9M111 (ミサイル)

9M111 ファゴット
9M111 ファゴット
	9K111を運用うんようするポーランド軍ぐんの対たい装甲そうこう班はん
種類しゅるい	対戦たいせん車しゃミサイル
原はら開発かいはつ国こく	ソビエト連邦れんぽう
運用うんよう史し
配備はいび期間きかん	1970年ねん-現在げんざい
開発かいはつ史し
開発かいはつ期間きかん	1962年ねん
製造せいぞう業者ぎょうしゃ	トゥーラ機械きかい設計せっけい局きょく
諸しょ元もと
重量じゅうりょう	11.5kg
全長ぜんちょう	1,030mm; 875mm（ガス発生はっせい装置そうちを除のぞく）
直径ちょっけい	120mm
射程しゃてい	70-2,500m
弾頭だんとう	成形せいけい炸薬さくやく弾だん
エンジン	固体こたい燃料ねんりょうロケットモーター
誘導ゆうどう方式ほうしき	半はん自動じどう指令しれい照準しょうじゅん線せん一致いっち誘導ゆうどう方式ほうしき（SACLOS）
発射はっしゃ; プラットフォーム	単独たんどく、車載しゃさい
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9M111 ファゴット（Fagot、ロシア語ご: 9М111 «Фагот»、木管もっかん楽器がっきのファゴットの意い）は、ソビエト連邦れんぽうの対戦たいせん車しゃミサイルである。9M111は、GRAUによる名称めいしょうで、NATOコードネームはAT-4 スピガット（Spigot：樽たるの蛇口じゃぐち（捻ねじ栓せん）の意い）である。

9M111はミサイルの名称めいしょうで、ミサイルシステムの名称めいしょうは9K111である。

概要がいよう

9M113 コンクールスミサイルシステム（ミサイルと発射はっしゃ装置そうち）と、9M111M ファクトーリヤミサイルが装填そうてんされた発射はっしゃ筒とう（左ひだり）

9M111は、トゥーラ機械きかい設計せっけい局きょくによって、個人こじんが携行けいこう可能かのうで主力しゅりょく戦車せんしゃを撃破げきはできる次世代じせだいの半はん自動じどう指令しれい照準しょうじゅん線せん一致いっち誘導ゆうどう方式ほうしき（SACLOS）対戦たいせん車しゃミサイルを生うみ出だす目的もくてきで1962年ねんから開発かいはつが始はじまった。9M111は、9M113 コンクールス（AT-5 スパンドレル）と並行へいこうして開発かいはつされ、両者りょうしゃは大おおきさ以外いがいほとんど同おなじである。9M111は、1970年ねんから配備はいびされた。

ミサイルは、容器ようき兼けん発射はっしゃ筒とうに入いれられたまま保管ほかん運用うんようされ、簡素かんそな三脚さんきゃくがついた9P135発射はっしゃ装置そうちから打うち出だされる。9S451誘導ゆうどう装置そうち箱ばこは三脚さんきゃくに固定こていされ、その上うえに発射はっしゃ筒とうごとミサイルを載のせる。9Sh119照準しょうじゅん装置そうちは発射はっしゃ装置そうち左側ひだりがわに固定こていされている。全すべてを装着そうちゃくすると発射はっしゃ装置そうち全体ぜんたいで22.5kgの重量じゅうりょうがある。射手しゃしゅはうつ伏ぶせの姿勢しせいで発射はっしゃする。装置そうちは、60km/hより低速ていそくで移動いどうする目標もくひょうに対たいして効果こうか的てきである。発射はっしゃ装置そうちは360度ど旋回せんかいすることができ、+/-20度ど俯仰ふぎょうすることができる。照準しょうじゅん装置そうちは10x倍率ばいりつで5度どの視角しかくがある。1分間ふんかんに最大さいだい3発はつのミサイルを発射はっしゃすることができる。

発射はっしゃ装置そうちはガス発生はっせい装置そうちを使つかってミサイルを発射はっしゃ筒とうから打うち出だすコールドローンチ方式ほうしきであり、発射はっしゃ後ごのガスは無む反動はんどう砲ほうのように発射はっしゃ筒とう後部こうぶから排出はいしゅつされる。ミサイルは80m/sで打うち出だされ、空中くうちゅうで固体こたい燃料ねんりょうロケットモーターに点火てんかし、186m/sまで急速きゅうそくに加速かそくする。ミサイルは最大さいだい射程しゃていに達たっすると徐々じょじょに減速げんそくするため、目標もくひょうに対たいして曲射きょくしゃしなくとも直接ちょくせつ照準しょうじゅんで発射はっしゃできる。

誘導ゆうどう装置そうちは、ミサイルの噴射ふんしゃ炎えんが発はっする赤外線せきがいせんを追尾ついびし、目標もくひょうとのズレを修正しゅうせいするよう誘導ゆうどう線せんを伝つたってミサイルに適切てきせつに指令しれいする。SACLOSは手動しゅどう指令しれい照準しょうじゅん線せん一致いっち誘導ゆうどう方式ほうしき（MCLOS）よりも多おおくの利点りてんがあり、複数ふくすうの情報じょうほう源げんによればシステムの命中めいちゅう精度せいどは90%とされており、BGM-71 TOWや、SACLOSである9M14 マリュートカ（AT-3 サガー）後期こうき型がたと同等どうとうの性能せいのうである。

