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鉄 - Wikipedia

てつ

原子げんし番号ばんごう26の元素げんそ

てつ(てつ、きゅう字体じたいてつえい: iron: ferrum)は、原子げんし番号ばんごう26の元素げんそである。元素げんそ記号きごうFe金属きんぞく元素げんそのひとつで、遷移せんい元素げんそである。太陽たいようや、ほかの天体てんたいにも豊富ほうふ存在そんざいし、地球ちきゅう地殻ちかくやく5 %をめ、だい部分ぶぶんそとかくうちかくにある。

マンガン てつ コバルト
-

Fe

Ru
外見がいけん
ぎん白色はくしょく


てつのスペクトルせん
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう てつ, Fe, 26
分類ぶんるい 遷移せんい金属きんぞく
ぞく, 周期しゅうき, ブロック 8, 4, d
原子げんしりょう 55.845(2) 
電子でんし配置はいち [Ar] 3d6 4s2
電子でんしから 2, 8, 14, 2(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
そう 固体こたい
密度みつど室温しつおん付近ふきん 7.874 g/cm3
融点ゆうてんでの液体えきたい密度みつど 6.98 g/cm3
融点ゆうてん 1811 K, 1538 °C
沸点ふってん 3134 K, 2862 °C
融解ゆうかいねつ 13.81 kJ/mol
蒸発じょうはつねつ 340 kJ/mol
熱容量ねつようりょう (25 °C) 25.10 J/(mol·K)
蒸気じょうきあつ
圧力あつりょく (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度おんど (K) 1728 1890 2091 2346 2679 3132
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 6, 5[1], 4, 3, 2, 1[2], −1, −2
(両性りょうせい酸化さんかぶつ)
電気でんき陰性いんせい 1.83(ポーリングの
イオン化いおんかエネルギー だい1: 762.5 kJ/mol
だい2: 1561.9 kJ/mol
だい3: 2957 kJ/mol
原子げんし半径はんけい 126 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 132±3 (ていスピン), 152±6 (こうスピン) pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう からだこころ立方りっぽう
磁性じせい つよ磁性じせい
1043 K
電気でんき抵抗ていこうりつ (20 °C) 96.1 nΩおめが⋅m
ねつ伝導でんどうりつ (300 K) 80.4 W/(m⋅K)
ねつ膨張ぼうちょうりつ (25 °C) 11.8 μみゅーm/(m⋅K)
おとつたわるはや
微細びさいロッド)
(r.t.) (electrolytic) 5120 m/s
ヤングりつ 211 GPa
剛性ごうせいりつ 82 GPa
体積たいせき弾性だんせいりつ 170 GPa
ポアソン 0.29
モース硬度こうど 4
ビッカース硬度こうど 608 MPa
ブリネル硬度こうど 490 MPa
CAS登録とうろく番号ばんごう 7439-89-6
おも同位どういたい
詳細しょうさいてつ同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
54Fe 5.8 % > 3.1×1022 y εいぷしろんεいぷしろん ? 54Cr
55Fe syn 2.73 y εいぷしろん 0.231 55Mn
56Fe 91.72 % 中性子ちゅうせいし30安定あんてい
57Fe 2.2 % 中性子ちゅうせいし31個いっこ安定あんてい
58Fe 0.28 % 中性子ちゅうせいし32安定あんてい
59Fe syn 44.503 d βべーた 1.565 59Co
60Fe syn 2.6×106 y βべーた 3.978 60Co

名称めいしょう

編集へんしゅう

元素げんそ記号きごうのFeは、ラテン語らてんごでの名称めいしょうferrum」に由来ゆらいする。日本語にほんごでは、にぶくろさから「くろてつ」、ひろ使用しようされている金属きんぞくであることから「てつ」ともいう。大和言葉やまとことばで「くろがね」ともばれる。

漢字かんじの「てつ」はおとあらわす「しつ」と意味いみしめす「かね」からなる形声けいせい文字もじである。きゅう字体じたいは「てつ」であり、これもおとあらわす「𢧜」と意味いみしめす「かね」からなる形声けいせい文字もじである。また異体いたいとして「銕」があるが、これもおとあらわす「えびす」と意味いみしめす「かね」からなる形声けいせい文字もじである。

本多ほんだ光太郎こうたろうは「てつ」という文字もじが「きむおう・哉」に分解ぶんかいできることから「てつかねおうなる哉」とひょうした。

てつ」の文字もじが「かねうしなう」を連想れんそうさせて縁起えんぎわるいとして、製鉄せいてつ業者ぎょうしゃ鉄道てつどう事業じぎょうしゃなどでは社名しゃめいやロゴで、「てつ」のわりにあえてきゅう字体じたいの「てつ」をもちいたり、「しつ」のあたまって「鉃」のかたちもちいるれいがある。

存在そんざい

編集へんしゅう

基本きほんてきに、水素すいそヘリウム以外いがい元素げんそ恒星こうせい内部ないぶでのかく融合ゆうごうひとしにより生成せいせいされる。てつ場合ばあいおも漸近ぜんきん巨星きょせいぶんえだぼし内部ないぶでのs過程かていか、または質量しつりょう太陽たいようの8~11ばい以上いじょうあるてる巨星きょせいちょう巨星きょせい終末しゅうまつでのケイ素けいそ燃焼ねんしょう過程かていやその重力じゅうりょく崩壊ほうかいによって生成せいせいされる(なおてつ同位どういたいのうち自然しぜんかいにおいてもっと存在そんざい比率ひりつたかてつ56は重力じゅうりょく崩壊ほうかいさいニッケル56がベータ崩壊ほうかいしてまれたものである。くわしくは超新星ちょうしんせい元素げんそ合成ごうせい参照さんしょうのこと)。また、てつよりおも元素げんそはおおむね、上述じょうじゅつのs過程かていや、中性子星ちゅうせいしせい同士どうし衝突しょうとつなどによるr過程かていによって生成せいせいされる。地球ちきゅうおおくのてつ56やきむなまりなどの元素げんそふくまれるという事実じじつは、太陽系たいようけいが、過去かこ超新星ちょうしんせい爆発ばくはつひとし影響えいきょうした形成けいせいされたことをしめしている(太陽系たいようけい形成けいせい過程かていについては太陽系たいようけい形成けいせい進化しんか#形成けいせい参照さんしょう)。

前述ぜんじゅつのとおり、地球ちきゅう内部ないぶにはてつおおふくまれており(やく30 %[3])、火山かざんとく溶岩ようがん火山かざんだん)やそれにともなねつすい鉱床こうしょうなどにより、地表ちひょうにもあらたな鉄鉱てっこうゆか湧出ゆうしゅつすることがある。地磁気ちじきも、地球ちきゅうかく溶融ようゆうしたてつ地球ちきゅう自転じてんことなる速度そくど回転かいてんすることによってしょうじるとされている。

地球ちきゅう地殻ちかくにはおおくのてつ含有がんゆうされている(濃度のうどやく5 %とたかい)にもかかわらず、それとせっしている海水かいすいちゅうてつ比較的ひかくてき濃度のうどひくい。これは地球ちきゅう海水かいすいちゅうでは水酸化すいさんかてつ(III)としててつのぞかれてしまうためである[4]。なお、地球ちきゅう海水かいすいちゅうてつ濃度のうど一定いっていではなく、観測かんそくせん海水かいすい採取さいしゅなどからのてつ溶出ようしゅつによる汚染おせんけてジョン・マーチン (海洋かいよう学者がくしゃ)英語えいごばん調査ちょうさした結果けっか海面かいめんちかくの表層ひょうそう海水かいすいにはすくなく、ぎゃく深層しんそう海水かいすいにはおおふくまれる、いわゆる栄養えいようしおがた分布ぶんぷをしていることが判明はんめいしている[5]

性質せいしつ

編集へんしゅう

純粋じゅんすいてつしろ金属きんぞく光沢こうたくはなつが、イオン化いおんか傾向けいこうたかいため、湿しめった空気くうきちゅうでは容易よういさびしょうじ、時間じかん経過けいかとともにくろずんだり褐色かっしょくへと変色へんしょくしたりする。

固体こたいじゅんてつは、フェライトBCC構造こうぞう)、オーステナイトFCC構造こうぞう)、デルタフェライト(BCC構造こうぞう)の3つのかたちがある。911 °C以下いかではフェライト、911–1392 °Cはオーステナイト、1392–1536 °Cはデルタフェライト、1536 °C以上いじょう液体えきたいじゅんてつとなる。常温じょうおんつねあつではフェライトが安定あんていである。つよ磁性じせいたいであるフェライトがキュリーてんえたところからオーステナイト領域りょういきまでの770–911 °Cのじゅんてつそうは、以前いぜんβべーたてつばれていた。

栄養えいようがく立場たちばからみると、てつひと生体せいたい)にとって必須ひっす元素げんそである。食事しょくじ制限せいげんなどで鉄分てつぶん時期じきつづくと、血液けつえきなか赤血球せっけっきゅうかずヘモグロビンりょう低下ていかし、貧血ひんけつなどをこす。ちょう吸収きゅうしゅうされるてつは2のイオンのみであり、3てつイオンは2還元かんげんされてから吸収きゅうしゅうされる。鉄分てつぶんおおふく食品しょくひんホウレンソウレバー大豆だいず製品せいひんなどである。ヘムてつほう吸収きゅうしゅう効率こうりつたかい。ただし、過剰かじょう摂取せっしゅするとてつ過剰かじょうしょうになることもある。

