ウクライナとロシアの関係かんけい

宇露関係かんけい

ロシア	ウクライナ

宇露関係かんけい（うろかんけい、ロシア語ご: Российско-украинские отношения、ウクライナ語ご:Українсько-російські відносини）は、ウクライナとロシアの関係かんけいのこと。

歴史れきし

ウクライナとロシアの関係かんけいは中世ちゅうせいに遡さかのぼる。

9世紀せいきにはウクライナの地ちを中心ちゅうしんとしたキエフ大公たいこう国こく（ルーシ）という国家こっかが存在そんざいした。12世紀せいきにその国家こっかの北東ほくとう部ぶは分離ぶんりし、モンゴル帝国ていこくの来襲らいしゅう後ごにロシアの原型げんけいであるモスクワ大公たいこう国こく（ロシア・ツァーリ国こく）となった。ロシアはモンゴルに従属じゅうぞくしていたが、15世紀せいき末まつに完全かんぜんに独立どくりつした。一方いっぽう、ウクライナは、キエフ大公たいこう国こくの滅亡めつぼう後ごに、ハーリチ・ヴォルィーニ大公たいこう国こく（ルーシ王国おうこく）として存続そんぞくしたが、14世紀せいき末まつにモンゴルに抵抗ていこうするための同盟どうめい国こくであったポーランドとリトアニアによって分割ぶんかつされた。以後いご、ウクライナの諸侯しょこうとコサックは、ポーランドとリトアニアに従属じゅうぞくし、東欧とうおうの支配しはいをめぐるロシアとの戦たたかいに参加さんかした。

1648年ねんに民族みんぞく的てき・宗教しゅうきょう的てき弾圧だんあつのためにウクライナ・コサックは、ポーランドからの独立どくりつ戦争せんそうを起おこし、ポーランドと戦たたかうために1654年ねんにロシアと同盟どうめいを結むすんだ。ロシアは戦争せんそうに介入かいにゅうしたが、1667年ねんにポーランドと単独たんどく講和こうわし、アンドルソヴォ条約じょうやくによりポーランドとのウクライナの分割ぶんかつを行おこなった。コサック国家こっかは分裂ぶんれつし、その東部とうぶはロシア帝国ていこく内ないにおける自治じち国こくとして1787年ねんまでに存続そんぞくした。

18世紀せいき末すえにロシアはシーチの廃止はいし、ポーランド分割ぶんかつとクリミア汗あせ国こくの併合へいごうを行おこなったことにより、西部せいぶを除のぞいてウクライナの全ぜん領域りょういきを支配しはい下かに置おいた。ウクライナの自治じち制せいが廃止はいしされたものの、ウクライナ人じんの多おおくはロシア帝国ていこくの運営うんえいへの参加さんかが許ゆるされた。ロシアはウクライナでロシア化かという同化どうか政策せいさくを進すすめ、ウクライナ人じんのコサックと農民のうみんをコーカサス、シベリア、中央ちゅうおうアジアと極東きょくとうの植民しょくみん地ち化かに利用りようした。

1918年ねん、ロシア革命かくめい後のちに、ウクライナ人じんはウクライナ人民じんみん共和きょうわ国こくの独立どくりつを宣言せんげんしたが、ロシアの赤軍せきぐんに破やぶれ、1922年ねんにウクライナ社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくという傀儡かいらい政権せいけんとしてソ連それんに取とり込こまれた。1920年代ねんだいから1940年代ねんだいにかけてロシアの共産党きょうさんとうは、ウクライナの重工業じゅうこうぎょう化か・集団しゅうだん農場のうじょう化か・共産きょうさん化かを行おこなった。その結果けっかウクライナ的てきな生活せいかつ様式ようしきと多おおくの文化財ぶんかざいが崩壊ほうかいされ、1932年ねんから1933年ねんにホロドモールと呼よばれる人工じんこう的てきな大だい飢饉ききんが起おこった。また、1920年代ねんだいにウクライナ人じんが多数たすう派はであった地域ちいきのスタヴロポリ地方ちほう、クラスノダル地方ちほう、スタロドゥーブなどをロシアに併合へいごうし、1954年ねんにロシア人じんが多数たすう派はであったクリミアをウクライナに譲ゆずった。