運用うんよう

発射はっしゃされる9M111

ソ連それん軍ぐんの対たい戦車せんしゃ小隊しょうたいは、BTRを装備そうびした自動車じどうしゃ化か狙撃そげき兵へい大隊だいたいの隷下れいかに二ふたつの対戦たいせん車しゃミサイル分隊ぶんたいで構成こうせいされ、一いち個こ分隊ぶんたいにつき9M111 ファゴット2組くみが配備はいびされた。9M111は三さん人にん一いち組くみで運用うんようされ、射手しゃしゅが9P135発射はっしゃ装置そうちと三脚さんきゃくを背嚢はいのうに装備そうびし、ほかの二に名めいがそれぞれ発射はっしゃ筒とうを1本ほんずつ携行けいこうした。

また、兵士へいしはAKなどの小しょう火器かきを携行けいこうしたが、RPGは持もたなかった。なぜなら、RPGは対戦たいせん車しゃミサイルと違ちがって危険きけんな距離きょりでしか目標もくひょうと交戦こうせんすることができないからである。通常つうじょうの運用うんようでは対戦たいせん車しゃミサイルの運用うんよう員いんは4発はつの予備よび弾だんを携行けいこうし、さらに8発はつの予備よび弾だんをBTR-60に搭載とうさいしていた。

ミサイルは、BMP-1PやBTR-D、UAZ-469にも装備そうびされた。

各かく型かた

ミサイル

9M111 ファゴット（NATOコードネーム：AT-4 スピガットおよび AT-4A スピガットA）: 1970年ねん配備はいび。最低さいてい射程しゃてい70m、最大さいだい射程しゃてい2,000m。弾頭だんとうの貫徹かんてつ力りょくはRHA換算かんさんで400mmもしくは60度どの傾斜けいしゃ装甲そうこうに対たいして200mm。

9M111M ファクトーリヤもしくはファゴット-M（NATOコードネーム：AT-4C スピガットC）: ロケットモーターが改良かいりょうされ、誘導ゆうどう線せんも延長えんちょうされた結果けっか、最低さいてい射程しゃてい75m、最大さいだい射程しゃてい2,500mとなった。改良かいりょう型がたシングルHEAT弾頭だんとうの貫徹かんてつ力りょくはRHA換算かんさんで460mmもしくは60度どの傾斜けいしゃ装甲そうこうに対たいして230mm（いくつかの出版しゅっぱん物ぶつでは、9M111MはタンデムHEAT弾頭だんとうを持もつとしている）。

発射はっしゃ装置そうち

9P135: 9M111 ファゴット系けいのみ発射はっしゃできる。全ぜん重量じゅうりょう22.5kg。

9P135M3: 1990年代ねんだい初期しょきに開発かいはつされた。13kgのTPVP熱ねつ画像がぞう式しき夜間やかん照準しょうじゅん器きが追加ついかされた。夜間やかん射程しゃていは2,500m。
9S451M2: オーバーロード対策たいさくが施ほどこされた新型しんがた夜間やかん照準しょうじゅん器きが開発かいはつされた。

保有ほゆう国こく

アフガニスタン: 100発はつ。
アルジェリア: 100発はつ。
アンゴラ: 100発はつ。
ボスニア・ヘルツェゴビナ: 52発はつ。
ベラルーシ: 500発はつ。
ブルガリア: 222発はつ。
クロアチア: 119発はつ。
キューバ: 100発はつ。
チェコスロバキア
チェコ: 50発はつ。
東ひがしドイツ
エチオピア: 50発はつ。
フィンランド: 数すう百ひゃくの9P135M-1発射はっしゃ装置そうちと（実戦じっせん配備はいびされていない）PstOhj82として知しられるAT-48を保有ほゆう。
ジョージア
ギリシャ: 262発はつ。
ハンガリー: 50発はつ。
ヒズボラ
インド: 100発はつ。
イラン
イラク
カザフスタン
クウェート: 100発はつ。
キルギス: 2023年ねん時点じてんでキルギス陸軍りくぐんが保有ほゆう^[1]。
リビア: 100発はつ。
リトアニア
モルドバ: 2023年ねん時点じてんでモルドバ陸軍りくぐんが保有ほゆう^[2]。BMP-1に搭載とうさいして使用しよう。
モザンビーク: 10発はつ。
北朝鮮きたちょうせん
ポーランド: 100発はつ。
ロシア: 1,000発はつ。
セルビア: 250発はつ。
スロバキア: 50発はつ。
スロベニア: 10発はつ（実戦じっせん配備はいびされていない）。
シリア: 100発はつ。
ウクライナ: 800発はつ。
イエメン: 100発はつ。
トルコ: 238発はつ。

脚注きゃくちゅう

^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 181. ISBN 978-1-032-50895-5
^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 182. ISBN 978-1-032-50895-5

参考さんこう文献ぶんけん

Hull, A.W. , Markov, D.R. , Zaloga, S.J. (1999). Soviet/Russian Armor and Artillery Design Practices 1945 to Present. Darlington Productions. ISBN 1-892848-01-5.

外部がいぶリンク

FAS
[1] in Russian

[1] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 181. ISBN 978-1-032-50895-5

[2] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 182. ISBN 978-1-032-50895-5

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