同位どういたい

編集へんしゅう

自然しぜんてつ同位どういたい比率ひりつは、5.845 %の安定あんてい54Fe、91.754 %の安定あんてい56Fe、2.119 %の安定あんてい57Fe、0.282 %の安定あんてい58Fe からなる。60Feは不安定ふあんてい比較的ひかくてきたん寿命じゅみょう半減はんげん260まんねん)なため、自然しぜんてつちゅうには存在そんざいしない。理論りろんてき予測よそくされる54Feのじゅうβべーた崩壊ほうかい検出けんしゅつ確定かくていである[6]58Feと56Feの原子核げんしかく非常ひじょう安定あんていかく1つあたりの質量しつりょう欠損けっそんおおきい)であり、すべての原子核げんしかくなかでそれぞれ2番目ばんめと3番目ばんめ安定あんていである(もっとも安定あんてい核種かくしゅ62Ni)[7][8]

しばしばすべての原子核げんしかくなか56Feがもっとも安定あんていとされることがあるが、これはあやまりである。このような誤解ごかいひろまった理由りゆうとして、56Feの天然てんねん存在そんざい62Niや58Feよりもはるかにたかいことにくわえ、かく1つあたりの質量しつりょう比較ひかくした場合ばあいには56Feがぜん原子核げんしかくちゅう最小さいしょうとなることがげられる。中性子ちゅうせいしほう陽子ようしよりもわずかにおもいため、かく1つあたりの質量しつりょう最小さいしょうとなる核種かくしゅ質量しつりょう欠損けっそん最大さいだいになる核種かくしゅ一致いっちしない。また、下記かきのように恒星こうせいかく融合ゆうごう最終さいしゅう生成せいせいぶつ56Feであることを「てつがもっとも安定あんていであるため」と便宜べんぎてき説明せつめいされることがあることも誤解ごかいまねいているとかんがえられる。

58Feよりも不安定ふあんてい56Feのほうが存在そんざいたか理由りゆうは、ほし元素げんそ合成ごうせい過程かてい質量しつりょうすうが4の倍数ばいすう核種かくしゅがおもにつくられるためである。炭素たんそよりおも元素げんそ4Heの融合ゆうごうアルファ反応はんのう)によってつくられるため、生成せいせいする核種かくしゅ質量しつりょうすうは4の倍数ばいすうかたよる。太陽たいよう質量しつりょうの4–8ばい質量しつりょうった恒星こうせいではアルファ反応はんのう56Niまで進行しんこうするが、つぎ60Znの原子核げんしかく56Niよりも不安定ふあんていなため、これ以上いじょう反応はんのう進行しんこうしない。56Niは2βべーた崩壊ほうかい56Feを生成せいせいするため、恒星こうせいかく融合ゆうごう最終さいしゅう生成せいせいぶつ56Feになる。てつよりおも核種かくしゅ超新星ちょうしんせい爆発ばくはつなどであわせて生成せいせいするが、その生成せいせいプロセスは明確めいかくになっていない。

てつの「におい」

編集へんしゅう

鉄棒てつぼうなどのてつ製品せいひんつと、特有とくゆうにおいがつく。これはぞくに「金属きんぞくしゅう」「てつくさい」とばれるが、原因げんいんてつそのものではない(てつ常温じょうおんでは揮発きはつしない)。研究けんきゅうにより、人体じんたいあせふくまれる皮脂ひし分解ぶんかいぶつてつイオンが反応はんのうしてしょうじる炭素たんそすう7 - 10のちょくくさりアルデヒドるい1-オクテン-3-オンなどの有機ゆうき化合かごうぶつ、そしてメチルホスフィンジメチルホスフィンなどのホスフィンるいがこのにおいの原因げんいんであることが確認かくにんされている[9][10]

おも化合かごうぶつ

編集へんしゅう

てつ利用りよう文化ぶんか

編集へんしゅう

道具どうぐつく用材ようざいとして、石器せっき時代じだい青銅器せいどうき時代じだいつづ鉄器てっき時代じだい形成けいせいし、地球ちきゅう人類じんるい文明ぶんめい基礎きそきずいた。現在げんざいにおいてももっとも重要じゅうよう、かつ身近みぢか金属きんぞく元素げんそのひとつで、産業さんぎょう革命かくめい以降いこう、ますますその重要じゅうようせいしている。さまざまな器具きぐ工具こうぐ構造こうぞうぶつ使つかわれる。炭素たんそなどの合金ごうきん元素げんそ添加てんかにより、よりかたはがねとなり構造こうぞうぶつ構成こうせいする構造こうぞうようこうなどや、工具こうぐこうなどのすぐれたトライボロジー材料ざいりょうにもなる。

 
セヴァーンがわにかかるアイアンブリッジ世界せかいはつ鉄橋てっきょうとされる

安価あんか比較的ひかくてき加工かこうしやすく、入手にゅうしゅしやすい金属きんぞくであるため、人類じんるいにとってもっとも利用りよう価値かちのある金属きんぞく元素げんそである。とく産業さんぎょう革命かくめい以後いご産業さんぎょう中核ちゅうかくをなす材料ざいりょうであり、「産業さんぎょうべい」などともばれ、「てつ国家こっかなり」とばれるほど、鉄鋼てっこう生産せいさんりょう国力こくりょく指標しひょうともなった。このため、鉄鋼てっこう産業さんぎょうには政府せいふテコ入てこいれもおおきく、だい世界せかい大戦たいせん世界せかいてき経済けいざい発展はってんにもおおきく影響えいきょうしている。現在げんざいにおいても工業こうぎょう生産せいさんされている金属きんぞく大半たいはん鉄鋼てっこうであり、てつふくまない金属きんぞく非鉄ひてつ金属きんぞくばれる。

てつは、炭素たんそをはじめとする合金ごうきん元素げんそ添加てんかすることではがねとなり、炭素たんそりょう焼入やきいれなどをおこなうことで硬度こうど調節ちょうせつできる、きわめて使つか勝手がってのいい素材そざいとなる。はがねふるくから刃物はもの素材そざいとして使つかわれ、ほとんどの機械きかい鉄鋼てっこうをおもな素材そざいとする。さらに鉄鋼てっこうは、鉄道てつどうレール素材そざいとなるほか、鉄筋てっきん鉄骨てっこつはがね矢板やいたなどとして建築けんちくぶつ土木どぼく構築こうちくぶつ構造こうぞうよう部材ぶざい使つかわれ大量たいりょう消費しょうひされている。

てつ炭素たんそとさまざまな微量びりょう金属きんぞくくわえることで、多様たようすぐれた特性とくせい合金ごうきんこうされる。てつクロムニッケル合金ごうきんであるステンレスこう腐食ふしょくしにくく強度きょうどたかく、なおかつうつくしく比較的ひかくてき安価あんか合金ごうきんとしてられる。このため、ステンレスこう加工かこうされたてつは、液体えきたい気体きたいとおパイプ液体えきたいこなたい貯蔵ちょぞうするタンクかんながだい建築けんちく資材しざいなどにももちいられるほか、なべ包丁ほうちょうなどの生活せいかつ用具ようぐ家電かでん製品せいひん鉄道てつどう車両しゃりょう自動車じどうしゃ部品ぶひん産業さんぎょうロボットなど、あらゆる分野ぶんや利用りようされている。

工具こうぐこう固体こたい材料ざいりょうなかでもっとも強度きょうど増幅ぞうふく能力のうりょくたかく、ちょうかた材料ざいりょうくらべてもたかきょく強度きょうどゆうするため、変形へんけい特性とくせい重要じゅうようでかつ加工かこう形状けいじょう自由じゆう要求ようきゅうされるかねがた多用たようされる。金属きんぞく材料ざいりょうでもっともねつ膨張ぼうちょう係数けいすうひくインバー最強さいきょう磁力じりょく磁性じせい材料ざいりょうネオジム磁石じしゃく)もてつ含有がんゆう合金ごうきんである。ほかにも、てつ化合かごうぶつインク絵具えのぐなどの顔料がんりょうとして、赤色あかいろ顔料がんりょうベンガラ青色あおいろ顔料がんりょうプルシアンブルーなどとして使つかわれる。

てつつよ磁性じせいつため、不燃ふねんぶつからの回収かいしゅう容易よういであり、さい利用りようりつたかい。屑鉄くずてつとして回収かいしゅうされたてつは、電気でんきふたたてつとして再生さいせいされる。

西洋せいよう占星術せんせいじゅつ錬金術れんきんじゅつなどの神秘しんぴ主義しゅぎ哲学てつがくでは、軍神ぐんしんマルス関連かんれんづけられ、そのほしである火星かせい象徴しょうちょうする。これは、ふるくからてつ武器ぶき材料ざいりょうとして利用りようされたことや、てつさびがくすんだのようないろであることに由来ゆらいするとおもわれる(日本にっぽん国立こくりつ天文台てんもんだいによる解説かいせつでは、火星かせいあかえるのは実際じっさい表面ひょうめん岩石がんせき酸化さんかてつあかさび]をおおふくむからだとされている[11])。また、妖精ようせいつめたいてつきらうという伝説でんせつがあり、ファンタジー小説しょうせつにおいて魔法まほうてきなものとの相性あいしょうわるいとされる。また前述ぜんじゅつのような理由りゆうから「てつ」は「強固きょうこなもの」の代名詞だいめいしとなり「てつの○○」などといえば「強固きょうこたおしがたいもの」という比喩ひゆとなる(れい鉄則てっそくてつおきて鉄人てつじんてつおんなてつじゅうてつのカーテン鉄板てっぱんネタ)。