1991年ねんにソ連それんが崩壊ほうかいし、8月がつ24日にちにウクライナはソ連それんから独立どくりつを宣言せんげんした。12月5日にちにロシアはウクライナ独立どくりつを承認しょうにんした。

ソ連それん滅亡めつぼう後ご

トゥーズラ島とうの位置いち

2010年ねんのハルキウ条約じょうやく。

古ふるくからの密接みっせつな関係かんけいにもかかわらず、1991年ねん以後いごウクライナとロシアの両国りょうこく関係かんけいには緊張きんちょうが続つづいている。

• ウクライナは、ロシアとの独立どくりつ国家こっか共同きょうどう体たい（CIS）の結成けっせいに関かんする条約じょうやくに調印ちょういんしたが、ロシアが望のぞむように正式せいしきに独立どくりつ国家こっか共同きょうどう体たい憲章けんしょうを承認しょうにんしていない。
• 両国りょうこくの間あいだにはソ連それんの財産ざいさん継承けいしょうをめぐる問題もんだいが未解決みかいけつである。
• 1997年ねん以後いご、クリミア半島くりみあはんとうのセヴァストポリ市内しないでは、ロシアの黒海こっかい艦隊かんたいの基地きちが存在そんざいする。
• 2003年ねん9月30日にちに両国りょうこくの間あいだにはトゥーズラ島とうをめぐる国境こっきょう問題もんだいが勃発ぼっぱつした。問題もんだいは未み解決かいけつのままである。なお、ソ連それん以来いらいの両国りょうこくの国境こっきょうは存在そんざいするが、未いまだに正式せいしき的てきに国境こっきょうとして両国りょうこくによって決定けっていされていない。
• 2004年ねんにオレンジ革命かくめいの際さい、ウクライナ大統領だいとうりょうの選挙せんきょにロシアが介入かいにゅうしたにも拘かかわらず、親しん露ろ派はのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ候補こうほが敗北はいぼくした。以後いご、5年ねんにわたって両国りょうこくの間あいだにマスコミにおける情報じょうほう戦せんが行おこなわれた。また、二ふたつの「ガス紛争ふんそう」（2005–2006、 2008–2009）があった。
• 2008年ねんにロシア・グルジア戦争せんそうの際さい、ウクライナはグルジア側がわを支援しえんした。
• 2010年ねん4月がつ21日にちに親しん露ろ派はのヤヌコーヴィチがウクライナ大統領だいとうりょうとなり、ハルキウ条約じょうやくによってロシアとの関係かんけいの正常せいじょう化かをはかったが、ガスをめぐる問題もんだいは未み解決かいけつのままである。
• 2010年ねん末まつに、ロシア政府せいふはロシア国内こくないにおけるウクライナ人じんの最大さいだいの市民しみん団体だんたい「ウクライナ文花ぶんか自治体じちたい」を廃止はいしし、モスクワにあった唯一ゆいいつのウクライナ文学ぶんがく図書館としょかんを「右派うは急進きゅうしん主義しゅぎ」のために廃はい館かんさせた。
• 2011年ねんに第だい三さんの「ガス紛争ふんそう」。ウクライナによるロシアのガスプロムへのガス料金りょうきん未納みのう問題もんだい。
• 2012年ねんに「チーズ戦争せんそう」。ウクライナからロシアへの牛乳ぎゅうにゅう品ひんの輸出ゆしゅつに関かんする問題もんだい。
• 2014年ねんのウクライナ騒乱そうらんによるヤヌコーヴィチ政権せいけんの崩壊ほうかいおよびそれに伴ともない発生はっせいしたクリミア危機きき（後述こうじゅつ）。

