郷土きょうど会かい

郷土きょうど会かい（きょうどかい）は日本にっぽんの美術びじゅつ団体だんたいであり、鏑木かぶらき清方きよかたが開ひらいた日本にっぽん画がの画が塾じゅく。

概要がいよう

清方きよかたが最初さいしょに弟子でしを迎むかえたのは湯島ゆしま切きり通どおりにいた時ときで、明治めいじ29年ねん（1896年ねん）に門井かどい掬きく水すいに絵えを教おしえた。翌年よくねん、掬きく水すいは正式せいしきに清方きよかたに入門にゅうもんした。

明治めいじ34年ねん（1901年ねん）4月がつ、清方きよかたは京橋きょうばし木挽こびき町まちに転居てんきょする。この時期じきに林はやし緑みどり水すい、石井いしい滴水たるみず、桜井さくらい霞かすみ洞ほら、三さん代目だいめ尾上おがみ多賀たが之の丞すすむらが入門にゅうもん、研究けんきゅう会かいが開催かいさいされるようになった。また、日にち露ろ戦争せんそうに召集しょうしゅうされて203高地こうちにおいて名誉めいよの戦死せんしを遂とげた長沢ながさわ青あお煙けむりという青年せいねん画家がかもいた。

大正たいしょう4年ねん（1915年ねん）に挿絵さしえ画家がかとして名声めいせいを得えていた鏑木かぶらき清方きよかたの画が塾じゅく「象ぞう外がい（しょうがい）画が塾じゅく」に集あつまった画家がかたちによって設立せつりつされた美術びじゅつ団体だんたいを指さす。郷土きょうど会かいという名称めいしょうは、それぞれ巣立すだった後のちもふる里さとを忘わすれないようにという思おもいをこめてつけたものであった。象ぞう外がい画が塾じゅくに集あつまった清方きよかたの弟子でしたちが作品さくひんの成果せいかを問とう目的もくてきのもと、清方きよかた自みずからも努つとめて作品さくひんを出品しゅっぴんしたほか、門井かどい掬きく水すい、石井いしい滴水たるみず、西田にしだ青あお坡、笠松かさまつ紫むらさき浪なみ、伊東いとう深水しんすい 、川瀬かわせ巴ともみ水すい、柿かき内ない青葉あおば、山川やまかわ秀峰しゅうほう、寺島てらしま紫むらさき明あきら、古屋ふるや台だい軒のき、北川きたがわ一雄かずお、柳原やなぎはら風ふう居きょ、小早川こばやかわ清きよし、亀かめ永えい吾郎ごろう、尾中おちゅう廬いおり山やま、増原ますはら宗一そういち、大林おおばやし千せん万まん樹き、鳥居とりい言げん人じんといった多おおくの清方きよかたの門人もんじんたちが日本にっぽん画がや版画はんがなどを出品しゅっぴんしている。なお、大正たいしょう3年ねん（1914年ねん）には清方きよかた門下もんかの女性じょせい画家がかは40人にん以上いじょういたといわれ、大久保おおくぼ青あお園えん、天沼あまぬま青あお蒲がま、林はやし杏あんず華はな、野口のぐち青あお華はな、津村つむら青あお芽め、飯村いいむらふみ、山本やまもと信子のぶこ、岡本おかもと更さら園えん、内弟子うちでしとなった戸井田といだ八重子やえこ、長谷川はせがわ春子はるこ 、小林こばやし蓁（岸田きしだ劉生りゅうせいの妻つま）、石渡いしわた音羽おとわ、江木えぎませ子こ、吉田よしだ萌もえ、柏木かしわぎ勝子かつこなどを輩出はいしゅつした。また、清方きよかたの門下もんかには昭和しょうわ4年ねん（1929年ねん）に入門にゅうもんした台湾たいわん出身しゅっしんの女性じょせい陳ちん進すすむもいた。他ほかにも象ぞう外がい画が塾じゅく、郷土きょうど会かいの写真しゃしんなどに散見さんけんされるが、氏名しめい、閲歴えつれきの不明ふめいな者ものが多数たすうみられる。

大正たいしょう5年ねん（1916年ねん）この郷土きょうど会かいの場ばにおいて、渡辺わたなべ庄三郎しょうざぶろうの目めに止とまった伊東いとう深水しんすいの絵えをもとに創作そうさくされた新あたらしい版画はんがが新しん版画はんがの第だい一いち作さく「対たい鏡きょう」であった。清方きよかた自身じしんは大正たいしょう7年ねん（1918年ねん）に入門にゅうもんした鳥居とりい言げん人じんを最後さいごの弟子でしと記しるしている。その後ご、清方きよかたはあまり弟子でしを取とらなくなったといわれるが、大正たいしょう13年ねん（1924年ねん）には伊藤いとう孝之たかゆきが入門にゅうもんしている。