一方いっぽう日本にっぽんでは、てつ邪悪じゃあくなものをのぞちからつとかんがえられていた時代じだいもあった。たとえば『遠野とおの物語ものがたり』では、怪力かいりき河童かっぱてつはり退治たいじする、山中さんちゅう危険きけんかんじた猟師りょうし魔除まよけようっていたてつたまつというエピソードがある[よう出典しゅってん]

てつはその用途ようとから、機械きかい人工じんこうぶつ象徴しょうちょうする元素げんそとしてもちいられることもおおい。たいする人間にんげん生物せいぶつ象徴しょうちょうとしては、有機ゆうき化合かごうぶつ主要しゅよう元素げんそである炭素たんそ元素げんそ記号きごうC)がもちいられる。

製法せいほう

編集へんしゅう
 
ドイツのアーナタール近郊きんこうのビュール休暇きゅうかむら玄武岩げんぶがん採石さいせきじょう発見はっけんされた自然しぜんてつ英語えいごばん自然しぜんてつは、特殊とくしゅ玄武岩げんぶがん隕石いんせきてつ隕石いんせき)、塩基えんきせい鉱物こうぶつ石炭せきたんそう火災かさいなどの還元かんげん環境かんきょうなどからつかる[12]

産出さんしゅつ

編集へんしゅう

てつ生産せいさんの90%をめるしまじょう鉄鉱てっこうゆかは、先カンブリア時代せんかんぶりあじだい光合成こうごうせい酸素さんそ大量たいりょう発生はっせいして、海水かいすいちゅう溶存ようぞんしていたイオン化いおんかしたてつ酸化さんかてつとして沈殿ちんでん堆積たいせきしたことによりされた[13]

その鉱床こうしょうは、マグマによってされたマグマなり鉱床こうしょうカーボナタイト鉱床こうしょうねつすい鉱脈こうみゃくスカルン鉱床こうしょうなど、硫酸りゅうさんいずみ炭酸泉たんさんせんふくまれるてつ地表ちひょうながれるうちに酸化さんかして沈殿ちんでんした沈殿ちんでん褐鉄鉱かってっこう鉱床こうしょうぬま鉄鉱てっこう英語えいごばん)、風化ふうか残留ざんりゅう鉱床こうしょうラテライト)、漂砂鉱床こうしょう砂鉄さてつ)などがある[14]

鉄鉱てっこうせき入手にゅうしゅしにくい環境かんきょう古代こだいでは、世界せかいてきぬま鉄鉱てっこう重要じゅうよう資源しげんであった[15][16]。コークスだか技術ぎじゅつ発達はったつすると、それまで使用しようできなかった石炭せきたんとも採掘さいくつされる鉄分てつぶん30%で還元かんげんしにくい炭酸たんさん鉄鉱てっこうひし鉄鉱てっこう)が使用しようされるようになる[16]

選鉱せんこう

編集へんしゅう
 
そうおうぼしあらわした「天工てんこうひらきぶつ」の1ぺーじ攪拌精錬せいれんほう(パドルほう)による製鉄せいてつ方法ほうほう解説かいせつしている。このような方法ほうほうられたてつ錬鉄れんてつばれる[17]
 
高炉こうろ仕組しくみ。うえから鉄鉱てっこうせき石炭せきたんなどの原料げんりょう投入とうにゅうし、最終さいしゅうてきけだした銑鉄せんてつ生産せいさんする。

てつせいはしばしば製鉄せいてつばれる。簡単かんたんえば、鉄鉱てっこうせきふくまれるさまざまな酸化さんかてつから酸素さんそ除去じょきょしててつのこす、一種いっしゅ還元かんげん反応はんのうである。アルミニウムチタンくらべて、化学かがくてき比較的ひかくてきちいさなエネルギーりょうでこの反応はんのうすすむことが、現在げんざいまでのてつ普及ふきゅうにおいて決定的けっていてき役割やくわりたしている。この工程こうていには比較的ひかくてきたか温度おんどせんすうひゃく)の状態じょうたい長時間ちょうじかん保持ほじすることが必要ひつようなため、古代こだい文化ぶんかにおける製鉄せいてつ技術ぎじゅつ有無うむは、その文化ぶんか技術ぎじゅつ水準すいじゅん指標しひょうのひとつとすることができる。

製鉄せいてつは2つ、もしくは加工かこうまでくわえた3つの工程こうていからなる。鉄鉱てっこうせきコークスから炭素たんそぶんおお銑鉄せんてつせいずく銑鉄せんてつなどから炭素たんそのぞ炭素たんそぶんすくないはがねつく製鋼せいこう、さらに圧延あつえんである[18]せいずくにはふるくは木炭もくたん使つかわれていたが、中国ちゅうごくでは、前漢ぜんかん時代じだい燃料ねんりょうとして石炭せきたん利用りようすすみ、さらに石炭せきたんいて硫黄いおうなどの不純物ふじゅんぶつのぞいたコークスを発明はつめい、コークスを使つかった製鉄せいてつはじめられた[ちゅう 1]文献ぶんけん記録きろくとしては4世紀せいききたたかしでコークスを使つかった製鉄せいてつ記録きろくがもっともはや[19]以来いらい華北かほくでは時代じだいとともにコークスひろまり、きたそう初期しょきには大半たいはんがコークスとなった。それから1000ねん以上いじょうち、森林しんりんったことから1620ねんごろにイギリスのダッド・ダドリー英語えいごばん(Dud Dudley)も当時とうじ安価あんかはいった石炭せきたん使つかうことをかんがえて研究けんきゅうすすめた。石炭せきたんには硫黄いおうぶんおおく、そのままではてつ硫黄いおうざり使つかものにならなかったため、ダッドは石炭せきたんいて硫黄いおうなどの不純物ふじゅんぶつのぞいたコークスを発明はつめいし、1621ねんにコークスを使つかった製鉄せいてつ方法ほうほう特許とっきょった。しかし1709ねんからエイブラハム・ダービー1せい英語えいごばん大々的だいだいてきにコークスで製鉄せいてつすることをはじめるまでは、コークスを使つかった製鉄せいてつ使用しよう少数しょうすうにとどまっていた[20]

日本にっぽんでは古来こらいからたたらたたらき、踏鞴き、鈩き)とばれる製鉄せいてつ技法ぎほうつたえられている。現在げんざいでは島根しまねけん安来やすぎ山中さんちゅう奥出雲おくいずもまちなどのかぎられた場所ばしょで、日本にっぽんがたな素材そざい製造せいぞう目的もくてきとしてなか観光かんこう資源しげんとして存続そんぞくしているが、それと並存へいそんこう進化しんか延長えんちょうじょうにもある先端せんたんてき特殊とくしゅこうとくした日立金属ひたちきんぞく安来やすぎ工場こうじょうがある。

韮山にらやま反射はんしゃなどの試行しこうはあったが、鉄鉱てっこうせき原料げんりょうとする日本にっぽん近代きんだい製鉄せいてつ1858ねん1がつ15にち旧暦きゅうれき1857ねん安政あんせい4ねん12月1にち)にはじまったとわれ(橋野はしのだかあと[21]幕末ばくまつ以降いこう欧米おうべいから多数たすう製鉄せいてつ技術ぎじゅつしゃまねかれ日本にっぽん近代きんだい製鉄せいてつ急速きゅうそく発展はってんした。現在げんざい日本にっぽんでは、鉄鉱てっこうせきからてつ高炉こうろほうスクラップからてつ再生さいせいする電炉でんろほう大半たいはん鉄鋼てっこう製品せいひん製造せいぞうされている。高炉こうろからてん連続れんぞく鋳造ちゅうぞう工程こうてい最終さいしゅう製品せいひんまで、一連いちれん製鉄せいてつ設備せつびそろった工場こうじょうぐんのことをずくこう一貫いっかん製鉄せいてつしょ(もしくはたん製鉄せいてつしょ)とび、臨海りんかいだい規模きぼ製鉄せいてつしょ多数たすう立地りっちしていることが、日本にっぽん鉄鋼てっこうぎょう特色とくしょくとなっている。日本にっぽんでは電炉でんろほうによる製造せいぞう比率ひりつ粗鋼そこう換算かんさんで30 %きょうめる。てつ社会しゃかい循環じゅんかんする体制たいせい整備せいびされており、てつリサイクルせいたかさと日本にっぽんにおけるてつ蓄積ちくせきりょうおおきさをしめしている。てつスクラップは天然てんねん資源しげんとぼしい日本にっぽんにとって貴重きちょう資源しげんであり、これをどう利用りようするかが、注目ちゅうもくされるべき課題かだいとされている。

なおだい世界せかい大戦たいせんのちには高炉こうろ内壁ないへき磨耗まもう調しらべるため、使用しようする耐火たいか煉瓦れんが放射ほうしゃせい物質ぶっしつコバルト60混入こんにゅうし、産出さんしゅつするてつ製品せいひん放射線ほうしゃせんりょう測定そくていする手法しゅほうもちいられていたが、これらのてつ微量びりょう放射線ほうしゃせん測定そくていする現場げんばなど放射線ほうしゃせん影響えいきょう排除はいじょしたい環境かんきょう不向ふむきであるため[22]戦前せんぜん生産せいさんされた放射能ほうしゃのうたないてつもとめられるケースがある。大戦たいせん建造けんぞうされた軍艦ぐんかんがおもな供給きょうきゅうげんであり、日本にっぽんでは陸奥みちのくから回収かいしゅうした「陸奥むつてつ」が有名ゆうめいである。1970年代ねんだいからは高炉こうろない直接ちょくせつセンサーを設置せっちして摩耗まもう状態じょうたい計測けいそくする手法しゅほうられており[23]産出さんしゅつされるてつ放射線ほうしゃせん計測けいそくでの利用りよう問題もんだいいレベルになっている[24][25]