その他たに、ウクライナとロシアの間あいだに、歴史れきし認識にんしきの問題もんだい（ホロドモール、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんにおけるウクライナ蜂起ほうき軍ぐんとNKVD（KGB）の評価ひょうかの差異さい）、ウクライナ国内こくないにおけるロシア語ごの公用こうよう語ご化かの問題もんだい、ロシア国内こくないにおけるウクライナ人じんのロシア化かの問題もんだい、NATO・EU・関税かんぜい同盟どうめいへのウクライナ加入かにゅうの問題もんだいなどが未み解決かいけつの問題もんだいが存在そんざいする。

2013年ねんは、ウクライナの国内こくない経済けいざいが低迷ていめいし、対たい露ろ輸出ゆしゅつが輸出ゆしゅつ額がくの約やく4分ぶんの1となり、ロシア依存いぞんを強つよめた。同年どうねん11月22日にち、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）加盟かめいへの第一歩だいいっぽとなる連合れんごう協定きょうてい（AA）締結ていけつに関かんする作業さぎょうを停止ていしすると発表はっぴょうした。12月17日にち、モスクワで宇露首脳しゅのう会談かいだんが開催かいさいされ、EU接近せっきんを踏ふみとどまったウクライナに対たいしてロシアは1500億おくドルの融資ゆうしや対たいウクライナ向むけ天然てんねんガス価格かかくの30パーセント値下ねさげなど巨額きょがくの経済けいざい支援しえんを約束やくそくした。一方いっぽうでウクライナ国民こくみんの間あいだでは対たい露ろ接近せっきんに反対はんたいする市民しみんが首都しゅとキエフを中心ちゅうしんに大だい規模きぼなデモを繰くり返かえした。

2014年ねんヤヌコーヴィチ政権せいけん崩壊ほうかい

2014年ねん1月がつ24日にち、デモ隊たいと警官けいかん隊たいが衝突しょうとつし、警官けいかん隊たいに負傷ふしょう者しゃが出でた。2月がつ20日はつか、キエフ市内しないで大だい規模きぼな反はん政府せいふデモが起おこり、当局とうきょくと衝突しょうとつ。2月がつ20日はつかまで77名めいの死者ししゃを出だした。2月がつ22日にち、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょうは、野党やとう側がわが要求ようきゅうしてきた大統領だいとうりょう選挙せんきょの前倒まえだおしなどを宣言せんげん。危機きき回避かいひの合意ごうい文書ぶんしょに野党やとう側がわと署名しょめいした。一方いっぽうでウクライナ最高さいこう会議かいぎは過激かげき化かしたデモ隊たいの要求ようきゅうに応おうじてヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょう弾劾だんがい法案ほうあんを可決かけつし、さらに収監しゅうかん中ちゅうのユーリヤ・ティモシェンコ元もと首相しゅしょうを釈放しゃくほうするための刑法けいほう改正かいせい案あんも可決かけつした。

結局けっきょく同日どうじつ、デモ隊たいはキエフの政府せいふ庁舎ちょうしゃを制圧せいあつ。最高さいこう会議かいぎは大統領だいとうりょう解任かいにん決議けつぎを可決かけつし、ヤヌコーヴィチ政権せいけんは崩壊ほうかいした。ヤヌコーヴィチ政権せいけん崩壊ほうかいによりウクライナは東西とうざい分裂ぶんれつもはらむ一大いちだい局面きょくめんを迎むかえることとなった。

2月がつ23日にち、ウクライナ最高さいこう会議かいぎは、ヤヌコーヴィチ政権せいけんが2012年ねんに制定せいていした「ロシア語ご公用こうよう語法ごほう」を撤廃てっぱい、ウクライナ語ごのみを公用こうよう語ごとした。東部とうぶウクライナはロシア語ごを母語ぼごとする住民じゅうみん、ロシア人じんが多おおいため、東部とうぶ住民じゅうみんやロシアの反発はんぱつが高たかまることが観測かんそくされた。

