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ウ科 - Wikipedia

鳥類ちょうるいめい
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、ウか、Phalacrocoracidae)は、カツオドリ分類ぶんるいされる

カワウ
カワウ Phalacrocorax carbo
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : とりつな Aves
: カツオドリ Suliformes
: Phalacrocoracidae
学名がくめい
Phalacrocoracidae
和名わみょう
[1][2]
英名えいめい
cormorants
shags
ぞく
  • Leucocarbo
  • Microcarbo
  • Phalacrocorax

名称めいしょう

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漢字かんじの「」(テイ)は元々もともと中国ちゅうごくではペリカン意味いみし、「う」は国訓こっくんである。ウを意味いみする本来ほんらい漢字かんじは「鸕」(ロ)である。

アフリカ大陸たいりくオーストラリア大陸たいりくきたアメリカ大陸あめりかたいりくみなみアメリカ大陸あめりかたいりくユーラシア大陸たいりくインドネシア日本にっぽんニュージーランド

おも温帯おんたいいき熱帯ねったいいき河川かせん湖沼こしょう海岸かいがんなどに生息せいそくするが、ヒメウのような寒帯かんたいにも分布ぶんぷするたねもいる[3]

形態けいたい

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シロハラコビトウ

全長ぜんちょう45 -101センチメートル[2]はねしょくくろ黒褐色こっかっしょく緑色みどりいろ光沢こうたくがある褐色かっしょくなどのたねおおいが、下面かめんしろたねもいる[2][4]羽毛うもう浸水しんすいしやすい構造こうぞうになっており、素早すばや潜水せんすいすることができる[2]つばさ小型こがたはばひろい。水中すいちゅうではつばさ小型こがたのため、みず抵抗ていこうすくなくおよぐのにてきしている[2]。ほとんどのたね飛翔ひしょうできるが、ガラパゴスコバネウつばさ退化たいかしておりぶことはできない。

くちばしながくてうえくちばしさきかぎじょうとがり、側面そくめんのこじょう突起とっきがある[2]。これによりくわえた獲物えものげにくくなっている[2]頭骨とうこつ基部きぶ独特どくとく形状けいじょうほねがあり、これにより上下じょうげくちばし別々べつべつ素早すばやうごかすことができる[2]のど皮膚ひふふくろじょうびるが、あまり発達はったつはしない[2]のどふくろには毛細血管もうさいけっかんあつまっており、ふくらませてふるわせることで外気がいきやされ、体温たいおんげることができる[2]。このふくろ獲物えものみこむさいきをえてみやすくするのにも役立やくだつとかんがえられている[2]全身ぜんしん筋肉きんにくには血管けっかんみつはしり、比較的ひかくてき大量たいりょう血液けつえきながれる[2]。そのため酸素さんそ大量たいりょうれることができ、長時間ちょうじかん潜水せんすい適応てきおうしている[2]脂肪しぼうすくない[2]後肢あとあし胴体どうたい後方こうほうにあり、近接きんせつする[2]。そのため陸上りくじょうではうまく歩行ほこうすることができないが、からだ比較ひかくして大腿だいたい筋肉きんにく発達はったつ水中すいちゅうではおおきな推進すいしんりょくることができる[2]。4ほんすべての趾のあいだにはみずかきが発達はったつする(ぜんみずかきあし[2]

分類ぶんるい

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きゅうペリカン本科ほんか半数はんすう以上いじょうめていた[2]英名えいめいcormorant は、corvus marinus(「うみのカラス」の)およびそこからてんじた初期しょきフランス語ふらんすごcor marinに由来ゆらいする[2]

ただしヘビウカツオドリグンカンドリとともにウ Phalacrocoraciformes に分離ぶんりするせつもある[5][6]

姉妹しまいぐんヘビウであり[7]、カツオドリくわえた3をカツオドリ分類ぶんるいするせつもある。

Sibley分類ぶんるいでは、コウノトリコウノトリ下目しためカツオドリ小目こもく(カツオドリ相当そうとう)ウうえ Phalacrocoracoideaの唯一ゆいいつであり、カツオドリうえ(カツオドリ+ヘビウ)の姉妹しまいぐんかんがえられていた。

ペリカン
カツオドリ

ヘビウ Anhingidae

Phalacrocoracidae

カツオドリ Sulidae

グンカンドリ Fregatidae

そののペリカン

2016ねん現在げんざいIOC World Bird ListではPhalacrocoraxLeucocarboMicrocarboの3ぞく分割ぶんかつしている[8]一方いっぽうで2015ねん現在げんざいClements Checklistsでは本科ほんかはウぞくPhalacrocoraxのみで構成こうせいされる[9]