しん製鉄せいてつほう

編集へんしゅう
 
イギリスのコークスもちいた製鉄せいてつ工場こうじょうフィリップ・ジェイムズ・ド・ラウザーバーグ(1801ねん
 
製鉄せいてつひゃくねん記念きねん切手きって日本にっぽん

高炉こうろほう問題もんだいてん

編集へんしゅう

従来じゅうらい高炉こうろほう場合ばあい下記かき欠点けってんがあった。

  • 銑鉄せんてつ製造せいぞうするだけでも高炉こうろのほかにコークス石炭せきたん乾留かんりゅう)・しょうゆい必要ひつようであり、またはんおう速度そくども8あいだかかり、巨大きょだい設備せつび投資とうし必要ひつようなわりに生産せいさんりょうすくない。
  • コークスを製造せいぞうできる石炭せきたん石炭せきたんなかのごく一部いちぶであるねばむすぶずみ原料げんりょうずみ)だけであり、もともと価格かかくたかかった。近年きんねん資源しげんメジャーによる原料げんりょうずみ鉱山こうざんめのため、たん年度ねんど原料げんりょうずみ価格かかくが2ばい上昇じょうしょうするなどおおきなコスト上昇じょうしょう要因よういんとなっている。高炉こうろほうはねこうからのねばむすぶずみ一般いっぱんずみみを併用へいようしても、価格かかくやす一般いっぱんずみ使用しよう比率ひりつぜん石炭せきたん使用しようりょうの25–30 %程度ていど限界げんかいである。
  • 鉄鉱てっこうせき価格かかくかたまり鉱石こうせき高価こうかこな鉱石こうせき安価あんかであるが、高炉こうろこな鉱石こうせき使つか場合ばあいしょうゆいかたまりがためなければならない。その結果けっかしょうゆい必要ひつようしょうゆい工程こうてい燃料ねんりょう消費しょうひしてコストがかかるのみならず二酸化炭素にさんかたんそ発生はっせいさせてしまう。
  • 酸素さんそ濃度のうど多少たしょうやす工夫くふうもされているが、基本きほん空気くうき製鉄せいてつほうである。反応はんのう速度そくどおそいほか、C1化学かがく立場たちばからは製鉄せいてつはいガスに窒素ちっそ混入こんにゅうすることが、製鉄せいてつはいガスの化学かがく工業こうぎょうてき商業しょうぎょうてき価値かちとし、製鉄せいてつはいガス(合成ごうせいガス)を原料げんりょうとしただい規模きぼ自動車じどうしゃ燃料ねんりょう合成ごうせい燃料ねんりょう自給じきゅうりつ向上こうじょうさまたげているとの批判ひはんもある。

最近さいきん提案ていあん実用じつようされている製鉄せいてつほう

編集へんしゅう
溶融ようゆう還元かんげん製鉄せいてつほう
溶融ようゆう還元かんげんではこなじょう一般いっぱんずみ酸素さんそきで燃焼ねんしょうさせて高温こうおん一酸化いっさんか炭素たんそガスを発生はっせいさせ、予備よび還元かんげんしたこな鉄鉱てっこうせき一気いっき還元かんげんかしてけた銑鉄せんてつつくる。溶融ようゆう還元かんげん一酸化いっさんか炭素たんそガスは流動りゅうどうゆか回転かいてん、シャフト鉄鉱てっこうせき予備よび還元かんげんする。予備よび還元かんげん一酸化いっさんか炭素たんそガスは石炭せきたん乾燥かんそう空気くうき加熱かねつなどをて、発電はつでんやスラブのさい加熱かねつ化学かがく原料げんりょうなどに使用しようされる。
利点りてん
  • コークスしょうゆい不要ふようで、反応はんのう速度そくどはや比較的ひかくてきちいさな溶融ようゆう還元かんげんおおきな生産せいさん能力のうりょくつために製鉄せいてつしょ新設しんせつ設備せつび投資とうし高炉こうろほうよりやすくつく。
  • 一般いっぱんずみ100 %使用しよう可能かのうなため、資源しげんメジャーの原料げんりょうずみ値上ねあげでおおきな損害そんがいさなくてむ。製鉄せいてつだけを目的もくてきとするなら、はん無煙炭むえんたんなどの炭素たんそ含有がんゆうりょうたか石炭せきたん使つかえば投入とうにゅうげん単位たんい節約せつやくできるが、ふくなまガスを化学かがく工業こうぎょう原料げんりょうとして販売はんばいできる立地りっちなら、より安価あんかこう揮発きはつぶん石炭せきたんでガス産出さんしゅつやすこともできる。
  • 予備よび還元かんげん一部いちぶ流動りゅうどうゆか回転かいてん使つかえば、安価あんかこな鉱石こうせき使つかえる。
  • 酸素さんそ製鉄せいてつ場合ばあい発生はっせいする還元かんげんガスである一酸化いっさんか炭素たんそ窒素ちっそ混入こんにゅうしないため、燃料ねんりょうとしてもカロリーたかいばかりでなく、C1化学かがく出発しゅっぱつ原料げんりょうである合成ごうせいガスとして活用かつようできる。日本にっぽん製鉄せいてつ石炭せきたん消費しょうひ年間ねんかん1おくトンにおよび、そのはいガスを活用かつようしてフィッシャー・トロプシュほう軽油けいゆ生産せいさんしたり、メタノール生産せいさんした場合ばあいすうせんまんトンの自動車じどうしゃ燃料ねんりょう自給じきゅうできる可能かのうせいがあるとわれている。
  • てつガス併産・化学かがくとのコプロダクション[26]
課題かだい
  • 日米にちべいおうとも上流じょうりゅう設備せつび過剰かじょう気味ぎみである。日米にちべいおうとも鉄鋼てっこう需要じゅようおおきな成長せいちょうはない。需要じゅよう増大ぞうだいしている中国ちゅうごくインドでは国産こくさん鉄鋼てっこう価格かかくやすく、ひやのべ鋼板こうはんより上流じょうりゅう製品せいひんでは日米にちべいおう製品せいひん価格かかくたかすぎてれないため、日本にっぽん鉄鋼てっこうメーカーの設備せつび投資とうし亜鉛あえんすずメッキ鋼板こうはん設備せつびなど下流かりゅう高級こうきゅう用途ようと集中しゅうちゅうしている。中国ちゅうごくではねつ効率こうりつわる二酸化炭素にさんかたんそ排出はいしゅつおお中小ちゅうしょうだか乱立らんりつする様相ようそうしめしており、地球ちきゅう環境かんきょう視点してんからは、製鉄せいてつ企業きぎょう適正てきせい合併がっぺい指導しどうしん製鉄せいてつほう技術ぎじゅつ供与きょうよのぞまれるが、それは中国ちゅうごく・インドさん鋼鉄こうてつ価格かかく競争きょうそうりょくたかめ、日本にっぽんさん鉄鋼てっこう価格かかく競争きょうそうりょく地盤じばん沈下ちんかするブーメラン効果こうか原因げんいんともなりうる。
  • 鉄鋼てっこう会社かいしゃ溶融ようゆう還元かんげんほう転換てんかんすると、現在げんざいコークス鉄鋼てっこう企業きぎょう納品のうひんしている企業きぎょうはコークス経営けいえいかなくなる。そのため、現在げんざい稼動かどうちゅうのコークスが40ねん寿命じゅみょうむかえる2015ねんまで溶融ようゆう還元かんげん製鉄せいてつ導入どうにゅう困難こんなんられていたが、昨今さっこん原料げんりょうずみ価格かかく急激きゅうげき上昇じょうしょう韓国かんこく浦項ほこう総合そうごう製鉄せいてつ溶融ようゆう還元かんげん製鉄せいてつ操業そうぎょう開始かいしなど、えの前倒まえだおしが必要ひつようになるかもしれない事象じしょうきている。
  • 技術ぎじゅつてきには酸化さんかてつによるかべの溶損の解決かいけつ課題かだいのひとつのようである。
  • 酸素さんそ製鉄せいてつほう膨大ぼうだい酸素さんそ消費しょうひする。東京とうきょうわん伊勢湾いせわん大阪おおさかわんのような液化えきか天然てんねんガスだい消費しょうひであれば液化えきか天然てんねんガス冷熱れいねつ利用りようていコストに酸素さんそ量産りょうさんできる可能かのうせいがあるが、そうでない場合ばあい空気くうき分留ぶんりゅうによって酸素さんそ製造せいぞうするのに多大ただい電力でんりょく消費しょうひする。
すみざい内装ないそうかたまり高速こうそく自己じこ還元かんげん技術ぎじゅつ
粉炭ふんたんこな鉱石こうせき加熱かねつ成型せいけいしたかたまり高炉こうろ装填そうてんした場合ばあい、コークスとかたまり鉱石こうせき交互こうご装填そうてんした場合ばあいの5ばいはやさで還元かんげん反応はんのうすすむ。また同様どうよう混合こんごうペレットを溶融ようゆう還元かんげん使用しようした場合ばあいかべ溶損原因げんいんとなるFeOの溶出ようしゅつが3 %でむ。回転かいてんによるITmk3ほう後述こうじゅつのフロートスメルターほうどう技術ぎじゅつ使用しようしている。
フロートスメルターほう
粉炭ふんたんくぼみをつくり、粉炭ふんたんこな鉱石こうせき石灰せっかい混合こんごうしたものをくぼみに充填じゅうてんし、周囲しゅうい石炭せきたん燃焼ねんしょうして加熱かねつする。
50まんトン/とし規模きぼ小型こがたプラントにてきする。炭素たんそ酸化さんか発熱はつねつ炭素たんそ一酸化いっさんか炭素たんそより一酸化いっさんか炭素たんそ二酸化炭素にさんかたんそ発熱はつねつりょうだいであり、石炭せきたんをCO2まで酸化さんかすることで石炭せきたん使用しようげん単位たんいり、CO2半減はんげん効果こうかられる。ただし、発生はっせいするガスは二酸化炭素にさんかたんそであるため化学かがく合成ごうせいには使つかえない。
電解でんかい精製せいせいほう
原料げんりょう溶解ようかいし、電気でんき分解ぶんかいによりじゅんてつ方法ほうほうで、乾式かんしき湿式しっしきかれる。合金ごうきん素材そざい薬品やくひん原料げんりょうとう鋼鉄こうてつ錬鉄れんてつ鋳鉄ちゅうてつでは代用だいようできないこう純度じゅんどてつるためにおこなわれる。