ウクライナをめぐり欧米おうべいとロシアの駆かけ引ひきも活発かっぱつ化かしていった。2月がつ24日にち、ウクライナ大統領だいとうりょう代行だいこうのオレクサンドル・トゥルチノフ最高さいこう会議かいぎ議長ぎちょうは、キャサリン・アシュトン欧州おうしゅう連合れんごう外務がいむ・安全あんぜん保障ほしょう政策せいさく上級じょうきゅう代表だいひょうと会談かいだん。アシュトンはウクライナに支援しえんの用意よういを表明ひょうめいした。また、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのジェイ・カーニーホワイトハウス報道ほうどう官かんも米国べいこくが世界せかい各国かっこくとウクライナの経済けいざい改革かいかくに必要ひつような支援しえんを行おこなう用意よういがあることを表明ひょうめいした。

一方いっぽう、ロシアは、2月がつ23日にち、前年ぜんねんに合意ごういした対たいウクライナ支援しえんの凍結とうけつを表明ひょうめいしたが、翌よく24日にち一転いってんして支援しえんの用意よういがあることを表明ひょうめいした。また、同日どうじつ、ドミートリー・メドヴェージェフ露ろ首相しゅしょうは、「ウクライナの新しん体制たいせいについて正統せいとう性せいに大おおきな疑問ぎもんがある」との見解けんかいを表明ひょうめいした。2月がつ26日にち、ウラジーミル・プーチン露ろ大統領だいとうりょうは、ウクライナ国境こっきょうのロシア軍ぐんに対たいして演習えんしゅうのため出動しゅつどうを命令めいれいした。

2014年ねんロシアのクリミア侵攻しんこう

クリミア半島くりみあはんとう（クリミア自治じち共和きょうわ国こく）では、暫定ざんてい政権せいけんへの移行いこうに反対はんたいする親しんロシア派はのデモが拡大かくだいし、各地かくちでロシアへの帰属きぞくを求もとめるなど緊張きんちょうが続つづいた。2月がつ27日にち、クリミア自治じち共和きょうわ国こく議会ぎかいは、武装ぶそうしたロシア系けい住民じゅうみんが周囲しゅういを取とり囲かこむ中なか、ウクライナ大統領だいとうりょう選挙せんきょが予定よていされている5月25日にち同日どうじつにウクライナへの帰属きぞくを問とう住民じゅうみん投票とうひょうを実施じっしすることを決定けっていした。2月がつ28日にち、シンフェロポリの空港くうこうがロシア系けい武装ぶそう集団しゅうだんによって一時いちじ占拠せんきょされる事件じけんが起おこる。インタファクス通信いんたふぁくすつうしんはロシア軍ぐんがセヴァストーポリの空港くうこうに配備はいびされたと報ほうじた。同日どうじつ、政権せいけん崩壊ほうかい後ご、所在しょざいが明あきらかになっていなかったヤヌコーヴィチは、ロシアのロストフ・ナ・ドヌーで会見かいけんし、大統領だいとうりょうを辞任じにんしないことを表明ひょうめいした。 3月1日にち、ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク首相しゅしょうは、クリミア半島くりみあはんとうにおけるロシア軍ぐんの出動しゅつどうは駐留ちゅうりゅう協定きょうてい違反いはんだと批判ひはんした。

3月1日にち、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは、クリミア半島くりみあはんとうでの軍事ぐんじ作戦さくせんロシア連邦れんぽう議会ぎかい上院じょういん連邦れんぽう院いんに提案ていあんし、上院じょういんは全会ぜんかい一致いっちで軍事ぐんじ介入かいにゅうを承認しょうにんした。。 3月1日にち、3月2日にちの両日りょうじつ、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいでは緊急きんきゅう会合かいごうが開ひらかれ、ロシア軍ぐんの展開てんかいをめぐり、ウクライナのセルゲイエフ国連こくれん大使たいしとロシアのヴィタリー・チュルキン国連こくれん大使たいしの間あいだで侵略しんりゃくか否ひかで応酬おうしゅうがあった。