清方きよかたらは第だい1回かい郷土きょうど会かい展覧てんらん会かいを大正たいしょう4年ねん6月がつ22日にちから6月がつ25日にちに開催かいさい、以降いこうほぼ毎年まいとし、展覧てんらん会かいを開ひらいており、また、昭和しょうわ3年ねん（1928年ねん）7月がつには郷土きょうど会かい第だい二に部ぶの第だい1回かい展てんとして清方きよかたの孫弟子まごでしを中心ちゅうしんとした展覧てんらん会かいも開催かいさいし始はじめる。郷土きょうど会かい展覧てんらん会かいはその後ご、昭和しょうわ6年ねん（1931年ねん）の第だい16回かいまで展覧てんらん会かいが開催かいさいされた。郷土きょうど会かいにおいて研鑽けんさんを積つんだ清方きよかたの弟子でしたちはその後ご、大正たいしょう末期まっきから昭和しょうわ初期しょきの帝みかど展てんなどにも作品さくひんを出品しゅっぴんするようになり名めいをなしていった。

展覧てんらん会かい

• 第だい1回かい 大正たいしょう4年ねん6月がつ22日にちから6月がつ25日にち 京橋きょうばし築地つきじ倶楽部くらぶ
• 第だい2回かい 大正たいしょう5年ねん5月がつ3日にちから5月がつ7日にち 京橋きょうばし築地つきじ倶楽部くらぶ
• 第だい3回かい 大正たいしょう6年ねん5月がつ1日にちから5月がつ7日にち 上野公園うえのこうえん美術びじゅつ学校がっこう倶楽部くらぶ
• 第だい4回かい 大正たいしょう7年ねん6月がつ15日にちから20日はつか 上野公園うえのこうえん美術びじゅつ学校がっこう倶楽部くらぶ
• 第だい5回かい 大正たいしょう9年ねん3月がつ7日にちから3月がつ14日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい6回かい 大正たいしょう10年ねん3月がつ5日にちから3月がつ11日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい7回かい 大正たいしょう11年ねん1月がつ15日にちから1月がつ19日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい8回かい 大正たいしょう12年ねん3月がつ18日にちから3月がつ22日にち 日本橋にほんばし三越みつこし
• 第だい9回かい 大正たいしょう13年ねん3月がつ15日にちから3月がつ24日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい10回かい 大正たいしょう14年ねん5月がつ6日にちから12日にち 銀座ぎんざ松坂屋まつざかや
• 第だい11回かい 昭和しょうわ元年がんねん5月がつ2日にちから5月がつ7日にち 日本橋にほんばし三越みつこし
• 第だい12回かい 昭和しょうわ2年ねん5月がつ17日にちから5月がつ21日にち 日本橋にほんばし三越みつこし
• 第だい13回かい 昭和しょうわ3年ねん5月がつ17日にちから5月がつ21日にち 日本橋にほんばし三越みつこし
• 第だい14回かい 昭和しょうわ4年ねん5月がつ17日にちから5月がつ22日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい15回かい 昭和しょうわ5年ねん6月がつ17日にちから6月がつ22日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい16回かい 昭和しょうわ6年ねん5月がつ10日とおかから5月がつ14日にち 上野うえの松坂屋まつざかや ※第だい16回かい展てん以降いこうの展覧てんらん会かいを中止ちゅうし。

第だい二に部ぶ展覧てんらん会かい

• 第だい1回かい 昭和しょうわ3年ねん7月がつ18日にちから7月がつ23日にち 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい2回かい 昭和しょうわ4年ねん8月がつ1日にちから8月がつ10日とおか 上野うえの松坂屋まつざかや
• 第だい3回かい 昭和しょうわ5年ねん3月がつ1日にちから6日にち 上野うえの松坂屋まつざかや ※伊東いとう深水しんすい、小早川こばやかわ清きよしが出品しゅっぴん。

参考さんこう文献ぶんけん

• 鏑木かぶらき清方きよかた 『続ぞくこしかたの記き』 中公ちゅうこう文庫ぶんこ、1977年ねん
• 鏑木かぶらき清方きよかた記念きねん美術館びじゅつかん編へん 『鏑木かぶらき清方きよかたの系譜けいふ ‐師し水野みずの年方としかたから清方きよかたの弟子でしたちへ‐』 鏑木かぶらき清方きよかた記念きねん美術館びじゅつかん、2008年ねん
• 柏木かしわぎ智雄ともお、内山うちやま淳子じゅんこ、片かた多た祐子ゆうこ著ちょ、横浜よこはま美術館びじゅつかん企画きかく・監修かんしゅう『はじまりは国芳くによし　江戸えどスピリットのゆくえ』　大修館書店たいしゅうかんしょてん、2012年ねん