鉄鋼てっこう生産せいさん規模きぼ

編集へんしゅう
世界せかいくにべつ粗鋼そこう生産せいさんりょうベスト10(2017ねん
順位じゅんい くに 粗鋼そこう生産せいさんりょうまんトン)
1   中国ちゅうごく 90000
2   日本にっぽん 10000
2   インド 10000
4   アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 8161
5   ロシア 7134
6   大韓民国だいかんみんこく 7103
7   ドイツ 4326
8   トルコ 3752
9   ブラジル 3437
10   イタリア 2407
  • 世界せかい全体ぜんたいでは、18.1おくトンの粗鋼そこう生産せいさんされている(2018ねん[27])。
  • 日本にっぽん鉄鋼てっこうぎょうにおける従業じゅうぎょうしゃすうは19.6まんにんであり、日本にっぽん全体ぜんたいでは10466まんトンの粗鋼そこう生産せいさんされている(2017ねん)。
  • 日本にっぽん鉄鋼てっこうぎょうは、主原あるじはらりょう鉄鉱てっこうせき原料げんりょうずみ全量ぜんりょう海外かいがいから輸入ゆにゅうしている。また、鉄鋼てっこう製品せいひん国内こくない物流ぶつりゅう一時いちじ輸送ゆそうりょう)としては、船舶せんぱくによる海上かいじょう輸送ゆそうが4200まんトン、トラックおよび鉄道てつどうによる陸上りくじょう輸送ゆそうが2200まんトンとなっている(2018ねん)。

てつ利用りよう歴史れきし

編集へんしゅう
 
てつつくられた中国ちゅうごくかんだいかたなかんくびがたな)、はげしく腐朽ふきゅうしている

人類じんるいてつ発見はっけんしたのは隕石いんせきによってとされており、ニッケルおおふくむものは鍛造たんぞう可能かのうであった[28]古代こだいエジプトで紀元前きげんぜん3000ねんごろ製作せいさくされた隕石いんせきせいとみられるてつたまき首飾くびかざりが発見はっけんされている[28]メソポタミアでは紀元前きげんぜん3300ねんから紀元前きげんぜん3000ねんごろのウルク遺跡いせきから鉄片てっぺんつかっている。カマン・カレホユック遺跡いせきアラジャホユック遺跡いせき紀元前きげんぜん20–18世紀せいきごろのアッシリアじん遺跡いせきからも当時とうじ鍛鉄たんてつつかっている。

また、地球ちきゅうじょう自然しぜんかい存在そんざいするてつ酸化さんかしているため還元かんげんする必要ひつようがあった[28]紀元前きげんぜん1700ねんごろヒッタイトではバッチしきもちいた鉄鉱てっこうせき還元かんげんとその加熱かねつ鍛造たんぞうという高度こうど製鉄せいてつ技術ぎじゅつにより鉄器てっき文化ぶんかきずいたとされる[28]トロイ戦争せんそうでのヒッタイトの敗北はいぼくにより製鉄せいてつ技術ぎじゅつはヨーロッパ全土ぜんどひろがった[28]

しかし、てつびてかえってしまうため古代こだい歴史れきしてき遺物いぶつ鉄製てつせいのものはあまりのこっていない[28]

中世ちゅうせい

編集へんしゅう

ヨーロッパでは14世紀せいきになってもてつ生産せいさん鍛造たんぞうおこなわれていた[28]てつ鋳造ちゅうぞうは14世紀せいき以降いこうにようやくおこなわれるようになった[28]てつ鋳造ちゅうぞう技術ぎじゅつ中国ちゅうごく発明はつめいされたといわれているがヨーロッパにつたわらなかった原因げんいん当時とうじてつがチルとばれるかたくてもろ鋳鉄ちゅうてつだったためともいわれている[28]。ヨーロッパでは産業さんぎょう革命かくめいがある18世紀せいきまで鋳鉄ちゅうてつかたくてもろいものとされていたため鍛造たんぞうてつ重宝ちょうほうされた[28]

近世きんせい

編集へんしゅう

てつ生産せいさんしているところでは森林しんりん破壊はかい深刻しんこくで、16世紀せいきてつ生産せいさん増加ぞうかしたイギリスでは、17世紀せいきにはてつ生産せいさんのための森林しんりん破壊はかい深刻しんこくとなって木炭もくたん枯渇こかつはじめ、製鉄せいてつ中心ちゅうしんだったウィールドでは17世紀せいきまつになると生産せいさんりょう盛時せいじだった17世紀せいき前半ぜんはん半分はんぶん以下いかまでみ、18世紀せいきなかばには10ぶんの1まで減少げんしょうした。18世紀せいき後半こうはんにはダービーでコークスを使つかった精錬せいれんはじまる。コークスは石炭せきたんきにしたもので、不純物ふじゅんぶつすくなくてつ精錬せいれん使つかうことができ、火力かりょくつよかった。コークスの発明はつめいにより木材もくざい資源しげん心配しんぱいがなくなり、てつ生産せいさんりょう増加ぞうかした。

中国ちゅうごく

編集へんしゅう

青銅せいどう鋳造ちゅうぞう技術ぎじゅつはメソポタミアにはあったが、てつ鋳造ちゅうぞう技術ぎじゅつ紀元前きげんぜん7世紀せいきごろ中国ちゅうごく開発かいはつされた[28]てつ鋳造ちゅうぞう可能かのうとなったものの、それは黒鉛こくえん含有がんゆうしないチルとばれるかたくてもろ鋳鉄ちゅうてつだった[28]紀元前きげんぜん470ねんごろにはそれをやく900〜1000酸化さんかてつないで3日間にちかん加熱かねつしてしろこころ可鍛鋳鉄かたんちゅうてつにする技術ぎじゅつがあったという研究けんきゅうもある(歴史れきしてきには1772ねんにフランスのルネ・レオミュール発明はつめいしたとされている)[28]

チンギス・ハーンらの宮殿きゅうでん歴代れきだい皇帝こうてい霊廟れいびょうとされるモンゴルのアウラガ遺跡いせきから出土しゅつどした棒状ぼうじょう鉄材てつざい化学かがく分析ぶんせき顕微鏡けんびきょう観察かんさつ結果けっか硫黄いおう含有がんゆうりょう 0.52%、どうのそれ 0.45%と非常ひじょうたかく、中国ちゅうごく山東さんとうしょうかねみね鉱山こうざん鉄鉱てっこうせきちかいことがわかった。モンゴル内地ないちてつ産地さんちはほとんどなく、てつ供給きょうきゅうげんとして重視じゅうしした可能かのうせいがあるという[29]

日本にっぽん

編集へんしゅう

古代こだい中世ちゅうせい前期ぜんき

編集へんしゅう

青銅せいどううつわ鉄器てっきとは紀元前きげんぜん3世紀せいきごろ、ほぼどう時期じき日本にっぽん伝来でんらいし、朝鮮半島ちょうせんはんとうより輸入ゆにゅうされ国内こくないひろまったとかんがえられていた。

赤井手あかいで遺跡いせき福岡ふくおか)のてつ工房こうぼうあとから紀元前きげんぜん10世紀せいきごろてつ素材そざい出土しゅつど

まが遺跡いせき福岡ふくおか)で紀元前きげんぜん4世紀せいき鍛造たんぞういたじょう鉄器てっき出土しゅつど

舟木ふなき遺跡いせき淡路あわじ)で紀元前きげんぜん3世紀せいき鍛治かじ工房こうぼう4むね発掘はっくつされている。 

青銅せいどうおよび青銅器せいどうき紀元前きげんぜん1世紀せいきごろより日本にっぽんつくられるようになった。

鉄器てっき製作せいさくは、弥生やよい時代じだい後期こうき後半こうはん(1–3世紀せいき)ごろより開始かいしされた(北部ほくぶ九州きゅうしゅうカラカミ遺跡いせき壱岐いき)や備後びんご小丸こまる遺跡いせき三原みはら))。朝鮮半島ちょうせんはんとう製鉄せいてつしたてつ素材そざい入手にゅうしゅ鍛鉄たんてつおこなったが、製鉄せいてつもこのころよりはじまったとする研究けんきゅうもある。