3月2日にち、ウクライナのトゥルチノフ大統領だいとうりょう代行だいこうは、ウクライナ軍ぐんに対たいし総動員そうどういん令れいを発はっし、予備よび役やくの招集しょうしゅう開始かいしを命めいじた。デニツァ外相がいしょうはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、欧州おうしゅう連合れんごう（EU）、北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう（NATO）に対たいし、あらゆる防衛ぼうえい手段しゅだんを検討けんとうするよう要請ようせいした。ヤツェニュク首相しゅしょうは、ロシアに対たいし軍ぐんを撤退てったいさせ、政治せいじ的てき対話たいわに応おうじるよう求もとめた。一方いっぽう、1日にちにウクライナ海軍かいぐん総そう司令しれい官かんに任命にんめいされたばかりのデニス・ベレゾフスキー提督ていとくが離反りはんし、クリミア自治じち共和きょうわ国こくに忠誠ちゅうせいを誓ちかったと報ほうじられた。

3月3日にち、インタファクス通信いんたふぁくすつうしんは、ロシア軍ぐんがウクライナ軍ぐんに対たいして3月4日にち午前ごぜん5時じ（日本にっぽん時間じかん同日どうじつ正午しょうご）までに降伏ごうぶくしなければ攻撃こうげきを開始かいしするとの最後さいご通告つうこくを出だしたと報ほうじた。セヴァストーポリのロシア黒海こっかい艦隊かんたい司令しれい部ぶはこの報道ほうどうを否定ひていした。3日にち国連こくれん安保あんぽ理事りじ会かい緊急きんきゅう会合かいごうで、ウクライナのセルゲイエフ国連こくれん大使たいしは、ロシア軍ぐんが2月がつ24日にち以降いこう、空路くうろや海路かいろで「兵員へいいん約やく1万まん6千せん人にんを投入とうにゅうした」と批判ひはんした。

3月4日にち、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは、ロシアによるクリミアの実効じっこう支配しはいが進すすんだことを受うけて、記者きしゃ会見かいけんで武力ぶりょく行使こうしの可能かのう性せいは消きえたとしウクライナへの本格ほんかく的てきな軍事ぐんじ介入かいにゅうとクリミア自治じち共和きょうわ国こくのロシア連邦れんぽうへの編入へんにゅうを否定ひていした。

3月6日にち、クリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎは、クリミアをロシア連邦れんぽうに編入へんにゅうするか否ひかを問とう住民じゅうみん投票とうひょうを当初とうしょ予定よていしていた3月30日にちから前倒まえだおしして、3月16日にちに実施じっしすることを決定けっていした。また、最高さいこう会議かいぎは、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうに対たいしてクリミアをロシアへの編入へんにゅう要求ようきゅうを全会ぜんかい一致いっちで決議けつぎした。クリミア自治じち共和きょうわ国こくのテミルガリエフ第だい一いち副ふく首相しゅしょうは、7割わり以上いじょうの市民しみんが、ロシアへの編入へんにゅうに賛成さんせいするとの見通みとおしを述のべた。ウクライナのヤツェニュク首相しゅしょうはクリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎの決定けっていは異邦いほうであり、住民じゅうみん投票とうひょうに法的ほうてき根拠こんきょが無ないことを表明ひょうめいした。ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎでクリミア最高さいこう会議かいぎの養成ようせいを協議きょうぎした。

