(Translated by https://www.hiragana.jp/)
脊髄小脳変性症2型 - Wikipedia

脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう2がた

SCA2から転送てんそう

脊髄せきずい小脳しょうのう失調しっちょうしょう2がた(Spinocerebellar ataxia type 2、SCA2)とはだい12染色せんしょく体長たいちょううで位置いちするATXN2遺伝子いでんしないのCAGリピートが異常いじょう伸長しんちょうにより発症はっしょうするつね染色せんしょくたい優性ゆうせい脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょうである。ポリグルタミンびょうのひとつである。過去かこ分類ぶんるいほうでは遺伝いでんせいオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょう、Menzelがた遺伝いでんせい脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう該当がいとうし、Harding分類ぶんるいでは視神経ししんけい萎縮いしゅくそとすじ麻痺まひ認知にんちしょうすじ萎縮いしゅくきり体外たいがい症状しょうじょうともなうADCAⅠに相当そうとうする疾患しっかんである。

従来じゅうらい遺伝いでんせいオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくしょう(olivopontocerebellar atrophy、OPCA)あるいはMenzelがたHSCDと包括ほうかつされていたが1993ねんキューバ家系かけい連鎖れんさ解析かいせきから12q24.1に連鎖れんさすることが報告ほうこくされ、1995ねんにpulstらによる従来じゅうらいのポジショナルクローニングほう、Sanpeiらによる伸長しんちょうCAGリピートをスクリーニングする方法ほうほう、Imbertらによるポリグルタミンくさり認識にんしきする1C2抗体こうたいもちいたスクリーニングほうにより同時どうじにATXN2遺伝子いでんしあきらかにされた。すなわちATXN2遺伝子いでんしのCAGリピート異常いじょう伸長しんちょう原因げんいんのポリグルタミンびょうあきらかになった。2010ねんにATXN2遺伝子いでんしのCAGリピート中間なかまちょうすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう危険きけん因子いんしあきらかにされた。

疫学えきがく

編集へんしゅう

世界せかいてき頻度ひんどとしてはADCA全体ぜんたいの10~15%と報告ほうこくされ、イタリア(24%)、インド(25%)でこう頻度ひんど報告ほうこくされ創始そうししゃ効果こうか影響えいきょうけている。日本にっぽん全国ぜんこく統計とうけいでは2.6%であり全国ぜんこくてきにも0~6%とおおきくかたよった地域ちいき報告ほうこくされていないてい頻度ひんどのSCAである。

症状しょうじょう

編集へんしゅう

発症はっしょう年齢ねんれいは2さいから70さいだいおおきなばらつきがあるがおおくは40さいだい発症はっしょう罹病りびょう期間きかんは10~15ねんとされている。SCA1と同様どうよう発症はっしょう年齢ねんれいはCAGリピートすうまけ相関そうかん関係かんけいをもつ。臨床りんしょう症状しょうじょう家系かけいによってことなり、家系かけいないでも臨床りんしょう症状しょうじょうちがいがることがすくなくない。おおくは失調しっちょうせい歩行ほこう発症はっしょうし、構音障害しょうがい四肢しし失調しっちょうなどの小脳しょうのう症状しょうじょうおも症状しょうじょうとする。のSCAとして水平すいへい垂直すいちょく方向ほうこう衝動しょうどうせい眼球がんきゅう運動うんどう(サッケード)が緩徐かんじょになるのが特徴とくちょうてきである。指標しひょうおい眼球がんきゅう運動うんどうおくれ、あたま頚部けいぶうごきで代償だいしょうする現象げんしょうがみられる。けん反射はんしゃ初期しょきから低下ていかしていることがおおく、すじ萎縮いしゅく線維せんいたばせい攣縮、振動しんどうさとし障害しょうがいみとめることもおおい。自律じりつ神経しんけい障害しょうがい認知にんちしょう精神せいしん症状しょうじょう一部いちぶ症例しょうれいみとめられる。リピート伸長しんちょう高度こうど症例しょうれいでは乳幼児にゅうようじ発症はっしょうし、精神せいしん発達はったつ遅滞ちたいてんかんゆうし、網膜もうまく色素しきそ変性へんせいともな症例しょうれいがあり、SCA7類似るいじ症候しょうこうていする場合ばあいもある。

日本にっぽん中国ちゅうごくなどアジアを中心ちゅうしんにL-DOPA反応はんのうせいパーキンソン症候群しょうこうぐんしめ症例しょうれい小脳しょうのう失調しっちょうともなうパーキンソン症候群しょうこうぐんしめれい報告ほうこくがある。また進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひていする症例しょうれい家系かけいないみとめることもある[1]。EUROSCA[2]おこなわれた自然しぜん研究けんきゅうではSCA1より緩徐かんじょSCA3どう程度ていど進行しんこうする。進行しんこう速度そくど伸長しんちょうCAGリピートすう発症はっしょう年齢ねんれい影響えいきょうける。