6世紀せいきには、出雲いずも地方ちほう吉備きびで、製鉄せいてつひろおこなわれるようになった。鞴(ふいご)を使つかい、製鉄せいてつつくかたは、朝鮮半島ちょうせんはんとうからの導入どうにゅう推定すいていされている[30]当初とうしょ原料げんりょうおも鉄鉱てっこうせき採掘さいくつした。ただし採掘さいくつかぎられ、さんりょう豊富ほうふではなく[31]、そのも、朝鮮半島ちょうせんはんとうからてつ素材そざい入手にゅうしゅつづけた。総社そうしゃせんかなくろたに遺跡いせきは6世紀せいき後半こうはん製鉄せいてつあと4製鉄せいてつかまあと3つかっている。

日本にっぽん製鉄せいてつほうはある時期じき以降いこうは「たたら」とばれる特徴とくちょうあるはがねかたまり(bloomery)をもちい、砂鉄さてつ国内こくない各地かくちれ、てつ含有がんゆうりょうたかい)を原料げんりょうとする直接ちょくせつ製鉄せいてつほう[32]もちいるようになリ、国内こくない各地かくち安定あんていして自給じきゅう生産せいさん可能かのうとなった。

古代こだい中世ちゅうせいにおいては露天ろてんしきだたらほう頻繁ひんぱんおこなわれていたが、16世紀せいき中葉ちゅうようより全天候ぜんてんこうがた送風そうふうりょう増加ぞうかした永代ながよたたらほう発展はってんした。この古代こだい以来いらい日本にっぽん独自どくじのたたら製鉄せいてつほうでは、たまこう包丁ほうちょうてつといった複数ふくすうてつ同時どうじられるために、それがのちの日本にっぽんがたないしずえとなった。

出雲いずも古代こだいより一貫いっかんして日本にっぽん全国ぜんこくてつ供給きょうきゅうし、現在げんざいでも出雲いずも地方ちほうにその文化ぶんか名残なごりみとめられ、日立金属ひたちきんぞくなどの高級こうきゅう特殊とくしゅこうメーカーへと変貌へんぼうげている。

養老ようろう律令りつりょう規定きていでは、てつどう採取さいしゅ活動かつどうかんしてはかんによる採取さいしゅ優先ゆうせんされるものの、民間みんかんによる採取さいしゅ否定ひていしたものではなかった(ざつれい国内こくないじょう)。これは中国ちゅうごくとうれい規定きていをそのまま日本にっぽん導入どうにゅうしたものとかんがえられる(ただし、中国ちゅうごくではそうはいると民間みんかんによる採取さいしゅきんじる方針ほうしん変更へんこうされていくことになる)。また、生産せいさんかんしても蝦夷えぞ近接きんせつするひがし北辺ほくへんでのてつ生産せいさん規制きせいする規定きてい存在そんざいしていた(せきれい弓箭きゅうせんじょう)が、規制きせい存在そんざいをうかがわせる史料しりょうつかっていない。また、調しらべとしててつくわみつぎおさめ指定していされていたり、国司こくし武器ぶき鉄器てっき原料げんりょうとして民間みんかんとのあいだてつ交易こうえきはかっていたことをしめせいぜいちょう記述きじゅつもあり、国家こっかによる徴収ちょうしゅうさい分配ぶんぱい放出ほうしゅつとはべつ民間みんかんにおけるてつのある程度ていど生産せいさん流通りゅうつう存在そんざいし、おうしん中小ちゅうしょう生産せいさんしゃなど幅広はばひろそうになっていた。律令りつりょう国家こっかにおいては所謂いわゆる官営かんえい工房こうぼう」が生産せいさん流通りゅうつう支配しはいしていたとする「官営かんえい工房こうぼうろん存在そんざいしているが、当時とうじ文献ぶんけん古記こきろくからは国家こっかによるてつてつ製品せいひん生産せいさん流通りゅうつう独占どくせん管理かんりおこなわれていたことしめすものはく、(価格かかく問題もんだいはあるものの)一般いっぱん対価たいかさえ支払しはらえばてつ鉄器てっき購入こうにゅう可能かのうであったとかんがえるのが適切てきせつである[33]

農具のうぐ鉄器てっきつくられるようになると、農地のうち開拓かいたくすすんだ。しかし中世ちゅうせい初期しょきてつ非常ひじょう貴重きちょうであり、鉄製てつせい農機具のうきぐ一般いっぱん農民のうみんには私有しゆうできずおおやけちものであり、おおやけ農地のうちたがやし、あさりてきて夕方ゆうがたにはあらってかえすことになっていた。私有地しゆうち耕作こうさくにはてつ農機具のうきぐ使つかうことができず、生産せいさんりょうおとった。すなわち、中世ちゅうせい日本にっぽん貴族きぞくてつ所有しょゆうけんとおして遠隔えんかくにある荘園しょうえん管理かんりした[34]

11世紀せいきごろよりてつ生産せいさんりょうえると、てつ安価あんか供給きょうきゅうされるようになった。個人こじんてつ農機具のうきぐつことができるようになると、あらたな農地のうち開墾かいこんすすんだ。

中世ちゅうせい後期こうき近世きんせい

編集へんしゅう
 
こよみおう5ねん1342ねん鋳物いもの認可にんかじょう巻末かんまつ
 
官営かんえい八幡やはた製鉄せいてつしょ

戦国せんごく時代じだいにあった日本にっぽんでは、1550年代ねんだいごろに銃器じゅうき生産せいさん普及ふきゅうした。てつ技術ぎじゅつしゃ鍛冶たんや鋳物いものばれた。また、永代ながよたたらの普及ふきゅうにより生産せいさんりょう爆発ばくはつてき増加ぞうかしたため、生産せいさんせい観点かんてんからまりのいい砂鉄さてつれる中国ちゅうごく地方ちほう九州きゅうしゅう地方ちほうへの産地さんち集中しゅうちゅうすすむこととなった。

当時とうじてつ精錬せいれんには木炭もくたん使つかわれた(ただし、そうだい以降いこう中国ちゅうごくにおいては石炭せきたん利用りようはじまる)。日本にっぽん森林しんりん再生さいせい能力のうりょくすぐれ、さいわいにも森林しんりん資源しげん枯渇こかつすることがなかった。豊富ほうふ砂鉄さてつにもめぐまれており、てつ生産せいさんりょう加工かこう技術ぎじゅつでは世界せかいきん存在そんざいになった[よう出典しゅってん]

中世ちゅうせい後期こうきから江戸えど時代じだいにかけて、刀剣とうけん輸出ゆしゅつ商品しょうひんとして長崎ながさきから輸出ゆしゅつされた。輸出ゆしゅつさき中国ちゅうごくやヨーロッパである。今日きょうでもヨーロッパ各地かくち博物館はくぶつかん当時とうじ貴族きぞくたちが収集しゅうしゅうした日本にっぽんがたなることができる。あきら一貫いっかんして日本にっぽんとの交易こうえききんじる政策せいさくをとってきたが、ていわかの『籌海へん』にはやまと寇がこのんだもの(やまとこのみ)として「てつなべ」がげられ、しゃの『けんだいやまと』には「てつなべ重大じゅうだいぶついちなべいたりいちりょうぜにじゅういにしえしゃせんぶんいたりよんりょう小鍋こなべ曁開もと永楽えいらくぜにせん、及新ぜに尚也なおや」(上巻じょうかんやまと」)としてしるし、日本人にっぽんじんしょうなべでも永楽えいらくぜに2ぜにしてれようとしたことがしるされている。これについて、太田おおた弘毅こうき16世紀せいき西日本にしにほんとくやまととのつながりがつよ瀬戸内海せとないかい沿岸えんがん九州きゅうしゅう新興しんこう日本にっぽんがたな産地さんち発生はっせいしていることを指摘してきし、戦国せんごく時代じだい増大ぞうだいする日本にっぽんがたな需要じゅよう軍事ぐんじてき、あるいは密輸みつゆようとして)をまかなうために中国ちゅうごくからてつなべなどの中古ちゅうこてつ獲得かくとくしたとろんじる[35]。また、16世紀せいきあかりひとやまと事情じじょう調しらべるために日本にっぽんおとずれて帰国きこくに『日本一にっぽんいちかん』をあらわしたていしゅんいさおによれば、「其鉄すんでもろ不可ふかさくおお暹羅しゃむてつさく也、而福たててつこう私市きさいちかれ、以作此」(まき器用きよう」)とべて日本にっぽん鉄砲てっぽう使つかわれていたてつがシャムや福建ふっけんからの密輸みつゆひん収奪しゅうだつふくむ)であったことを指摘してきしている。さらに、近年きんねんにおいて佐々木ささきみのるらによっておこなわれた日本にっぽんさん鉄砲てっぽうなどにもちいられたてつ化学かがく分析ぶんせきによれば、日本にっぽん砂鉄さてつにはふくまれていないどうやニッケル、コバルトなどの磁鉄鉱じてっこう由来ゆらい成分せいぶん含有がんゆう確認かくにんされており、佐々木ささき近世きんせい以前いぜん日本にっぽん国内こくないにおいて磁鉄鉱じてっこう鉱床こうしょう開発かいはつ確認かくにんできない以上いじょう国外こくがいから輸入ゆにゅうされた銑鉄せんてつなどが流通りゅうつうしていたとかんがえざるをないと指摘してきする[36]

こわれたてつ製品せいひん修復しゅうふくする需要じゅようがあり、てつ加工かこう技術ぎじゅつ日本にっぽん各地かくち一般いっぱんしていった。きたえせっ鋳掛いかけのほかにも、金属きんぞく接合せつごうにはろうリベット使つかわれた。