3月7日にち、ウクライナのトゥルチノフ大統領だいとうりょう代行だいこうは、クリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎが決定けっていしたクリミアをロシア連邦れんぽうに編入へんにゅうすることを問とう住民じゅうみん投票とうひょうを無効むこうとする大統領だいとうりょう令れいを発布はっぷした。クリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎ議員ぎいん団だんがモスクワを訪問ほうもんし、コンスタンチノフ最高さいこう会議かいぎ議長ぎちょうはロシア上院じょういん連邦れんぽう院いんのワレンチナ・マトヴィエンコ議長ぎちょうと会談かいだんし、住民じゅうみん投票とうひょう時じに国際こくさい監視かんし団だんの招請しょうせいを要請ようせいした。 マトヴィエンコ上院じょういん議長ぎちょうとセルゲイ・ナルイシキン下院かいん議長ぎちょうは、16日にち予定よていの住民じゅうみん投票とうひょうについて全面ぜんめん的てきな支持しじを表明ひょうめいした。

3月7日にち夜よる、セヴァストーポリ近郊きんこうに駐屯ちゅうとんするウクライナの防空ぼうくう部隊ぶたいに対たいしロシア軍ぐんが投降とうこうを呼よびかけたが、ウクライナ側がわは拒否きょひした。

3月9日にち、ウクライナの首都しゅとキエフでタラス・シェフチェンコ生誕せいたん200周年しゅうねん記念きねん式典しきてんが行おこなわれた。各界かくかい要人ようじんらの演説えんぜつでは、南部なんぶクリミア半島くりみあはんとうでのロシアの実効じっこう支配しはいへの批判ひはんが目立めだち、1万まん人にん超ちょうの参加さんか者しゃは時折ときおり、「プーチン（大統領だいとうりょうの部隊ぶたいは）出でて行いけ」などと叫さけんで気勢きせいを上あげた。

3月がつ10日とおか、クリミア自治じち共和きょうわ国こくバフチサライ近郊きんこうにあるウクライナ軍ぐん基地きちをロシア軍ぐんとみられる部隊ぶたいが襲撃しゅうげきし、発砲はっぽうしたとインタファクス通信いんたふぁくすつうしんが伝つたえた。ウクライナ軍ぐん将兵しょうへいに怪我人けがにんはないとも伝つたえている。 クリミア自治じち共和きょうわ国こくのセルゲイ・アクショーノフ首相しゅしょうは、3月16日にちの住民じゅうみん投票とうひょうで独立どくりつが承認しょうにんされれば、数すうか月げつ以内いないにロシアとの統合とうごうを実現じつげんしたいとの意向いこうを示しめした。ウクライナのヤツェニュク首相しゅしょうは記者きしゃ会見かいけんで、「クリミアで起おきていることはロシアの責任せきにんで、ウクライナの一部いちぶであるクリミアでの住民じゅうみん投票とうひょうを直ただちにやめさせるべきだ」とロシアを非難ひなんした。

3月11日にち、クリミア自治じち共和きょうわ国こく最高さいこう会議かいぎはクリミア自治じち共和きょうわ国こくとセヴァストーポリ市しのウクライナからの独立どくりつ宣言せんげんを採択さいたくしたと発表はっぴょうした。宣言せんげんでは3月がつ16日にちに実施じっしする住民じゅうみん投票とうひょう後ご、クリミア共和きょうわ国こくとしてウクライナから独立どくりつした後のち、ロシア連邦れんぽうに編入へんにゅうされることが明記めいきされた。 ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前ぜん大統領だいとうりょうは、ロストフ・ナ・ドヌーで声明せいめいを出だし、自分じぶんが正統せいとうなウクライナ大統領だいとうりょうでありウクライナ軍ぐん最高さいこう司令しれい官かんであるとし、新しん政権せいけんを批判ひはんした。