画像がぞう検査けんさ

編集へんしゅう

頭部とうぶMRI特徴とくちょうはオリーブきょう小脳しょうのう萎縮いしゅくでありちゅう小脳しょうのうあしつよ萎縮いしゅくともなう。だいよんのうしつ拡大かくだい目立めだ小脳しょうのう萎縮いしゅく先行せんこうしないSCA3や純粋じゅんすい小脳しょうのうがた萎縮いしゅくパターンをとるSCA6とはことなるパターンをしめす。系統けいとう萎縮いしゅくしょう特徴とくちょうてきMRI所見しょけんとされるはし十字じゅうじサインは遺伝いでんせいSCAやその小脳しょうのう疾患しっかんでも報告ほうこくされているがSCA2では25%とこう頻度ひんどみとめられる。小脳しょうのう萎縮いしゅく程度ていどはCAGリピートすう罹患りかん期間きかん相関そうかんしないが大脳だいのう半球はんきゅう萎縮いしゅくはCAGリピートすう罹病りびょう期間きかん相関そうかんする。

遺伝子いでんし検査けんさ

編集へんしゅう

ATXN2から翻訳ほんやくされるataxin-2は1312アミノ酸あみのさん構成こうせいされる蛋白質たんぱくしつかくないではなく細胞さいぼうしつ局在きょくざいする。ataxin-2はRNAスプライシングに関連かんれんするモチーフをっておりataxin-2結合けつごう蛋白質たんぱくしつ1と相互そうご作用さようしmRNA翻訳ほんやく転送てんそうにかかわっていると想定そうていされている。N末端まったんがわにポリグルタミンくさり存在そんざいする。ATXN2の正常せいじょうアレルのCAGリピートは31とされているが22リピートがもっとおおく97%をめる。リピートは通常つうじょう2つのCAA挿入そうにゅう配列はいれつつがSCA1のCAT挿入そうにゅう配列はいれつことなりCAAはCAGと同様どうようグルタミン翻訳ほんやくされポリグルタミンくさり形成けいせいする。32リピート以上いじょう病的びょうてき異常いじょう伸長しんちょうとされ500をえる症例しょうれい報告ほうこくもある。異常いじょうリピートすうはSCA1と同様どうよう発症はっしょう年齢ねんれい重症じゅうしょうまけ相関そうかん関係かんけいみとめられ表現ひょうげん促進そくしん現象げんしょうみとめられる。

ATXN2遺伝子いでんしCAGリピートすう27~33ははつせいALSの発症はっしょう危険きけん因子いんしでありカットオフを27に設定せっていするとオッズ2.80になることを2010ねんにEldenらが報告ほうこくした[3]。ataxin-2はTDP-43相互そうご作用さようしTDP-43毒性どくせい修飾しゅうしょく因子いんしとなること、ALS脊髄せきずいでataxin-2がSCA2脊髄せきずいでTDP-43が異常いじょう局在きょくざいすることなどがわかっている。

病理びょうり

編集へんしゅう

大脳だいのう全体ぜんたいてきちいさく、大脳だいのうあし萎縮いしゅくみとめる。小脳しょうのうむし半球はんきゅうともしるあきら萎縮いしゅくし、はし中小ちゅうしょうのうあし高度こうど萎縮いしゅくする。小脳しょうのうのプルキンエ細胞さいぼうちょあかり脱落だつらくし、脳幹のうかんでははしかくしもオリーブかくしるあきら神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくみとめ、ちゅうのうくろしつ変性へんせいこう頻度ひんどみとめられる。脊髄せきずいではこうさく著名ちょめいだつずいせい変化へんか運動うんどう神経しんけい細胞さいぼう、クラークはしら神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらく細胞さいぼうサイズの低下ていかみとめ、こしせんずいではぜんこう部分ぶぶんてきだつずいみとめられる。神経しんけい細胞さいぼうかくない封入ふうにゅうたいみとめるものの量的りょうてきすくない。大脳だいのう基底きていかくじょうかくはしかく神経しんけい細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい、オリーブかくでグリア細胞さいぼうしつない封入ふうにゅうたい多数たすうみとめる。

症例しょうれいによってはすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう疾患しっかん蛋白質たんぱくしつであるTDP-43やリン酸化さんかTDP-43陽性ようせい神経しんけい細胞さいぼうかくない封入ふうにゅうたい神経しんけい細胞さいぼう胞体ない封入ふうにゅうたい神経しんけい突起とっきうち封入ふうにゅうたい、グリア胞体ない封入ふうにゅうたい出現しゅつげんする[4]

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • Spinocerebellar Degenerations ISBN 9780750675031
  • 脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう臨床りんしょう ISBN 9784880022703
  • 小脳しょうのう運動うんどう失調しっちょう 小脳しょうのうはなにをしているのか ISBN 9784521734422
  • Clinical Neuroscience Vol.27 (2009ねん) 01がつごう 脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう―What's new?

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ Handb Clin Neurol. 2012 103 423-436. PMID 21827904
  2. ^ Neurology. 2011 77 1035-1041. PMID 21832228
  3. ^ Nature. 2010 466 1069-1075. PMID 20740007
  4. ^ Acta Neuropathol. 2011 Sep;122(3):375-8. PMID 21830155