鋳物いものぎょうさかんな富山とやまけん高岡たかおかにも鋳物いもの伝統でんとうである高岡たかおか銅器どうきがあり、この地域ちいきにはふる技術ぎじゅつがよく伝承でんしょうされている。現在げんざいでもYKK新日軽しんにっけいといった金属きんぞく加工かこう関係かんけいだい企業きぎょう工場こうじょう富山とやまけんおおくあるのはこの伝統でんとう無縁むえんではない。江戸えど幕末ばくまつには、かんほうそなえた艦隊かんたい武力ぶりょく背景はいけい開国かいこくせま西洋せいよう対抗たいこうするために、大砲たいほう鋳造ちゅうぞうよう反射はんしゃ各地かくち建造けんぞうされた(韮山にらやま反射はんしゃなどがげられる)。これらは明治めいじ時代じだいになるとより効率こうりつのいいだかにとってわられた[37]

生体せいたいないでの利用りよう

編集へんしゅう

鉄分てつぶん役割やくわり

編集へんしゅう

てつ生物せいぶつがくてき役割やくわり非常ひじょう重要じゅうようである。赤血球せっけっきゅうなかふくまれるヘモグロビンは、てつイオン利用りようして酸素さんそ運搬うんぱんしている[38]。ヘモグロビン1分子ぶんしには4つのてつ(Ⅱ)イオンが存在そんざいし、それぞれがポルフィリンという有機ゆうき化合かごうぶつ錯体さくたい形成けいせいした状態じょうたい存在そんざいする[39]。この錯体さくたいヘムばれ、ミオグロビンカタラーゼシトクロムなどのタンパク質たんぱくしつにもふくまれる[40]。ヘモグロビンと酸素さんそ分子ぶんし結合けつごうよわく、筋肉きんにくのような酸素さんそ利用りようする組織そしき到着とうちゃくすると容易ようい酸素さんそ放出ほうしゅつすることができる[39]

フェリチンてつ貯蔵ちょぞうする機能きのうタンパク質たんぱくしつファミリーである。そのかくてつ(Ⅲ)イオン、酸化さんかぶつイオン水酸化物すいさんかぶつイオンリンさんイオンからなる巨大きょだいなクラスター(オキソヒドロキソリンさんてつ)で、分子ぶんしあたり4500ものてつイオンをふく[39]

おもなてつ含有がんゆうタンパク質たんぱくしつ[39]
タンパク質たんぱくしつめい 1ふん子中こなかてつ原子げんしすう 機能きのう
ヘモグロビン 4 血液けつえきちゅうのO2輸送ゆそう[38]
ミオグロビン 1 骨格こっかくすじ細胞さいぼうちゅうのO2貯蔵ちょぞう[38]
トランスフェリン 2 血液けつえきちゅうのFe3+輸送ゆそう[41]
フェリチン 4500以下いか 肝臓かんぞう脾臓ひぞう骨髄こつづいなどの
細胞さいぼうちゅうでのFe3+貯蔵ちょぞう[41]
ヘモシデリン 103 - 104 Feの貯蔵ちょぞう
カタラーゼ 4 H2O2分解ぶんかい
シトクロムc 1 電子でんし移動いどう
てつ-硫黄いおうタンパク質たんぱくしつ 2 - 8 電子でんし移動いどう

鉄分てつぶん吸収きゅうしゅう

編集へんしゅう

にくさかなミオグロビンヘモグロビン由来ゆらいするポルフィリン結合けつごうしたてつヘムてつ(おもに動物どうぶつせい)とばれ、ヘムてつ(おもに植物しょくぶつせい)と比較ひかくして2–3ばい体内たいないへの吸収きゅうしゅうりつたかい。ヘムてつビタミンC一緒いっしょ摂取せっしゅすると、水溶すいようせいたかいFe2+に還元かんげんされて体内たいないへの吸収きゅうしゅう促進そくしんされるが、玄米げんまいなどのぜんつぶ穀物こくもつふくまれるフィチンさんちゃ野菜やさいるいふくまれるポリフェノールなどはヘムてつ吸収きゅうしゅう阻害そがいする[42][43]にくふくまれるヘムてつはつがんせいのあるニトロソアミン生成せいせいうながし、さらに加工かこうにくでは硝酸しょうさんナトリウム硝酸しょうさんナトリウムがこれを生成せいせいする[44]

鉄分てつぶん吸収きゅうしゅう抑制よくせいによる抗菌こうきん作用さよう

編集へんしゅう

ヘプシジン英語えいごばん肝臓かんぞうさんされる一種いっしゅペプチドホルモンであり、てつ代謝たいしゃ制御せいぎょおこなっている。ヘプシジンはちょうからのてつ過剰かじょう吸収きゅうしゅう抑制よくせいする作用さようゆうする。ヘプシジンさんせい障害しょうがいてつ過剰かじょうしょうこす。おおくの病原びょうげんたいはその増殖ぞうしょく多量たりょうてつようするため、ヘプシジンが血清けっせいてつ濃度のうど低下ていかさせることは炎症えんしょう原因げんいんとなるきん増殖ぞうしょく抑制よくせいして抗菌こうきん作用さよう発揮はっきすることになる[45]

ラクトフェリンは、母乳ぼにゅうなみだあせ唾液だえきなどのそと分泌ぶんぴつえきちゅうふくまれるてつ結合けつごうせいとうタンパク質たんぱくしつである。ラクトフェリンは、強力きょうりょく抗菌こうきん活性かっせいつことがられている。グラム陽性ようせいグラム陰性いんせい関係かんけいなく、おおくの細菌さいきん生育せいいくてつ必要ひつようである。トランスフェリン同様どうよう、ラクトフェリンはてつうばることで、細菌さいきん増殖ぞうしょく抑制よくせいする[46][47]

鉄分てつぶん不足ふそく

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ヒトの場合ばあい、ヘモグロビンの原料げんりょうである体内たいない鉄分てつぶん不足ふそくすると、ヘモグロビンが十分じゅうぶん合成ごうせいできないため酸素さんそ運搬うんぱんりょう不足ふそくし、てつ欠乏けつぼうせい貧血ひんけつこすことがある。またてつ不足ふそく疾病しっぺいリスクの上昇じょうしょうにつながることが示唆しさされてきており[48][49][50]鉄分てつぶん充分じゅうぶん補充ほじゅうする必要ひつようがある。鉄分てつぶんは、レバーホウレンソウなどの食品しょくひんおおふくまれ、そのほかに鉄分てつぶんおおふく食品しょくひんは、ひじき海苔のりゴマパセリアサリシジミなどである。これらを摂取せっしゅすることで鉄分てつぶん不足ふそく改善かいぜんされる。

またてつ溶解ようかいちいさい土壌どじょうそだてられる植物しょくぶつなどでは、てつ吸収きゅうしゅう不足ふそくすることで植物しょくぶつ成長せいちょうまりすることがある。この症状しょうじょうは、土壌どじょう水溶すいようせいかたてつ肥料ひりょうあたえるなどすると一時いちじてき改善かいぜんされるが、植物しょくぶつちゅうふくまれるてつりょうえるわけではなく、ビタミンA含有がんゆうりょうえることがかっている。したがって、てつ肥料ひりょうあたえることは植物しょくぶつちゅう鉄分てつぶんではなくビタミンAをやすことに役立やくだつ。植物しょくぶつてつ欠乏けつぼう長期ちょうきてき改善かいぜんするには、土壌どじょう大量たいりょう硫黄いおう投入とうにゅうするなどして、土壌どじょうしつえる必要ひつようがある。なお陸上りくじょう植物しょくぶつかぎらず、藻類そうるい微量びりょうてつ必要ひつようとする。

鉄分てつぶん過剰かじょう

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一方いっぽうで、過剰かじょうてつ摂取せっしゅ生体せいたいにとって有害ゆうがいである。ヒトでは食生活しょくせいかつ問題もんだいによるてつ蓄積ちくせきアフリカがたてつ過剰かじょうしょうなど)や、度重たびかさなる輸血ゆけつによるてつ蓄積ちくせきなどがられている。自由じゆうてつ原子げんし酸化さんかぶつ反応はんのうフリーラジカル生成せいせいし、これがDNAタンパク質たんぱくしつ、および脂質ししつ破壊はかいするためである。細胞さいぼうちゅうてつ束縛そくばくするトランスフェリンりょうえててつ摂取せっしゅすると、これによって自由じゆうてつ原子げんししょうじ、てつ中毒ちゅうどくとなる。余剰よじょうてつフェリチンヘモジデリンにも貯蔵ちょぞう隔離かくりされる。過剰かじょうてつはこれらのタンパク質たんぱくしつ結合けつごうしていない自由じゆうてつしょうじる。自由じゆうてつフェントン反応はんのうかいしてヒドロキシラジカルなどの活性かっせい酸素さんそ発生はっせいさせる。発生はっせいした活性かっせい酸素さんそ細胞さいぼうタンパク質たんぱくしつDNA損傷そんしょうさせる。活性かっせい酸素さんそかく臓器ぞうき攻撃こうげきし、肝臓かんぞうには肝炎かんえん肝硬変かんこうへん肝臓かんぞうがんを、膵臓すいぞうには糖尿とうにょうびょう膵臓すいぞうがんを、心臓しんぞうには心不全しんふぜんこす[51]脂肪しぼうきもにおいては、血清けっせいフェリチン増加ぞうかがしばしばみられ、脂肪しぼうきもなかでもアルコールせい脂肪しぼうせい肝炎かんえん(NASH)をふくんだアルコールせい脂肪しぼうせいきも疾患しっかんでは、きも組織そしきないてつ過剰かじょうかん障害しょうがい増悪ぞうあく因子いんしかんがえられている[52]ヒトからだにはてつ排出はいしゅつする効率こうりつてきなメカニズムがなく、粘膜ねんまく粘液ねんえきふくまれる1–2 mg/にち程度ていど少量しょうりょうてつ排出はいしゅつされるだけであるため、ヒトが吸収きゅうしゅうできるてつりょうは1–2 mg/にち程度ていど非常ひじょうすくない[51]。しかしちゅう鉄分てつぶん一定いってい限度げんどえると、てつ吸収きゅうしゅうをコントロールしている消化しょうか器官きかん細胞さいぼう破壊はかいされる。このため、こう濃度のうどてつ蓄積ちくせきすると、ヒトの心臓しんぞう肝臓かんぞう恒久こうきゅうてき損傷そんしょうおよぶことがあり[53]致死ちしせい中毒ちゅうどく症状しょうじょう発症はっしょうする。