3月12日にち、クリミア自治じち共和きょうわ国こくのアクショーノフ首相しゅしょうは、住民じゅうみん投票とうひょうでクリミアがウクライナに帰属きぞくされるべきでないとの投票とうひょう結果けっかが示しめされた場合ばあいは2ヵ月かげつ以内いないにロシアへ編入へんにゅうが可能かのうとの見解けんかいを発表はっぴょうした。ロシア下院かいん国家こっか会議かいぎのレオニード・エドゥアルドヴィチ・スルツキー代議員だいぎいんは、住民じゅうみん投票とうひょうに備そなえ、ロシア軍ぐんがクリミア半島くりみあはんとうに部隊ぶたいを送おくったことを強つよく示唆しさした。主要しゅよう7カ国かこく（G7）はロシアに対たいし、クリミアを併合へいごうすれば国際こくさい法ほうに違反いはんすると強調きょうちょうし、ロシアが軍ぐんを撤退てったいさせ対話たいわを開始かいししなければ制裁せいさいを強化きょうかすると警告けいこくした。ウクライナのヤツェニュク首相しゅしょうは訪問ほうもん先さきのアメリカでバラク・オバマ大統領だいとうりょうと会談かいだん。オバマ大統領だいとうりょうはロシアへの編入へんにゅうを問とうクリミアの住民じゅうみん投票とうひょうを認みとめない方針ほうしんを改あらためて強調きょうちょうした。

3月13日にち、ウクライナのイーホリ・ハルチェンコ駐ちゅう日にち大使たいしは記者きしゃ会見かいけんで「プーチン大統領だいとうりょうはウクライナから出でて行いけ」と非難ひなんした。 ウクライナ保健ほけん省しょうは、ドネツクで暫定ざんてい政権せいけん支持しじ派はのデモに参加さんかした22歳さいの男性だんせいが、親しんロシア派はのデモ参加さんか者しゃに刺さされ死亡しぼうしたことを発表はっぴょうした。ロシアによるクリミア半島くりみあはんとうの侵攻しんこうにともなう初はじめての死者ししゃである。さらに地元じもと当局とうきょくは衝突しょうとつで16人にんが負傷ふしょうし、うち13人にんは重傷じゅうしょうと発表はっぴょうした。 ウクライナのヤツェニュク首相しゅしょうは、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かい緊急きんきゅう会合かいごうに出席しゅっせきし、ロシアのクリミア侵攻しんこうを批判ひはんした。同どう会合かいごうに出席しゅっせきしたロシアのヴィタリー・チュルキン国連こくれん大使たいしは、ロシア政府せいふが戦争せんそうを求もとめていないことを述のべつつ、ヤヌコーヴィチ大統領だいとうりょう解任かいにんを憲法けんぽう違反いはんである批判ひはんし、クリミアの住民じゅうみん投票とうひょうを擁護ようごした。

3月14日にち、ハリコフで衝突しょうとつがあり、2人ふたりが死亡しぼう、5人にんが負傷ふしょうしたとロイタろいたー通信つうしんが伝つたえた。ウクライナのアバコフ内相ないしょうは15日にち未明みめいまでに約やく30名めいを拘束こうそくし武器ぶきを押収おうしゅうした。

3月15日にち、国連こくれん安保理あんぽりは公開こうかい会合かいごうを開ひらき、ウクライナのロシアへ編入へんにゅうを求もとめる住民じゅうみん投票とうひょうを無効むこうとする決議けつぎを審議しんぎし、ロシアが拒否きょひ権けんを発動はつどうし、決議けつぎは否決ひけつされた。 モスクワで、およそ5万まん人にんがロシアによるウクライナへの介入かいにゅうに抗議こうぎして市し中心ちゅうしん部ぶを行進こうしんした。

3月18日にち、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうはロシア連邦れんぽう議会ぎかい上下じょうげ両院りょういん議員ぎいんや地方ちほう首長しゅちょうらを前まえにクレムリンで演説えんぜつし、クリミア自治じち共和きょうわ国こくのロシア連邦れんぽうへの併合へいごうを宣言せんげんした。ウクライナ政府せいふは、クリミアのロシア編入へんにゅうを決けっして認みとめないと表明ひょうめいした。3月19日にち、ロシア連邦れんぽう議会ぎかい下院かいん国家こっか会議かいぎはクリミア編入へんにゅう条約じょうやくを賛成さんせい多数たすう、反対はんたい1で批准ひじゅん、3月21日にち、上院じょういん連邦れんぽう会議かいぎも編入へんにゅう条約じょうやくを満場一致まんじょういっちで批准ひじゅんした。