しかし、ウ内部ないぶ系統けいとう解明かいめい箇所かしょおおいことから、すべてを1ぞくぞく Phalacrocorax にまとめるべきだとするせつもある[10]

Microcarbo はおそらく、ウなか最初さいしょ分岐ぶんきしたたん系統けいとうである。しかし PhalacrocoraxLeucocarbo内包ないほうするがわ系統けいとうであり、PhalacrocoraxLeucocarbo統合とうごうするせつもある。

ガラパゴスコバネウだけを Nannopterum としてけるせつもあったが、分子ぶんし系統けいとうからは否定ひていされた[10]

HypoleucosStictocarboCompsohalieus などをけるせつもある。


日本にっぽんさんたね

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長良川ながらがわ鵜飼うかい
鵜匠うしょう杉山すぎやま秀二しゅうじたく(マルヨ)にて

日本にっぽんではウミウ、カワウ、ヒメウ、チシマウガラスの4しゅ繁殖はんしょくする[11]。いずれもからだしょく黒褐色こっかっしょくから黒色こくしょくで、緑色みどりいろあるいは藍色あいいろ光沢こうたくがある。

ウミウうみ
全長ぜんちょうやく84cm[11]海岸かいがん生息せいそくし、水面すいめんちかくを飛行ひこうする。
くちばしはするどく、さきかぎじょうがっており、さかならえるのにてきしている。
しょうえだくさあつめて岩場いわば断崖だんがいにコロニーをつくり営巣えいそうする。
日本にっぽんでは捕獲ほかく飼育しいくされたものを鵜飼うかもちいる。
カワウかわ
全長ぜんちょうやく82cm[11]。ウミウにるがやや小形こがた河川かせん湖沼こしょう生息せいそく
すうじゅうからすうひゃく単位たんい行動こうどうし、しょうえだ羽毛うもうなどをあつめてじょう営巣えいそうする。
中国ちゅうごくでの鵜飼うかいに使つかわれる。
ヒメウひめ
全長ぜんちょうやく73cm[11]。ウミウやカワウより小型こがた
すう単位たんい行動こうどうし、ウミウのコロニーに営巣えいそうすることもある。
チシマウガラス千島ちしまからす
全長ぜんちょうやく84cm[11]おもアリューシャン列島れっとうなどで繁殖はんしょくするが、ふゆとりとして北海道ほっかいどう東北とうほく地方ちほう飛来ひらいすることがある。日本にっぽんでもごく少数しょうすう北海道ほっかいどう東部とうぶしま繁殖はんしょくする[11]

生態せいたい

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脂肪しぼうすくないためおもねつ帯域たいいき生息せいそくし、高緯度こういど地方ちほうではすくない[2]およさいにはつばさ胴体どうたい密着みっちゃくさせ、後肢あとあし使つかっておよ[2]上記じょうきのように羽毛うもう浸水しんすいしやすいため、潜水せんすいしたあとはつばさひろげて羽毛うもうかわかすことがおお[2]

しょくせい動物どうぶつしょくで、水中すいちゅうもぐって魚類ぎょるい甲殻こうかくるい軟体動物なんたいどうぶつ貝類かいるいなどを捕食ほしょくする。なお、甲殻こうかくるい貝類かいるい捕食ほしょくかんしては疑問ぎもんする見解けんかいもある[12]

飛翔ひしょうは、頸をばしておも水面すいめんひくくを直線ちょくせんてきぶが、長距離ちょうきょり移動いどうするときには隊列たいれつつくってたか[3][4]

おおくは集団しゅうだん繁殖はんしょく(コロニー)を形成けいせいし、沿岸えんがんしま断崖だんがいたねによっては内陸ないりくうえ営巣えいそうする[4]。2-5たまごみ、雌雄しゆうだきらんし、また晩生ばんせいせいであるひなそだてひなする[3]

人間にんげんとの関係かんけい

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くま『鸕鶿捉魚』(ろじそくぎょず)、18世紀せいき。鸕鶿は大型おおがた意味いみという[13]

漁業ぎょぎょうもちいられることもあったが、現在げんざい一般いっぱんてきではない[2]日本にっぽんではすくなくとも5世紀せいき以降いこう、ヨーロッパでは17世紀せいき以降いこうには本科ほんか構成こうせいしゅもちいた漁法ぎょほうおこなわれていた(鵜飼うか[2]日本にっぽん中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくでは観光かんこうようなどに、本科ほんか構成こうせいしゅもちいた漁法ぎょほうおこなうこともある[2]一部いちぶ地域ちいきではコロニーに堆積たいせきしたくそ肥料ひりょうグアノ)として利用りようされる[2]