鉄分てつぶん許容きょようりょう

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米国べいこく科学かがくアカデミーが公表こうひょうしているDRI指数しすうによれば、ヒトが1にちのうちに許容きょようできる鉄分てつぶんは、大人おとなで45 mg、14さい以下いかどもは40 mgまでである。摂取せっしゅりょう体重たいじゅう1 kgあたり20 mgをえるとてつ中毒ちゅうどく症状しょうじょうていする。てつ致死ちしりょう体重たいじゅう1 kgあたり60 mgである。6さい以下いかどもがてつ中毒ちゅうどく死亡しぼうするおもな原因げんいんとして、硫酸りゅうさんてつふくんだ大人おとなけの錠剤じょうざいあやまいんである。

なお、遺伝いでんてき要因よういんにより、てつ吸収きゅうしゅうができない人々ひとびともいる。だいろく染色せんしょくたいのHLA-H遺伝子いでんし欠陥けっかんひとは、過剰かじょうてつ摂取せっしゅするとヘモクロマトーシスなどの鉄分てつぶん過剰かじょうしょうになり、肝臓かんぞうあるいは心臓しんぞう異変いへんをきたすことがある。ヘモクロマトーシスをわずらひとは、白人はくじんでは全体ぜんたいの0.3–0.8 %と推定すいていされているが、おおくのひと自分じぶんてつ過剰かじょうしょうであることにづいていないため、一般いっぱん鉄分てつぶん補給ほきゅうのための錠剤じょうざい摂取せっしゅする場合ばあいは、とくてつ欠乏症けつぼうしょうでないかぎり、医師いし相談そうだんすることがのぞましい。

てつ許容きょよう上限じょうげん摂取せっしゅりょう

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てつ過剰かじょう摂取せっしゅによる臓器ぞうきへのてつ沈着ちんちゃく種々しゅじゅ慢性まんせい疾患しっかん発症はっしょうリスクをたかめるためたいよう上限じょうげんりょう設定せっていされている。日本にっぽんさだめるたいよう上限じょうげんりょうは15さい以上いじょう男性だんせい一律いちりつに50 mg/にち女性じょせいが40 mg/である。たいよう上限じょうげんりょう算出さんしゅつするため、じゅうめくらけん試験しけんにおいて、ヘムてつ(フマルさんてつ)を60 mg/にちのグループと、ヘムてつヘムてつ混合こんごうを18 mg/ぶた血液けつえき由来ゆらい ヘムてつ2 mg/にち+フマルさんてつ16 mg/にち)グループと、 偽薬ぎやく投与とうよグループにけて試験しけんした結果けっかヘムてつ投与とうよグループはぐん比較ひかくして便秘べんぴ胃腸いちょう症状しょうじょうなどの健康けんこう障害しょうがいゆう訴率が有意ゆういたかかった。また、みなみアフリカのバンツーぞくで、バンツーてつ沈着ちんちゃくしょうという病気びょうき発生はっせいしたが、 これはてつ大量たいりょうふくむビールのつねいんや、てつなべ由来ゆらいてつにより てつ摂取せっしゅりょうが50–100 mg/にちとなったためだとかんがえられ、バンツーてつ沈着ちんちゃくしょうてつ摂取せっしゅりょうがおよそ100 mg/えると発生はっせいすると推定すいていされる。そのことから算出さんしゅつした日本にっぽんでのたいよう上限じょうげんりょうは、15さい以上いじょう男性だんせいたいするたいよう上限じょうげんりょう一律いちりつに50 mg/にちとし、女性じょせい体重たいじゅう考慮こうりょし15さい以上いじょう一律いちりつに40 mg/にちとした。また、アメリカ・カナダの食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅんでは、じゅうめくらけん試験しけんから算出さんしゅつしたたいよう上限じょうげんりょうで、男女だんじょとも成人せいじんてつたいよう上限じょうげんりょう一律いちりつに 45 mg/にちとしている。また、FAO/WHOは暫定ざんていたいよう最大さいだい1にち摂取せっしゅりょう(provisional maximal tolerable intake)を0.8 mg/kg 体重たいじゅう/にちさだめているが、根拠こんきょ不明ふめいである[54]

鉄分てつぶん推奨すいしょうりょう

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てつ食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(mg/にち[55][ちゅう 2]
せい べつ おとこ せい おんな せい
年齢ねんれいとう 推定すいてい平均へいきん
必要ひつようりょう
推奨すいしょうりょう 目安めやすりょう たいよう
上限じょうげんりょう[ちゅう 3]
月経げっけいなし 月経げっけいあり 目安めやすりょう たいよう
上限じょうげんりょう
推定すいてい平均へいきん
必要ひつようりょう
推奨すいしょうりょう 推定すいてい平均へいきん
必要ひつようりょう
推奨すいしょうりょう
0~5(つき - - 0.5 - - - - - 0.5 -
6~11(つき 3.5 5 - - 3.5 4.5 - - - -
1~2(とし 3 4.5 - 25 3 4.5 - - - 20
3~5(とし 4 5.5 - 25 3.5 5 - - - 25
6~7(とし 4.5 6.5 - 30 4.5 6.5 - - - 30
8~9(とし 6 8 - 35 6 8.5 - - - 35
10~11(とし 7 10 - 35 7 10 10 14 - 35
12~14(とし 8.5 11.5 - 50 7 10 10 14 - 50
15~17(とし 8 9.5 - 50 5.5 7 8.5 10.5 - 40
18~29(とし 6 7 - 50 5 6 8.5 10.5 - 40
30~49(とし 6.5 7.5 - 55 5.5 y6.5 9 10.5 - 40
50~69(とし 6 7.5 - 50 5.5 6.5 9 10.5 - 40
70以上いじょうとし 6 7 - 50 5 6 - - - 40
にん付加ふかりょう
初期しょき +2 +2.5
中期ちゅうき後期こうき +12.5 +15
授乳じゅにゅう付加ふかりょう +2 +2.5
日本にっぽん国民こくみんてつ平均へいきん摂取せっしゅりょう(mg/にち[56]
性別せいべつ年齢ねんれい 1-6さい 7-14さい 15-19さい 20-29さい 30-39さい 40-49さい 50-59さい 60-69さい 70-79さい 80さい以上いじょう
男性だんせい 4.5 6.7 7.9 7.4 7.2 7.6 8.1 8.8 9.2 8.3
女性じょせい 4.0 6.3 7.0 6.2 6.4 6.7 7.2 8.4 8.6 7.4
  • 鉄分てつぶん摂取せっしゅについての必要ひつようりょう推奨すいしょうりょうは、以下いかしきあらわされる。
    1. 推定すいてい平均へいきん必要ひつようりょう基本きほんてきてつ損失そんしつ÷吸収きゅうしゅうりつ(0.15)
    2. 推定すいてい平均へいきん推奨すいしょうりょう推定すいてい平均へいきん必要ひつようりょう×1.2
  • 20さい前後ぜんこう男性だんせい鉄分てつぶん損失そんしつりょうは0.9 mg/であるので、必要ひつようりょうは6.0 mg/にち推奨すいしょうりょうは7.2 mg/にちとなる。
  • 20さい前後ぜんこう女性じょせい鉄分てつぶん損失そんしつりょうは0.76 mg/であるので、必要ひつようりょうは8.7 mg/にち推奨すいしょうりょうは10.5 mg/にちとなる。
  • 月経げっけいのある女性じょせい鉄分てつぶん必要ひつようりょうは、以下いかしきあらわされる。推定すいてい平均へいきん必要ひつようりょう=(基本きほんてきてつ損失そんしつ月経げっけいによるてつ損失そんしつ(0.55 mg/にち))÷ 吸収きゅうしゅうりつ(0.15)
  • 鉄分てつぶん耐用たいよう上限じょうげんりょうは、0.8 mg/kg体重たいじゅう/にちとされる。70 kgの成人せいじんで56 mg/にち上限じょうげんとなる[57]

てつ同位どういたいの1しゅである59Feは、てつ動態どうたい検査けんさもちいられる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ていしゅうふるさかえ遺跡いせき出土しゅつど鋳造ちゅうぞうしょ
  2. ^ 過多かた月経げっけいけいりょうが 80 m L/かい以上いじょう)のひと除外じょがいした数値すうち
  3. ^ 過剰かじょう摂取せっしゅによる健康けんこう障害しょうがい回避かいひ上限じょうげんりょう

出典しゅってん

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  56. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょうれい元年がんねん 国民こくみん健康けんこう栄養えいよう調査ちょうさ結果けっか概要がいよう (PDF)』(レポート)、2020ねん10がつ27にち
  57. ^ 日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2010ねん)6.2.微量びりょうミネラル 6.2.1.てつ(Fe) (PDF)

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん文献ぶんけん

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ほか

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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