4月がつ12日にち、親しん露ろ派は武装ぶそう勢力せいりょくがスラビャンスクの行政ぎょうせい庁舎ちょうしゃを占拠せんきょした。

4月がつ13日にち、ウクライナのアヴァコフ内相ないしょうは、スラビャンスクで治安ちあん当局とうきょく者しゃ1人にんが死亡しぼうしたと発表はっぴょうした。また、ロシア通信つうしんは、親しん露ろ派はの活動かつどう家か1人にんが死亡しぼうしたと伝つたえた。トゥルチノフ大統領だいとうりょう代行だいこうは、ウクライナ国民こくみんに向むけた演説えんぜつで、スラビャンスクの行政ぎょうせい庁舎ちょうしゃを占拠せんきょしている武装ぶそう勢力せいりょくが現地げんち時間じかん午前ごぜん9時じまでに武装ぶそう解除かいじょを行おこなわければ「大だい規模きぼな対たいテロ作戦さくせんを実施じっしする」と発表はっぴょうした。

4月がつ14日にち、トゥルチノフ大統領だいとうりょう代行だいこうは、ウクライナ東部とうぶで施設しせつを占拠せんきょしている親おや露ろ派は武装ぶそう勢力せいりょくが現地げんち時間じかん午前ごぜん9時じ（日本にっぽん時間じかん同日どうじつ午後ごご3時じ）の退去たいきょ期限きげんを守まもらなかったことを受うけ、同どう勢力せいりょくが武装ぶそう解除かいじょに応おうじなければ対たいテロ作戦さくせんの一環いっかんとして軍ぐんも投入とうにゅうした強制きょうせい排除はいじょに踏ふみ切きる方針ほうしんを示しめした。

外交がいこう使節しせつ

在ざいウクライナ・ロシア大使たいし

キエフにある在ざいウクライナロシア大使館たいしかん

1. レオニード・ヤコヴレヴィチ・スモリャコフ（1992～1996年ねん）
2. ユーリー・ヴラディーミロヴィチ・ドゥビニン（1996～1999年ねん）
3. イヴァン・パヴロヴィチ・アボイモフ（1999～2001年ねん）
4. ヴィクトル・チェルノムイルジン（2001～2009年ねん）
   （臨時りんじ代理だいり大使たいし）フセヴォロド・ヴラディーミロヴィチ・ロスクトフ（2009年ねん）
5. ミハイル・ユーリエヴィチ・ズラボフ（2009～2016年ねん）
   （臨時りんじ代理だいり大使たいし）セルゲイ・ルヴォヴィチ・トロポフ（2016年ねん）
   （臨時りんじ代理だいり大使たいし）アレクサンドル・ペトロヴィッチ・ルカシック（2016年ねん～）

在ざいロシア・ウクライナ大使たいし

モスクワにあるロシア駐在ちゅうざいウクライナ大使館たいしかん

参考さんこう文献ぶんけん

• （日本語にほんご） 伊東いとう孝之たかゆき・井内いうち敏夫としお・中井なかい和夫かずお編へん 編へん『ポーランド・ウクライナ・バルト史し』山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ〈新版しんぱん世界せかい各国かっこく史し 20〉、1998年ねん12月。ISBN 978-4-634-41500-3。 
• （日本語にほんご） 黒川くろかわ祐次ゆうじ『物語ものがたり ウクライナの歴史れきし - ヨーロッパ最後さいごの大国たいこく -』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょ 1655〉、2002年ねん8月がつ。ISBN 978-4-12-101655-3。 

関連かんれん項目こうもく

• 在ざいウクライナロシア大使館たいしかん

リンク

• 在ざいウクライナのロシア大使館たいしかん
• 在ざいロシアのウクライナ大使館たいしかん
• ウクライナの外務省がいむしょう
• ロシアの外務省がいむしょう
• Russian-Ukrainian relations. Current Politics in Ukraine