋すじ細胞さいぼう、腺せんへ伝達でんたつするための伝導でんどうを行おこなう。

神経しんけい細胞さいぼうは互たがいに連結れんけつされて複雑ふくざつなネットワークを形成けいせいしており、電気でんき化学かがく的てきシグナルと神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつが用もちいてある神経しんけい細胞さいぼうから他たの神経しんけい細胞さいぼうへのシグナル伝達でんたつが行おこなわれる。神経しんけい細胞さいぼう間あいだの連結れんけつ部ぶにおいて、軸じく索さく終末しゅうまつと隣接りんせつする細胞さいぼうはシナプスと呼よばれる小ちいさな間隙かんげきによって隔へだてられており、シグナルは神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつを介かいして伝達でんたつされる。シナプスの軸じく索さく終末しゅうまつ側がわ（細胞さいぼう）は、「シナプス前まえ」（細胞さいぼう）と呼よばれることがある。

神経しんけいインパルスの伝達でんたつ

神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつが詰つめ込こまれたシナプス小しょう胞は、シナプス前側まえがわの軸じく索さく終末しゅうまつ膜まく直下ちょっかに密集みっしゅうしている。軸じく索さく終末しゅうまつは、シナプス前ぜん細胞さいぼうの神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ放出ほうしゅつに特とく化かした領域りょういきである^[1]。神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつは軸じく索さく終末しゅうまつと次つぎの神経しんけい細胞さいぼうの樹き状じょう突起とっきとの間あいだのシナプス間隙かんげきと呼よばれる隙間すきまへ放出ほうしゅつされ、シナプス後ご細胞さいぼうの樹き状じょう突起とっきの受容じゅよう体たいを介かいして情報じょうほうが受うけ取とられる。神経しんけい細胞さいぼうは互たがいに接触せっしょくしているわけではないが、このようにシナプスを介かいして情報じょうほう伝達でんたつを行おこなうことができる^[2]。

神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつが詰つめ込こまれるシナプス小しょう胞は神経しんけい細胞さいぼう内ないで形成けいせいされ、軸じく索さくに沿そって終末しゅうまつまで移動いどうし、そこで膜まくにドッキングする。その後ご、カルシウムイオンによって引ひき起おこされる生化学せいかがくカスケードによって、小しょう胞はシナプス前ぜん細胞さいぼう膜まくと融合ゆうごうし、内容ないよう物ぶつがシナプス間隙かんげきへ放出ほうしゅつされる。この一連いちれんのイベントはカルシウムの流入りゅうにゅう後ご180 μみゅーs以内いないに生しょうじる^[3]。より具体ぐたい的てきには、カルシウムイオンが結合けつごうすることでシナプス小しょう胞タンパク質たんぱくしつの動うごきが引ひき起おこされ、その結果けっか、小しょう胞膜と細胞さいぼう膜まくが融合ゆうごうした融合ゆうごう孔あなが形成けいせいされ、シナプス間隙かんげきへの神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつの放出ほうしゅつが可能かのうとなる^[4]^[5]。軸じく索さく終末しゅうまつで生しょうじるこの過程かていはエキソサイトーシスであり^[6]、細胞さいぼうが分泌ぶんぴつ物ぶつを放出ほうしゅつするために用もちいる機構きこうである。こうした膜まく結合けつごう型がた小しょう胞は細胞さいぼう外がい環境かんきょうへ分泌ぶんぴつされる可溶性かようせい物質ぶっしつの他ほかにも、膜まくタンパク質たんぱくしつや脂質ししつを含ふくんでおり、これらは細胞さいぼう膜まくの構成こうせい要素ようそとなる。神経しんけい細胞さいぼうの化学かがくシナプスにおけるエンドサイトーシスはカルシウムイオンによって開始かいしされ、神経しんけい間あいだでシグナルを伝達でんたつする機能きのうを果はたす^[7]。

カルシウムの結合けつごうによって蛍光けいこう特性とくせいが変化へんかする色素しきそを用もちいて脳のう内ないのシナプス活性かっせいを可視かし化かする手法しゅほうが開発かいはつされており、蛍光けいこう顕微鏡けんびきょうを用もちいてカルシウム濃度のうどの変化へんか、すなわちシナプス前ぜん細胞さいぼうにおけるカルシウムの流入りゅうにゅうを検出けんしゅつすることができる^[8]。

出典しゅってん

^ “Axon Terminal”. Medical Dictionary Online. 2016年ねん3月がつ4日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。February 6, 2013閲覧えつらん。
^ Foster, Sally. “Axon Terminal - Synaptic Vesicle - Neurotransmitter”. February 6, 2013閲覧えつらん。
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^ Carlson, Bruce M. (2008-11-25) (英語えいご). Human Embryology and Developmental Biology E-Book. Elsevier Health Sciences. p. 56. ISBN 978-0-323-08279-2
^ “Neuroscience for kids Neurotransmitters and Neuroactive Peptides” (November 24, 2011). December 18, 2008時じ点てんのオリジナルよりアーカイブ。February 6, 2013閲覧えつらん。
^ Rizo, Josep (2018-07-10). “Mechanism of neurotransmitter release coming into focus”. Protein Science 27 (8): 1364–1391. doi:10.1002/pro.3445. ISSN 0961-8368. PMC 6153415. PMID 29893445. "Research for three decades and major recent advances have provided crucial insights into how neurotransmitters are released by Ca2+ -triggered synaptic vesicle exocytosis, leading to reconstitution of basic steps that underlie Ca2+ -dependent membrane fusion and yielding a model that assigns defined functions for central components of the release machinery."
^ “Synaptic vesicle exocytosis”. Cold Spring Harbor Perspectives in Biology 3 (12): a005637. (December 2011). doi:10.1101/cshperspect.a005637. PMC 3225952. PMID 22026965.
^ “Focus October 20-Neurobiology VISUALIZING THE SYNAPTIC CONNECTION”. 2006年ねん9月がつ1日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。July 3, 2013閲覧えつらん。

軸じく索さく終末しゅうまつ

神経しんけいインパルスの伝達でんたつ

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