魚類ぎょるい捕食ほしょくするため、漁獲ぎょかくぶつ食害しょくがいする害鳥がいちょうとみなされることもある[2]

開発かいはつおよび人為じんいてき移入いにゅうされた動物どうぶつによるコロニーの破壊はかい漁業ぎょぎょうによるこんおよび漁業ぎょぎょう害鳥がいちょうとしての駆除くじょなどにより生息せいそくすう減少げんしょうしているたねもいる。

くちにしたさかなまずに丸呑まるのみにするため、ひと言葉ことば真偽しんぎなどをよくかんがえずそのまま相手あいて言葉ことばしんんでしまうというの「鵜呑うのみにする」という言葉ことば起源きげんともなった。

また、この習性しゅうせい利用りようしたりょうもインド以東いとうのアジアでおこなわれている[3]。この淡水魚たんすいぎょ漁法ぎょほうあみ釣竿つりざおなどでるのとはちがい、さかなからだきずつけずにりょう出来できるだけでなく、ののどのなかさかなつよ圧力あつりょくをかけてさかな一瞬いっしゅん失神しっしんさせるために、さかなつかれることによって(とく一本釣いっぽんづり)さかなうまみがちないことにくわえ、さかなほねやわらかくなることなどの利点りてんげられる。

鵜飼うかい歴史れきしふるい。日本にっぽんでは、5〜6世紀せいき築造ちくぞうされたとされる群馬ぐんまけん保渡田ほどた八幡やはたづか古墳こふんから、頸にひもきつけくちばしにはさかなをくわえた形状けいじょう鵜飼うかい様子ようす表現ひょうげんした「がた埴輪はにわ」が出土しゅつどしている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 日本にっぽんとり学会がっかい 「ウ」『日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく 改訂かいていだい7はん日本にっぽんとり学会がっかい目録もくろく編集へんしゅう委員いいんかいへん日本にっぽんとり学会がっかい、2012ねん、70-73ぺーじ
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa Douglas Siegel-Causey 「ウるい長谷川はせがわひろしやく動物どうぶつだい百科ひゃっか7 ちょうI』黒田くろだ長久ちょうきゅう監修かんしゅう C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトンへん平凡社へいぼんしゃ1986ねん、68、70-72ぺーじ
  3. ^ a b c d 三省堂さんせいどう編修へんしゅうしょ吉井よしいただし三省堂さんせいどう 世界せかいとりめい事典じてん』、三省堂さんせいどう、2005ねん、61ぺーじISBN 4-385-15378-7
  4. ^ a b c 高野たかの伸二しんじ 『カラー写真しゃしんによる 日本にっぽんさん鳥類ちょうるい図鑑ずかん』、東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい、1981ねん、201ぺーじ
  5. ^ Lista ptaków świata - ヤギェウォ大学だいがく環境かんきょう学校がっこう
  6. ^ Christidis, Les; Boles, Walter E. (2008), Systematics and Taxonomy of Australian Birds, CSIRO Publishing, ISBN 9780643096028 
  7. ^ Hackett, S. J.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763–1768 
  8. ^ Hamerkop, Shoebill, pelicans, boobies & cormorants, Gill, F & D Donsker (Eds). 2016. IOC World Bird List (v 6.3). doi:10.14344/IOC.ML.6.3 (Retrieved 17 October 2016)
  9. ^ Clements, J.F.; et al. "Clements checklist of birds of the world: v2015 (Excel spreadsheet). (Retrieved 17 October 2016).
  10. ^ a b Kennedy, Martyn; Valle, Carlos A.; Spencer, Hamish G. (2009), “The phylogenetic position of the Galápagos Cormorant”, Mol. Phylogenet. Evol. 53 (1): 94–98, doi:10.1016/j.ympev.2009.06.002 
  11. ^ a b c d e f 高野たかの伸二しんじ 『フィールドガイド 日本にっぽん野鳥やちょう 増補ぞうほ改訂かいていばん』、日本にっぽん野鳥やちょうかい2007ねん、28ぺーじISBN 978-4-931150-41-6
  12. ^ 亀田かめだ佳代子かよこ松原まつばら健司けんじ水谷みずたにこう ほか、日本にっぽんにおけるカワウのしょくせい食場じきばしょ選択せんたく 日本にっぽんとり学会がっかい 2002ねん 51かん 1ごう p.12-28, doi:10.3838/jjo.51.12
  13. ^ 広辞苑こうじえん だい5はん岩波書店いわなみしょてん

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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